La douce vie

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フィギュアスケート:高橋大輔選手 引退.6

2014-10-20 | figure skathing、ice show
しつこく続きましたが、これが最後です。

高橋クンは6点満点時代にシニアデビューした選手で、新採点法が採用された後、トップに上がっていったスケーターはその採点法に適ったスケーティングスキルを持ち、すぐに対応できたスケーターだった。だから、そういうスケーター達はどこか少し欠点があって、それが個性の1つでもあった。
荒川さんは6点満点当時はスピンをどのようにしたら点数が上がる、とか、分からなかった。と言っていた。
今の若いスケーターは子供の頃に何を練習すればいいか分かって指導してもらっている。アジア系のスケーターが強くなった理由は新採点法のお蔭だと思う。

SOIで高橋クンは「ロクサーヌ」を披露する。ソチに行く上で、可能性の1つとしてモロゾフ氏のことも頭にあったのだと思う。
これにモロゾフ氏は物凄い勢いで食いついてきた。わざわざ記者会見のためだけに日本にやってくるという熱の入れようが違った。
モロゾフ氏は成功に対して貪欲な人だった。でも、高橋クンと別離した後に見せた言動からは高橋クンに対する深い執着心を感じていた。

プログラムはSPはロック、これは赤い衣装にかわってから好きだったな。FSは道化師。正直、ロミオ&ジュリエットを思い出して嫌だった。シェイリーンは大好きだし、彼女の滑るスケートは最高だけど、シェイの作ったプログラムの傑作はシェイが滑っているプログラムだと思う。

シーズンが開けると、高橋クンの4回転が再び暗礁に乗り上げていることが分かった。さらに得点源の3Aまで悪くなっていった。
「道化師」は妻の浮気に嫉妬する男の苦悩を描いている。この苦悩の表現があまりに素晴らしく、当時の足に対する苦悩、成績への苦悩、ジャッジに対する感情が作品と重なりあっているように思えて、オペラそのものを見ているようだった。全日本の「道化師」はそういうものだった。あの演技にジャッジは不要、と、当時思ったものです。
この全日本の「道化師」も彼の最高傑作の1つだと思う。
ステファンの東京の世界選手権の「ポエタ」。あれも、そういうプログラム。

そういえば、高橋大輔のライバルとして、よく、パトリックの名前が上がるけれど、パトリックは私にとっては次世代のスケーター。私はまっさきに織田クンの名前を出すと思う。それほど、二人の競い合いと成長は目を引くものがあった。二人で競い合っていけば、世界の頂点に行けると思えた。
そして、ステファン、ジェフ、ジョニー、エヴァン、ジュベール。フィギュアスケートを見るようになるきっかけを与えてくれた時代は私の中では今でも特別輝いている。恐らく、多くのスケートファンはハマるきっかけになった初期の頃のスケーターやプログラムのインパクトが一番強いのではないかと思う。

四大陸で変えた「月の光」はいい作品ではあった。ただ、明らかに身体が悲鳴を上げていた。

国別。彼の体の状況を考えれば休ませるべきだった。ひどいコンディションでの出場が痛々しかった。
高橋クンだけでなく、ロシアのスケーターも怪我で演技を棄権せざるをえなかったし、あの、国別はスケーターを酷使して、日本のファンからのお金を巻き上げる、というのが丸見えだった。
AOI、世界最高峰のショーに最後の最後にエントリー。あの状況であれば体を休ませたかったのだろう、と思った。しかし、出ざるを得ない状況に追い込まれていたのだろうと思う。この2つで高橋クンはシーズンオフに疲労困憊してしまったと思う。

五輪シーズン。
SPは今でもはっきり言っておく。「とても美しく崇高なプログラム」だと。
あの問題でCDが売れたのは、音楽の向こう側にある背景に感動しているからだ、と言われていたけれど、私はこの曲にどんな背景があってもこのプログラムは見るたびに美しいと思っている。
FSはローリー・ニコル。ビートルズ・メドレーが好きな方が多いので、申し訳ないが、私は好きではない。ローリー・ニコル、手でハート♡?スケートの「S」?彼にそんな直接的な表現しか思いつかないのかな?スケート通の人たちが観る競技プログラムとしてはいいけれど、これは高橋大輔の五輪プログラムではない、と、思った。

