レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

新潮文庫にデイモン・ラニアン(『ガイズ&ドールズ』)が帰ってきた!

2024-06-24 | 本・読書
新潮文庫にデイモン・ラニアンが帰ってきました!
2024年5月29日に発売されました新潮文庫の新刊、田口俊樹訳のデイモン・ラニアン著『ガイズ&ドールズ』がそれ。
私にとっては<なつかしい友との再会>というところです。



40年前、1984年夏(8月1日)に発売された、加島祥造訳のデイモン・ラニアンの選集『ブロードウェイの天使』が、新潮文庫での初登場でした。
(絶版になってからでは34年らしいですが。)
当時私は、人にプレゼントするために、自分用の他に何冊も買いました。
今も一冊残っています。


まあ、それほど私のお好みの作家だったということですね。

1970年の高校二年生の夏休みから読み始めた『ミステリマガジン』という、<海外文学の早川書房>から発行されていた海外ミステリの専門誌で、英米文学者で詩人、のちに『老子』の現代詩訳で<伊那谷の老子>と呼ばれた加島祥造さんが、ぽつりぽつりと訳しては掲載されていたのが、このラニアンの短編でした。
その前には、これも新潮文庫で何年か前に再登場したリング・ラードナーの長短編を訳しておられたものでした。

今回は、訳者を英米ミステリ翻訳のベテランの田口俊樹さんにかえて、ラニアンの第一短編集を新訳で紹介。

前回のラニアン作品集は、なんといっても当時ラニアン紹介の第一人者であった加島さんによる<ラニアン傑作集>といった趣のあるものでした。
それゆえに、傑作中の傑作といってもいい、人気作を集めたものだったといっていいでしょう。
少なくとも、私にとっては、ほぼそういう内容の作品集になっていました。

例えば、(1)「プリンセス・オハラ」(2)「ブロードウェイの天使」「レモン・ドロップ・キッド」「片目のジャニー」など((3)は、本書にも収録されている「マダム・ラ・ギンプ」)。

今回は、単にラニアンの「第一短編集」ということで、作品の選定は当時の編集の人たちの手になるものです。
それはそれで意味のあることでしょう。

なにしろ、このラニアンの短編集は、ミステリの分野では、ミステリ作家であり編集者でもあったエラリイ・クイーンのポー以降の価値あるミステリ短編集を集めた『クイーンの定員 Queen's Quorum』にも選ばれていますから。

*参照:
「Queen's Quorum:クイーンの定員」
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~katsurou/conerstone/quorum/main.htm

第二期近代
#084 野郎どもと女たち Guys and Dolls(1931)

『クイーンの定員 3 傑作短編で読むミステリー史』エラリー クイーン/著 各務 三郎/編 光文社文庫 1992/4/1
収録作品「ドロレスと三人の野郎ども」

 ・・・

『ガイズ&ドールズ』デイモン・ラニアン/著、田口俊樹/訳 2024.5.29

目次(・は、「前」短編集収録作品)

序文
第一話 ブロードウェイのブラッドハウンド
第二話 社交場での大きな過ち
第三話 サン・ピエールの百合
・第四話 ブッチは赤子の世話をする
・第五話 リリアン
第六話 荒ぶる四十丁目界隈のロマンス
第七話 どこまでも律儀な男
・第八話 マダム・ラ・ギンプ
第九話 ダーク・ドロレス
・第十話 紳士のみなさん、国王に乾杯!
・第十一話 世界で一番ヤバい男
第十二話 ブレイン、わが家に帰る
・第十三話 血圧
・おまけの一話 ミス・サラ・ブラウンの恋の物語
解説 小森 収


この短編集に収録されている作品で私のお気に入りをいいますと――
(1)「マダム・ラ・ギンプ」――昔読んだときもおもしろいと思った作品、新喜劇なんかにあるパターンですよね。
(2)「サン・ピエールの百合」(3)「ミス・サラ・ブラウンのロマンス」といったところか。

子供や動物の登場する作品は、やはりいつの時代どこの国であって、人気は高いのでは、という気がします。
「ブロードウェイのブラッドハウンド」「ブッチは赤子の世話をする」「リリアン」「紳士のみなさん、陛下に乾杯」など。

私は演劇関係には疎いので、日本でのラニアン評価というものはよくわかりませんが、アメリカでは昔から非常に人気の高い作家だったようで、巻末資料にもあるように映画化・ドラマ化作品が多数あるようです。
日本では80年代に宝塚のレパートリーに入っているとのことです。

とにかく、今回の訳書が広く読まれ、デイモン・ラニアンの名が知られ、人気が高まることを願ってやみません。

*参考:
『ブロードウェイの天使』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 新潮文庫 赤 207-1 1984/8/1

<新書館・版>
1.『野郎どもと女たち』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1973.4
(新装版)『ブロードウェイ物語 1 野郎どもと女たち』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1987/11/1
2.『ブロードウェイの出来事』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1977
(新装版)『ブロードウェイの出来事 新装版 (ブロードウェイ物語 2) 』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1987/12/1
3.『ロンリー・ハート』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳  1983
(新装版)『ロンリー・ハート 新装版 (ブロードウェイ物語 3) 』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 1987/12/1
4.『街の雨の匂い ブロードウェイ物語 4』デイモン・ラニアン/著 加島 祥造/訳 新書館 1987/11/1


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

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[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号

2024-06-20 | 左利き
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
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 × × × × × × × × × × × × × × × ×
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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*「前編」も見てね! 「前編」はこちらで↓
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(9:40 配信)

登録はこちら↓
https://www.mag2.com/m/0000171874.html

または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その5回目です。


【過去のコラボ】

■1回目――

ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
 年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
 左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18

■2回目――

「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
 年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

■3回目――

【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267

■4回目――

<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。

前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96


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  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降

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<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等のミステリの総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』


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 1843:雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [番外編]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [ホラー]:ホラー [SF]:SF
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

(探)◆:左利きの探偵/探偵役
(被)▲:左利きの被害者
(犯)●:左利きの犯人
(容)▼:左利きの容疑者
(他)■:左利きのその他の事件関係者
(脇)╋:脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。


━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編>リスト
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降



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<左利きミステリ>【海外ミステリ】編

(12)・1891年(イギリス)「ボスコム谷の謎」アーサー・コナン・ドイル (犯)●
『シャーロック・ホームズの冒険』収録
――左利きの犯人 外科医の傷跡証言から。
『シャーロック・ホームズの冒険【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/1/1
《「外科医の検死報告にあった傷の状態は...
 真後ろから殴っているのに、傷は頭の左側にあった。
 ...これはどうみたって左ききの人物の犯行としか考えられない。」》p.175


(13)・1893年(イギリス)「黄色い顔」 アーサー・コナン・ドイル (他)■
『シャーロック・ホームズの回想』収録
――ホームズの留守中に来た依頼人の忘れ物から、左利きだ、と推理。
『シャーロック・ホームズの回想【新訳シャーロック・ホームズ全集】』
日暮雅通/訳 光文社文庫 2006/4/12
《「しかも焦げているのはパイプの右側だから、左ききだ。
きみのパイプをランプにかざしてごらんよ。
右ききだから、左側を火にさらすことになるだろう。」》

(参考) ジュリアン・シモンズ『コナン・ドイル』深町真理子/訳
創元推理文庫 1991/5/1
――彼はエディンバラ大学医学生時代、外来診療実習生として、
 エディンバラ病院の外科医でもあった恩師ジョーゼフ・ベル博士の
診療室での“講義”で推理法を身につけた。
新しい患者がはいってくると、ベル博士はずばりと言う。―
 「この人は左利きで、靴直し職人だ」それから、それを説明して...
「ズボンのひざ...右側のほうが、左側よりもはるかにすりきれかたが
激しい...底革を打つのに、左手を使っている証拠だよ」

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』
2005.9.17
依頼人は左利き―ホームズの名推理「黄いろい顔」より
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2005/09/post_4893.html
2011.9.24
推理小説と左利き:週刊ヒッキイhikkii278名作の中の左利き
~推理小説編1
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/09/hikkii2781-f03e.html


(14)・1899年クリスマスデイ[1999(アメリカ)]「クリスマスの陰謀」
 エドワード・D・ホック (犯)●
(原題) The Christmas Conspiracy
――ホームズ・パスティーシュ。
 1999年 "More Holmes for the Holidays" 収録
『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』
日暮雅通/他訳 原書房 2012/6/1 (原書)2008
《「でも、執事があの人だということが、どうやってわかったんですか?」
 「左利きだという明らかな事実が...首攻めをしたときも、
  左手を使って...写真でも...左手に銃を持って」》p.204 (日暮雅通/訳)


