goo blog サービス終了のお知らせ 

南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

弁護士会の会費60万円余滞納で退会命令  弁護士の懲戒 2021年6月号掲載分から

2021年06月17日 | 法律事務所(弁護士)の経営
(はじめに)
日弁連の会誌「自由と正義」には、懲戒処分の公告が掲載されます。
弁護士の懲戒処分には、戒告、業務停止、退会命令、除名の4つがあります(弁護士法57条1項)。
2021年6月号掲載分から、気になったものを紹介します。

(戒告となった事案)
 弁護士は概ね5年に1回、弁護士倫理に関する研修を受けなければならないことになっています。
 この研修を受けなかったら懲戒になるのかどうかということは、よくわからないまま、5年に1回真面目に研修を受けてきたのですが、研修を受けずに懲戒されたケースが掲載されています。
事例1 2013年に受けなければならなかった研修を受けなかった。この間、弁護士会は研修に参加しない理由書や弁明書の提出を求められたが提出しなかった。弁護士会の会長が2017年3月に勧告、2018年6月に命令を行ったが、これらを無視して研修を受講しなった。⇒戒告
【感想】
 研修を受講しなければならないのは義務だとされながら、このスローペースの処理には愕然とさせられます。
 2013年に受講すべきであったのですから、その後、受講しなかったことに正当な理由があるか否かを調査、そのうえで、翌2014年の受講を命じて、正当な理由がないのに受講しなければ懲戒処分ができるはずですが、2018年まで待っていたというこの遅さは、一般常識として通用するのでしょうか。

(業務停止となった事案)
事例2 ある会社が貸金の返還の訴訟の被告となったので、この会社の代理人になった弁護士。しかし、裁判には負けて敗訴判決。
 会社は、判決によって強制執行を受けることとなってしまいました。

そこで、この弁護士は、会社から4件の委任契約を締結したことにして、その報酬等を3000万円とし、強制執行での配当として、弁護士が受け取りました。委任契約の内容が虚偽なので、3000万円の報酬も虚偽。しかも、その目的は会社に対してお金を貸していた原告の権利を阻害するものでした。⇒業務停止4月

(退会命令となった事案)
事例3 18か月分の弁護士会の会費合計60万円余を滞納した。⇒退会命令
【感想】
 長期間の弁護士会の会費滞納は、かなり厳しい処分となるのが通り相場で、実際このケースも退会命令、即ち所属している弁護士会から退会させられてしまいました。他の弁護士会に入会することは法的にはできますが、すぐに入会できるものなのかどうか・・・。それにしても、事例2の方がひどい事案のような気がするのは私だけでしょうか。

(弁護士会には「懲戒処分の指針」がない)
 公務員の場合は、懲戒処分の指針があって、ある行為をした場合、どのあたりの処分をするのかの基準が一応定まっているのですが、弁護士会には懲戒処分の指針に該当するものがありません。そのため、公にされた事例をもととして、このような事案ならこのくらいの懲戒処分なのかと相場を探るしかありません。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする