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南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

被害者参加制度のモデル案

2008年04月20日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
中日新聞の記事からです

「被害者参加」で模擬裁判 最高裁がモデル作成

記事の内容は、
 今年中に施行される被害者参加制度のモデル案を最高裁がつくった、今後、これをもとに模擬裁判が行われる
というものです。

 被害者参加制度というのは、刑事事件の裁判で被害者が参加できるという制度です。
 すべての事件に参加できるわけではなく、参加できる事件は限定されます。
 交通事故事件関係で、どのような事件について参加できるのかについては、以前の記事(→こちら)をご参照ください。

 今回、最高裁がつくったモデルケースは
”飲酒運転による死亡事故で危険運転致死罪”
のケースということです。

 今後、模擬裁判が各地で行われていくことでしょう。

 裁判員制度の模擬裁判では、まず、裁判官、検察官、弁護士などの関係者でうちうちに行って、いろいろな問題点を詰めていき、その後、一般の方が参加するものに広げていきましたが、被害者参加制度の模擬裁判はどうなるでしょう?

 施行が今年中ということは、模擬裁判を行う期間も限られますし、関係者だけでやるのが精一杯ということになるかもしれません。

 







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犯罪被害者国選弁護人制度

2008年04月18日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 被害者参加制度について、被害者側に国選弁護人がつくことが決まりました。

 日経ネットの記事
 犯罪被害者国選弁護人制度、改正総合法律支援法などが成立


 被害者参加制度自体は、2007年6月20日、犯罪被害者の刑事裁判への参加等ができるようになる刑事訴訟法の改正などの成立により決まったものですが、被害者側の弁護人は自費で依頼するほかはありませんでした。

 これを、資力に困っている人には国選弁護人を被害者側につけることができるというのが今回の法律改正のポイントです。

 被害者参加制度は2008年12月までに施行されますので、裁判員制度(来年の5月施行)よりも実施時期が早いです。

 しかし、ほとんどマスコミにはとりあげられません。

 これは、裁判員は全国民が対象で誰が裁判員になってもおかしくないということにあるのかもしれません。
 犯罪被害者というのは、マスコミにとっては地味な話題でしかないのかもしれません。

 私は、被害者参加制度は、犯罪被害者の刑事裁判への参加という道を開いたもので、犯罪被害者にとっては画期的なものだと考えています。

 もっとも、弁護士業界でも裁判員関係の研修や模擬裁判は繰り返し行われていますが、犯罪被害者参加制度については全く行われておらず、犯罪被害者をサポートする弁護士の能力は、その弁護士の熱意やこれまでの経験に左右されることになり大きな差がでてきてしまうかもしれません。


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更生保護における犯罪被害者等施策

2008年04月07日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
新しい被害者のための制度として、
 昨年(2007年)12月1日から
”更生保護における犯罪被害者等施策”
が始まっています。

 「更生保護」というのは、なじみのない言葉ですが、加害者が実刑判決を受けた後、刑務所から仮釈放されたり、保護観察となったりするのですが、その仮釈放後、刑期が終了するまでの期間をいいます。

 これまで、犯罪被害者が加害者の仮釈放や保護観察について、何も意見がいえなかったのですが、2007年12月1日からの
”更生保護における犯罪被害者等施策”
によって、ある程度の道が開かれました。

 具体的には4つの制度が定められました。

1 意見等聴取制度
 ・・・加害者の仮釈放・仮退院について意見を述べることができるもの。
2 心情等伝達制度
 ・・・保護観察中の加害者に,被害者の方の心情を伝えることができるもの。
3 加害者の処遇状況等に関する通知
 ・・・加害者の保護観察の状況などを知ることができるもの。
4 相談・支援
 ・・・専任の担当者に不安や悩み事を相談することができるもの。

その詳細や問い合わせ先については、法務省のホームページに掲載されていますので、そちらをご参照いただければと思います。



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無免許運転と酒気帯び運転、どちらの刑が重いか

2008年02月11日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 以前、2007年9月19日に改正道路交通法が施行されて、飲酒運転が厳罰化されたことを書きました(過去記事「飲酒運転の厳罰化(2007年9月19日、改正道路交通法の施行)」)。