(15)・1896年(イギリス)「プラットナー先生綺談」H・G・ウェルズ [SF]
――SFファンタジー。四次元世界に飛ばされたのち戻ってきたら、
 右利きから左利きへ肉体の左右が逆転した男の話。
『バベルの図書館8白壁の緑の扉』ボルヘス/編 小野寺健/訳
国書刊行会 1988/9/24 収録
《ゴットフリート・プラットナーの体が解剖学的に左右逆転している
 というくらい厳然たる事実も例がないのだが》p.51
《さいきん右手が左手になってしまったらしい。》p.52

*参照:2020年2月15日
 『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』565号
 『レフティやすおの楽しい読書』264号
左右反転小説-左利きになった男(楽しい読書/週刊ヒッキイ・コラボ編)
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-386af3.html


(16)・1904年(アメリカ)「ミス・ペブマーシュ殺人事件」バロネス・オルツィ
 (被)▲
――右手にペンを持った被害者のダイイング・メッセージは……。
(初出)『ロイヤル・マガジン』1904年8月号
(単行本)1905年『ミス・エリオット事件』The Cace of Miss Elliott 収録
『隅の老人[完全版]』バロネス・オルツィ 平山雄一/訳 作品社 2014/1/31 収録
《(召使いの証言)「『奥様の字はいつも読みにくいんですよ。
 左手で書くとこうなってしまうんですねえ』」/
 「『左手だって!!!』と、検視官は息を呑んだ。...
 『だってそうなんですよ!』...『奥様は子供のころに右手に
 ひどい怪我をされて、何もつかめないのを知らなかったんですか?
 指が麻痺してしまったんですよ。インク壺はいつも書き物机の左側に
 置いてあるじゃありませんか。ええ! 奥様は右手では一文字も
 書けないんですよ』」》p.262


(17)・1906年(アメリカ)「余分な指」ジャック・フットレル (犯)●
――左手の人差し指を切り落としてくれと云う依頼を受けた外科医……。
(初出)『サタデー・マガジン』1906年11月25日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一/訳
作品社 2019/7/30
《「この人差し指を」...「第一関節で切断していただきたいのです。...」
 「どうして切り落としたいのですか?」...
 「それは申しあげられませんわ」...
 「先生がお知りになる必要はありません。あなたは外科医、
  私は手術をしてもらいたい。それで十分でしょう」》


(18)・1907年(アメリカ)「壊れたブレスレット」ジャック・フットレル
 (犯)●
――思考機械対賢い娘。住所を書いてといっても、
 左手に鉛筆を持ったまま躊躇する女。
(初出)『サタデー・マガジン』1907年9月8日号
『思考機械 [完全版]第二巻』ジャック・フットレル/著 平山雄一訳
作品社 2019/7/30
《...娘はちょっと手を止め、左手で持った鉛筆の尻で白い歯を叩き
 ながら考えていた。...》《「私、字が下手なんですもの。それに、
 手袋をしているから」...》p.382
《「...彼女は左利きか?」/「いいえ、違います。右利きです。...」》
p.383


(19)・(1909年)(イギリス)「アルミニウムの短剣」オースチン・フリーマン (容)▼
(原題) John Thorndyke's Case
――科学捜査を取り入れたソーンダイク博士探偵譚。左利きの容疑者。
 左後方からの短剣による刺し傷から推理。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
《「...背中の左側という短剣の位置からみて、
  犯人は左利きにちがいありません。...」》p.279


(20)・1911年(フランス) 「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン (犯)●
(原題) L'ECHARPE DE SOIE ROUGE
――怪盗紳士ルパン(リュパン)もの。ガニマール警部はルパンから
 「犯人は左利きだ」と教えてもらったことで命拾いする。
(初出)『ジュ・セ・トゥ JE SAIS TOUT』誌 79号(1911/08/15)
(単行本)『リュパンの告白』(原著1913)井上勇/訳 創元推理文庫 1966/3/24
(『世界短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫 1961/1/13)
『世界推理短編傑作集2』江戸川乱歩編 創元推理文庫・新版改題2018.9.14
「赤い絹の肩かけ」モーリス・ルブラン 井上勇/訳
《...リュパンが与えた警告を思い出した。プレヴァイユは左ききなのだ。
 左手で捜しているのは、ピストルだ。》p.144


(21)・(1913年)(アメリカ)『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム
 <ファンタジー・童話> (他)■
(原題)Patchwork Girl of Oz
――マンチキンの少年「不運なオジョ」は、13日の金曜日生まれの左利き
『オズのつぎはぎ娘』ライマン・フランク・ボーム 佐藤高子/訳
 ハヤカワ文庫NV 1977(昭和52)/12/15
《「偉大なる人物の多くは左ききだ」》
《「左ききは、ふつう、両方が使える。右ききはだいたいにおいて
 右しか使えない」》p.309


(22)・(1914年)(イギリス)「ディオニュシオスの銀貨」アーネスト・ブラマ
 (他)■
(原題) The Coin of Dionysius (第一短編集 "Max Carrados" 収録)
――盲人探偵初登場作品、脇役の私立探偵カーライルが左利き。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
 創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
《カーライル氏の右の袖口にハンカチがはさんであるということは、...
 カーライル氏が左利きである証拠だなどと推論することはしなかった。》
p.25


(23)・1917(1918)年(アメリカ)「藁人形」メルヴィル・デヴィッスン・
 ポースト (犯)●
(原題) The Straw Man (Uncle Abner, Maser of Mystery)
――アメリカ開拓時代のウェスト・ヴァージニアを舞台に、敬虔な
 キリスト教徒(プロテスタント)のアブナー伯父の探偵譚。左利きの犯人
 を、左という言葉を使うことなく(読者に伏せて)追い詰める。
初出不明、『イラストレイテッド・サンディ・マガジン』1917年6月10日号
再録、<EQMM>1959年12月号掲載
【邦訳】『ミステリマガジン』1975年4月号(No.228)掲載 山田辰夫/訳
『アンクル・アブナーの叡知』メルヴィル D.ポースト/著 吉田誠一/訳
ハヤカワ・ミステリ文庫 1976/1/1
――1918年出版の<アブナー>もの短編集(18編収録)の完訳。
『アブナー伯父の事件簿』メルヴィル・デイヴィスン・ポースト 菊池光
/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/1/20
《作者生前の短編集に未収録の作品を全編収めた待望の一巻!全14編収録》
《...人間の体は、奇妙な構造になっている。二つの同じような機構が
中央の胴体に結びつき合っているかのように、二つの面をそなえている
 のだ。右側、つまり、朝日に向かった時に南にある側と、左側、つまり
 北にある側だ。この二つの側面は同等ではない。一方が主導権をもって
 いてその人間を支配しており、困難な仕事に直面すると、人は、主導権
 を有するそのより能率的な側でその仕事に対処する。》 p.177
《「彼はつねに左側の壁を伝って歩いていたのだ。...」
 「なぜなら、主導権をもっているのが左側―つまり、犯人は左利き
 だからだ!》p.178

*参照:『左利きで生きるには週刊ヒッキイhikkii』
第287号(No.287) 2011/11/19「名作の中の左利き~推理小説編
 -2-「藁人形」M.D.ポースト」
2011.11.24
<アブナー伯父>「藁人形」:週刊ヒッキイhikkii287
名作の中の左利き~推理小説編2
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/11/hikkii2872-da28


(24)・(1918年)(イギリス)「消えた金融業者」オースチン・フリーマン
 [未](被)▲
(単行本)第3短編集"The Great Portrait Mystery"収録
――左利きの被害者。左手の指を死体入れ替わりトリックを破る証拠に
 仕立てようとしているが、今一歩で「左利きミステリ」の未熟児?
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
《「死者の左手の第三指に印章付きの指輪をはめていたとマーボットの
 医者は証言しているじゃないか。関節が膠着症の指に指輪をはめる
 わけはないだろう」》p.66


(25)・1924年(イギリス)「夜鶯荘」アガサ・クリスティ [準]左手首のほくろ
 /傷
(原題) Philomel Cottage
(初出)『グランド・マガジン』1924年11月号
――知り合ったばかりの男性と結婚した主人公は、二重結婚で妻を殺した
 男の古い新聞記事を夫の引き出しに見つける。その顔は夫にそっくり、
 左手首にほくろがあるというが、夫の左手首には傷が……。
『世界推理短編傑作集3』江戸川乱歩/編 創元推理文庫 新版改題 2018/12/2
《...その男には、左の手首、手のひらのすぐ下のところにほくろがある
 という事実.../...夫の左の手首、手のひらのすぐ下のところに、
 小さな傷あとがあるのだ。》p.173-174
『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティー 田村 隆一/訳
 ハヤカワ文庫 クリスティー文庫56 2003/12/15


(26)・(1925年)(イギリス)「砂丘の秘密」オースチン・フリーマン (被)▲
(原題) The Puzzle Look
(初出)『ピアスン』誌 単行本(1925年)"The Pazzle Lock"収録
――左利きの被害者。浜辺に残されていた服(左の袖口に油絵の具)と
  道具(パレットナイフの磨り減り方から)から。
『ソーンダイク博士の事件簿I』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1977/8/19
《「どうして左利き用とわかったんだ?」.../
 「刃のすりへった角度からだよ」》p.340


