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50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

中国の古典編―漢詩を読んでみよう(8)『楚辞』(6)宋玉-楽しい読書291号

2021-03-30 | 本・読書
 ―第291号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2021(令和3)年3月31日号(No.291)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(8)『楚辞』(6) 宋玉」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年3月31日号(No.291)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(8)『楚辞』(6) 宋玉」
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 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」の8回目。

今回は、『楚辞』の6回目で、宋玉の作品を取り上げています。

2020(令和2)年6月30日号(No.273)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)」

2020.6.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)
-「楽しい読書」第273号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/06/post-da2d6a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4674b3200df69fc61b39c71e135b0eea

2020(令和2)年9月30日号(No.279)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(4)『楚辞』(2)「離騒」前編」

2020.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(4)『楚辞』(2)「離騒」前編
-楽しい読書279号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/09/post-a9bc2d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/69a03a861ab11437b3e548aa7417dfb9

2020(令和2)年10月31日号(No.281)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(5) 『楚辞』(3)「離騒」後編」

2020.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(5)『楚辞』(3)
-楽しい読書281号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/10/post-6275d5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/49d8229c141f532a6d330c2e1fb45b74

2021(令和3)年1月31日号(No.287)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)
『楚辞』(4)屈原の他の作品「九章」」

2021.1.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)『楚辞』(4)-楽しい読書287号

2021(令和3)年2月28日号(No.289)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)
『楚辞』(5)屈原「九歌」「漁父」」

2021.2.28
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)『楚辞』(5)-楽しい読書289号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/02/post-361c76.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/6e9eaaa081df9735e2be1975a9d0ff57

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◆ 『楚辞』もう一つのタイプの詩 ◆
 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(8)
  『楚辞』(6)
  ~ 宋玉「九弁」「招魂」 ~
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今回の参考文献――

『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
明治書院
『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社
『楚辞』目加田誠/訳・解説
 平凡社〈中国古典文学大系・15〉『詩経・楚辞』


(画像:書影(タイトル部分)『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編 明治書院 2004.6.20)

(画像:書影(タイトル部分)『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編 明治書院 2004.6.20,『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』(江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20))

 ●宋玉について

(略)

 ●宋玉「九弁」

(略)

 ・・・

「九弁」(第一段の冒頭)

 《悲哉秋之為気也
   悲(かな)しいかな、秋(あき)の気(き)たるや。
  蕭瑟兮 草木搖落而変衰
   蕭瑟(しょうしつ)たり、
   草木(そうもく)搖落(ようらく)して変衰(へんすい)す。

  悲しいしいことよ、秋の気というものは。
  風はさわさわとさびしく鳴っている。
  それで草木は吹き散り、色も変わっておとろえる。

  憭(りっしんべんに尞)慄兮 若在遠行
  登山臨水兮 送将帰
   憭慄(りょうりつ)たり、遠行(えんこう)に在(あ)りて
   山(やま)に登(のぼ)り水(みず)に臨(のぞ)み、
   将(まさ)に帰(かえ)らんとするを送(おく)るが若(ごと)し。
  泬(さんずいに穴)寥兮 天高而気清
  寂寥兮 收潦而水清
   泬寥(けつりょう)たり、
   天(てん)高(たか)くして気(き)清(きよ)し。
   寂寥(せきりょう)たり、
   潦(りょう)を収(おさ)めて水(みず)清(きよ)し。

  逝く秋には心がいたみ悲しむ。
  それは遠い旅路で、山に登ったり、水辺に立ったりして、
  故郷に帰ろうとする人を送る時の気分のようである。
  秋の眺めはむなしく雲もない。天は高く空気は清らかである。
  秋の野はひっそりと物影もない。
  道の溜り水も収まり引いて、秋の水は澄んでいる。

  憯悽増欷兮 薄寒之中人
  愴怳懭悢(りっしんべんにそれぞれ兄、廣、良)兮 去故而就新
   憯悽(さんせい)として増々(ますます)欷(すすりな)き、
   薄寒(はくかん)之(こ)れ人(ひと)に中(あ)たる。
   愴怳(そうこう)懭悢(こうろう)として、
   故(こ)を去(さ)りて新(しん)に就(つ)く。

  心は悲しみ痛んで、いよいよすすり泣き、
  薄ら寒い秋の気は人の身にしみる。
  そんな時物悲しく心うつろに、気もうちしおれ、
  住みなれた土地を去って見知らぬ国に行く。

  坎廩兮 貧士失職而志不平
  廓落兮 羇旅而無友生
   坎廩(かんらん)たり、貧士(ひんし)職(しょく)を失(うしな)いて
   志(こころざし)平(たい)らかならず。
   廓落(かくらく)たり、
   羇旅(きりょ)にして友生(ゆうせい)無(な)し。

  不遇に心楽しまず、貧しい士人は心中おだやかでない。
  ただ広々として寂しい。この旅の空に友達もいないのである。

  惆悵兮 而私自憐
   惆悵(ちゅうちょう)たり、
   而(しこう)して私(ひそ)かに自(みずか)ら憐(あわ)れむ。

  心はいたみ悲しむ。そしてひそかに自分を憐れに思う。

  (悲愁の候、貧士失職、遷客自ら哀れむとは、
   宋玉が屈原に代わってその心中を述べる。)》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「九弁」)


以下、屈原の悲しみ――孤独と君への思いを綿々と綴る。

『新書漢文大系・23・楚辞』では、十一段に分けていますが、
その第三段の表現は、<背景>によりますと、

 《ものみな枯れゆく秋の情景描写と索漠たる心情を重ね合わせて
  特に美しい》

といいます。(紹介すれば良いのでしょうけれど……。)

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』の
宇野直人さんによりますと、
この第一段の後世への影響が大きい、といいます。
秋を“悲しい季節”として表現した画期的な作品だ、と。

例えば『詩経』に歌われる秋は、
穫り入れ、収穫の季節として表現されているそうです。

この影響が日本に伝わって、“秋は悲しい”という感覚が定着した、と。

「九弁」は『楚辞』だけでなく、
『文選(もんぜん)』という名作集にも入っており、
平安時代の初めによく読まれ、注目された。

 ・・・

(略)

 ●宋玉「招魂」

(略)


(画像:『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』(江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20)「二、神々の黄昏――屈原・宋玉と『楚辞』」p.74-75(宋玉についての解説と「九弁」冒頭))

