福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

こころと身体2022(32) いじめ(1)  学校、教育委員会の無責任対応が繰り返されているのは何故か

2022年04月17日 06時59分24秒 | コラム、エッセイ
 私は新聞上で報道される「いじめ」問題はほとんど漏らすことなく収集しているつもりである。このブログ開始から20年以上フォローしているが、「いじめ」対策はさっぱり進展しているようには見えない。
  それは、人間社会に内在する回避できない事象であるとの認識が乏しく、関連する今人の問題と問題と捉える風潮がまかり通っているからであり、人間関係をコントロールすべき立場にいる管理者が自覚と能力が乏しいからである。せめて管理者が能力がないことを自覚してくれればいいのだが。

 この30年間に報じられた各ケースは、学校だけではなく、私的企業、公務員、政治機構、アカデミックな環境の中でも生じており、いずれも深刻な問題を孕んでいる。全て陰惨であり、被害者のことを考えると心が暗くなる。
 「いじめ」の結果、被害者が自死に至る場合があるが、「いじめ関連強制的自死」と捉え、因果関係、人間的関連について明快に犯罪事件として扱うべきである。

 大津市の事件はセンセーショナルであった。2011年に滋賀県大津市内の中学校の当時2年生の男子生徒がいじめを苦に自殺した。事件前後の学校と教育委員会の隠蔽体質 が発覚、問題視された。翌年には「いじめ防止対策推進法」が可決された。
 以来10年経過した。その間も多くの「いじめ」関連の自死が報告されてきた。

 最近、北海道旭川市の中学生の例はその代表的なものである。

 北海道旭川市で昨年3月、凍死した状態で見つかった中学2年の女子が陰鬱な「いじめ」を受けていた問題で、家族から「いじめ」としての申告があったのに当初は学校も教育委員会も十分対応してこなかった。
 自死が明らかになりマスコミが取り上げてから重大事項として認められ、第三者委員会もつくられた。事実関係を調べている委員会が本年4月5日、記者会見し、性的な意味での身体接触や性的動画の送信要求など6項目を「いじめ」と認定したと発表した。

 第三者委員会委員長は「被害者が苦痛を感じていたのは間違いない」=「いじめ」があったと認定し、中学や他校の先輩などによる性的な身体接触や菓子代などの要求、性的動画の送信要求、性的画像を周囲に見せたことも「いじめと同様」と判断した。
 第三者委は「いじめ」と死亡の因果関係などの調査を続け、8月末をめどに最終報告をまとめる意向も示した。

 記者会見に同席した市の教育長はこれまでの対応について「深くおわび申し上げる」と謝罪。市長も記者会見し、「人間の尊厳を大きく傷つける内容だ」と陳謝した。

 私はこのケースには、学校や教育委員会の対応には大津市の事件の時と変わりがない大きな問題が内在していると思う。
 その背景は、学校、教育委員会の意思決定に内部の関係者だけで協議し、特に高齢者が多数占めていること、さらに人間の心理についての勉強不足が問題、と思う。
 これは上記の組織のみでなく児童相談所、入国管理局など人権を扱う組織に共通の問題点である。


コメント
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