(27)・(1927)(イギリス)「ポンティング氏のアリバイ」オースチン・
 フリーマン (犯)●
(原題) The Magic Casket  第6短編集
――左利きの犯人。自殺に偽装した首のナイフの傷跡の方向(被害者自身
 の左から右へ)と左利きの犯人の手の動き(相手に向かって右から左へ)
『ソーンダイク博士の事件簿II』オースチン・フリーマン/著 大久保
康雄/訳 創元推理文庫 シャーロック・ホームズのライヴァルたち
1980/3/28
《...ハンカチを巻きつけた右手にパイプをもって、左手でタバコを
 つめた。不自由なくやってのけるところを見ると左ききらしい。
 マッチも左手でするし、腕時計も右の手首にはめているから、
 この推理はまちがいないようだ。》p.104


(28)・(1927年)(イギリス)「フラットの惨劇」アーネスト・ブラマ [準](被)▲
(原題) The Holloway Flat Tragedy
(1927年)第三短編集"Max Carrados Mystery"収録
――盲人探偵マックス・カラドスもの、「顔のない死体」もの、死体
 入れ替えの証拠作りのため手袋で隠す。被害者の左手指が欠損。
『マックス・カラドスの事件簿』アーネスト・ブラマ 吉田誠一/訳
 創元推理文庫シャーロック・ホームズのライヴァルたち 1978/4/10
《...彼は手袋をはめたままの左手を上げて、「指が一本ないので、
 こうしていつも手袋をはめているのですよ。...」》p.212


(29)・(1927年)(イギリス)『ビッグ4』The Big Four「11 チェスの問題」
 アガサ・クリスティー (被)▲
――名探偵エルキュール・ポアロものの短編連作風の長編の一章。
 世界的なチェス・プレイヤーの対戦で、3手目に相手が急死する。
 毒物は発見されず、左手に火傷の跡があるだけ。被害者は左利き。
『ビッグ4』アガサ・クリスティー 中村 妙子/訳 ハヤカワ文庫
 クリスティー文庫 2004/3/16
《「彼が左利きだということはどうですか?」/
 「あなたには驚かされます。まるで魔法使いのようですね、ムッシュ・
 ポアロ。どうしてわかったんですか? ええ、ウィルソンは左利き
 でした。事件とはべつに何の関係もありませんがね」》p.175


(30)・(1928)(フランス)「金歯の男」モーリス・ルブラン [準][番外編]
――ルパンがバーネットと称し、探偵社をやっていたときの事件。夜中に
 神父が目撃した、司祭館聖器室の宝物を盗んだ犯人は、左側に金歯。
 しかし、容疑者の金歯は右……。左右の問題。
『バーネット探偵社―ルパン傑作集VII―』モーリス・ルブラン
 堀口大學/訳 新潮文庫 1960/7/1
《「実は金歯ですよ。...二本あるんですが、ただ……。」/...
 「右側にあるんですよ……ところがわしが見たのは、左側なんです。」》
p.97


 ――以上、<ホームズ以後>19世紀末から20世紀初頭まで

 いずれ機会を見て、この続きの「1930年代<探偵小説黄金時代>以降」
 を紹介します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」と題して、今回も全文転載紹介です。

『週刊ヒッキイ』の「編集後記」にも書きましたように、現代編までかければベストでしたが、分量的に無理で、今回はここまでです。

<シャーロック・ホームズのらいヴァルたち>まではなんとか到達しました。
結構な冊数の<ライヴァルもの>を調べたつもりですが、すべてを網羅というのは難しいかと思います。

いよいよ次回は、<1930年代・探偵小説の黄金時代>以降現代まで、に突入です。
いつになるかはわかりませんが、お楽しみに。

今、20点ぐらいは判明しているものがあると思います。
もちろんきちんとした<左利きミステリ>ではないもの――登場人物の妄想であるとか、ラストの一場で登場したり、といったほんの一エピソードだけのものも含めての数字です。

そういう作品も含めても、楽しんでいただける内容になると信じています。
では。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

" target="_blank">[コラボ]私の読書論186-<左利きミステリ>第5回海外編(後)ホームズ以後--楽しい読書368号

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[コラボ]私の読書論185-<左利きミステリ>第5回海外編(前)ホームズ以前-週刊ヒッキイ第666号

2024-06-18 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第640号 【別冊 編集後記】

第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
  【左利きを考える レフティやすおの左組通信】メールマガジン
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第666号(Vol.20 no.11/No.666) 2024/6/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」
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 × × × × × × × × × × × × × × × ×
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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年6月15日号(vol.17 no.11/No.368)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:
私の読書論186-<左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降」
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*「後編」も見てね! 「後編」はこちらで↓
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』(12:00 配信)

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または、『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーで!
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/
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 今回は、私の発行しているメルマガ
 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』と
 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』のコラボ企画です。

 以前も何度か試みましたが、その5回目です。


【過去のコラボ】

■1回目――

ツイッターで紹介した【左利きミステリ入門】のまとめでした。
そこでは、海外編として、19世紀以前の作品をツイッターで
 年代・国名・著者名・作品名・左利きの登場人物・
 左利きに関する記述の該当箇所
などの情報を紹介した、まとめ編でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第577号(No.577) 2020/8/15
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)
×レフティやすおの楽しい読書(No.276)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2020(令和2)年8月15日号(No.276)
左利きの本を読む~ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)
×左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii(No.577)
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2020.8.15
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(1)-週刊ヒッキイ第577号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ed8cea.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/612cd4bd3edfdbeb612069497aef79fa
・ツイッター【左利きミステリ入門】まとめ(2)-「楽しい読書」第276号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/08/post-ec0ad2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/245bddeded4348e10aaa4a027a6fab18

■2回目――

「<左利きミステリ>その後」と題して、
過去の『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』の
「小説の中の左利き・推理小説編」やブログ等で紹介したもの以外に、
それ以降に見つけた<左利きミステリ>(広義のミステリ)のあれこれを
 年代・作品名・著者名(短編の場合は、収録書籍名)
をリスト化して紹介しました。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第595号(No.595) 2021/5/15
「楽しい読書コラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2021(令和3)年5月15日号(No.294)
「週刊ヒッキイコラボ企画:私の読書論144<左利きミステリ>その後」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2021.5.15
・私の読書論144-<左利きミステリ>その後
-週刊ヒッキイ595号&楽しい読書294号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/05/post-e0ec7a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/400a7921be1d016f8bfbff350762971a

■3回目――

【第一回】のツイッター版【左利きミステリ入門】の続きの
海外編「20世紀以降」版から
<ホームズのライヴァルたち>の作品の紹介でした。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
・第628号(No.628) 2022/10/15
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2022(令和3)年10月15日号(No.328)
「<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
 【左利きミステリ入門】ホームズのライヴァルたち」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2022.10.15
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
左利きミステリ~-週刊ヒッキイ第628号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-39e67a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/ad9796a23bf53cf6eb0e80182a9d7b6a
・<週刊ヒッキイ>×<楽しい読書>コラボ企画:私の読書論161
私の自作左利きミステリ-「楽しい読書」第328号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/10/post-1a4b2b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/03236262a34a6ee2e03b42bff06e3267

■4回目――

<左利きミステリ>の国内編――国内ミステリのリスト紹介でした。

前半=『週刊ヒッキイ』版は、1948年「アンゴウ」坂口安吾 から、
(1997年)『三月は深き紅の淵を』「第二章 出雲夜想曲」恩田陸 まで。
後半=『楽しい読書』版は、2003年「書肆に潜むもの」井上雅彦 から、
(2019年3月)『レフトハンド・ブラザーフッド』知念実希人 までを紹介。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
・第640号(No.640) 2023/4/15
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前編)」
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
・2023(令和5)年4月15日号(No.340)
「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書コラボ企画:
私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後編)」
【別冊 編集後記】
『レフティやすおのお茶でっせ』2023.4.15
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(前)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-d5c13e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/131b4f7933014dcedf057c75702ff28e
・私の読書論169-<左利きミステリ>第4回 国内編(後)
-週刊ヒッキイ640号×楽しい読書340号コラボ企画
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/04/post-5b4e1e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d0e3f19af79760633cbcc87cac454f96


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  ★ コラボ企画 ★

 『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

 × × × × × × × × × × × × × × × ×

 『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』
  <左利きミステリ>第5回 海外編
(後編)<ホームズ以後>19世紀末以降

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


<左利きミステリ>についてです。

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイ』で、
「名作の中の左利き/推理小説編」として紹介してきました。

