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アメリカのゲイツ国防長官の日本訪問を振り返って

2007-11-14 | ラジオ
ゲイツ国防長官は日本を訪問し、福田総理大臣や石破防衛相、高村外相と会
談した。
アフガニスタンにおける軍事作戦の後方支援の再開に付いて、日本側から約
束を取り付けようとしたが、それが出来なかった。
これに関してロシア声の評論委員は、次のようにコメントしている。
あらゆることから判断して日本側は、アラビア海における海上自衛隊の支援再
開に関する、ゲイツ国防長官の粘り強い要求に対して歩み寄っても構わないと
の立場をとっているようだ。
海上自衛隊の輸送船によるアメリカを基調とした、アフガニスタンで軍事作戦を
行なっている多国籍軍の部隊に対する、燃料食料の無料支援は2001年12月か
ら始まっているが、日本の議会によって採択された特別法、つまり特措法をベー
スに実現された来た訳だが法律の効力が切れてしまった。

この夏の参院選では野党・民主党が大勝し、参議院では多数派を占めるに至っ
ているが、民主党は法律の延長に断固反対の立場をとっている。
民主党は日本の海上自衛隊のインド洋への派遣には、国連の承認が必要であ
ると主張している。
現在日本政府では与党が多数を占めている、衆議院の開期を35日間延長し、そ
こで参議院の承認を必要としない新しい法案を、三分の二の賛成多数で採択し
たいと考えているが、民主党を中心とした野党は衆議院でも採択を凍結させるこ
とが出来、採択のプロセスを2ヶ月から1年まで引き伸ばすことが可能となる。

まさにそうした理由から日本政府は、ゲイツ国防長官に新しい法律の採択の可能
性に付いて、何も具体的なことを伝えられなかったという訳だ。
日本滞在中ゲイツ国防長官は、アジア地域を核の対決の具体的な可能性が未だ
残っている、世界に最後に残された場所の一つであると表現し、北朝鮮を源とした
脅威、そして核兵器拡散の可能性を払拭するために努力する必要があるのは、ア
メリカと日本の二カ国だけではないと述べたが、世界一の核大国であるアメリカの
国防長官が、北朝鮮の潜在的な核能力に付いて極めて誇張したイメージを作り出
そうと試みたのは、何も今回が初めてのことではない。

ソウルでゲイツ国防長官は中国の軍事プログラムの、極めて隠された性格がある
という事に対して、含みのある発言をして注目された。
ゲイツ国防長官はアメリカ政府は、中国政府と北朝鮮をめぐる状況を憂慮している
と述べた。
中国の軍事プログラムの非公開性といったものに対する、ゲイツ国防長官の批判
はかなりおかしなものと言える。
中国の国防省は自国の防衛的な施設をアメリカ、日本そしてイギリスの国防関係
者に視察を許さないという批判だ。

北朝鮮の非核化に向けた北朝鮮の特使が、充分な速さを持っていないというアメ
リカ政府の批判に付いても、根拠の薄いものに見える。
ソウルでゲイツ国防長官は大韓民国に対するアメリカの、核の傘に関するアメリカ
の義務を改めて確認した。
このことは非核化のプロセスと言うのが朝鮮半島全体の南半分、つまり韓国に及
ばないということを意味しているのだろうか。
ゲイツ国防長官と日本の石破防衛大臣との会談で双方は、ミサイル防衛計画を展
開させるプログラムに日米が忠実であることを確認している。
この計画の極めて重要な目的は、中国の控えめとも言える核のポテンシャルを押
さえ込もうとするもので、そうなると北東アジアの10万のアメリカ軍部隊が管理して
いる、アメリカの核の優勢が高まる。
そして日本の軍事的な役割をさらに高めるべきだと言う、ゲイツ国防長官のアピー
ルは、日本に駐留しているアメリカ軍に攻撃的な性格を寄与することも含めて、ア
ジアの不安定化に向けられたものと言わざるを得ない。

アフガン戦争の真実―米ソ冷戦下の小国の悲劇
(NHKブックス)

金 成浩
日本放送出版協会


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