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左投手は危険がいっぱい―『サウスポー・キラー』水原秀策

2005-06-14 | 左利き
ダブルプレイ―おお、なんという美しい響きの言葉だろう。私は思わずぽんと左手でグラヴを叩いた。
『サウスポー・キラー』水原秀策 宝島社(2005年)を紹介しましょう。
2004年度第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。
もちろん私が興味を持ったのは、このタイトルでした。しかし、それだけではありません。
巻末選評によりますと、内容はディック・フランシス・タイプのハードボイルド野球ミステリーだというのです。
これはフランシス・ファンとしては見逃せません。

期待にたがわず、フランシスの主人公張りのクールで頭脳派のピッチャー沢村が主役です。彼の一人称で綴られる物語です。時にちょっとくさいせりふもありますが…。ロマンスも盛り込まれ、まずまず心地よい読後感です。

ストーリイは―
プロ入り二年目の左投手沢村は暴行事件に遭遇します。そのとき犯人は約束を守れという謎の言葉を残します。さらに後日、先輩左投手三浦の記念パーティで再び暴行事件に巻き込まれます。幸い、同席していた女優黒坂美鈴や三浦に発見され、事なきを得ますが…。

なんとその後、球団やマスコミに沢村は八百長をやっているという怪文書がメールで送られ、その添付ファイルには、例の最初の暴行事件の際のビデオが添えられています。そこには確かに約束を守れの一言が。
彼は自宅謹慎処分に―。
その後、何とか解除され二軍で投げることになり、また彼の無実を叫ぶ声を支持するマスコミも現れ、無事一軍に復帰します。

しかし、彼はこの疑惑を晴らす努力を続けます。そして浮かび上がってきたのは、左投手ばかりがトレードされているという事実でした。
さらに暴行事件で選手生命をなくした左投手の存在も。
一体このサウスポー・キラーの正体は?

途中で予想は付きますが、黒坂美鈴の謎の行動はなかなかでした。
ラストの犯人との出会いと別れも意外でした。
将来が楽しみな新人作家の登場です。

*
この記事のタイトルを見て、ニヤッとした人は正解です。
わからない人は、少し勉強してください。左利きの勉強を。

最後に一言、私は登場人物の名前が少しひっかかりました。ちょっとね。
まあ、近鉄バファローズ・ファンだから、というわけではありませんが、ね。
もうひとつ。
言い忘れていましたが、この球団やある人物はあのチームとあの人がモデルのようです。

※本稿は、ココログ版「レフティやすおのお茶でっせ」より転載して、テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。
コメント
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