1010 Radio

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アメリカの東欧ミサイル防衛配備は何のためのものか

2007-11-01 | ラジオ
ポーランドにアメリカの迎撃ミサイル配備が必要なのは、ロシアから自国を
守るため。
18日ワルシャワでポーランドのヤロスワフ・カチンスキ首相が、この様に発
言したことを情報通信局が伝えている。
これに関連してロシアの声の政治評論委員は、次のようにコメントしている。
ポーランドの大統領と首相のポストに就く、ヤロスワフ・カチンスキ氏は突飛
な発言をすることで知られている。
それらは政治的配慮のあまり感じられない、よく考える事無くなされた発言と
いえる。
しかしカチンスキ首相の今回の発言に対しては、ロシアの多くの政治家と軍
人が感謝の言葉を述べることだろう。

ポーランドに10基の迎撃ミサイルと、チェコにレーダー施設を配備するというア
メリカの計画が明らかになった当初から、彼らはこれがロシアに対抗する為の
ものであるとの見解を示していた。
そして今回のカチンスキ首相の発言により、それが確認されたことになる。
ロシア政府は最初からアメリカの計画はイランをはじめとする、いわゆる悪の枢
軸国からの防衛の為では無く、ロシアに対抗するためのものであり、このこと
はロシアの安全保障に脅威を与えるものと主張していた。

今回のポーランドのカチンスキ首相の発言は、アメリカの主張のあらゆる偽りを
暴きだし、その主張の根拠が意味の無いものであることを明るみに出した。
アメリカはこのことに対して、ポーランドに感謝することは無く、逆にポーランドに
脅しをかけるだろう。
さらにアメリカでは事実上、自らを裏切ったパートナーへの対応に追われてい
るかもしれない。
しかしこれはNATO内部の問題であり、ロシアには余り関係の無いものた。
ロシアはアメリカのミサイル防衛システム配備計画や、新たな軍拡競争に繋が
りかねないことを懸念している。

18日に実施されたTV・ラジオ生中継での国民対話のなかで、プーチン大統領
は、もしアメリカが自らの計画を中止せず、ロシアの打ち出した代替案を受け入
れなければ、ロシアは対抗策を講じることになると述べた。
アメリカの行動はヨーロッパだけでなく、全世界における国際情勢全般の悪化に
繋がり兼ねないものだ。
これまでに苦労の末に達成された、各方面での信頼も損なう恐れがある。
NATO加盟国の指導者の地位にある人物が、ロシアとソ連の違いを認識しておら
ず、またこの15年間に世界に生じた変化を認識していないことも遺憾の念を呼ん
でいる。

このことは変質病、思慮の欠如、または打算的に古い外国のパートナーを利用
しようとする試みだと考えることが出来る。
かつてアメリカには「ロシア人が来る」と叫んで、窓から飛び出したホレッシャル海
軍長官が居たが、今でもその後継者たちは少なくないようだ。
しかしホレッシャル海軍長官の時代は、50年も前のことなのだ。

ポーランドを知るための60章 (エリア・スタディーズ)

渡辺 克義
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10月20日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル