福田の雑記帖

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こころと体2022(44) いじめ(12) 大津事件に賠償命令 学校・教育委員会・加害者と保護者の責任

2022年04月29日 16時37分42秒 | コラム、エッセイ
 「いじめ関連自死」事件を追っていると学校自体の問題に加えて「教育委員会」の判断がネガティブな判断をして事実解明の足を引っ張っていることが多い様な気がする。正当にその任務を果たしている「教育委員会」もあると思われるが、私が集めたケースの中にはその様な例は見られない。

 「教育委員会」は門外漢には何しているところかわからない組織であるが、大津市の「いじめ関連自死」訴訟を通じて「教育委員会」の責務が問われた。

 「いじめ」を苦に2011年10月、当時中学2年の男子が大津市の自宅マンション14階からから飛び降り自殺した。「市教育委員会」は当初、いじめと自殺の関係を不明としていたが、市が設置した外部の第三者委員会が13年1月、因果関係を認めた。 
 遺族が市などに損害賠償を求めた訴訟で、15年遺族側と市との和解が大津地裁で成立した。自殺を防げなかったことや、「学校」と「教育委員会」の対応に問題があったことを謝罪した。

 和解では元同級生から殴られたり、持ち物を隠されたりした計19件のいじめを認定。「学校」が男子生徒へのいじめ行為を認識し、自殺を予見できたのに適切な対応をしなかったこと、「市教育委員会」が学校の調査打ち切りを追認した責任について、市が謝罪した。
 安全配慮を怠った市は賠償責任を負うとして、賠償額を4100万円と算定。支払い済みの死亡見舞金2800万円を除き、1300万円を和解金とした。

 この和解とは別に、遺族が元同級生3人と保護者に損害賠償を求めた訴訟で、大津地裁は2019年2月、元同級生2人に約3700万円の賠償を命じる判決を言い渡した。裁判長は「いじめが自殺の原因で、予見可能性はあった」と 述べた。もう一人の同級生について判決は、「一体となって関与していたとまではいえない」として、賠償を命じなかった。 

 「いじめ」で人を死に追いやったり傷つけたりすれば、子どもでも厳しく責任を問われうる。社会にそのことを認識させる画期的と言える判決である。再発防止に生かしたいものである。

 この事件では、「いじめ」のむごさに加え、「学校」や「教育委員会」の対応の鈍さや保身に走った振る舞いが指摘され、「いじめ防止法」の制定につながった。

 「いじめ防止法」は二つの柱を掲げる。
 教職員らの情報共有を徹底し、「学校」が組織として対処する。自殺や長期の不登校などの「重大事態」が起きたら、すみやかに調査に着手し、事実関係を解明する、というもの。

 だが、実践はなお遠い。
 公表されている各地の「いじめ関連自死」調査報告書を見ると、判で押したように「情報共有の欠如」が指摘され、真相究明に後ろ向きな「学校」や「教育委員会」の姿勢がしばしば批判の対象になっている。

 教員の多忙の解消が社会の課題になるなか、さらに業務を増やすのかとの声もある。だが、「学校」側の「いじめ」に対する認識の甘さ、危機感の薄さは驚くばかりである。先生たちは重く受け止めてほしい。

 教育関係者は何を考えているのか??これほど「いじめ」が問題になって多数報道されているのに、自分達は関係ない、とでも思っているのだろうか??


コメント
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