その後、機会ある毎に新たな情報を追加しながら、今日に至っています。

今回は、<海外編>を紹介していきます。

 ・・・

*<左利きミステリ>とは、
 左利きの人が主要登場人物である物語や
 左利きの性質をトリックに活用した推理小説、
 左利きや左手や左右に関連した推理小説、サスペンス小説、
 ホラー作品等のミステリの総称をいう。


 国内ミステリ : 東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』
 海外ミステリ : エラリー・クイーン『シャム双子の秘密』


------------------------------------------------------------------
 1843:雑誌等初出年代 (1927):書籍刊行年代
 「」:短編、長編の一章 『』:収録短編集、長編
 [未]:<左利きミステリ>にもう一歩、未成熟
 [準]:<左利きミステリ>に準ずる
 [番外編]:番外編 (左利き/左手/左右関連)
 [ホラー]:ホラー [SF]:SF
------------------------------------------------------------------

<左利きミステリ>の登場人物・分類表

(探)◆:左利きの探偵/探偵役
(被)▲:左利きの被害者
(犯)●:左利きの犯人
(容)▼:左利きの容疑者
(他)■:左利きのその他の事件関係者
(脇)╋:脇役、通りすがり、妄想中の左利きの人物

<左利きミステリ>としての紹介の都合上、
作品のネタバレとなるケースがあります。
基本的に、キーポイントとなる読みどころに関しては
問題が起きないように留意しながら紹介していますが、
ときに一部ネタバレになる場合もありますが、ご容赦ください。


━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>:<海外編>リスト
 (前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで

━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━

<左利きミステリ>【海外ミステリ】編

1・紀元前『旧約聖書』「士師記」左利きのエホデ (犯)●
――左利きの暗殺者〈モアブの王エグロン殺し〉
『旧約聖書』「士師記」第3章12-30
第3章
《15 ベニヤミン人ゲラの子なる左手利捷のエホデ是なり
 16 両刃の剣を作らせ...
 21 エホデ左の手を出し右の股より剣を取りてその腹を刺せり》
『文語訳旧約聖書II歴史』岩波文庫 より

【情報源】マイケル・バーズリー『左ききの本』TBS出版会 西山浅次郎訳
 十三章「エホデ――ベンヤミンのジェイムズ・ボンド」より



2・7世紀半ば(中国・唐時代)[1963(アメリカ)]『白夫人の幻』
 ロバート・ファン・ヒューリック (容)▼
――東洋通のオランダの外交官(中国や日本の大使を歴任)による、
 中国歴史ミステリ。大唐帝国全盛期の県知事「狄(ディー)判事」こと、
 狄(ディー)仁傑(レンチェ)が活躍するシリーズもの探偵譚。
 ケガの状況から容疑者は左利きと推理する。
(原題)The Emperor's Pearl (1963)
『白夫人の幻』ロバート・ファン・ヒューリック/著 和爾桃子/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2006/7/15


3・1207年(中国・南宋時代)『棠陰比事』桂万栄/編纂 駒田信二/訳
 「9 利手の左右」「10 傷跡の深浅」 (犯)●
――中国の裁判事例集、二話ずつ対比。左利きの犯人による犯罪事例。
 江戸時代「本朝棠陰比事物語」として翻訳され、翻案ものが編まれた
『棠陰比事』岩波文庫 1985/1/16
「9 利手の左右」
《囚人たちに食事をさせてその利手(ききて)を調べたところ、
彼だけが左手で匕(さじ)や箸を使ったので、この男が殴り殺したと...》
「10 傷跡の深浅」
《傷が右臂(ひじ)にあるのが不審であった。
 そこで食事をあたえて利手を調べてみたところ、
 誣告であることが明らかになったのである。》
  平凡社『中国古典文学大系39』より

【情報源】有栖川有栖『ミステリ国の人々』日本経済新聞出版社
「ディー判事――ロバート・ファン・ヒューリック」より
《「この中でただ一人、左利きのお前が犯人だ」
 などという推理が出てくるのだから。》


4・18世紀(アメリカ)「フランクリンの請願書(左手からのお願い)」
 ベンジャミン・フランクリン [番外編]
――政治家で、雷が電気だと照明したことでも知られる経済人・
 フランクリン(左利き説もある)が、常に右手の補完的存在で、
 いつも差別を受けている左手を擁護した小文。
【情報源】バーズリー『左ききの本』TBS出版会 西山浅次郎訳
「教育の監督権を有する関係者に対する請願書」
《「私の不幸な運命に対して情深い配慮を...
 すべての子どもに同等に注意と愛情を...左の手拝」》
【情報源】ブリス、モレラ『左利きの本――右利き社会への挑戦状』
 講談社 草壁焔太訳 “教育を監督主導する人々への嘆願書”
《左手についての...深刻な問題をとりあげ軽いタッチで、
 彼は左利きへの合理的な理解と同情を訴えた。》
【情報源】コレン『左利きは危険がいっぱい』文藝春秋 石山鈴子訳
《左手利き(の彼は)... 左手利きの人々にのしかかるプレッシャーに
 抗議して、「教育を監督する方々へのお願い」
 と題した文章を書いている。》

(参考) 1971(昭和56)年 「兄弟」阿刀田高 [番外編]
――「フランクリンの嘆願書」に類似した内容のショートショート。
 『新装版・最期のメッセージ』阿刀田高 講談社文庫 2009/1/15 より
《...双生児の兄弟、姿形だって真実鏡に映したように
 二人はよく似ていた。》

*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2012.7.11
<右手と左手>の立場を語る「兄弟」~
『イソップを知っていますか』阿刀田高
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2012/07/post-6a7a.html
http://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/f551a7846a67e4408a978fdfdab08d95
2011.12.29
阿刀田高「兄弟」とLYGP2012:メルマガ
「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」291、292号告知
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2011/12/lygp2012-hikkii.html
http://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8067fe3bf2ee0e82e960e5259cc9b509


5・1841年9月(アメリカ)「悪魔に首を賭けるな 教訓のある話」
 エドガー・アラン・ポー (犯)●?
――習慣によって身の破滅を招く男。原因は、母親固有の具体的欠点で
 あった左利きによる打擲と貧乏だった!
『ポオ短編全集III』野崎孝訳 創元推理文庫 1974/6/28
《彼の母親の肉体的欠陥から生まれたものだ。
 悲しいかな、この女は運悪く左ききだった...
 子供を左から右へひっぱたいたって甲斐ないこと。》


6・1843年6月(アメリカ)「黄金虫」エドガー・アラン・ポー (他)■
――暗号解読宝探し小説。左利きの従僕の左右取り違えで、
 一度は宝探しに失敗するが……。
(初出)『ダラー・ニューズペーパー』1843年6月21日号、28日号 分載
(原題) The Gold-Bug
『ポオ短編全集IV』丸谷才一訳 創元推理文庫 1974/9/27
《「おまえ、自分の右手と左手の区別がつくか?」/
 「...薪を割るのがおらの左手ですだ」/「なるほど、左利きだもんね。
 じゃあ、お前の左の眼は左手と同じ側にあるんだ。」》

*参照:『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第180号(No.180) 2009/5/16
「名作の中の左利き(2)」―その2―『黄金虫』エドガー・アラン・ポー


(7)・1870年7月(フランス)「バティニョールの老人」エミール・
ガボリオ (被)▲
――自分の血で書いた犯人の名と思われるダイイング・メッセージ。
 左手の指に血が付いていたので、予審判事も警察署長も、犯人が誤って
 左手に血を付けて偽装したと判断し、犯人逮捕に辿り着くが……。
「ル・プチ・ジュルナル」(フランス四大日刊紙)1870年7月8日~19日連載
『世界推理短編傑作集6』戸川安宣編 創元推理文庫 2022/2/19
《右手は汚れていない……べっとりと血にまみれていたのは、
 左手の人差指だった。/では、老人は左手で血の文字をかいたのか……
 そんなばかな……》p.36(太田浩一/訳)
《「...おまえが血に浸したのは、死体の左手だったんだよ……」》
《「ビゴローの親父はもともと左利きだったんだよ!」》p.99

(参考) 1892(明治25)年「血の文字」黒岩涙香 (被)▲
――エミール・ガボリオ「バティニョールの老人」の翻案小説。
1892(明治25)年8月刊、小説集『綾にしき』収録
『日本探偵小説全集1 黒岩涙香・小酒井不木・甲賀三郎集』
創元推理文庫 1984/12/22
《「...あの老人が左得手(えて)で、筆を持つのは左手だと云う事を
 御存じないと見えますな」》p.107


(8)・1871(イギリス)『鏡の国のアリス』ルイス・キャロル [番外編]
――ご存知『不思議の国のアリス』の作者による
 鏡のなかの左右反転世界での冒険
『鏡の国のアリス』矢川澄子/訳 金子國義/イラスト 新潮文庫 1994/9/28
《「あの鏡のお家に住んでみる気はない、キティ? 
  あっちでもあんた、ミルクもらえるかしら。
  鏡のなかのミルクなんて、おいしくなさそう――」》

