まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

アラフォー女優 コワレて輝く

2008-08-21 | フランス、ベルギー映画
 「女優」
 イタリアの名家出身で、フランス大統領夫人を妹に持つ女優ヴァレリア・ブルーニ・テデスキが、主演と監督を兼ねた作品。
 もうすぐ40歳の女優マルセリーヌは、夫も子供もいない自分に不安を感じている。主演に抜擢された舞台の稽古にも集中できず、情緒不安定が加速して...
 around40、なんて言葉が耳なじみになっていますが、フランスも同じなんですね。仕事はうまくいってるけど、結婚できない、出産可能なギリギリ年齢、というのが典型的なアラフォー女性の悩みのようですが...いちばんの問題点は、あれもこれも手に入れなきゃ気がすまない!他人の芝生が青すぎる!な強欲さにあるのではないかとも。欲張りなのは、まあ女の持って生まれた不治の病みたいなものなので、欲望が満たされないかぎり悩みは尽きないところが、業な女という生き物です。
 で、この映画のヒロイン、マルセリーヌも結婚したい、子供も欲しいアラフォー女性なのですが。彼女の場合、欲張りというより肉体的にも精神的にもバランスを崩しかけてる感じなのが心配。泣いたり笑ったり激しい躁鬱、不可解な言動、あげくは妄想・幻聴まで。ただでさえ悩み多き年頃なのに、職業が女優ときてるもんだから、もう心も体も安息することがない。どんどんコワレていくマルセリーヌが、ヤバすぎて怖いです。注射!さもなくば男!みたいな状態。
 コワレっぷりが怖いけど(お乳なんか出ないのに、友人の赤ちゃんに嬉しそうに授乳しようとしたりするシーンとか。ママへの態度が、ちょっと「ピアニスト」のエリカ先生みたいだったりするところとか)、どことなく滑稽で笑える描き方をしてるので、イヤなものを見せられてるという不快感はないです。それは、マルセリーヌがエキセントリックというより、かなりトボケた感じのキャラなおかげかも?ラスト、ついにブっコワレて本番の舞台からトンズラ、夜のセーヌ川にドボンと身投げしちゃう彼女、あ~あ死んじゃった、と思ったら...北島康介も真っ青な達者な泳ぎっぷり!その必死な顔が、死ぬにも死ねない悲痛さと、女の生命力の強さを表しているようでした。
  
 ヴァレリア・ブルーニ・テデスキの、ユニークな情緒不安定演技が出色です。笑ってんのか泣いてんのか分からない顔が絶妙。ちょっとニューハーフ顔の彼女ですが、真っ白な肌と崩れた色気のある体つきがエロい。彼女のシンプルだけど可愛いファッションが素敵でした。フランス女優の、いかにもオシャレしてる!な力みのないナルチュラルなオシャレさが好きです。
 演出家役は、マチュー・アマルリック。コワレゆくマルセリーヌにイライラして自分もコワレ気味、な珍妙さがいい味だしてます。ギョロ目が何か可愛いです。
 マルセリーヌの舞台の相手役になる若い男優役が、あれ!ルイ・ガレルじゃん!出てるとは知らなかったので吃驚!相変わらずインパクトある顔です。つるつる肌や、若いというよりあどけなく見える瞬間など、二十代前半男おそるべし!です。
 娘と違って元気溌剌なマルセリーヌのママが、オチャメで素敵。演じてるのは、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキの実母だとか。
コメント
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