まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

籠城!狂った女王の教室

2012-10-07 | フランス、ベルギー映画
 深まりゆく秋の連休、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 わしは昨夜、後輩のR奈ちゃんのお宅に招待され、キムチ鍋をごちそうになりました。R奈ちゃん一家総出で歓迎してくれて、恐縮しつつもすっかりくつろいで鍋をガッツき、酒も勧められるままに飲みまくってしまった私、やっぱ加齢とともに厚顔無恥化してますね…R奈ちゃんの母ちゃんが、のんべえの韓流ファンだったため、すっかり意気投合してしまいました。 R奈ちゃんの弟二人(高1と高2)が、これまた可愛くて。でも、いちばんイケてたのは、R奈ちゃんの父ちゃん。元ヤンのイカしたシブいトラックの運ちゃん。若い頃の菅原ぶん太みたいで、ちょっとときめいてしまいました。危ない危ない♪by 福田和子
 今日は昼過ぎに起きて、顔も洗わず着替えず、まったりダラダラ引きこもってました。あ~明日は仕事…もうちょっと引きこもってたいなあ。
 日本未公開のフランス映画やTVドラマを観たいので、TV5mondeに登録しちゃいました♪月額1200円、元をとるためにガンガン観たいと思ってます。
 イザベル・アジャーニの日本未公開の近作や旧作も放送されるので、これを機に彼女の特集を。
 記念すべき第1作目は…

 お松のイザベル・アジャーニ映画祭①
 「La Journée de la jupe」
 イザベルが5度目!のセザール賞主演女優賞受賞という、自身の最多記録を五十路にして更新した作品を、やっと観ることができましたタイトルは、“スカートの日”という意味だそうです。
 貧しい移民の子どもたちが通うパリの公立中学校。フランス語教師のソニアは、粗暴で反抗的な生徒たちにうんざりしていた。そんな中、不良生徒が隠し持っていた拳銃をソニアは奪い、生徒たちを人質にして教室に立てこもる。警察やマスコミが学校を包囲する中、ソニアは拳銃で生徒たちを脅しながら授業を続けるのだった…

 世の中いろんな問題教師がいますが…女教師が拳銃で生徒を脅して授業をする、なんてショッキングすぎます。
 イザベル、しょっぱなから狂ってます(笑)。飼いならせない危険な野獣みたいな生徒たちにナメられ脅され、憤懣がマグマのように爆発寸前な様子が、生徒たちより怖くてヤバい。ヒステリックに生徒を叱責する声音とか表情は、もうかなり精神的に追いつめられてるな、何かやらかすな、という不穏な期待感を抱かせてくれます。拳銃を生徒から奪ったイザベルは、どうにも止まらない~♪ブチきれ状態で、狂気の暴走。生徒たちを床に伏せさせたり椅子に縛ったりして自由を奪い、ちょっとでも生徒が口答えしたり言うことを聞かないと、躊躇なく発砲。銃口を生徒の頭に突き付けたり、不良を犯人に仕立てて警察を欺いたり、やりたい放題。図体がデカくてガラが悪そうな不良生徒役の子たち、演技ではなくマジでイザベルに怯えてるみたいだったし。まあ実際、無名の若いフランス人俳優からすると、イザベル・アジャーニは神に近い存在だろうから、さぞかし畏れ多い思いだったことでしょう。ソレハサテオキ。子どもたちを支配下に置き、嬉々として興奮して授業をするイザベルは、完全にイっちゃってる人。狂った“女王の教室”。あ~あ、コワレちゃった、どうすんの、どうなるの、と次の展開が読めない。何が起こるか予測不可能なので、怖くて面白いです。
 狂気といえばイザベルの専売特許。今作でのイザベルのキレまくり演技は、これまで彼女が演じてきた狂気とはちょっと毛色が違ってて、かなりリアルです。今回彼女を狂わせたのは、恋や愛ではなく現実世界のシビアな問題だったからでしょうか。イザベルがリアルな社会派映画に出演するのも、珍しくて新鮮。学級崩壊やいじめが深刻な社会問題となっている日本でも、追いつめられた先生がキレてとんでもない行動に、なんてあり得る話ですよね。
 
 イザベルは、すっかりおばさんになってます。ずっしり感ある体型は、まるで上沼恵美子みたいな貫禄です。あのガラス細工のように繊細で可憐でほっそりしていた若き日のイザベルとは、ほとんど別人。でも太ったためか、シワとかが目立たない。ある意味、アンチエイジングに成功してます。熟女好きなお笑いタレントが今のイザベルを見たら、かなりビンビン来るんじゃないでしょうか。おばはんになったけど、お顔はまだ美しく可愛いです。キワモノ寸前の不思議な魅力を備えてる五十路のイザベル、元は舞台女優として名をはせていただけあって、籠城された教室内で物語が展開される密室劇の中で、いきいきと独り芝居的な狂いっぷりを披露しています。どんどんイっちゃえイッちゃえgo goと応援したくなります。

 しかしながら。日本も相当病んでますが、フランスの教育現場の荒廃ぶりも深刻。社会の縮図というか、今のフランスが抱えている社会問題が浮き彫りになっていて、興味深かったです。特に、人種・宗教問題。日本ではあまり見られない事情や光景に驚かされます。人種と宗教。この二つが原因で、永遠に平和も友好も生まれないのではという悲しみや恐怖を覚えます。人質を解放する条件として、女性がスカートははく日を設立するようソニアは国に要求するのですが。イスラム教徒の多い学校や職場では、女性がスカートをはくと売春婦呼ばわりされて、レイプされても仕方がないという風潮があるのだとか。はぁ~?!と呆れるのは私が日本人だからであって、人間同士の大きな隔たりになり、子ども同士でさえ殺し合いの喧嘩にもなりかねない宗教が、いかにフランスでは複雑で暗い問題となっているか、あらためて知ることができました。

 いろいろあったけど、きっとうまくいく、大丈夫♪な、日本の学園ドラマのような甘っちょろくヌルいハッピーエンドとは大違いな、救いのない苦すぎる結末もインパクト強烈です。いくら理不尽に蔑まれ虐げられても、暴力でそれに逆らうのは間違っている、というメッセージのようなソニアの末路でした。悲惨で無情。だからこそ、痛ましく辛い現実から目を逸らさず。真剣に考えていかねばならないという思いを抱かずにはいられませんでした。
 
 
 
コメント
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