南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

遷延性意識障害(植物状態)の療護センターを拡充

2006年06月16日 | 遷延性意識障害
 遷延性意識障害(植物状態)の療護センターを拡充という記事が、共同通信に載っていました。

国土交通省は15日、交通事故で植物状態になった重度後遺障害者らの支援を拡充するため、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の運用益で運営、全国で4カ所しかない専門の療護センターの機能を一般病院にも広げることを決めた。2007年度中の実施を目指す。

療護センターは、これまで全国に4箇所しかなく、これがそもそも少なすぎたわけですが、これを拡充しようという動きがあることはよいニュースだとはいえるでしょう。

もっとも、この療護センターいつまでもいることができるというわけではなく、5年程度で退院しなければならないそうです。
そうなると、遷延性意識障害の方は病院では受け入れてくれないので、在宅で介護するということになってしまいます。

 遷延性意識障害の方は自分のことがまったくできませんので、すべて介護者頼りとなり、介護は非常に過酷なものになります。

なお、遷延性意識障害の介護料について関心のある方は、こちら(私のホームページで介護料についてまとめたもの)をご覧ください。

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「パパの脳が壊れちゃった」より 6

2006年06月16日 | 高次脳機能障害
(本の要約)
アランが目覚めたのは、事故にあってから5日目のこと。
声をかけても当初は無反応。
やがて、意味不明なうめき声をあげるようになり、その後簡単な言葉(「あれ、だあれ?」「なに?」のような赤ん坊なみの言葉)を返すようになる。

その頃、身体の動きが激しくなり、点滴をぬこうとしたり、鼻から栄養チューブを抜き取ってしまう。
昏睡から目覚めて2日半、アランは突然「マンゴー姫はどこにいる?」と質問
筆者には、その意味が全くわからない。

これを境にアランは、その場に全くそぐわない要求を、次々とするようになった。
「このファックスを送らなきゃ」「最初の4枚は行ったんだが、5枚目がダメなんだ」…
筆者が必死に訂正しても、アランはなかなか訂正ができないでいる。

(感想)
重度の高次脳機能障害の後遺症の残った方のケースを担当していると、アランとほぼ同様の経過をたどる例を目にします。
昏睡
→反応はあるが意味をなさないうめき声
→言葉は明瞭になるけれどもその場にそぐわない話しぶり
という経過をアランはたどっているのですが、このような事態は家族を不安に陥れます。

家族は昏睡から脱出し、言葉がでるようになると「命が助かった!」と思うのですが、以前とは全く違う様子に驚きます。
しかも、点滴やチューブを引き抜こうとする等の、身体的な激しい動きを伴う場合があるので、驚き、とまどいがおそれに代わる場合もあるわけです。

この段階で医療関係者が家族に対し、適切な医学知識を教えて、家族も対処できれば一番良いと思いますが、私が担当したケースを見る限り、そこまでの家族へのケアは行われていないようです。



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