(画像:『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』(江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20)「二、神々の黄昏――屈原・宋玉と『楚辞』」p.76-77(宋玉「九弁」冒頭続きと解説))

 ・・・

「招魂」(第九段の末尾)

 《娯酒不廃 沈日夜些
   酒(さけ)を娯(たの)しんで廃せず、日夜に沈む。
  蘭膏明燭 華鐙錯些
   蘭膏(らんこう)の明燭(めいしょく)、華鐙(かとう)錯(お)く。
  結撰至思 蘭芳仮些
   至思(しし)を結撰(けつせん)して、
   蘭芳(らんほう)仮(おお)いなり。
  人有所極 同心賦些 
   人(ひと)極(いた)る所(ところ)有(あ)り、
   心(こころ)を同(おな)じうして賦(ふ)す。
  酎飲尽歓 楽先故些 
   酎飲(ちゅういん)して歓(かん)を尽(つ)くし、
   先故(せんこ)を楽します。
  魂兮帰来 反故居些 
   魂(こん)よ帰(かえ)り来(き)たりて、故居(こきょ)に反(かえ)れ。

  酒を楽しんで止めず、日夜耽り飲む。
  蘭のかおりの膏(あぶら)にともる明るいともし火、
  花紋を彫刻そた灯台が置かれる。
  思いをこめて綴り述べる詩は、蘭の香りのように清く立派である。
  人々は各自思いの至りきわまるところがあるが、同じ心で詩を作る。
  酒を飲んで楽しみを尽くし、先祖や昔馴染の人々を楽しませる。
   (こんな好い所はほかにはない。)
  魂よ帰って、もとの住居(すまい)に戻りなさい。》


「招魂」(第十段ラスト)

 《朱明承夜兮 時不可以淹
   朱明(しゅめい)夜(よる)を承(う)けて、
   時(とき)は以(もつ)て淹(とど)む可(べ)からず。
  皋蘭被径兮 斯路漸
   皐蘭(こうらん)径(けい)を被(おお)いて、
   斯(こ)の路(みち)漸(ひた)る。
  湛湛江水兮 上有楓
  目極千里兮 傷春心 
   湛湛(たんたん)たる江水(こうすい)、
   上(うえ)に楓(ふう)有(あ)り。
   目(め)は千里(せんり)を極(きわ)めて、
   春心(しゅんしん)を傷(いた)ましむ。
  魂兮帰来 哀江南 
   魂(こん)よ帰(かえ)り来(き)れ、江南(こうなん)哀(かな)し。

  太陽の光は夜陰の後を受けて輝き、
  過ぎ行く時は止めることができない。
  月日は早くも過ぎ去ってしまった。
  今も沢の蘭は小路を蔽って茂っているのに、
  この路は水に漸(ひた)っている。
  湛(たた)え満ちた大川の水、
  その上には楓樹が茂る。
  千里遠く目の届く限り眺めていると、春の心を傷ませる。
   (屈原の自述。)

  魂よ、帰りなさい。江南は哀しい。(招辞)》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「招魂」)


『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
<背景>によりますと、

 《「招魂」は楚辞の一つの典型となって伝わった。
  自らの魂を田園に招き寄せた陶淵明の「帰去来」の辞も
  この系統に属し、
  庚信の「哀江南賦」、杜甫「哀江頭」などの題は、
  この篇の結びの句に拠っている。》

といいますように、
後世の漢詩に影響を与えた宋玉の「招魂」の紹介は
以上でおしまいです。

 ・・・

予定よりずっと長くなりましたが、『楚辞』の紹介は今回で終了です。
まずい紹介でしたが、お付き合いありがとうございました。

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 ● 漢詩の入門書等を読む

★『漢詩入門』一海知義/著 岩波ジュニア新書 1998.6.22

★『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
―漢詩の歴史をたどるシリーズ全4巻。第1巻は『詩経』から屈原の
 『楚辞』、漢や三国時代を経て東晋の陶淵明まで。
 俳優・声優の江原正士が専門家の宇野直人を相手に、代表的な詩
 を対話形式でわかりやすく読み解く。

★『漢詩入門』入谷仙介/著 日中出版 1979/01
―漢詩の有名作をたどりながら、その歴史と構造を解く漢詩入門。

★『中国の古代文学(一)神話から楚辞へ』白川静/著 中公文庫
BIBLIO 1980.9.10
―中国文学の原点『詩経』と『楚辞』の古代歌謡を『記紀万葉』と
 対比して考察する。文学の原点である神話が、中国では『書経』
 に人間の歴史として書き変えられ定着していると解説する。

 ●『楚辞』を読む

▲★『詩経・楚辞』目加田誠/訳 平凡社〈中国古典文学大系・15〉
昭和44 (1969)
―『詩経』『楚辞』の翻訳と解説。(後半は『楚辞』)

▲★『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
 明治書院 2004.6.20
―原文に書下し文と解説・背景を伏したコンパクトな入門書。

★『楚辞「離騒」を読む 悲劇の忠臣・屈原の人物像をめぐって』
矢田 尚子 東北大学出版会 2018/12/3
―その形成過程の歴史的背景を考慮しつつ、屈原伝説にとらわれず、
 作品本位に屈原と『楚辞』との関係をとらえ直そうとする。

 ▲マークは、本文で取り上げた本
 ★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。
 (基本的に、筆者が“偶然”手にしたものを取り上げています。)

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(8)『楚辞』(6) 宋玉」をお届けしています。

ここでは、宋玉の「九弁」「招魂」を取り上げています。

あくまでも部分的な紹介です。
後世に影響を与えたと言われる「賦」に関する部分、日本に伝わり「秋は悲しい季節」とされるようになったという「九弁」冒頭の部分、「招魂」のラストの部分を取り上げてみました。

 ・・・

長くなった『楚辞』の紹介でしたが、今回で終了です。
屈原の生涯における放逐とその悲しみを歌う「離騒」に惹かれ、長々とした紹介になりました。
その割に、要所を押さえられず、散漫な紹介になったかと思います。

またいずれ機会があれば、もう少し要領よく紹介したいものです。

 ・・・

では、詳細は本誌で!

