南斗屋のブログ

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和解事例1656から和解事例1660まで

2020年08月14日 | 原子力損害

原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)が公開した和解事例1656から和解事例1660までを紹介いたします。

1656=南相馬市鹿島区の精神的損害の増額・除染費用に関するもの
1657=自主的避難等対象区域(福島市)の生活費増加費用・営業損害等に関するもの
1658=避難指示解除準備区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料(増額分)に関するもの
1659=旧緊急時避難準備区域(南相馬市)の生活費増加費用(自家消費用の野菜を作れなかったことによる)に関するもの
1660=旧緊急時避難準備区域(田村市)の営業損害に関するもの

和解事例(1656)
地方公共団体が住民に一時避難を要請した区域(南相馬市鹿島区)に居住していた被相続人(祖父)及び申立人ら(祖母、息子夫婦及び孫)のうち被相続人及び申立人祖母の日常生活阻害慰謝料(増額分)について、被相続人及び申立人祖母は申立人祖母の足が不自由(身体障害等級3級、要介護2)であったこと等から避難をすることができず、避難した息子夫婦及び孫と家族別離が生じた上、自らも身体障害等級3級であった被相続人が介護施設のサービスも利用することができない中、単身で申立人祖母の介護を担ったことや被相続人の障害等を考慮して、平成23年3月分は6割、同年4月分から同年9月分までは3割の増額が認められたほか、平成25年に実施した自宅敷地の表土除去及び立木伐採等の除染費用の一部の賠償が
認められた事例。

和解事例(1657)
自主的避難等対象区域(福島市)から避難した申立人ら(父母及び子3名(うち1名は原発事故後に出生))について生活費増加費用(家財道具購入費用等)、平成27年3月分までの避難費用(住居費、一時帰宅費用等)が賠償されたほか、子3名及び妊娠期間中の申立人母については平成27年3月分までの避難雑費が、会社員であった申立人父については避難に伴う失職により減収が生じた2か月分の就労不能損害が、化粧品販売業を営んでいたが避難に伴い営業不能となった申立人母については6か月分相当額の営業損害がそれぞれ賠償された事例。

和解事例(1658)
避難指示解除準備区域(浪江町)から避難した申立人ら(母、子2名)の日常生活阻害慰謝料(増額分)として、1.申立人母について、申立人子2名及び一緒に避難した両親らの面倒を見ながらの避難生活を余儀なくされたことを考慮して、平成23年3月分につき月額9万6000円、同年4月分につき月額3万6000円、同年5月分から平成26年3月分まで月額3万円、同年4月分から平成27年3月分まで月額2万円、同年4月分から平成28年3月分まで月額1万円が、2.申立人子2名について、避難先における通学先の学校になじむことができなかったことやいじめがあったこと、通学に際して負担が大きかったこと等を考慮して、それぞれ平成23年3月分及び同年4月分につき月額3万6000円、同年5月分から
平成26年3月分まで月額3万円が賠償された事例。

和解事例(1659)
 旧緊急時避難準備区域(南相馬市)に居住し自家消費用の野菜を栽培していた申立人が、避難したことにより自家栽培をすることができなくなって増加した食費について、仮に帰還したとしても放射線による汚染を懸念して自家栽培は断念せざるを得なかったであろうことを考慮して、避難継続の合理性が認められた期間を超えて、平成27年3月分まで賠償が認められた事例。

和解事例(1660)
旧緊急時避難準備区域(田村市)において造園や緑化木の育成販売等を業とする申立会社の営業損害(逸失利益及び追加的費用)について、販売用に育成していた緑化木を原発事故のために管理することができなくなって伐採したが、再度、伐採した緑化木の根を管理育成すれば8割程度は再生可能であること等を考慮し、伐採した緑化木に係る逸失利益の2割に当たる額と伐採時である平成27年5月から令和元年5月までに再生のための管理育成等に要した追加的費用の8割に当たる額の合計額に原発事故の影響割合を考慮して7割を乗じた額が既払金(伐採した緑化木の財物賠償として支払われた金額)を控除した上で賠償された事例。


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