 この改正により、
  酒気帯び運転罪は、
1年以下の懲役又は30万円以下の罰金(改正前)
→3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(改正後)
と重くなりました。

 ところで、みなさんは、酒気帯び運転と無免許運転とどちらの方が刑が重いと感じますか。

 私が弁護士になりたてのころ(もう10年以上前の話ですが)は、
 酒気帯び運転罪は、懲役3ヶ月以下(又は罰金)
 無免許運転は罪は、懲役6ヶ月以下(又は罰金)
というのが、法律で定められた刑(これを法定刑といいます)でした。

 ですから、私は、「無免許運転の方が酒気帯び運転よりも2倍法定刑が重い」と覚えていました。

 さきごろ、事務所の弁護士が無免許運転罪のケースを扱ったので、法定刑を調べてもらったところ、無免許運転も重くなっていましたが、
 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
にとどまっており、2007年改正以降は、酒気帯び運転の方が、無免許運転よりも重いという状態になっています(2007年改正前は同じ刑だったことになります)。

 私はこのような結論になったことに、ちょっと狼狽したのですが、何度確認してもそのような結論になった(当たり前ですが)ので、法律の趣旨としては、無免許運転よりも酒気帯び運転を重く罰する時代になったのだなと改めて認識しました。

 しかし、10年前から”無免許の方が酒気帯びよりも重い”という感覚からなかなか抜け出すことはできず、今も、酒気帯びの方が重いというのは何か釈然としないままでいます。

 これは、単に頭が堅くなっただけなのか、それとも今の法律のバランス感覚ががおかしいのかどちらなんでしょうかね。



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千葉地方検察庁

2008年01月21日 | 交通事故刑事事件の基礎知識


 千葉地方検察庁です。
 私の事務所はここから歩いて3分ほどです。
 合同庁舎なので、検察庁が使用しているのは5階よりも上の階になります。

 ほかの検察庁の運用はどうかわからいですが、千葉地方検察庁では、裁判所と比べて入るのにチェックが厳しく、弁護士でも名簿に記名してから入らないといけません。

交通事故の被害者の方が検察庁に来る場合というのは、検察庁に事情聴取で呼ばれる場合や、刑事記録のコピーを申請に来る場合くらいでしょうか。あまりなじみのあるところとはいえませんでしょうか。
 
 ところで、東京地検には「特捜部」というものがあり、政治家がらみの事件などを扱っているところがありますが、千葉地検には「特捜部」はありません。
 「特別刑事部」という名称で、国税庁からの事件や独自捜査を行っているようですが、東京地検の「特捜部」と比べると人員もあまりいないようなので、マスコミでとりあげられる機会は、千葉日報(千葉の地方紙)を読んでいてもあまりありません。
 この千葉地検の特別刑事部は、この庁舎にはなく、千葉駅から2駅ほど離れた別の庁舎内にあります。



 



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刑事事件の言渡しに立ち会う人

2007年11月07日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 前回は刑事事件の判決について、実刑と執行猶予付き判決の違いについて書きました。
 今回は、刑事事件の判決にどんな人が立ち会うのかについてです。

 判決は、裁判官が読み上げますので、裁判官が立ち会うのは当然です。

 判決を受けるのは、被告人ですから、被告人も立ち会います。

 そのほかには、検察官が必ず立ち会うこととなっています。

 それから、書記官という人もいます。
 書記官というのは、なじみが少ないですが、法廷が撮影されたときに、裁判官の手前、一段下のところにいる人です。
 裁判所の職員で、文字どおり書記役をこなします。

 このほかに弁護人も立ち会います。
 
 被害者は現在は法廷で立ち会う権限がありませんが、被害者参加制度が2008年12月までには施行されますので、それ以降は立ち会う権限がでてきます。

 被害者参加制度についてご興味のある方は、過去記事”被害者参加制度(改正刑事訴訟法)の成立”もご参照下さい。

 被害者参加制度は、改正刑事訴訟法では、被害者側の弁護士は自費でしか依頼できないようになっていますが、11月6日の朝日新聞記事(下記に引用)では、公費での負担も早期に検討されるということです。
 公費での依頼ができれば、法廷への被害者の立会いの権利を広く保障することになると思います。