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』

〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(8)『楚辞』(6)宋玉-楽しい読書291号

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『左組通信』復活計画[5]<左利きプチ・アンケート>全公開(5)-週刊ヒッキイ第591号

2021-03-21 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第591号 別冊編集後記

第591号(No.591) 2021/3/20
「2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その14)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [5]
 <左利きプチ・アンケート> 全公開(5)」



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◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆ 
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第591号(No.591) 2021/3/20
「2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その14)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [5]
 <左利きプチ・アンケート> 全公開(5)」
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ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [5]
 <左利きプチ・アンケート> 全公開(5)第5回・第6回
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 「2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年」
 の14回目です。

 2004年年頭から2009年年末までの更新し続けたホームページ
 『レフティやすおの左組通信』復活計画として、
 メイン・コンテンツを順に全面的に
 このメルマガで再生・復活させる、の5回目です。

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その14)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [5]
  <左利きプチ・アンケート> 全公開(5)
  第7回 左利きでも字は右手で書くべきか?
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛

 ●<左利きプチ・アンケート> 全公開(5)

今回も、
アンケート作成サイト<プチ・アンケート>のサイトから
削除され、現在見ることのできない初期のアンケートのうち、
まずは「第7回 左利きでも字は右手で書くべきか?」を紹介します。


アンケート投票者による「ご意見ボードへの書き込み」の転載は、
著作権等の観点から今回は割愛しました。
ご了承ください。

 ●第7回 左利きでも字は右手で書くべきか?


(画像1.今は亡きホームページ『レフティやすおの左組通信』の<左利きプチ・アンケート>ページのトップページ)

(画像2.今は亡きホームページ『レフティやすおの左組通信』の<左利きプチ・アンケート>の第7回左利きでも字は右手で書くべきか?のページのヘッド部分)


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左利きを考える レフティやすおの左組通信
 Lefty Yasuo's HIDARIGUMI Announcement
  <左利きプチ・アンケート>
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(初出)2004.9.11(最終)2005.11.1/2007.11.16
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<左利きプチ・アンケート>
第7回 左利きでも字は右手で書くべきか?
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左利きでも字は右手で書くべきか?

左利きのお子さんに対して、
左利きを右手使いにするべきだと考える人は徐々に少なくなっています。
しかし、他の動作はともかく字を書くことに関しては、
書道の先生ならずとも、
字は右手で書くべきだという人が少なくありません。
主に右利きの人に多い意見ですが、左利きの人にも見られます。
この場合はご自分が右手使いの方に多いようです。
理由としては、左手では字は書きにくい、
字は右手で書くようにできている、というところです。

ある字の書き方を教えるサイトの先生も、
左利きでもきれいな字を書くのなら右手で、と教えています。

左利きの子であっても、お箸はともかく字だけは右手で、
もしくは、男の子はいいが女の子はカッコ悪いからやはり右手で、
という意見の親御さんもおられます。

また状況により、時と場合により、
右手と左手を使い分けるべきだという人もいます。
人前では右手で書き、私的な場面では左手を使って良い。
あるいは、習字・書道などの毛筆書きの大きな字などは右手で行い、
同じ毛筆でも小筆や通常の鉛筆やボールペンなどで字を書くときは
左手を使う、というような使い分けをすればよいというのです。

さて貴方は、
左利きの場合でも「字は右手で書くべきだ」と思われますか、
それとも「左手で良い」と考えておられますか。
次の中からいずれかひとつを選んでお答えください。

*投票者の利き手別で選択肢を用意しています。
ご自身でご自分の利き手を右もしくは左と、
どちらか判断した上で投票してください。

*一言言わせて、というお方は投票後に表示されます
一番下の「ご意見ボード」をご利用ください。
もっと言わせて、というお方は掲示板もご利用ください。
貴方のご意見ご感想をお聞かせください。


1(右利きの人)「やはり右手で」
2( 〃 ) 「女の子は右手で」
3( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」
4( 〃 ) 「左手でよい」
5(左利きの人)「やはり右手で」
6( 〃 ) 「女の子は右手で」
7( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」
8( 〃 ) 「左手でよい」


結果/ご意見ボードを見る

*『レフティやすおのお茶でっせ』9.9
「脳の性差と非利き手使い」で、
「女の子は右手で」に関して脳の性差から私なりに考察してみました。
(2004.9.9)
*このアンケートは、
(2004.8.15-9.11)まで(4週間)に渡って実施されました。

当アンケートの受付は終了しました。
あしからずご了承ください。


投票結果(初出締切時)
実施期間 2004.8.15-9.11(4週間)3:14=17

1 (右利きの人)「やはり右手で」 0
2 ( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
3 ( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 1
4 ( 〃 ) 「左手でよい」 2
5 (左利きの人)「やはり右手で」 2
6 ( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
7 ( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 0
8 ( 〃 ) 「左手でよい」 12

―その後の変化―

1(右利きの人)「やはり右手で」 10 [+10
2( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
3( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 1
4( 〃 ) 「左手でよい」 3 [+1
5(左利きの人)「やはり右手で」 2
6( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
7( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 1 [+1
8( 〃 ) 「左手でよい」 14 [+2
 (投票数変動確認日:2005.11.1)

2005年8月9日より、(1)番の投票が大きく伸びています。(0→10)
いつ頃からか、正確な記録を取っていないのでわかりませんが、
最近のことのようです。

1(右利きの人)「やはり右手で」 47 [+37
2( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
3( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 2 [+1
4( 〃 ) 「左手でよい」 4 [+1
5(左利きの人)「やはり右手で」 3 [+1
6( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
7( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 3 [+2
8( 〃 ) 「左手でよい」 16 [+2
2006.5.10

1(右利きの人)「やはり右手で」 121 [+74
2( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
3( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 3 [+1
4( 〃 ) 「左手でよい」 8 [+4
5(左利きの人)「やはり右手で」 6 [+3
6( 〃 ) 「女の子は右手で」 0
7( 〃 ) 「状況により右手と左手の使い分けを」 4 [+1
8( 〃 ) 「左手でよい」 26 [+10
2007.9.19

1(右利きの人)「やはり右手で」の投票が
極端に多数になっています。
一因に
特定の人物による長期間にわたる集中的な複数投票の疑いがあります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2021.3.17 (追記)

(略)

 ●教科書に掲載された左手書字例

弊誌でもずっと「左手書字例を教科書に」という
プロジェクトを実施していましたように、
従来、学校の教科書では、まるで左手で字を書く人がいないかのように、
もしくは、「字を書くのは右手」と決まっているかのように、
「右手で字を書く例」のみが掲載されていました。

