福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

現代日本人の死生観(8) 延命治療(6) 「事前要望書」

2024年09月02日 05時40分43秒 | コラム、エッセイ
 延命治療とは、がんの末期や重度の病気・老衰・事故など、治療しても回復する見込みがない患者に命を長らえさせるために行う治療。

 延命治療を受けるか否かはその人の生き方、死に方に関わる重要な問題。咄嗟の時に判断を迫られても自分以外の人に決定する力がない場合が一般的。だから殆どが「延命治療」の方向となる。

 故に、元気なうちに家族や近しい人、医療・介護関係者と話し合って、延命治療を受けるか否かの意思を表明しておくことが望まれる。

 延命治療には多くの内容がある。以下代表的治療を示す。
--------------------------------------------------------------------
1 心臓マッサージなどの心肺蘇生 
2 気管挿管
3 人工呼吸器の装着
4 気管切開
5 昇圧剤の使用
6 輸血・血液製剤の使用
7 人工透析の実施
8 鼻チューブによる栄養補給
9 抹消からの水分補給
10 中心静脈による栄養補給
11胃瘻による栄養補給
12・・・・・などなど
-----------------------------------------------------------------------
 また、延命治療を受けた場合の行く末も決していいものではない。
 その時になって判断を求められても患者も家族もほとんど理解できない。理解できないまま延命治療が開始される。これが近代医療がもたらす不幸の始まりである。

 延命治療に関しては高齢者自身、家族ともども学ぶ機会が欲しいところであるが、書籍にしろ講演会にしろ延命治療について一般人が学ぶ機会はほとんどない。
 
 自分が最期を迎えるために、延命治療を受けるか否か、延命治療の中で受けたくないものを事前に選び、周囲に、できれば書面で表明しておくのがいい。これが「事前要望書」である。

 「事前要望書」は、将来自分が回復の見込みがない状態になり、自分の意思を伝えられなくなったような時に受ける治療行為について、本人または家族等にあらかじめ希望を文書化しておくもの。

【事前要望書の趣旨】は以下のごとく
 1.患者の意思に基づく希望を医療者側に伝えておく手続きで、患者または患者の代理者によって、本人の意思を確認したり、または推定しながら、患者の人権を尊重した人道的な医療を進めるためのもの。

 2.患者の意識がない場合、判断力がない場合などには、本人の意思を最もよく理解されているご家族と医療チームが十分に話し合い、文書化して、必要に応じて第三者の承認を受けて治療方針を決定する。

3.事前要望書の有無によって患者が不利を被ることはない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする