わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯焚き一生1(始めに)

2011-06-27 05:57:48 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
土練3年、轆轤6年(又は10年)、窯焚き一生と言う諺が有ります。

土練や轆轤技術は、3年又は6年間修行すれば、習得できるが、窯焚きは、一生掛かっても、満足できる

作品が焼きあがらず、その技術を会得する事が、困難である事を、表しています。

・ 詳しい事は不明ですが、かなり古い諺とも思われますが、実際はさほど、古くは無いかもかも知れません。

  現在は、自前の窯を持っている方も多いですが、ほんの100年前(又は5~60年前)では、

  窯を持つ人は、窯元と言い、極限られた人のみでした、陶工はその窯元に雇われて、作業する人が、

  大半でした。又、数人~十数人が共同で使用する、共同窯が一般的で、窯焚き職人がいたとも

  言われています。それ故、ご自分で窯を焚く人は、今よりかなり少なかったはずです。

  それ故、「窯焚き一生」の言葉は、現代的な響きに感じられるのは、私だけでしょうか。

・ ここで言う窯焚きは、多分薪による、焼成の事と思われますが、現在では、かなり事情が変化して

  います。焼成に数日間要し、夜間も交代で、薪を供給し続ける、薪窯に対し、電気による窯が、

  かなり普及し、更に、マイコン制御が可能に成った結果、寝ていても、窯焚きが、可能であるとも、

  言われています。

・ 電気ですと、「酸化焼成」と成りますが、ガスなどを供給して「還元焼成」が可能な窯もあります。

  「酸化焼成」では、安定した焼き方に成る為、焼成により出来上がりの色に、差が出る事は少ないです。

  「還元焼成」は、焼き上がりに変化を期待する焼き方です。

・ ガス窯や灯油窯は、燃料を燃やして、炎が発生します、この炎が作品に作用して、色が変化します。
  
  これを、窯変と言います。以前は陶芸を「炎の芸術」と呼んでいた事がありましたが、近頃は

  余り聞きません。

1) 「一焼き、二土、三細工(又は一土、二焼き、三細工)」と言う諺も有ります。

   焼き物は、焼きの良し悪しで、評価が決まると言う諺ですが、焼きが良い悪いとはどの様な事を

   指すのでしょうか。

  ① しっかり焼き締まっている事

    土は高い温度で焼成する程、焼き締まります。焼き締まる事により、強度が増します。

    但し、同じ焼成温度でも、土の種類によって、焼き締まり具合は、千差万別です。

    鉄分を含む赤土などは、強く焼き締まり、砂成分を含む土は、焼き締まりが弱いです。

    又、しっかり焼き締まっている作品は、硬い感じになり、焼きが甘い場合には、温か味が

    出ますので、必ずしも、しっかり焼き締まった方が、良いとは限りません。

  ② 釉が熔け切ている事、熔け過ぎていない事

    釉は熔けるのに、温度範囲があり、熔け不足も熔け過ぎも、焼きが良いとは言えません。

  ③ 所定の雰囲気で焼かれている事

    窯の雰囲気は、酸化焼成、中性焼成、還元焼成と分かれますが、同じ釉でも、雰囲気によって

    大きく変化する物と、雰囲気に関係なく、ほぼ同じに焼き上がる釉もあります。

    酸化で焼成すべき釉は酸化で、還元で焼成すべき釉は、還元で焼成しないと、所定の色や艶が

    出ません。但し、窯の雰囲気が変化し、思わぬ良い色に焼き上がる事が、有りますので、

    所定外の雰囲気で焼かれた物も、一概に、焼きが悪いとは言いません。

  ④ 作品に傷がない事

    窯から出した作品に、「割れやひび」の入った場合も、良い焼き上がりとは言いません。

    一般にこのような作品は、壊される運命にあるのですが、例外的な作品に、伊賀水指「破袋」が

    有ります。(重要文化財になっています。)

    又、現代陶芸家の、ひびが入った作品が、堂々と高値で販売されているのを、目にする事が

    有ります。それ故、作品の傷も、一概に焼きに失敗したと、言えない事もあります。

 話が、横道に入りそうなので、「窯焚き一生」の話に戻します。 

以下次回に続きます。  


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