しかし昨年、令和2年版の小学1年生の書写教科書で、
「左手で字を書く例」が、写真で掲載されたものが登場しました。

東京書籍 2年度用小学一年「あたらしい しょしゃ」



新しい書写 | 2年度用 小学校教科書のご紹介 | 東京書籍 - 東書Eネット
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou/shosha/introduction/page03.html

『レフティやすおのお茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書
「新しい書写 2年度用」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-0fbe38.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/dd08c16d81a211f5c60266bf57191f20


(画像3.東京書籍サイトより2年度用小学一年「あたらしい しょしゃ」P4-5「左手で字を書く例」)

(画像4.東京書籍サイトより2年度用小学一年「あたらしい しょしゃ」P4-5「左手で字を書く例」の黄色枠「左手例」の拡大図)

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本誌では、「2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その14)ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [5]<左利きプチ・アンケート> 全公開(5)」と題して、

今回も、全公開です。
<左利きプチ・アンケート 第7回 左利きでも字は右手で書くべきか?>を紹介しています。

ただし、今年(2021年)の追記だけは省略しています。

当時のご意見と私のコメント、および現時点での私の意見等も本紙の方でご覧ください。

最後に書き足した「●教科書に掲載された左手書字例」は転載しておきます。

*『レフティやすおのお茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」

 ・・・

詳細は、本誌で。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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『レフティやすおのお茶でっせ』〈左利きメルマガ〉カテゴリ

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
『左組通信』復活計画[5]<左利きプチ・アンケート>全公開(5)-週刊ヒッキイ第591号
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私の読書論142-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(6)ハヤカワ文庫の50冊(4)-楽しい読書290号

2021-03-16 | 本・読書
 ―第290号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2021(令和3)年3月15日号(No.290)
「私の読書論142-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(6)
ハヤカワ文庫の50冊(4)ミステリ文庫」




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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年3月15日号(No.290)
「私の読書論142-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(6)
ハヤカワ文庫の50冊(4)ミステリ文庫」
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 1970(昭和45)年に創刊された早川書房の文庫「ハヤカワ文庫」が
昨年、50周年を迎え、
 15歳からの私の読書生活52年のほぼ全てをカバーしている
 「ハヤカワ文庫」のお気に入りや、読んできた本の内、
 心に残る本を紹介してきました。

 ※ すべて今現在私の手元にある本から選んでいます。

   過去に持っていたけれど、押し出し整理法により、
   処分した本は除外しています。

  (図書館で借りて読んだものも除外しています。)


 前回までのおさらい――

【1】2020(令和2)年9月15日号(No.278)
「私の読書論135-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(1)」
2020.9.15
私の読書論135-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(1)
-楽しい読書278号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/09/post-93a384.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3df333247f5640e098891d55ddaaccd5
【最初の6冊】
1.SF『征服王コナン』2.NV『ローズマリーの赤ちゃん』
3.NV『女王陛下のユリシーズ号』4.HM『重賞』5.HM『死の接吻』
6.FT『夢の10セント銀貨』

【2】2020(令和2)年10月15日号(No.280)
「私の読書論136-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(2)」
2020.10.15
私の読書論136-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(2)
私のお気に入り7-楽しい読書280号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/10/post-0f243e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/56a232216e800eaf561dd1f4904b2cce
【私のお気に入り7】
(1)ジャック・フィニイ『ゲイルズバーグの春を愛す』
(2)ゼナ・ヘンダースン『果しなき旅路』
(3)ロバート・F・ヤング『ジョナサンと宇宙クジラ』
(4)ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』
(5)シャーリイ・ジャクスン
『野蛮人との生活―スラップスティック式育児法』
(6)クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』
(7)ルイス・ギルバート『フレンズ―ポールとミシェル』

【3】2020(令和2)年11月15日号(No.282)
「私の読書論137-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(3)
【私のお気に入り7】に続くもの ハヤカワ文庫の50冊(1)」
2020.11.15
私の読書論137-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(3)
ハヤカワ文庫の50冊(1)-楽しい読書282号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/11/post-3a6f3e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/85364a4c9cf932ced296000daefccee2
◎準【私のお気に入り7】――続編および同一作家の他の名作・佳作
(8)『夢の10セント銀貨』(9)『血は異ならず』(10)『時をとめた少女』
(11)『山荘綺談』(12)『続・フレンズ―ポールとミシェル』
それ以下(忘れ物)
(13)『フレームシフト』(14)『ヴァーチャル・ガール』
(15)『たったひとつの冴えたやりかた』(16)『魔界の紋章』
(17)『異次元を覗く家』(18)『夏への扉』(19)『アルジャーノンに花束を』
(20)『わたしを離さないで』

【4】2020(令和2)年12月15日号(No.284)
「私の読書論138-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(4)
ハヤカワ文庫の50冊(2)SF系の拾遺」
2020.12.15
私の読書論138-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(4)
ハヤカワ文庫の50冊(2)SF系の拾遺-楽しい読書284号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/12/post-6dcf8b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d5d58cdf2b456f12649ebad3b8f8c3d5
SF系の拾遺――シリーズもの三つ
▼C・L・ムーア +(イラスト)松本零士
<ノースウェスト・スミス>シリーズ
(21)『大宇宙の魔女』(22)『異次元の女王』『暗黒界の妖精』
<処女戦士ジレル>シリーズ
(24)『暗黒神のくちづけ―処女戦士ジレル』
▼ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン
  +(イラスト)天野嘉孝(あまの よしたか)
<ホーカ>シリーズ (25)『地球人のお荷物』
(26)『くたばれスネイクス』(27)『がんばれチャーリー』
▼火浦功<みのりちゃん>シリーズ +(イラスト)いしかわ じゅん
(28)『日曜日には宇宙人とお茶を』(29)『大冒険はおべんと持って』
「文庫JA」(30)『S-Fマガジン・セレクション1981』
(31)『美亜へ贈る真珠〔新版〕』
「文庫NV」(33)『時の地図 上・下』

【5】
2021(令和3)年2月15日号(No.288)
「私の読書論141-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(5)
ハヤカワ文庫の50冊(3)NVの数々」
2021.2.15
私の読書論141-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(5)
ハヤカワ文庫の50冊(3)NVの数々-楽しい読書288号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/02/post-5af022.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/bd2863095641ce166963a6aabc7405c8
「文庫NV」――冒険小説 (34)『ナヴァロンの要塞』
セシル・スコット・フォレスター〈海の男ホーンブロワー〉シリーズ
(35)『スペイン要塞を撃滅せよ』
ホラー:アンソロジー (36)『闇の展覧会〔1〕〔2〕』
ホラー:マシスン (37)『地球最後の男』
ホラー・幻想など (38)『地図にない町 ディック幻想短篇集』
サスペンス (39)『堕ちる天使』(40)『GATACA(上)(下)』

