南斗屋のブログ

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高次脳機能障害1級で介護料9000円の裁判例

2006年11月01日 | 高次脳機能障害
 高次脳機能障害1級が認められた被害者に将来の介護料日額9000円という判決が自動車保険ジャーナルにでていました(大阪地裁平成18年6月26日判決1656号5ページ)。

 被害者の状態ですが、以下のような行為はひとりではできないと認定されています。

 起床、更衣、ふらつきのなく一人で歩くこと、食事の準備や後かたづけ、排便や排尿の際の後始末、服薬管理、金銭管理、入浴、髪や体を洗うこと
 
 そのため、日常生活全般にわたって周囲の指示や看視が不可欠とされています。
 被害者はまもなく70歳になろうとする女性ですが、病院に入院中で、家族や介護士の介護を受けて週数日間自宅に戻るという生活をしており、裁判所もこの状態を前提として介護料を算定しています。

 日額9000円というのは介護料としては高めの数字ですが、この理由としては以下のことがあげられています。
 1 入院費として月9万円を要しており、この入院費も含めて介護料が算定されている(入院費を除外して計算すると日額は6000円となります)
 2 介護士に日額6000円~7000円の介護料が現実に支払われていた。
 将来の介護料を認定するに当たっては、やはり現在の状況をベースにして判断せざるを得ないのはやむをえないところです。
 このケースでは、実際に職業介護人に支払いがなされており、このことを裁判所は重視したと思います。

このブログをはじめてご覧いただいた方は「はじめに」もご覧ください


 


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