(参考) クリス・マクマナス/著『非対称の起源―偶然か、必然か』帯絵
(大貫 昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006/10/21)



(9)・1881年(ロシア)「左利き トゥーラのやぶにらみの左利きと鋼鉄の蚤の
 話」レスコフ [番外編]
――ミニチュア細工の左利きの職人が、イギリスから持ち帰った軍事上の
 秘密とは……。
『ルーショ』紙1881年第45号、50号、51号掲載
1882年『オリョール報知』紙転載 1884年単行本
『レスコフ作品集1 左利き』岩浅武久/訳 群像社 ロシア名作
ライブラリー 2020/2/28
《「じゃあなぜ左手で従事を着るのですか?」/「彼は左利きで、
 何でも左手でやるのです」》


(10)・19世紀?(アメリカ)(小話)〈玉突屋のおやじ〉マーク・トウェイン
 [番外編]
マーク・トウェイン『ちょっと面白い話』大久保博/編訳 旺文社文庫
1980/1/1 収録
《ひと勝負やるか とおやじ/おれの腕前を見て
 「よし結構。それならおれは左手で突こう」》
《「左手でもそれだけ突けるんだから、右手で突いたら、
 いったいどれだけ突けるんだい?」/「いやあ、だめさ」
 とおやじは言った。/「おれはもともと左ギッチョなんだ」》


(11)・19世紀?(アメリカ)〈多数派〉マーク・トウェイン [番外編]
マーク・トウェイン『ちょっと面白い話』大久保博/編訳 旺文社文庫
1980/1/1 収録
《多数派は常に間違っている/自分が多数派にまわったと知ったら/
 それは必ず行いを改める(か、一息いれて反省する)時だ》

(参考) マーク・トウェインは左利き―
『神々の左手―世界を変えた左利きたちの歴史』エド・ライト/著
スタジオタッククリエイティブ 2009.6


 ――以上、<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで。

 (「後編」では、<ホームズ以後>19世紀末以降
         の諸作品を紹介します。)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌では、「週刊ヒッキイhikkii×楽しい読書 コラボ企画:私の読書論185-<左利きミステリ>第5回 海外編(前編)<ホームズ以前>紀元前から19世紀末まで」と題して、今回も全紹介です。

以前、X(旧Twitter)のまとめ編を基に、総リスト化してみました。
「前・後編」で現代まで、という気持ちでいましたが、残念ながら今回はそこまで届きませんでした。
1920年代まででした。
またいずれ機会を見て、残りの1930年代(探偵小説黄金時代)以降、現代までをお届けしたいと思います。

今回新たに追加した作品は、

(2)・7世紀半ば(中国・唐時代)[1963(アメリカ)]『白夫人の幻』ロバート・ファン・ヒューリック
(7)・1870年7月(フランス)「バティニョールの老人」エミール・ガボリオ
 (参考) 1892(明治25)年「血の文字」黒岩涙香
(9)・1881年(ロシア)「左利き トゥーラのやぶにらみの左利きと鋼鉄の
蚤の話」レスコフ

ぐらいでした。

15歳から70歳の今日まで56年間に読んだ本は、2800冊程度。
内、広義の「ミステリ」はせいぜい1500程度でしょうか。
しかも、<左利きミステリ>を意識して読むようになったのは、ここ20年ほどで、それ以前に読んだ本はまったく記憶にないものも数多くあります。
あれが抜けてるとか、これを知らないの? といった見落とし作品がいくつもあるかと思います。

特に、近年は読書量も減っており、一方で海外ものの翻訳作品は売れ行きとは反比例で、相変わらずかなりの量が翻訳されています。

追々調べながら追加しておこうと思っています。
ご存知の作品などありましたら、ご教授いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


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" target="_blank">[コラボ]私の読書論185-<左利きミステリ>第5回海外編(前)ホームズ以前-週刊ヒッキイ第666号

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楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から-週刊ヒッキイ第665号

2024-06-07 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第665号(Vol.20 no.10/No.665) 2024/6/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
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  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第665号(Vol.20 no.10/No.665) 2024/6/1
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」
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 前回は、YouTubeヴァイオリン動画

 左利き用バイオリン?! なぜみんな左手でバイオリンを持つのか。
https://youtu.be/1AmkzYXwHuY?si=0GR1mBoVlDkQkwbN
(2022/03/26「達ちゃんねる」13分27秒)

 を紹介しながら、左利きとヴァイオリン演奏について考えてみました。

 今回も、もう一つのYouTubeの動画を紹介しながら、
 左利きとヴァイオリン演奏について考えていこう、
 という予定でしたが、
 ネットで見つけた左利きヴァイオリニストさんの発言を紹介し、
 なぜ左利きでも右用ヴァイオリンで右弾きしなければならないのか、
 という点を見ておきましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 左利きとヴァイオリン演奏について考える

   ネットの左利きヴァイオリニストの発言から

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●ヴァイオリンYouTube動画(その2)

今回の動画はこれです↓

解説! 左利き用のバイオリンについて!
全盲のバイオリニスト穴澤雄介が教えます
【左利きの生徒さんを教えた経験談も】
https://youtu.be/d-xrKPRvgEo?si=bR30My4xtn6Rat3S
4:33

2022/09/29 全盲のユーチューバー、音楽家、講演家、
穴澤雄介チャンネル
--
ヴァイオリンやヴィオラに、
果たして左利きのための楽器は存在するのでしょうか?
左利きだけどバイオリンをやってみたい、
そう思っている方へ安心のアドバイス!!
--

というのですけれど……。

結論から書いてしまいますと、
ごくごく常識的?な発言ばかりで、参考にはなりません。

ごくごく簡単にまとめますと――

 《左利き用のヴァイオリンはありません。昔はあったらしいですが。》

 《大勢が並んで演奏することが多いので、
  ひとりだけ左弾きだと、弓がぶつかる、見た目がよくない》

 《左手で弦を押さえるのも、難しいから、左利きが不利とも言えない。》

 《楽器をやっていると、両利きのようになる、
  私も左の方が握力が強い》

――といったところです。
いつも聞かされる台詞といったところですね。


 ●「ツルノリヒロの生活と推理」から

次に、ネットで見つけた左利きヴァイオリンについての記事から
二、三紹介してみましょう。


【ネット記事から(その1)】

ツルノリヒロの生活と推理
アーティスト、ツルノリヒロの気ままな発信基地。

左利き用バイオリン
2012-04-20 20:36:54 | 思いつくままに
https://blog.goo.ne.jp/tsuru-norihiro/e/fcce99fe4f40cbbc34fe6a3425f321cc

ここでも簡単に気になる部分を紹介しておきましょう。

 《チャップリンは左利きで、チェロもバイオリンも、
  特注の楽器を弾いていたらしい。》

――有名人なので、その可能性はありそうですね。

 《今は、左利きの方でも右利きの構えに、
  早くからならされて弾く方が多いので、普通の楽器で良いのだが、》

――小さい頃からやってるから……というやつですね。
「結論」になるのですが、
ヨーロッパでも、日本と同じように左利きは差別されてきました。
認められるようになったのは、日本と同じように第二次大戦後のこと。

昔から左利きの子供たちは、親や学校の先生など大人たちから
「矯正」の名の下に、字を書く等の“人間的”な行為に関しては、
右使いに転換させられてきたのです。

*参考文献:欧米における左利き差別について
・左利きイギリス人の左利き研究家の著作
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)1973
(原著 THE LEFT-HANDED BOOk -An Investigation Into The Sinister
History Of Left-handedness- 1966) ――「序論」他


『右きき世界と左きき人間』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳 TBS出版会(発売・産学社)1972
(原著 Left-handed Man in a Right-handed World, 1970) ――著者の
 主宰する左利きの会会員の便り「第五章 左ききの試練と苦難」他


・左利きアメリカ人の左利きの著作
『左利きの本――右利き社会への挑戦状』ジェームス・ブリス、ジョセフ・モレラ 草壁焔太訳(講談社)1980.12
(原著 The Left-handaers' Handbook) ――「第I部 外国編」


・左利きのドイツのノーベル賞作家ギュンター・グラスの短編小説
「左ぎっちょクラブ」(1958、『僕の緑の芝生』飯吉光夫訳 小沢書店
 1993/10/1 収録) 
『僕の緑の芝生』
――左利きの青年たちが所属する“出来もしない”のに右手使いに転換
(「矯正」)することを目的としたクラブでの出来事を描く


ヨーロッパのクラシック音楽も、
伝統のある歴史のあるもので、演奏もその教育法も
昔から一つの形ができあがっていたのでしょう。

当然のごとく楽器演奏もまた、左利きの子供たちは、
右使いに「矯正」されてきた、というだけのことです。


 《利き腕を重視して演奏するには、
  バイオリンもチェロも、ボディーの中は左右対称ではないため、
  左利き用の楽器を使わなければならない。》
 《バイオリンとか、チェロは、作られてからすぐ、よりは、
  何十年も時を経て、
  初めてその楽器の持つ音が鳴るようになる。》
 《やはり特注して作ってもらう、と言う事になるのだろう。
  そうなると、なかなかいい音は望めないのだろう、
  だから、左利きでも右利きに矯正され、
  演奏する事になるのかもしれない。》

――この辺のところは、なかなか納得させられます。

楽器の音が練れてくるまでに時間がかかるので、
左利き用の歴史のある名器を見つけるのは難しい。

だから、「名器を演奏したいのなら、左利きの人でも右弾きで!」
という発言には、一理あるなあ、と感心します。

ただ、“名器を育てる”という行き方もあるはずですよね。

 《そういえば昔、
  スイスロマンド管弦楽団のバイオリンに、
  一人だけ左利き用で演奏している楽団員がいたが、
  テレビで見ていて、一人だけみんなと逆に構えているのが目立って、
  とても不思議な気がした事がある。》

――これは、目立ちたい人には魅力的でしょう。
逆に、目立ちたくない人には困ったことでなります。
左利きの人は「人前で目立ちたくない」という控えめな人も多いので、
これは困った事態ですね。


 ●「左利き?のヴァイオリニスト」から

【ネット記事から(その2)】

2017-02-21 23:57:46
左利き?のヴァイオリニスト
https://ameblo.jp/atsukosahara/entry-12248820146.html

佐原敦子(ヴァイオリニスト)さんのブログです。

《ウィーンの素晴らしいヴァイオリニスト、
 ルドルフ・コーリッシュ(1896~1978)》のことを書いておられます。

コーリッシュのYouTube動画

Kolisch String Quartet - Mozart:
https://youtu.be/ILCu3kMHHJc


 《コーリッシュは、一番右側の方です。
  たいてい、1stヴァイオリンは、一番左側ですが、
  弓があたらないように、/右側にいらっしゃいますね。

  私は、このように弾かれている方には
  お会いしたことがありませんが、
  一度、テレビでヨーロッパのオーケストラの中で弾かれている姿を
  観たことがあります。

  反対でも弾けるようになるには、
  顎当てや弦も反対に張ったヴァイオリンがないと練習できません。
  私はウィリアム一台しか持っていないので、上達は難しそうです。》

――とのこと。
左利き左弾きのコーリッシュさんは、他の人と弓があたらないように、
(向かって)「右側」にいると。

左利きの人ならこういうことはよく理解できるでしょう。
私たち日本人の左利きの人たちも、
食事の時には、他の人と肘が当たらないように、「左端」に座ります。

次に、「反対でも弾けるようになるには」反対のヴァイオリンが必要で、
二台目がいるとのこと。

プロでも道具がないとどうにもならない、ということなんですね。

*参照:ルドルフ・コーリッシュ
『左ききの本』マイケル・バーズリー 西山浅次郎訳
 TBS出版会(発売・産学社)1973――「十九 音楽における左きき」
に、ヴァイオリンに関しての記述があり、
「ルドルフ・コリシュ」として、彼に関しても記述があります。

 《左手を負傷したため、止むをえず、右手でヴァイオリンを支え、
 左手で弦を動かさなければならなかった。》p.223

それでも四重奏団を結成、1939年の解散まで好評を博した、とあります。

また、これは次回に解説しますが、
四重奏団は、左弾きが入っても位置的、視覚的に美学上有利である、
とも書かれていました。

ちなみに、チャップリンに関しても記述がありました。
これもいずれ紹介しようと思います。


 ●左利き用のヴァイオリンって、そうだったの?

2023年11月2日 2024年1月15日
ヴァイオリンは左利きでも弾ける?左利きのプロ奏者や経験談を紹介
https://moka-violin.com/violin-lefthanded/

によりますと、左利き用のヴァイオリンは、

 《左利き用というより、
  事故や障害などで左手のコントロールが困難な方向けのようです。》

といいます。

まあ、そういうこともあるかと思いますが、
実際に存在するのは事実のようですし、
どのような理由にしろ、存在するということが大事なわけです。

もし、だれもが右用と左用のどちらも試せる状況があって、
どちらでも教えてくれる先生がいるとすれば、
実際に試して自分にとって弾きやすい方を選べるわけで、
それは最高のチョイスになるでしょう。


 ●手の役割と足の役割

ここで、ネット情報から「ヴァイオリンは左右どちらの手も難しい」
(だから、利き手は関係ない)という発言が多いので、
ヴァイオリンにおける両手の役割・仕事をチェックしておきましょう。

【右手】
・ボウイング:弓の上げ下げ
・ピッチカート:弓を使わず指で弦を弾く

【左手】
・フィンガリング:指使い、運指(音程を作る)
・ポジションチェンジ
・ビブラート

詳しい内容については私には理解できていませんが、
何かしらイメージは着くだろうと思います。

もうひとつ、左手の役割としましては、「本体を持つ・支持する」
ということも大きな要素でしょう。

この点も後ほど、検討してみようと思います。


 ●左利きでも不利ではない――「慣れれば一緒」の思想?

結局、右利きのヴァイオリニストのかたも、
左利きのヴァイオリニストのかたも、結論とされているのは――

 ヴァイオリンを弾くとき、右手と左手は役割が異なり、
 それぞれに特殊な動きがあり、どちらも同じくらい重要である。
 そのため、利き手による有利不利はない。

というものです。

先に紹介しました

「ヴァイオリンは左利きでも弾ける?左利きのプロ奏者や経験談を紹介」

には、こうあります。

 《右手の役割は弓を持って弦をこすり、
  音に強弱をつけて音色を表現することです。

  一方左手の主な役割は音程を作ることで、
  正確な位置に素早くしっかりと弦を押さえる必要があります。

  ヴァイオリンを弾くときは右手も左手も同じくらい重要なので、
  左利きだからといって不利になることはありません。》

しかし、これは多くの楽器でも同じようにいう人がいます。

また、他の両手を使う道具や機械、例えばカメラでも、
同じようにいわれています。

一眼の高級カメラの場合は、
右手は、カメラ本体を保持し、構図を決め、
ここぞという瞬間にシャッター・ボタンを押す。
左手は、レンズを支えながら被写体のピントを決める、
といった操作を行います。

そして、実際に使っている左利きの人がいうのは、
(右利き用でも)「慣れれば一緒」です。

しかし、これらのものはみな、両手を使っているといっても、
実は、右手が主役で左手は補助です。

その点も後ほど解説します。


 ●有名な左利きでも右弾きのヴァイオリニストさん

上のサイト記事でも、最後は、日常生活では左利きでも
ヴァイオリンの演奏は右利き用のヴァイオリンで右弾きで有名になった
ヴァイオリニストを紹介しています。

一人目は、古澤巌さん。

 《古澤巌さんは1959年東京都生まれのヴァイオリニストで、
  桐朋学園大学とカーティス音楽院(アメリカペンシルバニア州)を
  卒業しています。/
  3歳の時に保育園の先生から左利きだから習い事をさせた方がいい
  と言われ、ヴァイオリンを始めたそうです。/
  最初は苦労したようですが、努力の甲斐あってか古澤巌さんは
  数々のコンクールで1位を受賞しています。/
  また実力を認められ、ストラディバリウスの名器
  「サン・ロレンツォ」を生涯貸与されています。》


二人目は、千住真理子さん。

 《千住真理子さんは1962年東京都生まれで、慶應義塾大学を卒業して
  から国内外で広く活躍されています。/
  2歳半でヴァイオリンを始めて12歳でNHK交響楽団と共演しデビュー、
  パガニーニ国際コンクールに最年少で入賞などを果たしています。/
  華々しい経歴を持っていますが、幼少期にヴァイオリンの先生から
  「左利きはヴァイオリニストになれない」
  と言われたことがあるそうです。/
  しかし今や世界で活躍する演奏家として名を馳せているので、
  左利きを理由に諦めなくていいのだと勇気づけられますね。》

とのこと。

古澤巌さんは、《最初は苦労したようですが、努力の甲斐あってか》
著名な名演奏家になれたようです。

千住真理子さんも、《「左利きはヴァイオリニストになれない」
と言われた》にもかかわらず、成功されたようです。

とは言えこれは、「左利きでも右弾きに成功する人もいる」
というだけのことです。


 ●人はそれぞれ偏りの度合いが違う

別に「左利きでも右弾き」を否定する必要は無いのですが、
人にはそれぞれ個性があり、利き手の偏りの度合いも異なります。

以前、<左利きプチ・アンケート>で各種利き手テストを紹介しました。

その結果を大雑把にいえば、利き手に関しては、

多くの片手作業で右手を使う「強い右利き」以外にも、
その裏返しの、多くの片手作業で左手を使う「強い左利き」がいて、
いくつかの項目で左手を使う「弱い右利き」から
その逆のいくつかの項目で右手を使う「弱い左利き」までの、
私が「中間の人」と呼ぶ人たちがいます。

また、利き手以外にも利き足や利き目といった、
左右対称に存在する器官における使用の偏りがあります。

利き手では約90%の人が右手利きといわれますが、
利き足や利き目では右利きが60~70%といわれています。

手の利きと足や目の利き側との相関関係は、60~70%といわれています。
右手利きの人の60~70%は右足利きだ、ということです。

これらの身体全体の偏りを考慮しますと、
右手利きという人でも、左足利きや左目利きの人もいるので、
「中間の人」はかなり存在すると思われます。

そういう人では、右使いに馴染める人――
ヴァイオリンの右弾きに慣れやすい人も当然いるでしょう。

しかし、私のように強度の左利きの場合には、右使いには慣れにくく、
そういう強い左利きの人の場合、
ヴァイオリンの右弾きに関しても慣れるのは難しいと考えられます。


 ●左利きでも右利き用で右弾きを、という理由

色々見てきましたが、総じて言えることは――

1.左利き用のヴァイオリンは右用とは構造が違い、手に入りにくい
→ 道具がないので、手に入るもので我慢しましょう!?

2.右手も左手も重要で、利き手の有利不利は関係ない
→ 右手も左手もどちらでも、慣れたら一緒!?

3.ヴァイオリンは集団で演奏することが多く、左弾きは立ち位置が難しい
→ 左弾きでは隣の右弾きの人と弓が当たる、
  弓の動きが逆で一人目立つ、ので困る!?

4.利き手も定かではない、小さい頃から習う人が多いので、
 利き手は関係ない
→ 利き手も小さい頃からなら換えられるという人もいるじゃないか!?

以上、これぐらいの理由でしょう。

では、次回からそれぞれの意見に反論してゆくことにしましょう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(21)左利きヴァイオリニストの発言から」と題して、今回も全紹介です。

今回は、「左利きでも右利き用のヴァイオリンで右弾きするのがよい」といったヴァイオリニストたちのご意見を紹介し、その理由とされる事柄をまとめてみました。
次回は、これらの理由に関して私なりの反論を書いてみる予定です。

従来から、左利き幼児の右使いへの転換行為(「矯正」と、正しいことであるかのように、きれい事のような表現がされてきました)がなされていたものですが、それらに反発し、反論してきた日々のことを思い出してしまいます。
まったく同じ状況といっても過言ではありません。

やはり音楽、器楽演奏の世界は遅れているようです。
なんとかしなければなりませんねえ。

 ・・・

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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(29)陶淵明(6)「雑詩十二首/飲酒二十首」-楽しい読書367号

2024-06-06 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年5月31日号(vol.17 no.10/No.367)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(29)陶淵明(6)
「雑詩十二首 其の二/飲酒二十首 其の十六・其の二十」」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年5月31日号(vol.17 no.10/No.367)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(29)陶淵明(6)
「雑詩十二首 其の二/飲酒二十首 其の十六・其の二十」」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今月の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」は引き続き、
 陶淵明の詩から
「雑詩十二首 其の二/飲酒二十首 其の十六・其の二十」を。 


(陶淵明 第1回)
2023(令和5)年9月30日号(No.351)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)
「五柳先生伝」-楽しい読書351号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-b68999.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d371c2c2141932565db7fac1a67c1150

(第2回)
2023(令和5)年10月31日号(No.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-7e3a1c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/fb0ed419e609fae5ca4d419eb039fc2a

(第3回)
2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.2.29
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首(其一・二)」-楽しい読書361号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/02/post-40f92c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/554a8f921e059526fa614aeb7885735b

(第4回)
2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.3.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首(其三・四)」-楽しい読書363号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/03/post-23dc09.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/983a4bfc7e91c974e60c7924b461f563

(第5回)
2024(令和6)年4月30日号(vol.17 no.8/No.365)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)
「居を移す二首 其の二」
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.4.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)「居を移す二首」他
-楽しい読書365号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/04/post-1a3755.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/afd92fdc908f963491d4340b712106f2


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆ 封印された「猛志」 ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(29)

  ~ 陶淵明(6) ~

 「雑詩十二首 其の二/飲酒二十首 其の十六・其の二十」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「九、達観を目指して――陶淵明の世界」より


 ●陶淵明「雜詩其の二」

陶淵明は隠者ぐらいを続けるのですが、予想していたほど楽しくない、
なかなか思惑通りには進まない、閉塞感が募り、
その心境を詩に吐露して、少しずつ自己反省してゆきます。

次に紹介するのが、そういう隠居しても平静な心を得られなかった、
陶淵明の辞職後、十年以上たった、50歳から60歳頃の詩です。

《秋の夜、心に悲しみがあって寝られない歎きを歌っています。》p.358

と、宇野直人さんの解説。

 ・・・

 雜詩其二   雜詩其の二   陶淵明

白日淪西阿  白日(はくじつ) 西阿(せいあ)に淪(しづ)み
素月出東嶺  素月(そげつ) 東嶺(とうれい)に出(い)づ
遙遙万里輝  遙遙(ようよう)たり 万里(ばんり)の輝(き)
蕩蕩空中景  蕩蕩(とうとう)たり 空中(くうちゆう)の景(けい)

 輝く太陽はだんだん西の丘に沈み
 かわって白く明るい月が東の峰から顔を出す
 遙か遠く一万里の彼方に満ち渡る月の輝き
 大きく広がる夜空いっぱいの月の光

第一段は、夜に月が出て来る描写。


風来入房戸  風(かぜ)来(きた)つて房戸(ぼうこ)に入(い)り
夜中枕席冷  夜中(やちゆう) 枕席(ちんせき)冷(ひ)ゆ
気変悟時易  気(き) 変(へん)じて時(とき)の易(かは)るを悟(さと)り
不眠知夕永  眠(ねむ)らずして夕(ゆふべ)の永(なが)きを知(し)る

 風が吹き寄せて私の寝室に入り込み
 夜中に寝床が冷えてきた
 空気の様子が変わったことで季節の変化に気付き
 眠れないために夜が長いことをたしかに知った

第二段では、隠者になってみて初めて、隠者が退屈だとわかった、と。


欲言無予和  言(い)はんと欲(ほつ)するも
        予(われ)に和(わ)するもの無(な)く
揮杯勧孤影  杯(さかづき)を揮(ふる)うて孤影(こえい)に勧(すす)む
日月擲人去  日月(じつげつ)人(ひと)を擲(なげう)ちて去(さ)り
有志不獲騁  志(こころざし)有(あ)るも騁(は)するを獲(え)ず
念此懐悲悽  此(これ)を念(おも)うて悲悽(ひせい)を懐(いだ)き
終曉不能静  曉(あかつき)を終(を)ふるまで
        静(しづ)かなる能(あた)はず

 何か話をしたいけれど答えてくれる相手はおらず
 ひとり杯をあげて自分の影法師に酒を勧める
 月日の流れは私を放り出したままどんどん去って行き
 抱負を抱いているのに一向に発揮することができない
 こんな思いにふけるうち、すっかり悲しみにとらわれてしまい
 夜明けが明けるまで落ち着くことができなかった

志がありながら果たすことができず、仕方なく酒を飲むうちに、
悲しみがふかまって、夜明けまで眠れずにいる。

《五十を過ぎて悲しみのために徹夜をしてしまう、激しい人ですね。》p.359

陶淵明さんのその志の実態が現れているのが、次に紹介する詩です。


 ●「飲酒二十首 其の十六」

「飲酒」の連作は、
《隠居後の折々、酒を飲みながら心に浮かんだものを書き付けた作品》
で、
《ただ悲しんでいるだけでなく、自己反省し、
 自分がほんとうに求めているのは何なのか、
 だんだん浮き彫りになって来ます。》p.361

 ・・・

飲酒二十首  陶淵明

 其十六    其の十六

少年罕人事  少年(しようねん)より人事(じんじ)罕(まれ)にして
遊好在六経  遊好(ゆうこう)は六経(りくけい)に在(あ)り
行行向不惑  行(ゆ)き行(ゆ)きて不惑(ふわく)に向(なんな)んとし
淹留遂無成  淹留(えんりゆう)して遂(つひ)に成(な)る無(な)し

 私は若い頃は世間の事にあまり関わりがなく
 喜んで愛好するのは六経であった 

第一段は、40歳になるまでの思い出と、改めて自分の本質に気付く。

「少年」は、中国では18歳から30歳くらいまでを指し、
“若き日、青年”に近い。「人事」は、“世間の事柄”。
「六経(りくけい)」は、儒教の重要な古典。

 《自分は本当は官職を求めていたのではなく、読書、
  とくに儒教を勉強するのが好きだったんだなあ、
  と改めて思い当たった》(p.361)という感じ。


竟抱固窮節  竟(つひ)に固窮(こきゆう)の節(せつ)を抱(いだ)き
飢寒飽所更  飢寒(きかん) 更(ふ)る所(ところ)に飽(あ)く
弊廬交悲風  弊廬(へいろ) 悲風(ひふう)を交(まじ)へ
荒草没前庭  荒草(こうそう) 前庭(ぜんてい)を没(ぼつ)す