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  ◆ 「お子ちゃま」読者時代からのお友達 ◆
  私の読書論142-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(6)
   ―― ハヤカワ文庫の50冊(4)ミステリ文庫 ――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●ミステリ文庫の思い出

ハヤカワ文庫50周年記念の「ハヤカワ文庫の50冊」も
いよいよ大詰め、40点を超え、ラスト10点となりました。

ここで<ミステリ文庫>の登場です。

<ミステリ文庫>は創刊が1976年と後発のため、
私の読書初期からは少し間があり、
その分、もう一つ「これは」という思い出に欠けるところがあります。

ミステリは好きなジャンルでもあるのですが、
私の読書初期においては、創元推理文庫や新潮文庫といった所から
出ている作品を読んできました。

新潮文庫は、ルパン傑作集全10巻や
ホームズものを初めとするコナン・ドイルの短編集など。

創元では、アガサ・クリスティーやエラリー・クイーンなどの
初期作品を読んできました。

またクリスティーやクイーンの中期以降の作品や、
『ミステリマガジン』で知った作家たち――
《競馬スリラー》シリーズのディック・フランシスや
《87分署》シリーズのエド・マクベインなどのお気に入り作家たちは、
もっぱらハヤカワ・ミステリ(ポケミス)で読んでいました。

そのため、当初のミステリ文庫のイメージというのは、
あまり強いものがありません。
ようやく出たか、という感じで。

期待はありましたが、
ポケミスで手に入れにくかった名作が文庫で出てくるようになった、
その辺の部分だけが、当初のこの文庫のイメージでしょうか。

次には、文庫オリジナルで出た新刊もないこともないのですが、
当初ハードカバーで出て文庫化という流れの本、
これがやはり私にとっては、買う本の主体になっていきました。


(画像:ハヤカワミステリ文庫、クリスティー文庫の本29冊背表紙)

(画像:ハヤカワミステリ文庫、クリスティー文庫の本29冊表紙)

 ●ミステリ文庫――短編集から

では、ミステリ文庫から――。

まずは、「やっと手に入れた名作」編としては、
【最初の6冊】の『死の接吻』や
【私のお気に入り7】の『スイートホーム殺人事件』が
そういう一冊でした。

他には、

(41)『アデスタを吹く冷たい風』トマス・フラナガン 宇野利泰/訳
2015/06/04

(42)『ミステリマガジン700 海外篇
─創刊700号記念アンソロジー』杉江松恋/編 2014/04/24

(43)『密室大集合』アメリカ探偵作家クラブ傑作選7
エドワード・D・ホック/編 井上 一夫他/訳 1984/3/1

 ●ミステリ文庫――文庫化作品から

次に、ポケミスや四六判ハードカバー本で出版されたのち、
文庫となった文庫化作品を――

まずは、私の好きな作家の一人ランズデールの作品から。

(44)『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール 北野 寿美枝/訳
2005/3/24

(45)『ダークライン』匝瑳 玲子/訳 ミステリ文庫 2006/7/1

 ●ミステリ文庫――少し古い作品から

次は、少し前の古い作品、古本屋さんで改めて買い直した本から――

(46)『沈黙のセールスマン』マイクル・Z・リューイン 石田善彦/訳
1994/5/1

(47)『謎のクィン氏』アガサ・クリスティー 石田 英二/訳
1978/10/1

(48)『クレアが死んでいる』エド・マクベイン 加島 祥造/訳 1978/9/1

(49)『その雪と血を』ジョー・ネスボ/著 鈴木恵/訳 2018/11/20

*参照:
2019(令和元)年11月30日号(No.260)
「クリスマス・ストーリーをあなたに~(9)
『その雪と血を』ジョー・ネスボ」
2019.11.30
クリスマス・ストーリーをあなたに(9)『その雪と血を』ジョー・ネスボ
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2019/11/post-2d509d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e0b43669289d5be0dd6bc01509240c60

 ●ミステリ文庫――<左利きミステリ>から

次に、<左利きミステリ>を――

(50)『カリフォルニア・ガール』T・ジェファーソン・パーカー
七搦 理美子/訳 2008/3/7

この作品は、2001年の『サイレント・ジョー』に続き、2004年の本書で
二度目のアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した。
文庫本で650ページの大作ですが、とにかく興味深い内容で読ませます。

記憶で書きますと、カリフォルニア・オレンジのポスターの娘が
首を切られて殺されます。
その事件を追うのが、その昔娘がまだ小さい頃から知っている三兄弟……。

一部書きますと、左利きの「犯人」が登場します。

*参照:
第339号(No.339) 2012/11/17 「名作の中の左利き
~推理小説編13~左利きにご用心『カリフォルニア・ガール』」

 ・・・

アガサ・クリスティーの個人文庫<クリスティー文庫>から、
私が今までに見つけた<左利きミステリ>な作品を――

(51)『ビッグ4』中村 妙子/訳 2004/3/16

問題作でもある名作『アクロイド殺し』の次の作品ということで、
一部から失敗作とも言われる<名探偵ポアロ>ものの第4作。
過去に雑誌に連載した短編をまとめて長編化したもの。
意外に拾いもので、第11章の「チェスの問題」が左利きミステリ。
被害者の左利きの特性を利用したトリック。
私のようにポアロとヘイスティングズのコンビがお好きな人には、
(ある理由により)必読の一冊でもあります。

(52)『オリエント急行の殺人』 山本 やよい/訳 2011/4/5

何度も映画化、ドラマ化されているポアロものの名作中の名作。
複数の傷跡から右利きと左利きの犯人がいると推されるが……。

(53)『死人の鏡』小倉 多加志/訳 2004/5/14

ポアロものの中編3編短編1編を集めたもの、
冒頭の「厩舎街(ミューズ)の殺人」が左利きミステリ。
この作品は、以前に何度か紹介しています。

*参照:
第355号(No.355) 2013/3/16「名作の中の左利き
~推理小説編14~ 不審な自殺「厩舎街の殺人」クリスティー」

2005.4.4 左利きが手掛かりになる推理小説―
クリスティー「厩舎街(ミューズ)の殺人」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2005/04/post.html

(54)『ゼロ時間へ』三川 基好/訳 2004/5/14

クリスティーのレギュラー探偵のなかでは数少ない登場作のひとり、
バトル警視が活躍する名作。
犯罪が起こってから始まるミステリの常識を覆し、
犯行の時間(ゼロ時間)へ向かうという野心的な物語です。
左利きのあの人が犯人なのか?

