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南斗屋のブログ

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モラハラは裁判所にわかってもらえるか

2021年06月12日 | 家事事件関係
Q 配偶者からモラハラされていましたが、裁判所で分かってもらえるものでしょうか?

調停と裁判(訴訟)では、裁判所の理解の仕方が違います。

【調停の場合】
調停はあくまでも話し合いの場。調停委員は、証拠をみて事実を認定するという作業をしません。
ですから、モラハラを一方はしたと言っているけれども、一方はしてない、そんなこと言ってないということになれば、調停委員からは、こんな感じの反応になることが多いようです。

「あなたは配偶者からモラハラされたって言ってるけど、相手はそんなことはしてないって言ってるから、私たちとしてはどちらが正しいのか決められません。だから、この点はそれ以上立ち入らないでお互いが合意できるところがあるかを話し合っていきましょう」

モラハラ被害者からすれば、理解されなくてがっかりですが、裁判所は中立であることが建前なので、片方だけの味方にはなってくれません。それが、裁判所の、特に調停での限界です。

ただ、モラハラなどというものを理解していない調停委員もまだまだ多いです。
そんなのモラハラじゃないというようなリアクションをされてしまうこともあるでしょう。何のために調停をしているのか分からなくなってしまうときもあるでしょう。そういうときは、何らかのサポートを得ながら、対策を立てて進めていった方が良いです。

【裁判(訴訟)の場合】 
裁判官は、判決を書くときは、証拠に基づいて、モラハラがあったかなかったかを認定していきます。この〈事実認定〉をしていくことが裁判官の役目です。

ここで注意したいのが、「判決を書くときは」というところです。じゃあ、判決を書くまではどうかというと、裁判官はポーカーフェイスでなかなか考えを明らかにしてくれません。

(裁判官の事実認定の方法)
そこで、裁判官がどんなことを考えて事実を認定していくのかを知っておくことが有益です。
事実認定のルール
「当事者双方に争いがなければ、その事実を認める。そうでない場合(争いがある場合)は、他の証拠の裏付け、特に客観的な証拠が必要。人の供述は慎重に取り扱う。」

(モラハラの場合の事実認定)
 モラハラの場合を考えてみましょう。
 モラハラをしたことを配偶者も認めている場合(めったにありませんが…)。この場合は裁判官もその事実を認めます。
 しかし、モラハラを一方はしたと言っているけれども、一方はしてない、そんなこと言ってないという場合。
 この場合は客観的な証拠がいとなかなか認めてくれません。
モラハラは言葉の暴力だけに、後に残りません。
「あの人はあのときこんな風に言ってた」ということを法廷で話すことではダメなのか?こういう証拠を「供述証拠」というんですが、残念ながら、裁判官は、この「供述」というものをあんまり信用してくれません。
DVのケースですら、診断書とか写真などの証拠が存在しないと裁判官は一方が殴ったという認定をなかなかしてくれない。つまり、裁判の上では、殴っていないことになってしまうわけです。
 一方の言ってたことを裁判官がなかなか信用しないのは、争いになってからは、双方が言いたいことを言いたい放題にいうという風に裁判官が考えているからです。ですから、争いになる前に書いていたようなものがあればそれはかなり強力な証拠になります。
 例えば、日記です。今はあまり付けている方がいませんが、モラハラで離婚を考えている方は日記は大事です。後で書いたものを、裁判官はなかなか信用してくれないので、日々つける日記、何気ない日常のことも書いてある日記が結構大事な証拠になります。

(裁判では証拠が大事)
このように裁判では証拠がかなり重要です。どのような証拠を出していったら良いのかについて、弁護士とよく協議して進めていく必要があります。


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