 その間、私は終始一貫して“君子はとかく困窮するものだ”という
  覚悟をしかと持ち続けた
 しかしその結果、飢えや寒さをいやと言うほど経験した
 壊れかけたあばら家には悲しげな秋風が吹きわたり
 伸び放題の雑草は家の前の庭をうずめている

第二段では、時が流れて四十歳になろうとしても
ぐずぐずしているだけで物にならなかった
『論語』為政第二「四十、五十に鳴っても世の中から注目されなければ
その人はだめだ」という孔子の言葉を踏まえて、
自分は官職にいても隠者になっても常に貧乏だ、と。

陶淵明の詩のキーワード=人生目標ともいうべき、
「固窮の節」という言葉が出てきます。
『論語』衛霊公第十五「君子 固(もと)より窮す。
 小人、窮すれば斯(ここ)に濫(らん)す」にある言葉で、
《そんな君子の、貧窮に負けず信念を守る覚悟を示し、
 これに陶淵明は共感したんでしょう》p.362、と宇野さんは解説する。


被褐守長夜  褐(かつ)を被(き)て長夜(ちようや)を守(まも)るに
晨鶏不肯鳴  晨鶏(しんけい) 肯(あへ)て鳴(な)かず
孟公不在茲  孟公(もうこう) 茲(ここ)に在(あ)らず
終以翳吾情  終(つい)に以(もつ)て
        吾(わ)が情(じよう)を翳(かげ)らしむ

 粗末な服を着て秋の夜長を眠らずに過ごしているが
 夜明けを告げる鶏はなかなか鳴いてくれない
 今は孟公がいない
 そのことが私の心を暗くするのだ

「孟公」は、張仲蔚(ちようちゆううつ)という隠者の
よき理解者だった人物のこと。
張仲蔚は、文才があり読書好きで、雑草だらけの家に住んでいた。
自分にはそういう孟公のような人はいないので、心を暗くする、と。

当時は、隠者が宮廷に登用されるということもあったと言います。
陶淵明は、自分を評価してくれる人のいないことを嘆いているようです。

宇野さんの解説では、
これは「固窮の節」といえるのかどうか、疑問ではあります、と。
それでも、こういう風に素直に自分の気持ちを出している点が、
親しみを誘うのかも知れません。


 ●「飲酒二十首 其の二十」

飲酒二十首  陶淵明

 其二十    其の二十

羲農去我久  羲農(ぎのう) 我(われ)を去(さ)ること久(ひさ)しく
挙世少復真  世(よ)を挙(あ)げて
        真(しん)に復(かへ)ること少(すく)なし
汲汲魯中叟  汲汲(きゆうきゆう)たり 魯中(ろちゆう)の叟(そう)
弥縫使其淳  弥縫(びほう)して 其(それ)を淳(じゆん)ならしむ
鳳鳥雖不至  鳳鳥(ほうちよう) 至(いた)らずと雖(いへど)も
礼楽暫得新  礼楽(れいがく) 
        暫(しばら)く新(あら)たなるを得(え)たり

 伏羲と神農の太平の世はたいへん遠くなった
 本質に帰ろうとすることが稀になった
 思えば春秋時代、倦(う)まずたゆまず道を説き続けたあの魯の大人
  孔子さまは、伏羲・神農以来の太古の正しい道を手直しして
  世の中をすなおで人間らしいものにしようとなさった
 聖天子の出現を予告する鳳は残念ながら現れなかったが
 孔子の仕事のおかげで礼儀作法や音楽がひとまず面目を改め、
  現代的な意味をもった

最初の六句は、儒教を体系化した、孔子の仕事を讃えます。
「羲農」とは、儒教で聖天子といわれる、民衆に工芸技術を教えた伏羲と、
農業や薬を教えた神農のこと。

何が真実かを見直そうとすることがめったになくなった――
昔の話ではなく、現代にも通じること。

「魯中の叟」とは、魯の国出身の孔子さま。
「鳳鳥」は鳳(おおとり)という想像上の鳥で、
理想的な天子の出現とともにやって来る。
礼楽は、人間関係をスムーズにする礼儀作法と、
人の心を和らげる音楽のことで、
この二つをうまく運用するのが立派な政治とされ、儒教では重視した。


洙泗輟微響  洙泗(しゆし) 微響(びきよう)を輟(や)め
漂流逮狂秦  漂流(ひようりゆう)して狂秦(きようしん)に逮(およ)ぶ 
詩書復何罪  詩書(ししよ) 復(ま)た何(なん)の罪(つみ)かある
一朝成灰塵  一朝にして灰塵(かいじん)と成れり
区区諸老翁  区区(くく)たる諸(しよ)老翁(ろうおう)
為事誠殷勤  事(こと)を為(な)して誠(まこと)に殷勤(いんぎん)なり

 洙水と泗水の辺りで説かれた孔子の教えは奥の深い影響を次第に弱め
 世の中はふらふらとさまよって、あの凶暴な秦の時代にいたった
 『詩経』と『書経』にいったい何の罪があったのか
 何の罪もないのに或る日突然、それらは焼かれて灰となった
 こつこつ努力してやまない先生方が
 儒教を発掘して伝える仕事にまことに手厚く取り組んだ

次の六句は、始皇帝による秦の時代の儒教迫害、
そして漢の時代の学者による儒教復活の流れをたどる。

「洙泗」は魯の国を流れる二つの川、洙水と泗水。
この側で孔子が塾を開いていたので、孔子の塾や学問をさす。
「詩書」は『詩経』と『書経』で、儒教で尊重する「六経」に含まれる。
「焚書坑儒」のことを語る。


如何絶世下  如何(いかん)ぞ 絶世(ぜつせい)の下(もと)
六籍無一親  六籍(りくせき) 一(いつ)の親(した)しむ無(な)き
終日馳車走  終日(しゆうじつ) 車(くるま)を馳(は)せて走(はし)るも
不見所問津  津(しん)を問(と)う所(ところ)を見(み)ず

 それなのにいったいどうしたことだろう
  儒教の伝統は今の世の中、絶えてしまい、
 その経典はまったく立派なものではなくなった
 こういう現状では一日中、馬車をあちこち走らせても
 進むべき渡し場のありかを尋ねるべき相手がいない

次の四句は自分の時代に移り、儒教が重んじられないと嘆く。
名目上は中心になっているが、実際の運用はそうでもない。
「如何ぞ」は二句にかかる。どうしたことか?
「津」は船の渡し場、転じて“人生の拠り所、人生の指針”の意味。
儒教の伝統はたえてしまい、人生の拠り所は見つからない。


若復不快飮  若(も)し復(ま)た快飲(かいいん)せずんば
空負頭上巾  空(むな)しく頭上(ずじよう)の巾(きん)に負(そむ)かん
但恨多謬誤  但(ただ) 恨(うら)む 謬誤(びゆうご)の多(おほ)きを
君当恕醉人  君(きみ) 当(まさ)に酔人(すいじん)を恕(じよ)すべし

 こんな世の中にいきているなら、大いに酒を飲まなければ
 わが頭巾に申し訳が立たないぞ
 ただ一つ心残りなのは、こういう私の考え方に誤りの多いことだ
 しかし君はきっと、この酔いどれ男を多めに見てくれるでしょうなあ

当時は自分の家で酒の醸造が許されていたようで、頭巾で絞り、
それを平気でかぶっていた。
「当は~べし」は、確実視性の強い推量。

 《“ちょっと言い過ぎたかな”というかんじで、最後はおどけ、
  あきらめた感じで結びます。》p.367

老荘思想が普及している貴族社会のなかで、
自分の本質はやはり儒教だと告白した陶淵明さん。

自分を気持ちを表現できる風潮が広まったとは言え、
彼にも家族や使用人もいるので、彼らを守る意味で、
こういう風にむすんだのだろう、という宇野さんの解説です。

いままでのあれやこれやは、酔っ払いの戯れ言と許しておくれ、と。

世の中の変化を嘆きつつも受け入れ、自分は隠居の身として、
酒でも飲んで暮らしましょう、というところでしょうか。

「飲酒二十首」の最後の一首で、全体をまとめる一首という形でしょう。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)「居を移す二首 其の二」「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」 」と題して、今回も全文転載紹介です。

今回も田舎に帰った陶淵明さんの詩です。

孔子の教えに従い、儒教を自分の本質と考える陶淵明さんですが、世の変化に不満を持ちつつも酒に紛らせる日々、というところでしょうか。

 ・・・

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

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