 ●ディック・フランシスの手持ち文庫本から

最後に私の好きだった作家ディック・フランシスから――

先にも書きましたように、私にとっては、<ポケミスの作家>もしくは、
四六判ハードカヴァーの作家ということになるのですけれど。

ハードカヴァー版になってからは、値段もさることながら、
置き場所の点から、ポケミスの時のように新作が出るたびに買う
という余裕がなくなり、偶然文庫化されたものを見つけたときに買う
という状況で、探しても買うということがなく、
ごく一部の本が手元にあるだけです。

作品の良し悪し好き嫌いの別はありません。

【最初の6冊】のひとつ『重賞』だけは別ですが。

今手持ちの本の書名のみ列挙しておきます。

『追込』『障害』『配当』『奪回』『証拠』
シッド・ハレー以外で初めての同一主人公の二作『侵入』『連投』、
『直線』『標的』
休筆後息子さんと復活した第一作『再起』、
正式に息子さんとの共著となった復活第二作『祝宴』。
『重賞』込みで12冊ですね。


(画像:ハヤカワミステリ文庫ディック・フランシスの手持ち本12冊表紙)

ポケミス13冊と、ハードカヴァーの『利腕』を合わせて、
44冊中26冊持っていることになります。

 ・・・

以上で「ミステリ文庫編」終了です。

次回は、小説以外のノンフィクションやガイドブックなどを
取り上げてみます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論142-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(6)ハヤカワ文庫の50冊(4)ミステリ文庫」と題して、ハヤカワ文庫の読書歴とともに、“ハヤカワ文庫の50冊”の4回目として「ミステリ文庫」から短篇集、アンソロジー、文庫化作品、古い作品、<左利きミステリ>を紹介しています。

個々の作品についての紹介文は省略しています。

「●ミステリ文庫――<左利きミステリ>から」の部分のみ転載しています。

これはこのブログへのサービスというところです。
それ以外の作品については、本誌をご覧ください。

よろしく!

 ・・・

では、詳細は本誌で!

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論142-私を育てたハヤカワ文庫創刊50周年(5)ハヤカワ文庫の50冊(4)ミステリ文庫-楽しい読書290号

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左利きの人生を考える(5)左利きへの「違和感」と「慣れ」-週刊ヒッキイ第590号

2021-03-07 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第590号 別冊編集後記

第590号(No.590) 2021/3/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(5)
 左利きに関する「違和感」と「慣れ」について」



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◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆ 
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第590号(No.590) 2021/3/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(5)
 左利きに関する「違和感」と「慣れ」について」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「左利き本のために――左利きの人生を考える」

1.
第580号(No.580) 2020/10/3
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(1)」
2020.10.3
左利きの人生を考える(1)「左利きライフ」ってなんだ?
-週刊ヒッキイ第580号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/10/post-74d0ad.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/9fd4faf107df28e356f39f62a2c1c2b2

2.
第582号(No.582) 2020/11/7
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(2)
 「わたしの彼は左きき」の時代:1970年代(1)」
2020.11.7
左利きの人生を考える(2)「わたしの彼は左きき」の時代:
1970年代(1)-週刊ヒッキイ第582号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/11/post-2a8f44.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/0ca665ee810b3e7d76930fa440e09892

3.
第584号(No.584) 2020/12/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(3)
 「わたしの彼は左きき」の時代:1970年代(2)」
2020.12.5
左利きの人生を考える(3)「わたしの彼は左きき」の時代:
1970年代(2)-週刊ヒッキイ第584号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/12/post-353947.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7c9eecb41a1cf9d7029f1365375460d6

4.
第588号(No.588) 2021/2/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(4)
 「わたしの彼は左きき」の時代:1970年代(3)」
 ――1970年代は日本における左利き観の転換期だった
2021.2.6
1970年代は左利き観の転換期「わたしの彼は左きき」の時代
-週刊ヒッキイ第588号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/02/post-be0a5a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/25ecbd3c5e0310ed2de154eec14acfef
左利き年表◆ 1970年代は日本における左利きの転換期 ◆

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
  (左利き本のために)――左利きの人生を考える(4)
  ◆ 「心のバリアフリー」 ◆
   ~左利きに関する「違和感」と「慣れ」~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●左利きの人を見たときに感じる「違和感」とは?

*参照:
『五体不満足 完全版』乙武 洋匡 (講談社文庫 2001/4/4)


(画像:(書影)『五体不満足 完全版』乙武 洋匡 講談社文庫)

(画像:『五体不満足 完全版』より、乙武さんの左利き発言の部分)

第589号(No.589) 2021/2/20
「2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その13)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [4]
 <左利きプチ・アンケート> 全公開(4)」

●左利きに関する「違和感」と「慣れ」
 ●20年ほど前の経験――「気持ち悪い」
 ●『五体不満足』における「慣れ」について


(画像:『五体不満足 完全版』より、「違和感」と「慣れ」発言の部分)

 ●子供の頃の環境
 ●「他人を認める心」→「心のバリアフリー」
 ●「慣れ」の先には?

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その24―
 左利き本のために――左利きの人生を考える(5)
 左利きに関する「違和感」と「慣れ」について」
と題して、
私の経験と供に、左利きの人の仕草を目にしたときに感じる「違和感」と「慣れ」について紹介しています。

今回は、内容はすべて省略しています。

詳しくお知りになりたい方は本誌をご購読ください。
無料で、登録できますので、よろしくお願い申し上げます。


次回の予告だけ。
次回は最近よく聞く「ダイバーシティ」という言葉について考えて見ようと持っています。

日本語で言えば「多様性」という意味で、「誰もが平等に」「多様な人材を認め、活用する」といった意味に使われているようなのです。

でも、どうも私には左利きが忘れられているように思うのですけれど……。

 ・・・

詳細は、本誌で。

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『レフティやすおのお茶でっせ』〈左利きメルマガ〉カテゴリ

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
左利きの人生を考える(5)左利きへの「違和感」と「慣れ」-週刊ヒッキイ第590号

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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)『楚辞』(5)-楽しい読書289号

