ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

たとえばムソルグスキーが

2010-10-19 03:58:32 | エレクトロニカ、テクノなど
 ”RecComposed by Carl Craig & Moritz Von Oswald”

 これはカッコいいね!今、この辺の音には凄く興味があるんだけど、どこから取っ付いていいやら分からない。どんなアーティストがいるのかも知らないし、とりあえずどの辺で情報を集めたらいいのかも分からない。でも、こんな手探りの初心者状態が一番、純粋なファン魂が燃え上がって楽しくもあるのさ。
 で、これがどんな音楽名を説明すれば、かたやデトロイト・テクノの、かたやミニマル・ダブの、と言ってもこの用語がどのあたりをさすのかも知らないんだけど、とにかくそれぞれの道の権威者が共演し、クラシック音楽を切り刻み、貼りなおし、ゴキゲンな(死語だね)サウンドを作り出している、ということで。

 あの、いつも偉そうな顔してた指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤン、彼が指揮したラベルやムソルグスキーの有名曲をスタジオでズタズタに切り刻み再構成して、なにやら妖気漂うテクノ(というか、エレクトリック・ミュージックとか言うらしいぞ、このジャンルを)の大冒険音楽を作り出している。
 オーケストラの中の楽器が奏でた旋律の中のワンフレーズを取り出し、執拗にループする。その果てしない反復の内に、気が付けば異様なビート感の罠に囚われている。その快感。
 途中から被ってくるパーカッションは、これは音を被せたんだろう。いやこれもオーケストラの中の一音なのか?オーケストラ音の、それもパーカッションでもない楽器がワンフレーズを抜き出され反復をさせられ、ひたすらリズムを刻み続ける様は、快い違和感があって、妙に血が騒ぐ。

 ともかくこれは気が遠くなるほどめんどくさい作業なんだろうと思う。でもそれを喜々としてやってしまうのがオタクの魂って奴なんだけどさ。
 それにしてもクラシック関係者、こういうのを聴くとやっぱり怒るんだろうな?カラヤン本人も生きてたら確実に?こちらとしてはクラシックなんてまるで知識がないんで、どこがどう陵辱されたのか、見当が付かない。それが分かればもっと面白いのであろう、それがちょっと残念ではある。
 そしてジャケ。これはクラシックの世界では有名なレーベルなんだろうな、黄色い色が印象的な作りをパロったジャケ構成がもっともらしくて笑わせる。いやそもそも、この音自体が真面目な顔して冗談を言う、そんなタグイのもののように見受けられるんだが。