ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

ロボットの明けない夜明け

2010-11-10 04:27:12 | エレクトロニカ、テクノなど
 ”CTRL ALT DELETE”by FREE THE ROBOTS

 どうも、この種の音楽に惹かれてしまって、我がことながらこれで良いのかと困惑する今日この頃なんでありますが。まあ、以前からクラフトワークやらタンジェリン・ドリームやら、”電気もの”は好きだったんではありますが。

 今回もエレクトリックなロボット・ミュージックであります。とりあえずこの音楽、属するジャンルを指す言葉も知りません。知ったところでたいした意味もないとは思っているが。ようするに音楽、それでいいんで。
 この盤の製作者は米国はカリフォルニア州サンタ・アナあたりを根城に活躍するプロデューサー&DJとのことで、さぞやナウいフィールドで活躍しているんだろうと思いますが、まあ、それもとりあえずどうでもいや。

 冒頭、まず飛び出すのは重々しい金属の塊がややネジの狂ったで動き出す気配。ホラーっっぽい音素も振りまきつつ、自由を求めるロボットの行進は始まります。
 ロボットと言っても、このアルバムで「自由を!」と叫んでいるロボットは、以前取り上げたエレクトロニカ作品の”私はロボット、それが誇り”君と比べると、まるで存在感が違う。”私はロボット”君が、その淡い視線のありようによって存在していた感があるのに比べて、こちらは堂々の重金属の手触りがある。

 金属の皮膚の下にみっちりと充満した金属の筋肉がギシギシと軋み、その狭間を満たすのは黒く重く煮えたぎった機械油の流れ。重くうごめくリズムの上にジャズ、ロック、サイケ、ブレイク・ビーツなどなど各種の音要素が気ままにぶち込まれる。そう、まったく気ままに。オモチャ(すべて重金属製)を一面にぶちまけた中を行軍するロボットの姿。そこに頻繁にユーモアが漂うのはプレイヤーの理性の証しで、すべてがモノクロームの中に塗り込められているのは彼らが内に抱え込んだ閉塞感の証しか。

 鉛色の朝、ロボット、故郷へ還る。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。