2021-03-01 | 本・読書
 ―第289号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2021(令和3)年2月28日号(No.289)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)
『楚辞』(5)屈原「九歌」「漁父」」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年2月28日号(No.289)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)
『楚辞』(5)屈原「九歌」「漁父」」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 またまた久しぶりに、
 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」の7回目。

今回は、『楚辞』の5回目で、
 屈原の「離騒」以外の他の作品を取り上げています。


2020(令和2)年6月30日号(No.273)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)」

2020.6.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)
-「楽しい読書」第273号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/06/post-da2d6a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4674b3200df69fc61b39c71e135b0eea

2020(令和2)年9月30日号(No.279)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(4)『楚辞』(2)
「離騒」前編」

2020.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(4)『楚辞』(2)「離騒」前編
-楽しい読書279号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/09/post-a9bc2d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/69a03a861ab11437b3e548aa7417dfb9

2020(令和2)年10月31日号(No.281)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(5)
『楚辞』(3)「離騒」後編」

2020.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(5)『楚辞』(3)
-楽しい読書281号
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2021(令和3)年1月31日号(No.287)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)
『楚辞』(4)屈原の他の作品「九章」」

2021.1.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)『楚辞』(4)
-楽しい読書287号
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◆ 『楚辞』もう一つのタイプの詩 ◆
 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)
  『楚辞』(5)
  ~ 屈原「九歌」「漁父」 ~
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今回の参考文献――

『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
明治書院
『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社
『楚辞』目加田誠/訳・解説
 平凡社〈中国古典文学大系・15〉『詩経・楚辞』

 ●屈原「九歌」

(略)

 ●九歌十一篇――
   (一)東皇太一(二)雲中君(三)湘君(四)湘夫人

以下、『新書漢文大系・23・楚辞』「九歌」各詩篇の解説
<背景>欄の文章を引用または参考に紹介します。

(一)「東皇太一」は、

 《祭祀の席の豪華な設えや、供え物の酒の芳ばしさ、
  神に捧げる楽と舞いの美しさを言祝ぐことで
  神への崇敬を表現し、九歌の筆頭を飾る。》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「九歌(一)東皇太一」<背景>)

冒頭の一節。

 《吉日兮辰良 穆将愉兮上皇
   吉日(きちじつ)の辰(しん)も良(よ)し。
   穆(つつし)みて将(まさ)に
   上皇(じょうこう)を愉(なぐさ)めんとす。

  今日のよき日の時刻も良い
  ここに敬(つつし)んで上天の神を慰め奉ろう。》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「九歌(一)東皇太一」)

(二)雲中君

雲の神が巫に降臨し、日月に等しい光を放ち、
空を遠く飛び去って行く。
その様を憧憬を持って描く。

(三)湘君(四)湘夫人

これらは先にも書きましたように、二篇で一つ。
湘君と湘夫人で男女一対の湘水の神。
恋い慕い合う心情を歌う。

「(三)湘君」

 《君不行兮夷猶 蹇誰留兮中洲
   君行(ゆ)かずして夷(い)猶(ゆう)す。
   蹇(ああ)誰(たれ)か中洲(ちゅうしゅう)に留(とど)まれる。

  美要眇兮宜修 沛吾乗兮桂舟
   美しく要眇(ようびょう)として宜修(ぎしゅう)に、
   沛(はい)として吾(われ)桂舟(けいしゅう)に乗る。

  令沅湘兮無波 使江水兮安流
   沅湘(げんしょう)をして波(なみ)無(な)からしめ、
   江水(こうすい)をして安(やす)らかに流(なが)しめ、

  望夫君兮未来 吹参差兮誰思
   夫(か)の君(きみ)を望(のぞ)めども未(いま)だ来(き)たらず、
   参差(しんし)を吹(ふ)いて誰(たれ)かを思(おも)う。

  かの君はまだ行かずにためらっている。
  ああ、川の中洲に留まっているのは誰だろう。
  美しくみやびやかに、粧(よそお)いも整い、
  ゆらりと私は桂の舟に乗る。
  湘水の神なれば、私は沅水と湘水に波も立てさせず、
  大川の水を安らかに流れさせ、
  かの君、湘夫人を望み見るけれども、まだ来られない。

  (略)

  捐余玦兮江中 遺余佩兮灃浦
   余(よ)が玦(けつ)を江中(こうちゅう)に捐(す)て、
   余(よ)が佩(はい)灃浦(れいほ)に遺(す)て、
  采芳洲兮杜若 将以遺兮下女
   芳洲(ほうしゅう)の杜若(とじゃく)を采(と)り、
   将(まさ)に下女(げじょ)に遺(おく)らんとす。
  時不可兮再得 聊逍遥兮容与
   時(とき)は再(ふたた)び得(う)可(べ)からず。
   聊(しばら)く逍遥(しょうよう)して容与(ようよ)せん。

  私の玦(けつ)のさげ玉を大川の中に投げ入れ、
  私の佩び物を灃浦の中に落とし込んで、
  芳しい草の茂る中洲の杜若を摘み取り、
  下にいる乙女の君に贈ろうと思う。
  君と会う時はまたと得られないのだから、
  しばらくここにあてもなくさまよい、ゆっくりと君と遊ぼう。》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「九歌(三)湘君」)

「(四)湘夫人」

 《帝子降兮北渚 目眇眇兮愁予 
   帝子(ていし)北渚(ほくし)に降(くだ)る。
   目(め)眇眇(びょうびょう)として予(よ)を愁(うれ)えしむ。
  嫋嫋兮秋風 洞庭波兮木葉下 
   嫋嫋(じょうじょう)たる秋風(しゅんぷう)は、
   洞庭(どうてい)波(なみ)だって木葉(もくよう)下(くだ)る。
  登白薠兮騁望 与佳期兮夕張 
   白薠(はくへん)に登(のぼ)りて望(のぞ)みを騁(は)せ、
   佳期(かき)を与(とも)にせんとして夕(ゆう)べに張(は)る。
  鳥何萃兮蘋中 罾何為兮木上 
   鳥(とり)何(なん)そ蘋(ひん)の中(なか)に萃(あつ)まれる。
   罾(あみ)何(なん)ぞ木(き)の上(うえ)に為(な)せる。

