わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

大物を作る11(手捻ると轆轤を併用2)

2011-06-25 21:38:55 | 失敗と対策
大きな作品(大物)を作る話の、最終回です。

 5) 手捻りと轆轤の共同作業で、背の高い作品を作る

  ② タタラ板を、筒に巻きつけて、背の高い作品を作る

    粘土の紐を巻き上げる方法では、紐の太さの問題や、繋ぎ目の処理など、意外と前準備の作業が、

    多くなります。それらを、省略する方法ともいえます。

   a) 肉厚が1~2cm程度の厚みのタタラを、紙を巻いた、太めの径の筒に巻きつけ、繋ぎ目を

    しっかり寄せて接着します。その際。合わせ目に水を付けると、より強固に繋がります。

     筒の径は、片手が完全に入る大きさにします。最低でも径が12cmは欲しいです。

    ・ 筒は出来れば、作品の最大径に近い方が、後の作業がし易いです。

      水道屋さんが使う、塩ビの管は、径も豊富で、使い易く重宝しています。

      (余談ですが、私の場合、最大径が21.5cmの物も用意しています。傘立てなどは、

       筒に巻き付けて、底をつければ、直ぐに出来上がります。)

    ・ 以前、轆轤は遠心力が働くので、径を大きくする事は、さほど難しくは、ありませんと

      お話しましたが、今回の方法では、なるべく径を広げずに、逆に必要な所の径を、

      細く作る方が、作り易いです。詳細は後で述べます。

      繋ぎ目に、段差があれば消します。(段差の原因は、肉厚の差です。)

   b) 筒に巻いたまま底を、貼り付けます。

     底に成る土を、轆轤の中心に置き、しっかり固定してから、筆に水を付け、接着面を濡らし、

     筒を置き接着し、筒を抜きます。筒が中空の場合には、抜き易いですが、瓶などの様に、

     底が付いている場合は、巻き付けが強いと、中々瓶が抜けません。 又、時間がたち過ぎると、

     土が収縮して、筒が抜けなく恐れがありますので、早めに筒を抜きます。  

   c) 底の内側にやや厚めの紐を、1本巻き補強します。

     轆轤作りや、紐を巻き上げる方法と比べ、側面の肉厚が一定しています。

     即ち、下部に行くほど、肉厚になっているのが、普通ですが、この場合、底近くの肉が薄い為、

     轆轤作業が、不安定に成ります。そこで、補強する訳です。

     又、肉が薄いと、削り作業を十分行う事も出来ません。

  d) 轆轤を回転させる前に、大まかな形を作ります。

    底周辺の径を狭め、口周辺の径も狭めます。

    即ち、底部は外から中心方向に、力を加えて細くし、口周辺は、両手で土を摘み、近ずける様に
 
    して狭めます。

    但し、肉厚が2cmもあると、径を細めた時に、拠れが発生し易いです、それ故、径を大きく

    狭める形の場合は、巻きつけるタタラの肉厚を、やや薄くします。

  e) 轆轤を回転させ、内外の凸凹をなくしてから、形を作ります。

    両手に水に濡らした布を持ち、水切れしない様に、徐々に形を作ります。

    壷の様に、首があり、手が入らない時は、柄コテを使いなす。

    当然、両手は繋げる事が出来ませんので、内外の手の位置関係を、しっかり確認しながら

    作業します。

  f) この方法での、轆轤作業が難い点は、繋ぎ目周辺で、上手く土が伸びない事です。

    それ故、轆轤作業前に、タタラの繋ぎ面を、なるたけ丁寧に接合する事です。

以上にて、「大きな作品を作る」の話を終わります。

次回より、新たなテーマでお話する、予定です。

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