南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

「パパの脳が壊れちゃった」より 6

2006年06月16日 | 高次脳機能障害
(本の要約)
アランが目覚めたのは、事故にあってから5日目のこと。
声をかけても当初は無反応。
やがて、意味不明なうめき声をあげるようになり、その後簡単な言葉(「あれ、だあれ?」「なに?」のような赤ん坊なみの言葉)を返すようになる。

その頃、身体の動きが激しくなり、点滴をぬこうとしたり、鼻から栄養チューブを抜き取ってしまう。
昏睡から目覚めて2日半、アランは突然「マンゴー姫はどこにいる?」と質問
筆者には、その意味が全くわからない。

これを境にアランは、その場に全くそぐわない要求を、次々とするようになった。
「このファックスを送らなきゃ」「最初の4枚は行ったんだが、5枚目がダメなんだ」…
筆者が必死に訂正しても、アランはなかなか訂正ができないでいる。

(感想)
重度の高次脳機能障害の後遺症の残った方のケースを担当していると、アランとほぼ同様の経過をたどる例を目にします。
昏睡
→反応はあるが意味をなさないうめき声
→言葉は明瞭になるけれどもその場にそぐわない話しぶり
という経過をアランはたどっているのですが、このような事態は家族を不安に陥れます。

家族は昏睡から脱出し、言葉がでるようになると「命が助かった!」と思うのですが、以前とは全く違う様子に驚きます。
しかも、点滴やチューブを引き抜こうとする等の、身体的な激しい動きを伴う場合があるので、驚き、とまどいがおそれに代わる場合もあるわけです。

この段階で医療関係者が家族に対し、適切な医学知識を教えて、家族も対処できれば一番良いと思いますが、私が担当したケースを見る限り、そこまでの家族へのケアは行われていないようです。


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