(朝日新聞記事より引用)
犯罪被害者給付金の引き上げ決定 政府の推進会議
2007年11月06日18時51分

 政府の犯罪被害者等施策推進会議(会長・町村官房長官)は6日、首相官邸で会合を開き、犯罪被害者等給付金の最高額を引き上げることなどを柱とする支援策を、有識者検討会の最終報告に基づいて決定した。

 犯罪被害者等給付金は殺人など「故意」の犯罪の被害に遭いながら、加害者から損害賠償などを受けられない被害者や遺族に支払われる。遺族給付金の最高額は現在1570万円だが、自動車損害賠償責任保険(自賠責)の支払い限度額である3000万円程度まで引き上げる。また、障害給付金も現行の1850万円から4000万円程度に引き上げる。

 また、犯罪被害者が刑事裁判で意見を述べることができる「被害者参加制度」の導入に向け、被害者を支援する弁護士の費用を公費で負担する制度を、早期に検討する。




 

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実刑と執行猶予付き判決

2007年11月05日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 前回、判決言い渡しの風景ということで、民事事件と刑事事件とに共通の風景である公開の法廷のことについて書きました。

 今回は、刑事事件の判決について見てみます。

 刑事事件の判決は、裁判官がそのほとんどを読み上げる形で言い渡されます。
 言い渡されるのは
1 刑の内容(主文)
2 被告人がどのような犯罪行為をしたか
3 言い渡した刑の内容をどのような事情(情状)を考慮したか
というようなことです。

 まず、刑の内容ですが、大きく分けると
  「実刑」と「執行猶予付き判決」
に分かれます。
 「実刑」は、言葉どおり、”実際に刑務所に行きなさい”ということで、例えば、既に勾留(身体拘束をうけてること)されている被告人には、

「被告人を懲役1年に処する
 未決勾留日数中20日をその刑に算入する」

というように宣告されます。

 通常の報道では、この、「被告人を懲役1年に処する」の部分だけ報道され、「未決勾留日数中20日をその刑に算入する」というのは報道されません。

 未決勾留日数(みけつ こうりゅう にっすう)というのは、判決がでるまでの間に勾留されている日数です。
 その間の何日を実刑から差し引くのかを裁判所が決めるわけです。

 たとえば、2月1日から勾留されて、4月1日に判決があった場合、2月1日から4月1日まで勾留されているのですから、未決勾留日数は60日になります。
 この60日を全部算入するということは通常はありません。
 通常は3分の1から2分の1くらいのところです。

 この未決勾留日数の算入があるはずなので、「懲役1年の実刑」と報道されていても、そこから引かれる日数がありますので、1年間懲役に服するわけではないということになります。

 「執行猶予付き判決」は、”今後、一定期間犯罪を行わなければ刑務所に行かなくてもいいですよ”というものです。
 例えば、このような形で宣告されます。

「被告人を懲役1年に処する
 この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する
 訴訟費用は、被告人の負担とする」

「被告人を懲役1年に処する」というところまでは、実刑判決と同じですが、その後に

”この裁判確定の日から3年間、その刑の執行を猶予する”

という言葉が続くかどうかが実刑と執行猶予付がつくかどうかの分かれ目です。
 先ほど、「執行猶予付き判決」は、”今後、一定期間犯罪を行わなければ・・・”と説明しましたが、この判決例では”3年”というのがその期間にあたります。
 これを執行猶予期間といいますが、この期間の間、他の犯罪を行わなければ、実際には刑務所にいかないということです。

 逆に、この期間中に犯罪を行ってしまうと、執行猶予が取り消しになりますので、
 「懲役1年」
というのが実際に効力をもってきますし、プラス、次に行った犯罪の分まで刑務所に行くということになります。

 

 

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遺族調書

2007年10月29日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 交通事故で被害者がお亡くなりになった事件では、被害者のご遺族から警察官などが事情を聴取して、供述調書が作成される事が通常です。

