福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

こころと身体2022(36) いじめ(5)  現代のネコにも「いじめ」あり(1)

2022年04月21日 16時18分35秒 | コラム、エッセイ
 「いじめ」は自由に動ける野生動物の中では起こりようもない。
 しかし、私は我が家の初代のネコで「いじめ」を経験し、今は多頭飼いのために生じた新しいタイプの「いじめ」悩んでいる。

(1)初代のネコの「いじめ」行動
 60年も前の話。
 小一から高校卒業まで13年間、私は1匹の雌ネコと過ごした。家族たちはあまりネコが好きでないから、私とネコは小5頃からかつて診療所として用いていた住宅で一緒に暮らしていた。母家には食事時などに短時間もどるだけで大部分その住宅で過ごしていた。
 私が高2のころ近くの県立農業高校乙部分校に転勤してくる教師夫婦にその住宅を一時的に提供することになり、私とネコは母家の応接間に居を移した。

 不幸なことに、夫妻は一匹の若いネコを同伴して引っ越してきた。その頃は我が家のネコは10歳に達しており、体力的には衰え始めていた。引っ越して10日間ほどは夫妻はネコを新しい環境に慣らすために戸を締め切っていた。その間、我が家のネコはその住宅の周囲を何度も徘徊して隙間から匂いを嗅いだり、隣の家屋の屋根に登り様子を観察していた。

 10日ほどのちに、慣れたとの判断で縁側を開けたらしい。我が家のネコはその機を逃さず住宅に突入、夫妻のネコと大バトルを演じたとのこと。ちょっとオーバーに言えば2匹とも障子や襖を駆け上がり天井から落ちてくる様な状態だったらしい。何とか2匹を引き離していたが毎日の如くにそれが繰り返された、という。

 約1週間後、突然その争いは終息を迎えた。夫妻のネコが大怪我を負ったとのこと。その後我が家のネコは2度とその家に近づくこともなかった。
 私は飼い主として怪我を負わせたことを謝りに行ったが、ネコ同士のことと許してもらえた。夫妻のネコは片目を失い背中に3cmほどの裂創を負っていた。

 約2週間ほどのち、片目を失ったネコは傷も癒え時折外で見ることがあったが、我が家のネコはもう関心を示す事もなく、そばにも一切近づかなかった。

 日常、我が家のネコは体力も衰えていたが、このバトルの時だけは若いネコに劣ることなく追いかけ回した。

 夫妻は約2年後、任期を終えネコと共に三陸の方に転居した。

 ネコは飼い主より家につく、と言われる。
 ネコは単独行動をするため「なわばり」を重視する。そのため、「なわばり」内に入ってくるネコに対しては威嚇し、ケンカをしかけ排除しようとする。私のネコは何年間もその家に住んでいたから「なわばり」意識が強かったのだろう。

 夫妻のネコは夫妻によく慣れていておとなしく、野生の習性など殆ど感じられなかった。そのため身の危険を感じながらも家から逃走しなかったのか?  もし、うまく屋外に逃れていたら両者の争いは別の展開しており、眼球を失ったり傷を負うこともなかった、と考えられる。

 その後、両者は二度と争うことはなかったが、我が家のネコにとって「いじめ」の目的を十分達したから「なわばり」の中に居ることを許したのであろう。
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