まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

雨音は80’の調べ

2014-06-25 | 日本のドラマ(単発)
 Rainy days...心も湿りがちな憂い梅雨ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか
 最近、80年代のヒット曲にハマってます♪
 年齢がバレますが私が子どもの頃のトップアイドルといえば、ミポリンやナンノ、桃子や斉藤由貴etc.みんな可愛くてきれいで、歌も名曲が多かった。歌番組、特にザ・ベストテンが好きで、毎週どんなセット、どんな衣裳で彼女たちが歌うのか、ワクワク楽しみにしてました。なぜか男性アイドルにはあまり興味がなく、もっぱら渡瀬恒彦とか片岡孝夫とか荻島真一とか、素敵おぢさまにトキメキトゥナイトだった私です。
 ザ・ベストテンには、たくさん忘れがたい思い出の歌手やシーンがあるのですが、特に強烈に覚えてるのが小林麻美の“雨音はショパンの調べ”です。毎週上位にランクインする大ヒットだったのですが、ベストテンには一度も出演しなかったんです。確か他の音楽番組にも出なかったはず。ミステリアスな小林麻美が、幼心にすごく気になる存在に。思い余って、生まれて初めて自分のお小遣いでレコード(まだCDじゃなかった)を買っちゃいました。大好きだったアイドルの曲とは違う、けだるい大人の女って感じの歌声と歌詞(作詞はユーミン)が衝撃的かつカッコよくて、小林麻美みたいになりたい~とマセた願望を抱き、雨の日は窓辺でやるせなさげ~に溜息をつくなど、ひとりアンニュイごっこしてた私。いま思えばスゴいアホなガキ

 歌番組と違い、CMやドラマには出てた小林麻美。私が初めて動く彼女を見たのが、「大奥83’」でした。何と、篤姫の役!篤姫が将軍家に嫁ぐ前に、下っ端女中に化けて大奥に潜入し実態を見聞する、というストーリーでした。馬ヅラで背が高いので、時代劇が似合わなくてこれも衝撃的でした。しかも、中村メイコや山田邦子とコントみたいなことやってるし!憧れのアンニュイが~でも、他の女優にはない美しさには魅せられました。次に観たのが「真夜中の招待状」。こっちは彼女のために作られた、彼女のPVみたいな映画でした。

 事務所の社長と結婚して引退する前に、小林麻美は3作ほどNHKの単発ドラマに出演していて、前から観たいな~と思ってたら、運よく1本だけ観ることができました。直木賞作家、藤原伊織原作の「ダックスフントのワープ」です。1989年の作品で、小林麻美最後のドラマでもあります。
 昼は公認会計士になるための勉強、夜はキャバレーでストリッパーをしている青年修は、金持ちの下路の幼い娘マリの家庭教師となる。賢いが自閉症気味のマリは小学校にも行かず、若い継母の陽子を蔑んでいた。そんなマリに、修はワープするダックスフントの物語を話して聞かせるように…
 何かすごく不思議なドラマでした。世界観というか空気感というか、どこか非日常的で浮世離れした感じ。でも、現代人の抱える虚無感とか孤独とかが、深く静かに伝わってくるドラマでした。静かで悲しいラストも、衝撃的で深い余韻を残します。世にも奇妙な物語とかとは違う、大人向けのメルヘン、哀しい現代の童話、みたいな。今、こういうドラマって観られないですよね~。オコチャマ向けかジジババ向けの、わかりやすくて浅い安いドラマばかりなので、このドラマのクオリティの高い不思議さがすごく新鮮でした。

 修が語るダックスフントの冒険話が、これまた不思議な、それでいて深い内容なんですよ。ダックスフントが遭遇する危難や苦しみ、悲しみが、修と彼を取り巻く人々と重なるところも面白かったです。挿入されるアニメも味があって良かった。原作の小説も、読んでみようかな~。
 主人公の修役は、陣内孝則。当時30歳ぐらい?わ、若い!っつっても、見た目も演技も今とあまり変わってませんが、肌はツヤツヤツルツル!あまり意味がなかったようなストリッパー設定が???でした。せめて肉体美だったらとも思った。
 下路役の平幹二郎が、さすがの名優の貫禄&怪演。威厳と気品があるけど、どこか不気味、かつオチャメ、なキャラが平ミッキーらしかった。プールのシーンでは、笑撃の水着姿にも。いつの時代の水着だよ?!と笑えた。股間にイヤでも目がいってしまうし(笑)。
 小林麻美は、下路の後妻の陽子役です。

 美人!可愛い!な女優や、演技うまい!な女優は腐るほどいますが…小林麻美の美しさと雰囲気は、やはり独特すぎます。80年代のファッション、髪形も、彼女だと今見てもエレガントでシック。ちょっとフランス女優っぽいというか。都会的な憂いとか、情熱的でありながら不安定で脆い女の役が似合うところとか。意地悪な夫と義理の娘にバカにされてイジメられてコワレちゃう演技、なかなか魅惑的で秀逸でした。生活感がまったくないところも素敵。このドラマが醸してた今のドラマに欠いてる神秘的な高級感は、小林麻美のおかげだと思います。

 今、アンニュイでミステリアスでファッショナブル、といった小林麻美的ポジションの女優、いませんよね~。元気で健康的なピチピチ娘か、男みたいなサバサバ系、ぶりっこ熟女ばかりだし。引退は今さらながら惜しまれますが、ファンが大事にしてるイメージを壊さないよう、魅惑的なままスパっと消えた小林麻美は、あっぱれな女性だとも思います。絶対に彼女のようにはなれない、マネもできないけど、心ひそかな永遠の憧れです。

 ↑数年前、久々に姿を現した小林麻美の最近影。ファッション誌とかではなく、なぜか歯科協会か何かの広報誌でのインタビュー記事。素敵なマダムっぽいですね

 
 
コメント (4)
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