南斗屋のブログ

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加害車両に任意保険がついていない場合 下

2006年06月10日 | 未分類
(方法2)
 自分の車の保険に人身傷害特約がついていれば、それにより支払いを請求する。

 最近は人身傷害特約といって、「過失があっても損害賠償額を全額お支払いします」のようなキャッチフレーズで、この人身傷害特約が保険会社により売られていますが、これに入っていれば、自賠責を上まわる金額を請求できる可能性があります。

(方法3)
 無保険者傷害保険も人身傷害特約も無い場合、どうしたらよいでしょう。
気がつきにくいのですが、自賠責保険会社に対して訴訟をするという手段がります。

 これは、最高裁平成18年3月30日判決(自保ジャーナル1638号2頁)で、最高裁からも正式にお墨付きを得た手法です。
これだけではわかりにくいと思いますので、上記最高裁判決の事例にそって説明します。

 79歳の主婦をしていた女性が交通事故に遭い死亡しました。加害者には任意保険はついておらず、遺族は自賠責に被害者請求。自賠責は内部の支払基準に従って、1800万円を支払いました。
 これに対して遺族は、自賠責保険会社に対してさらに支払を請求して訴訟を提起、裁判所は300万円の上積み支払いを認めました。

なぜこのようなことがおこるのかというと

1 上記のケースでは、自賠責保険の支払限度額よりも低い金額での支払いだったからです。
自賠責保険の死亡事故での支払限度額は3000万円ですが、上記のケースでは1800万円ですので、限度額までは支払われていませんでした。

2 また、自賠責の支払基準が訴訟での基準よりも低い事にも理由があります。
例えば、自賠での慰謝料の支払基準額は1300万円程度ですが、訴訟では2000万円~2800万円になります。
このように、自賠の方の支払基準の方が訴訟よりも低額なために、上記のようなケースが生じるのです。

 もっとも、過失相殺については、自賠の方が被害者にとっては有利な基準を採用していますので、全てのケースで、自賠責保険に対して訴訟をして、上積みが支払われるかというと、そういうとこではありませんので、事前の慎重な検討が必要となります。



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