まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

イケメン兄弟の受難

2014-06-01 | 日本映画
 「ぼくたちの家族」
 脳腫瘍で余命1週間を宣告された母を救おうと、バラバラだった父、長男、次男がぶつかり合いながらも奔走するうちに、家族の絆を取り戻していくが…
 私、ご存じの通り冷血人間なので、愛憎ドロドロ修羅場な逆噴射家族ものは大好きだけど、心温まる系とかお涙ちょうだい系は超苦手。なので、この映画もどうなんだろうなと不安だったのですが、思ってたようなベタベタしい辛気臭い内容ではなかったので、嬉しい意外でした。かなり現実的でシビアな話で、私の母も映画の母親と同じ世代だということもあり、かなり身につまされました。自分の母親がいきなりあんなことになったら、と想像しただけで戦慄ですよ。怖いのは、私を含め父も兄妹も、母親のためにあんなに必死になれるかな~ならんだろうな~と確信してしまったこと。早く死んだほうが、母にとっても家族にとっても幸せじゃね?とか思ってしまうことです。あと、借金とか経済的な問題も、リアルで深刻すぎ。もし両親があんな無責任な借金抱えてたら、わしら兄妹はブチ切れるでしょう(笑)。鬼のような子どもたち!と非難されるでしょうか

 ママはまさにボケたもん勝ちでフワフワ少女に戻って幸せそうだし、パパは子どもに頼りっきりだし、ほんと子どもたちが可哀想でした。特に長男。真面目で責任感が強くて心優しいって、これほど生きてて損なことなんだと痛感しました。ママにはあんた誰?扱いされ、パパには保証人にされて借金背負わされるし、弟はヘラヘラ+毒舌だし、嫁は冷たいし、私があの長男だったらストレスでハゲちゃいますよ。いや、あの長男みたいに全部自分で抱え込んだりしません。いくら長男だからって、そんなの理不尽だし。元引きこもりだという設定だったので、いつコワレて引きこもりに逆戻りするのか、ある意味楽しみだったけど(笑)。なぜ引きこもりだったのかは、謎のままだったのが気になります。
 次男が、なかなかいいキャラでした。無責任なお気楽男に見えて、実は超しっかり者で、いちばん現実を見据えてる、いざという時には頼りになる男。家族に対しての本音ズバリが、キツいけど的を射て痛快でもありました。

 お涙ちょうだいテイストが薄く、程よいトボけた笑いやほのぼのムードが、暗く重くなるしかない物語に救いを与えていました。明け方、パパがしつこく長男に電話してくるシーンとか、非道すぎて笑えます。ママとパパ、ほんとなら絞め殺してやりたくなるはずなんだけど、何か憎めないキャラになってるんですよね。無邪気すぎ、優しすぎるのも、時には周りを不幸にするんだなあと思わせる二人でした。不器用で弱く温かい人には、ほんと生きづらい世の中なんですよね。それにしても、あの両親。あんな優しい子どもたちで、ほんと幸運でしたよ。親に迷惑かける子どもと、子どもに迷惑かける親って、どっちが罪深いのかなあ。
 私が共感を抱いてしまったのは、長男のキツい嫁です。母親の治療費を払いたいから貯金を…と泣き顔で懇願する夫に、生まれてくる子どものほうが大事!と切り捨てる鬼嫁。うわ~キッツ~!とドン引きしつつ、言ってることは一理はあると納得も。あの冷たい理路整然さは、至極もっともです。まあ、いくらなんでも人情ないなあ、とは思ったが。夫が浮気したくなるのも理解できます。でも、あんなしっかり者な嫁だから、長男は自分の両親みたいなことにはならないだろうし、鬼嫁だけど良妻でもある女です。
 いろいろあったけど、決して克服はしてないけど、雨降って地固まるというか、試練と受難が家族を再生させたラストは、爽やかで温かい後味のよさでした。ちょっと話ができすぎかな、とも思ったが。わしん家だったら、ギスギス+腹の探り合いで、ますます家族はブッコワレるだろうし(笑)。親に重い病気になる前兆はないか、借金はないか、今後も確認を怠らぬようにせねば♪
 ほんとなら、この手の映画はスルーする私ですが…ルンルンで観に行ったのは、もちろん妻夫木聡と池松壮亮の奇跡の競演を楽しむため♪

