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老齢加算の復活を求める生存権裁判

2010-12-03 23:13:20 | 貧困と社会

足立生活と健康を守る会の第48回大会が鹿浜いきいき館で開かれました。私は区議団の一員として参加しました。大会議案書には老齢加算の復活、東京生存権裁判の勝利、後期高齢者医療制度の廃止、高齢者医療費の無料化、都営住宅の継承と、大量建設、貧困と格差のなくすスローガンがかかげられていました。

会長の石川千代子さんが開会のあいさつをしました。150名以上の代議員の参加がありました。

私も区議団の一員として来賓席で紹介をうけました。

その後、大島よしえ都議のあいさつ、黒岩哲彦弁護士が東京地裁で生存権裁判は不当な判決があったが、直後におこなわれた福岡地裁では逆転勝訴をしました。

その内容を黒岩弁護士が報告しました。以下、福岡高裁の判決要旨です。

生活保護の「老齢加算」廃止をめぐる生存権裁判で、福岡高裁は14日、"廃止は、不利益変更を禁じた生活保護法56条に違反し違法"との原告勝訴の判決を出しました。その要旨を紹介します。

【不利益変更についての違法性判断の枠組み】

生活保護法の規定に基づき生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であって、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。(i967年5月24日の最高裁大法廷判決)

生活保護法56条は「被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない」と定めている。同条の趣旨にかんがみれば、既に決定された保護を不利益に変更される場合、その保護基準の改定そのものに「正当な理由」がない限り、保護の不利益変更は同条に反し違法となるものと解するのが相当である。

【本件保護基準の改定は不利益変更に当たるか】

老齢加算の廃止によって70歳以上の者の生活扶助の支給額は、単身世帯においては約19・8%減額されることとなった。本件保護基準の改定についての厚労相の判断は、専門委員会による中間取りまとめ(2003年12月16日発表)中の本件記述を前提としている。

本件記述ができた過程において、本文は「加算そのものについては廃止の方向で見直すべきである」と当初の事務局案が変更された。

本文の直後に「ただし、高齢者世帯の社会生活に必要な費用に配慮して、生活保護基準の体系の中で高齢者世帯の最低生活水準が維持されるよう引き続き検討する必要がある」との本件ただし書きが加えられた。

さらに「被保護世帯の生活水準が急に低下することのないよう、激変緩和の措置を講じるべきである」との1項目が加えられた。

厚労省は、中間取りまとめが発表された時点で、老齢加算については、今後予算の中で検討していくとの立場を示していた。ところが、わずか4日後には、老齢加算を3年間かけて段階的に廃止することなどを含む04年度予算の財務省原案が内示された。



この決定の過程において、本件ただし書きの内容については何ら検討されなかった。また、激変緩和措置について、その決定過程等をみると、既に老齢加算を前提とする保護を受けている被保護者が老齢加算の廃止によって被る不利益等が具体的に検討された上で、代替措置を執(と)らないこと、3年という期間および1年ごとの削減幅が決定されたという形跡はない。

老齢加算の廃止は、既に老齢加算を前提とする保護を受けている被保護者にとっては支給額の相当程度の減額を意味するところ、本件保護基準の改定は、考慮すべき事項を十分考慮しておらず、または考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠き、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものということができる。

 したがって、本件保護基準の改定は、裁量権の逸脱または乱用として「正当な理由」のない保護基準の不利益変更に当たるというべきである。本件各決定は生活保護法56条に反し違法となる。

以上ですが、大変素晴らしい判決です。東京の裁判は最高裁で争われます。生活と健康を守る会では署名運動を行っています。ぜひ、協力して下さい。