ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

ハ・スビン、逆襲の明日?

2010-11-09 01:50:16 | アジア

 ”THE PERSISTENCE OF MEMORY”by Ha SooBin

 韓国ネタが続きまして恐縮です。また、韓国事情通のかた、「何をいまさらそんなことで驚いているのだ」と私の情報遅れをお笑いでしょうが、フン、そんなのあなたがとっとと情報を広めないのが悪いのさ。まあ、勝手にやらせてもらうよ。
 と言うわけで。
 いやあ、さっき韓国ものの通販サイトを覗いていたら、ハ・スビンの新譜がド~ンと載っているんで驚いてしまって。いやもう、「発売されるという噂」なんてレベルの話じゃない、再デビュー盤はすでに出来上がっていて、もうクリック一発で買える運びになっているんだから。

 初めから状況の説明をします。ハ・スビンというのは1992年、”童話の世界からやって来たお姫様”をコンセプトにデビューした韓国のアイドル歌手です。ゆうこりんみたいにギャグにはしない、こちらは終止本気で、俗世離れたお嬢様歌手として売っていたようです。
 で、デビューアルバムに収められていた「ノノノノノノ」が大ヒットします。聞いてみると特に歌はうまくない、むしろ声量のないヘタレ声で音程ふらつきながら懸命に歌うのが健気で応援したくなるとか、そんな感じの支持を受けていたんじゃないかと思われるのですがね。
 その翌年、彼女は2ndアルバムを世に問うのですが、これが自らの作った歌あり、サウンドのクオリティも上げ、大人っぽい雰囲気を前面に出した、なかなかの傑作である。そんな事で彼女は、当時美少女歌手としてトップの人気を誇っていたカン・スジなんかと並び称されるようになる訳です。(「格が違う」とカン・スジのファンは怒ったようだ)

 ところが、どういう事情があったのか分からないが、このセカンドアルバムをリリースした2年後の95年にハ・スピンはテレビの歌謡番組に出演したのを最後に消息を絶ってしまう。そのまま芸能界から去ってしまったんですな。その理由は今だ謎のまま。
 こういう人には、いなくなってから何年も経つとしょうもない噂が必ずたちます。いわく、死んでしまったとか(これは、ハ・スビンのいかにも病弱そうなヒョロヒョロした体型には、ある意味似合いの噂で、妙にリアリティがあった)
 なかでも強力だったのが、「彼女は実は男であって、皆をうまく騙しおおせた女装者に過ぎない」というもの。こいつは引退後何年経ってもテレビのコント番組でネタにされたりして、相当根強く韓国社会に流布した、というかいまだにそう信じている人も少なくはないようだ。
 「美少女歌手として一時は一世を風靡した、そののち謎の引退劇を演じ姿を消した女性が、実は男だった」・・・なんか嫌な湿り気を内に秘めた、いかにも一般大衆好みの暗い願望を刺激する噂ではあります。

 彼女本人は姿を見せないまま、そんな噂ばかりが語られる。引退後、何年経っても閉じられることのないファン・サイト。そして何度も表れては消えるカムバックの噂。
 そんな風にして流れ過ぎた少なからぬ年月。いつしか彼女の名も一般ファンは忘れかけた、こんな頃になって、ハン・スビンが本当にカムバックすると言うんだから、これは驚く。 さっき韓国のサイト(の日本語訳)を見たら、17年ぶりのアルバム・リリースだそうです。もう、彼女のインタビュー記事なんかもいくつか見ることが出来て、さすがに男じゃなかったけど(いや、上手く化けてりゃ分かりませんがね)それはかっての美少女の容貌そのっまというわけにはゆきません、けど、楚々たる美女の面目は保ったままの「ハ・スビンの近影」ではありました。
 上に掲げたのが、その彼女の17年ぶりの再デビュー盤のジャケなんですが、芳しからぬ噂をぶち飛ばそう、とでもいいたげなポーズで写っております。やっぱり忸怩たるものがあったんだろうなあ。

 さて彼女、この17年の言われ放題の歳月に、どう落とし前をつけるんでしょうねえ。おっとその前に、引退の本当の理由やこれまで何をしていたのかとか、訊いてみたいことは多々あるんだが・・・そしてさらに気になる、このアルバムの中身。どんな音楽が入っているんだろうなあ。
 
 (まだ、再デビューアルバムの音はYou-Tubeに上がっていないんで、90年代、現役アイドルだった頃の彼女の歌を、下に貼っておきます)




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