いやぁ、予想以上に面白かった!!
この一言に尽きる。
正直、はじまる前はこういう他ジャンルとのセッションでお金を掛けて・・・というのは(金銭的な成功はあったかもしれないけれど)あまり面白いものがあった記憶はないのですよ。。。
ところが、蓋を開けてみると、歌舞伎ファン、フィギュアスケートファンの双方共評判がよく、私は実際に目にしたのはテレビが初めてなんですが、その意味が分かりました。
表現はよくないのですが、はじめて抹茶アイスクリームを知った時の「アイスクリームにわざわざ苦い抹茶を入れるなんて、だいたい抹茶は和菓子に限る、洋菓子に入れるなんて」という偏見から、一口食べてみると、抹茶の苦みや風味と乳製品がよく合うだなんて、という驚き。歌舞伎とフィギュアスケートのコラボは思いのほか、相性が良かったです。
フィギュアスケート × 歌舞伎 だけでなく、 DRUM TAO × TEAM LAB × VOGUE JAPAN の各分野のみなさんが自分達のフィールドの力を出し、未経験の分野に果敢に挑戦し、お互いの融合をし、会場を縦横無尽に使うことで1つのスケールの大きな芸術に昇華させてくれました。
以下、観ながら思ったことを箇条書きに。
今更ながらネタバレがあるので、これから見る方はご注意ください。
・荒川さんのフレンズでの宙吊り経験が役に立った!
・スケーター達が歌舞伎役者と共に演じていても実に堂々としたものである。
・スケーターたちの台詞をなしにしたことは英断。台詞のあるなし、で、脚本・演出に葛藤はあったと思うのだけれど、百戦錬磨の歌舞伎役者さんと対峙した時にその差が歴然と出てしまうと、作品の完成度が微妙になっていくと思うので。そして、スケーターは台詞がなくても、感情表現を振付けや演技でやってのける、そのことに関しては彼らも百戦錬磨である。
・プロジェクション・マッピングが実に美しい。非常に効果的。アイスショーだと、主張しすぎなくらいだけれど、スケーターの演技も1つの物語の流れの一部なので、台詞のない彼らの心情や舞台の雰囲気、場面設定に一役買っている。
・衣装、メイクが素晴らしい。衣装展をやってもらいたい。歌舞伎の衣装を基としながら、VOGUEの解釈を加え、現代的な洗練さも加わっている。VOGUEと荒川さん・高橋君とのコラボはフレンズの後、こんなところまで来るなんて感無量。
・村上佳菜子ちゃん、奮闘。出番が多く、プログラムらしいプログラムを滑っている印象。
・岩長姫のスケーティングがまるでルンバに乗っているかのようになめらかで、すり足のような効果でもあり、この世のものでないような恐ろしさもあり、素晴らしかった。岩永姫役の市川笑也さんのスケーティングの巧さがフィギュアスケーターと歌舞伎役者のつなぎ目の重要な要素になっている。
・スケーター達がアテガキのように、しっくりとくる配役。織田君のりりしさ、舞ちゃんの美しさ、荒川さんの神々しさ、高橋君の美しさ、村上さんのキュートさ、鈴木さんのはかなさ、佐々木君のイキイキとした動き。脚本演出家に感謝。
・役名がない演者・スケーター達も素晴らしかった。1つの舞台を芸術にまで高めるのは、彼らの奮闘が主演クラスの人たちと同じくらい必要だと思う。
・久々に佐々木クン、庄司さんを観ることができて嬉しかった。佐々木君はたっぷりと、庄司さんはちょっとしたサービスショットがあったと思う。
・高橋君が千両役者。高橋君の持つカリスマ性や美麗ぶりが、義経役を演じるのに非常に説得力がある。市川染五郎さんと対峙しても、引けを取らない。
・市川染五郎さんも滑る!滑り、台詞を話し、氷上を中吊りに!染五郎さんも本気である。
・ストーリーの間に舞があるのは歌舞伎ならではで、歌舞伎役者が舞う、スケーターが舞う。交互に見ても不思議と違和感がない。
・高橋君の日舞かと思いきや、斬新な踊り。HIP HOPのようでもあり、ヴォーギングのようでもある。これは、1つの見せ場。
・荒川さんの女神と蛇髪の一人二役は最高!女神は荒川さん然としており、蛇髪は荒川さんの新たな分野を開拓したはまり役では!すごく、楽しそうに演じている!嬉しかったんだろうな。あの、シザーハンズのような指の動き!ドーナッツスピンで魅せる!
・DRUM TAOさんが蛇が出たときに面白いフォーメーションで演じていて、「う、そっちも観たい(でも、荒川さんも観たい)」会場でないと見ることができない。でも、その後、DRUM TAOさん達の独壇場があってよかった。
・殺陣はスケーターの縦横無尽の動きとスピードが加わることでスリリングさがあり、歌舞伎ならではの魅せる立ち回りもあり。どちらの良さも残している。
ストーリーを追う楽しさと、各ジャンルの魅力で場面場面に魅力があり、あっという間の2時間ちょっとでした。
フレンズ終わったばかりで、フレンズの話題に触れられない悲しさ。年末頃にはきっと!