 この供述調書を"遺族調書"と呼んだりします。

 ご遺族が事故の目撃者ではないとき(このようなケースが多いですが)は、この遺族調書の作成は
・被害者の生活状況
・遺族が加害者に対して、現在どのような感情を有しているか(被害感情)
といったことが主な目的とされます。

 遺族調書を作成するのは、まずは警察官です。警察官は事件の捜査をまず行うところですから、警察官がご遺族から事情を聴取して調書を作成します。

 事件はその後、警察から検察に送致され、検察官が事件を捜査しますが、既に作成されている"遺族調書"で検察官が十分と判断した時は、ご遺族を検察庁に呼ばない事もありえます。
 といいますか、10年くらい前までは、検察官は遺族調書を作成するということは、ほとんどありませんでした。

 しかし、犯罪被害者の問題が段々と認識されはじめてから、殺人などといった重大事件では、遺族調書が作成されるようになり、自動車事故の事件でも遺族調書が作成されはじめるようになってきたとはいえるでしょう。
 もっとも、検察官が遺族調書を作成するか否かは、最終的には検察官の裁量なので、検察官に遺族の思い、考えを伝えたいという場合は、担当の検察官に対して、遺族の考えを伝える書面(上申書など)を提出するというように、遺族側の活動も必要です。

 ところで、被害者感情を警察官がどのように調書にとるかですが、よく見られる表現を書いておきますと、一番重いものが
「加害者は絶対に許す事はできませんので、厳罰に処して下さい」
というような記載です。

 そこまで、被害者感情がいかないというようなときは
「加害者に対しては、法律上相当な刑にしていただくように、お願いいたします」という表現になってきます。
 最も軽いと
 「加害者に刑事処分は望みません」
といったような表現になりますが、死亡事故ではこのような表現になることは、まずほとんどありえません。

 遺族調書の作成のために警察や検察に赴く場合は、被害者の生活状況をメモにしてまとめたり、被害感情についてどのように言うべきか決めておくとよいでしょう。

 被害感情だけで、刑事の処分が決まるというものではありませんが、処分を決める上での一つの考慮要素にはなりますので、この点に留意された方がよいと思います。


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交通事故専門刑務所でのグループワーク

2007年10月15日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 交通事故の被害者・その家族にとっては、加害者がどのような刑事罰を科されるのかというのは非常に関心の高いテーマだと思います。
 しかし、実際のニュースとして、刑務所でどのようなことをしているのかということはそんなに情報提供されているわけではありません。
 以下の記事は、朝日新聞に載っていたもので、交通事件専門の刑務所である市原刑務所(千葉県)で受刑者がグループワークをしているという記事です。

見出しは、
「交通事故遺族、受刑者と対話 更生へ手助け」
となっており、一見すると加害者と被害者が向き合っているのかとも思わせるものですが、記事をよく読んでみますと、受刑者と対話をしている交通事故遺族は、別件の被害者のご遺族のようです。

 このような試みがさらに被害者と加害者の距離を縮めるものであってほしいと願うばかりです。


(記事)
交通事故遺族、受刑者と対話 更生へ手助け
2007年09月29日13時36分

 交通事故で家族を失った遺族たちが、交通刑務所の受刑者たちと直接対話して、遺族の苦しみや罪を償うことの意味を問いかけるグループワークが千葉県市原市の市原刑務所で行われている。受刑者たちは、遺族の話を聴き、被害者への「手紙」を書き、事故を起こした自分の罪を認識する。「同じ苦しみを誰にも味わってほしくない」という遺族の取り組みは、受刑者たちの意識に変化を与えている。

 8月末、市原刑務所の一室で、5人の受刑者と飲酒運転の事故で子どもを亡くした母親2人が向かい合った。

 「飲酒しても大丈夫だろうと判断して事故を起こしました。遺族に手紙を書きましたが、反応はありませんでした」

 遺族側は、家族を亡くした苦しみや一変した生活環境を訴えかける。「私は一度も謝罪を受けていません。遺族は刑期を終えた後を見ています。出てからが本当の謝罪と償いですよ」