  天帝の御子湘君は北の渚に降りたもう。
  目路もはるかに眺めていると、私を悲しませるのである。
  そよそよと吹きつづける秋の風の中に立っていると、
  洞庭の広い湖面に波が立って、
  岸の木の葉がしきりに散っている。
  白薠(しろはます)に踏み乗り、目のとどく限り、
  かの君との楽しい逢瀬のために支度をする。

  (略)

  捐余袂兮江中 遺余褋兮澧浦
   余(よ)が袂(へい)を江中(こうちゅう)に捐(す)て、
   余(よ)が褋(ちょう)を澧浦(れいほ)に遺(す)て、
  搴汀洲兮杜若 将以遺兮遠者
   汀洲(ていしゅ)の杜若(とじゃく)を搴(と)り、
   将(まさ)に以(もつ)て遠(とお)きの者(もの)に遺(おく)らんとす。
  時不可兮驟得 聊逍遥兮容与
   時(とき)は驟々(しばしば)得(う)可(べ)からず。
   聊(しばら)く逍遥(しょうよう)して容与(ようよ)せん。

  私の袷(あわせ)肌着を江中に投げ、
  私の褋(ひとえ)を澧浦の水に落とし込み、
  川の中洲の杜若を取って、遠く離れているあの人に贈ろう。
  君と会うのによい時は、しばしばは得られないから、
  しばらくここに目的もなく歩きまわり、ゆっくりと遊ぼうと思う。》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「九歌(四)湘夫人」)

「(三)湘君」「(四)湘夫人」それぞれの冒頭と結びの分です。
それぞれ対応しているのがわかります。


 ●九歌十一篇――(五)大司命(六)少司命(七)東君
   (八)河伯(九)山鬼(十)国殤(十一)礼魂

(五)大司命(六)少司命

こちらも二篇で一つ。寿命・運命を司る星の神。
「湘君」「湘夫人」同様、男女一対の神が互いに恋い慕い合う歌。

(七)東君

東君は太陽神。
東の空に朝日が昇り、宮殿を照らす。
日の神となった巫女は日の出を情景を歌う。

(八)河伯

河伯は、黄河の神。古くは河神と称された。
巫女がこの河伯を恋する気持ちを歌う。

(九)山鬼

山鬼は、山中の女の精霊。
人間の男性を誘惑する神女として、
雲や雨などの自然現象に取り巻かれた夢幻的な存在。
そんな私が貴公子のあなたを待っているのに……、と歌う。

(十)国殤

「殤」とは、成人前に死んだ者や戦死者。
国のために犠牲となった死者の霊を慰めるために、
その戦場における奮戦ぶりを歌頌して功績を称える。
肉体は死んでも精神は不死であることを祈る鎮魂歌。

(十一)礼魂

「礼魂」とは、霊魂に礼を献ずるの意。
国から何る短い詩で、独立した一篇というより、
全体をまとめる「乱辞」とする説。
(一)「東皇太一」を九歌十一篇の最初にある迎神曲とみて、
「礼魂」は、祭祀の終わりを告げる送神曲とする見方もある。
または、まえの「国殤」と対応させて、無事に一生を終えた人の、
霊魂を祭るものとする見方もある。

 《成礼兮会鼓 伝芭兮代舞
   礼(れい)を成(な)して鼓(つづみ)を会(かい)し、 
   芭(は)を伝(つた)えて代(か)わる代(が)わる舞(ま)う。
  姱女倡兮容与
   姱女(かじょ)倡(うた)いて容与(ようよ)たり。
  春蘭兮秋菊 長無絶兮終古
   春蘭(しゅんらん)と秋菊(しゅうぎく)と、
   長(なが)く絶(た)ゆること無(な)く終古(しゅうこ)ならん。
  
  儀礼を手落ちなく行い、太鼓を打ち連れて、
  香草を手渡しては、代わる代わる舞う。
  みめよき巫女は歌をうたって、のどかに遊ぶ。
  春の蘭と秋の菊と、香りよき花を供えて、
  祭りは長く絶えることなく、
  とこしえまでも変わらないであろう。》

(『新書漢文大系・23・楚辞』「九歌(十一)礼魂」)

終わり。

 ●「漁父」

(略)

 ●「漁父」と屈原のイメージについて

(略)

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 ● 漢詩の入門書等を読む

★『漢詩入門』一海知義/著 岩波ジュニア新書 1998.6.22


★『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
―漢詩の歴史をたどるシリーズ全4巻。第1巻は『詩経』から屈原の
 『楚辞』、漢や三国時代を経て東晋の陶淵明まで。
 俳優・声優の江原正士が専門家の宇野直人を相手に、代表的な詩
 を対話形式でわかりやすく読み解く。


★『漢詩入門』入谷仙介/著 日中出版 1979/01
―漢詩の有名作をたどりながら、その歴史と構造を解く漢詩入門。


★『中国の古代文学(一)神話から楚辞へ』白川静/著 中公文庫
BIBLIO 1980.9.10
―中国文学の原点『詩経』と『楚辞』の古代歌謡を『記紀万葉』と
 対比して考察する。文学の原点である神話が、中国では『書経』
 に人間の歴史として書き変えられ定着していると解説する。


 ●『楚辞』を読む

★『詩経・楚辞』目加田誠/訳 平凡社〈中国古典文学大系・15〉
昭和44 (1969)
―『詩経』の翻訳と解説。(後半は『楚辞』)


▲★『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
 明治書院 2004.6.20
―原文に書下し文と解説・背景を伏したコンパクトな入門書。


★『楚辞「離騒」を読む 悲劇の忠臣・屈原の人物像をめぐって』
矢田 尚子 東北大学出版会 2018/12/3
―その形成過程の歴史的背景を考慮しつつ、屈原伝説にとらわれず、
 作品本位に屈原と『楚辞』との関係をとらえ直そうとする。


 ▲マークは、本文で取り上げた本
 ★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。
 (基本的に、筆者が“偶然”手にしたものを取り上げています。)

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)『楚辞』(5)」をお届けしています。

ここでは、屈原の「九歌」と屈原作と伝えられる「漁父」を取り上げています。

「九歌」は、一部のみ原文や読み下し、現代語訳を『新書漢文大系・23・楚辞』から紹介しています。

「漁父」は、短いものなので、全文紹介しています。
こちらでは省略していますけれど。

これで、屈原作とされるものの紹介者終了とし、次回からは、宋玉の作品を取り上げる予定です。

 ・・・

では、詳細は本誌で!

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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『レフティやすおのお茶でっせ』

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(7)『楚辞』(5)-楽しい読書289号
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