 ブッキー、ほんと久々だわ。TVドラマには出ない“映画俳優”な最近のブッキーですが…???な、TVドラマのほうがまだマシ、な出演作が多く、邦画を観ない若い子たちにとっては、ロトシックスのCMに出てる人、ぐらいの認知度しかない近頃のブッキー。わしら世代からしたら、超絶カッコかわいい男の代表格、ていうか、ナンバーワンのイケメンだったのに。あの可愛かったブッキーも、もうアラフォーか~。おっさんになった彼と、久々の再会となりましたが…うう~ん。ブッキー、今でも全然イケてますわ~わけわからん…な男優が跋扈する中、やっぱブッキーのカッコカワイさは本物。おじさんになっても不変。日本、いや、アジア最強のとっちゃん坊やですよ。悲しい暗い不幸な役が似合うところも、ブッキーの魅力。憂い表情に深みが出てました。ほとんど笑わなかった彼が、ラストに見せた笑顔の清々しさよ!そして何といってもブッキー最大の魅力、エロいフェロモン。セクシュアルなシーン皆無ですが、漂ってる色気がハンパない。なので、彼の色気を活かさない作品や演出は、ほんと惜しいし腹さえ立ちます。好演してましたが、ブッキーじゃなくてもいい役でもあった。いつかブッキー爆裂な作品に出会いたいものです。

 壮亮くん、今回は飄々とした軽やかな演技で、ちょっと「横道与之介」の倉持くんに近かったかも。彼のサラっとしたツッコミが、シニカルな笑いを誘います。タバコ吸う姿も板についててカッコよかった。チャラいけど、頭よさそうなところも壮亮くんらしかったです。可愛いというより、今回は男前な壮亮くんでした。大げさな演技や表情はしないのに、複雑な感情の機微が伝わってくるところはさすがでした。

 池松壮亮こそ妻夫木聡の後継者だ!いつか共演してくれないかな~と願ってたので、今回の初共演は驚喜でした。壮亮くんがホリプロに移籍した時、いつかはと期待はしてましたが、早期に実現。二人、見た目も雰囲気も似てますよね。ちょっとイモいイケメンで、暗くて悲しそうで、エロいフェロモンがあって、小柄(後ろ姿はほとんど子ども)、低いボソボソ声も共通。ブッキーのほうが美形ですが、演技は壮亮くんのほうが確実に上。この映画を観れば、それは一目瞭然です。後輩に食われたくない!先輩を食ってやる!な気負いなど、二人からは感じられなかったのは、正直物足りなくもあった。仲良く共演よりも、火花散る演技合戦のほうが、ファンとしては美味しいですから。もっと激しくぶつかり合うシーンとか欲しかったかも。それにしても…こんなイケメン兄弟の母親になってみたいわ(笑)。媚びて甘やかして、無理やり仲良くしてもらう!あんな息子たち、はべらかして歩いてみたい!
 ママ役の原田美枝子、ちょっとブリっこすぎるきらいはあったけど、可愛らしかったです。ブッキーや壮亮くんと不倫、禁断ものやっても不自然ではないほど、まだまだ現役っぽい美熟女ですね。パパ役の長塚京三、役はほんと情けなさすぎてイラっとするけど、知的そうで長身でカッコいい素敵おぢさまです。原田美枝子よりも、彼のほうが病気っぽかったのが気になった。
 石井裕也監督の好評を博した前作「舟を編む」も観たいけど…キャストが苦手なメンツぞろい。代わりに、ブッキーと壮亮くんが早くも再共演してる石井監督の新作「バンクーバーの朝日」に期待♪

 ↑ああああ~…こんな腐殺しな萌えるツーショット、前代未聞じゃ~!感動作とかよりも、ドロドロでキツい激しい映画でガチンコ勝負してほしいなあ。「バッド・エデュケーション」とか「ブロークバック・マウンテン」「藍宇」をこの二人でリメイクしてほしい!腐女子とゲイは、ウハウハで狂喜なことでしょう(笑)。

 ブッキーは、何と久々にTV連ドラに復帰!豪華キャスト(わし的にはビミョーなんだけど)の「若者たち」です

 もう壮亮祭り状態な私ですが♪「MOZU」の怪演でお茶の間に強烈なインパクトを残した彼は、映画も続々と公開!誰がやってもいいような、誰でもできるような役に逃げないで、今後も挑戦的な役者でいてほしいです
コメント (2)
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