 グループワークは05年9月から、犯罪被害者の支援に取り組む被害者支援都民センター(東京都新宿区)と全国唯一の交通犯罪対象の市原刑務所が始めた。この2年間で約90人が受けている。

 出所間近の受刑者のうち、希望者のみ、月に1度、計2回(計6時間)実施する。

 1回目と2回目の間には、亡くなった被害者や遺族を想定して、受刑者は手紙を書く。グループワークに参加する遺族がそれを読み、遺族の気持ちを理解していない点や罪の認識が十分できていないと感じる点を指摘する。受刑者は悩みながら書くことで自分の罪と向き合う。

 男性受刑者(23)は「手紙を書こうとすると、罪悪感を感じて気が重くなり、時間がかかった。でも、まだ反省できていなかったことにも気づいた」と話した。ノートに書き留めた遺族の気持ちを忘れないよう、時々読み返すという。受刑者が、実際に自分が起こした事故の遺族に謝罪の手紙を書くかどうかは、本人の意思に任されている。

 同刑務所教育担当の新藤勉刑務官は「直接、生の声を聞くのは本で読むのとはまったく違う。1回目と2回目で受刑者の様子もがらりと変わり、一過性にならない」と話す。

 受刑者に自らの体験を話す遺族の1人、浜松市中区の清沢郁子さん(49)は、7年前に高校生の長男を交通事故で亡くした。加害者の男は無免許の居眠り運転で前科14犯だった。「加害者は被害者のことをよく分かっていない。本当の更生とは、被害者の痛みに、苦しくても向き合わなければできないはずだ」。取り組み続けてそう確信したという。

■受刑者が書いた手紙

 ●皆様がいつもいつもあの時の苦しみを忘れられるはずもなく、日々悩み苦しんでいるように自分も悩み苦しみ生きてゆかないといけない。(中略)そんな当然なことを知りながら、苦しみから逃れようとしているのが自分です。情けない自分です。でも、今日こうして手紙を書くことで、自分と向き合うことができました。今のままの自分ではいけない。皆様に恥じぬように、一生懸命に生きようと思います。(危険運転致死傷罪の20代男性)

 ●私はあの日以来、ご遺族に何かできることはないか考えてきました。しかし考えれば考えるほど、できることはほとんどないのではないかと思うようになってきました。もうお酒は飲まないこと、車の運転も二度としないことは決めましたが、そういうことがご遺族にできることとも違うと思います。でも本当にどうすることもできないのだろうかと考え続けてきたこと、そしてそのことにずっと悩んできたこと、そしてこれからも悩み続けていくことがまず必要なのではと考えるようになってきました。そして毎日毎日そのように思い続けることで、その気持ちの中から自然と出てくる行動が本当に心から償うということにつながるのではないかと思いました。(業務上過失致死罪などの40代男性)
コメント (1)
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飲酒運転の厳罰化(続)

2007年09月26日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 前回、飲酒運転の厳罰化 という記事で、2007年9月19日施行の道路交通法改正について書きました。

 厳罰化の目的は、飲酒運転の撲滅ということにあります。
 厳罰化それ自体は、飲酒運転を減らすことにある程度は貢献するとは思います。

 しかし、弁護士として日々様々な事案に接していますと、厳罰化しただけでは、人々の心まですべて変えることはできないこともまた思い知らされます。

 ですから、飲酒運転がゼロにならないまでも、さらに減らしていくためには、厳罰化や取り締まりの強化ということだけでなく、他の方面への活動も必要であろうと思います。
 
 例えば。
 アルコール依存への対応もそのひとつでしょう。
 アルコール依存への対応策については、法務省も動き出しています。
 (以前書いた「法務省、刑務所などでの断酒指導を強化へ」という記事も参考にしてください)

 また。
 公共交通機関の少ない地方では、飲酒すれば、車で移動するしかないわけですが、それを誰が運転するのかという問題が生じてきます。
 飲酒していない身内や友人が送ってくれればよいですが、そういうことが期待できない場合、運転代行やタクシーを使うようにできるかどうかというのは、その地域の一種の”飲酒文化”にかかわる問題かもしれません。

 
 

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