モロゾフコーチが高橋大輔を得て、振付師としての手腕や情熱を取り戻してくれるのではないかと期待していたけれど、それが観られなかったことは本当に残念。
ノーマークの日本男子に「ロクサーヌ」と「ラフマニノフのピアノ協奏曲2」を五輪プログラムに与えてくれたことを本当に感謝しているし、「チャイコフスキーヴァイオリン協奏曲」と「オペラ座の怪人」で彼を世界選手権の銀メダリストに導き、「SWAN LAKE」で世界的スター・スケーターにしてくれたことを本当に感謝している。二人の仕事は本当に素晴らしかった。今見ても、その1つ1つが素晴らしいプログラムだと思う。若いスケーター達はモロゾフの元に行けば、ヤグディンやダイスケのようなプログラムを作ってもらえる、と思って行った。でも、ヤグディンとダイスケはヤグディンとダイスケだった。パスカーレの元に行っても然り。

そう言えば、マックス・アーロンのマンボは前半部分は振り付けまで酷似していてびっくりした。ランビエールがヨーロッパ選手権で、アイスダンスカップルにポエタを丸パクリされたことに続く珍事だと思う。そう言えば、衣装もお下がりか!っていうのがあったな、記憶にあるのはロクサーヌ、ファントム、ラフマニノフ。でも、最初はびっくりして戸惑うけど、真似たいという思いというのは、あとで思うとしみじみ嬉しい。そうそう、村上ダイスケ選手の髪型にもびっくりした。アダム・リッポンのロミオはコーチが一緒だったから、振付師さん、デザイナーさん、アイディアが少ない…としか思いませんでしたが。

ロシアへの道で待ち受けていたドラマはイタリアへの道とは真逆の予想外のトラブルばかりだった。そのことは(これだけいろいろ書いているのに)割愛します。彼の競技人生がこんな形で終わるのは実際のところ悲しかった。
でも、早く、こんなところから抜け出して欲しかった。
競技でしか味わえない感動というのは確かにあるけれど、プロになったジェフ、ステファン、荒川さん、太田さん。長い年月が過ぎたけれど、今が一番美しいと毎年思う。



フレンズ。恐らく、スケーターよりも観客やスタッフが成功させるぞ、という鼻息が強かったのではないかと思う。(だって、MCまで歌いだしたもの(笑))
解散したはずのチームダイスケの面々が来ていたという。
そこで披露したのは逆境のDOIの閃光のような「eye」のように傑出した「キャラバン」縦横無尽な動きは彼ならでは。音楽を支配して、魅惑する。多くのスケーターがジャンプへの滑走に入ると必死な顔でジャンプに集中するけど、彼はずっと音楽を支配し、表現を続けている。

フレンズを最後に休養宣言をしたはずなのに、次々と決まっていくショー。再び彼の意思に反しているように思えた。
これでは、近々、彼の心か体のどちらかが崩壊するだろう。と、思っていた矢先の引退宣言。

よかった。と素直に思えた。
彼らしくだらだらとまとまりのない会見だったけれど、メディアは好意的に伝えた。(追記:引退の記者会見は想定外で、話す内容を決めていない状態で、緊張していたのだと思う。)
高橋クンはスケートを続けてくれるだろうか?まったく違う世界に行ってしまって、私たちはもうあのスケートを見ることができなくなるのだろうか?
でも、まずは一人の人間として幸せになってほしい。
10年間、たくさん感動を与えてくれた。本当にファンになってよかった。今まで、ありがとう。そして、リンクに立つなら、その姿をいつでも待っている。




過去のこと、いろいろ思い出してきたので、そのうち10年間のお気に入りプログラムを掘り出そうかと思います。高橋クンだけでなく、男女ペアアイスダンス全部です。
でも、現役スケーターに失礼なので、シーズン中は避けると思います。