南斗屋のブログ

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児童相談所について(続)

2020年08月27日 | 未分類
(一時保護業務)
 児童相談所の一時保護の根拠規定は、児童福祉法33条にあります。
 虐待については、同条1項が根拠となります。
 児童虐待防止法では、児童虐待に係る通告(児童虐待防止法6条1項)又は市町村等からの送致(児童福祉法25条の7第1項第1号等)を受けた場合、子どもの安全の確認を行うよう努めるとともに、必要に応じ一時保護(児童福祉法33条1項)を行うものとされ、その実施に当たっては、速やかに行うよう努めなければならないとされています(児童虐待防止法8条)。
 この一時保護は2か月を超えてはならないものとされ(児童福祉法33条3項)、2カ月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに、児童相談所長は、家庭裁判所の承認を得なければならないものとされています(同条5項)。

(一時保護処分への不服申立手段)
 不服申し立て手段ですが、一時保護(児童福祉法33条1項)については、行政不服審査法に基づき審査請求ができます。
 大阪市の裁決例がインターネットで公開されていますので、参考にしてください。
https://www.city.osaka.lg.jp/somu/page/0000487051.html
 家裁の承認(児童福祉法33条5項)については、高裁に抗告ができます。
 家裁や抗告審である高裁がどのようなポイントを考慮するかは、大阪高裁平成30年6月15日決定(判例タイムズ1459号106頁、判例時報2405号84頁)が参考になります。判例タイムズのコメントには、次のような参考文献が挙げられています。
【参考文献】
 大畑亮祐「2か月を超える一時保護の司法審査導入に関する諸問題(1)」家庭の法と裁判No.14(2018.6)50頁
 大畑亮祐「2か月を超える一時保護の司法審査導入に関する諸問題(2・完)」家庭の法と裁判No.15(2018.8)56頁
 谷嶋弘修「児童虐待の現状・近年の児童虐待防止対策をめぐる法改正について」家庭の法と裁判No.13(2018.4)26頁
 最高裁判所事務総局「児童福祉法等改正関係執務資料(平成29年改正)」平成30年12月家庭裁判資料200号

 児童福祉法33条1項は、「同法26条1項の措置を採るに至るまで」と規定していますので、同項の措置を取れば一時保護は終了します。一時保護が終了していれば、不服申立てをしても、申立ての利益が消滅したものとして、申立ては却下となってしまいます。



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