福田の雑記帖

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2014年(6)内外のエネルギー事情(2)日本の新エネルギー基本計画


2014年01月14日 12時28分51秒 | 政治・経済 国際関係
 国内のエネルギー問題は節電、電力自由化、原発再稼働に濃厚に関わっている。

■節電
 東日本大震災、原発事故の後あれだけ叫ばれた節電の意義は、もう忘れられたのではないだろうか?いま、我が国では原油輸入を増やし火力で電力をまかなっている。温室効果ガス排出量も増えている。貿易収支は赤字。なのにスイッチをひねればいままでと同じように電気を利用出来る。国全体で節電のコンセンサスがなければ原発再稼働の道に進んで行く。

■送電線問題 
 いま我が国では送電線の公益的利用と電力小売りの自由化の問題が論じられている。最も影響が大きいのは東京電力管内で東京都のエネルギー供給に中部電力、関西電力が参入してくる。電気は家庭用を含め2016年から全面自由化が予定されている。東京電力は一層厳しい状況におかれる。また通信機能付きスマート電気メーターは10年以内に実用化され、各家庭で、地域で無駄のない省電力化に結びつく予定だと言う。

■新エネルギー基本計画原案について
 原発再稼働についての論議が進められているが、汚染水問題、廃棄物問題、東電事故の補償問題も未解決の中で難しい判断が求められている。さらに都知事選においても細川・小泉陣営は脱原発を前面に押し出している。

 原発再稼働を軸とするエネ基本計画原案が発表された。この計画案が閣議決定されれば、日本のエネルギー政策の基本となる。福島原発事故後最初の計画案だけに極めて重要である。

 原案には原子力は「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストは低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もない。安全性を大前提にして引き続き活用していく。原発はエネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である」と記載がある(一部改変)。この記述は2010年に定められた旧エネルギー基本計画と内容がほとんど同じである。東京電力の原発事故は日本のエネ政策に何ら影響していない。これだけの事故を生じていながらいいとこ取りの評価を並べている。これは問題でないだろうか。

 「原子力は安定」か??トラブルでしょっちゅう停止していたでないか。事故前の稼働率は全国で80%以下であった。
 「低廉」か??建設費用、ウラン購入費、ランニングコスト、事故予防対策費、 事故処理費用、 将来の核のゴミ処理費用を含めれば安価とはいえない。
 「温室効果ガスを出さない」のか??確かに直接排出しないが、事故で放射能放射能をまき散らした。さらに、1万トン以上にも達する大量の使用済核燃料と放射性廃棄物は処分方法がなく溜まる一方で置き場にも困っているのが現状。これでもクリーンエネルギーと言うのだろうか。

 現在、再稼働の審査は16基で行われ、規制委員会と地元の許可があれば段階的に再稼働する事になる。しかし、事故防止対策、事故処理も進んでいない現段階では地元の反発が予想される。

 国は世界的に見て最高水準の安全性追求していると言うが、炉心融解に至った際に炉心を封じ込めるコアキャッチャーと言う装置が欧米の原発で設置されているが、我が国では除外されたままである。あの中国の原発ですら装備している、と言うのに。

 原発の安全には、技術以外の要因、例えば人的・組織的人間関係、文化的要因、地震・津波の適正評価など広範な因子が絡んでくる。規制委員会は立地条件、技術面だけの評価しかしない。委員会が認めたからと言って安全と言えるのか疑問。あくまでも相対的安全性評価でしかない。

 新エネルギー基本計画原案については、まだまだ議論の余地がある。

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