福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

東日本大震災・原発事故2024(1) 13年,インフラは復旧すれど人々の生活は戻らない

2024年03月11日 11時06分08秒 | 時事問題 社会問題
 東日本大震災で、東京電力福島第1原発が事故を起こして13年。
 津波の被害などで22.000人を超える死者・行方不明者を出した岩手、宮城両県の沿岸部では、住宅の再建や道路・鉄道網などのインフラ整備がほぼ完了した、という。しかし、人が戻っていない。

 国勢調査では、被災3県は全国水準を上回るスピードで人口減少が進んでいる。原発事故の影響で居住者が激減した福島の沿岸部だけでなく、宮城や岩手でも人口が3-4割減った自治体がある。過疎や高齢化が進む地域で震災が起き、復興事業が長引く間に人口が流出してしまった。

 東日本大震災は、過疎が進む地域で大災害が起きた時、街並みや産業の再興がいかに難しいか、という現実を浮き彫りにした。人口密度が高く、経済活動が旺盛な都市圏を中心とした阪神淡路大震災との違いはここにある。

 被災地で人が継続的に生きるためには、産業を発展させ、住民が働ける場所を確保することが必要である。しかし、これは困難を極める。震災前から過疎化が始まっていた地域に活力をとり戻すのは容易なことではない。

 私は、地域で被災された方々には申し訳ないが、不可能だ、と思う。

 人口減に悩む秋田の事情を見渡すと、秋田は大きな震災こそないが事情はほぼ同じだ、といえる。
 震災では復旧、復興が唱えられるがこれではダメだ。人口減を見据えたコンパクトな街にするべきだった。大震災の後は復旧を急がず新しい発想の地域づくりが必要である。

 被災地の雇用の創出に関しては、民間の力だけでは不可能だろう。ロボットや航空宇宙など最先端の産業を原発周辺の地域に集積させる国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」などに類似した取り組みがなければ無理。この対応がなければ地域の復興はあり得ない。

 沿岸部の基幹産業である漁業は近年、主力のサンマや秋サケが記録的な不漁となっている。こうした状況を打開しようと、岩手県大槌町などでは漁協と水産業者が協力し、ギンザケやトラウトサーモンの養殖を進めている。地域で知恵を絞り、新たな特産品を生み出す試みに期待したい。これとて地元のパワーにだけ頼っていては大幅な発展が望み難い。

 東北の被災地が直面する課題は、岩手、宮城、能登だけでなく、日本の各地域が向き合うべき問題でもある。


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