レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

『左組通信』復活計画<左利きプチ・アンケート>(20)第51回新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト-週刊ヒッキイ第636号

2023-02-19 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第636号 【別冊 編集後記】

第636号(No.636) 2023/2/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [20]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(20)「利き手調査」番外
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第636号(No.636) 2023/2/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [20]
<左利きプチ・アンケート> 全公開(20)「利き手調査」番外
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト」
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 今回は、前回に引き続き、<利き手調査アンケート>の番外として、
 利き手ではなく、利き足を調べるアンケートの二回目です。

 今回は、その新版で、
 自己申告による利き手別の投票による利き足テスト です。
 
┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓

2020年は左利き公認60年&左利きライフ研究30年(その25)
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [20]
  <左利きプチ・アンケート> 全公開(20)
  「利き手調査」アンケート編・番外
 第51回 新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト
 (自己申告による利き手別の投票による利き足テスト)

┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

 ●第51回 新版・利き足は右左どちらですか―
  チャップマン利き足テスト」
  (自己申告による利き手別の投票による利き足テスト)

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

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左利きを考える レフティやすおの左組通信
 Lefty Yasuo's HIDARIGUMI Announcement
 
  <左利きプチ・アンケート>
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<左利きプチ・アンケート>
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト
(自己申告による利き手別の投票による利き足テスト)

(初出)2008.4.27(最終)
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<左利きプチ・アンケート>第51回
新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト



 今回は利き足の調査を実施します。

利き足とは作用足、
器用に何か作業ができる、動作をする足のことをいいます。

これに対し、軸足というものがあります。
こちらは、無意識に体重を支える支持足です。

簡単にいうと、
ボールを蹴るときに体重を支えるのが軸足、
蹴るほうが利き足です。

では、八田武志著『左ききの神経心理学』から、
「チャップマンきき足テスト」を紹介しましょう。

 Chapman,Chapman,and Allen(1987)

・調査項目:

 1.サッカーボールを蹴る
 2.缶を踏みつける
 3.ゴルフボールを迷路に沿って転がす
 4.砂に足で文字を書く
 5.砂地をならす
 6.小石を足で並べる
 7.足先に棒を立てる
 8.ゴルフボールを円に沿って転がす
 9.片足跳びをできるだけ速くする
10.できるだけ高く足を蹴上げる
11.足先でこつこつリズムをとる

・採点:
  左足を用いる場合:3点
  右足の場合:1点
  両方の場合:2点

すなわち、全部左足を使う場合は、33点になります。
逆に、全部右足の場合は、11点です。


このテストの結果と利き手の関係は、

  利き手が右の人では右足利きが多く、
  強い左利きの人では左足利きが多い、

という結果が出たそうです。


また、28点以上を左足利き、と分類した場合

  左手利きの人:左足利き 41パーセント
  右手利きの人:右足利き 94パーセント

と、全く傾向が異なる、といいます。

※参照:八田武志『左ききの神経心理学』(医歯薬出版 1996)
 「第2章 10.きき手ときき足」より


では、あなたの利き足は、どちらでしょう。
それぞれの項目において、あなたはどちらの足を使いますか。
テストの結果は何点になりましたか。

下の選択肢のなかからひとつを選んで投票してください。

*投票者の利き手別で選択肢を用意しています。
 ご自身でご自分の利き手を右もしくは左と、
 どちらか判断した上で投票してください。

*一言言わせて、という方は投票後に表示されます
 一番下の「ご意見ボード」をご利用ください。
 貴方のご意見ご感想をお聞かせください。


1 (右利きの投票者)11-16点
2 (   〃   )17-22点
3 (   〃   )23-27点
4 (   〃   )28-33点
5 (左利きの投票者)11-16点
6 (   〃   )17-22点
7 (   〃   )23-27点
8 (   〃   )28-33点

現在の結果を見る(ご意見ボードはこちら)


------------------------------------------------------------------
投票結果
実施期間2008.3.23-4.26(5週間・総数55 /R28:L27)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者)11-16点 10
2 (   〃   )17-22点  4
3 (   〃   )23-27点 10
4 (   〃   )28-33点  4
5 (左利きの投票者)11-16点  6
6 (   〃   )17-22点  4
7 (   〃   )23-27点  9
8 (   〃   )28-33点  8

ご意見ボードへの書き込み
(ご意見はありません)

------------------------------------------------------------------
23:27 2008/09/24 (総数544 /R267:L277)

1 (右利きの投票者)11-16点  72
2 (   〃   )17-22点  61
3 (   〃   )23-27点  74
4 (   〃   )28-33点  60
5 (左利きの投票者)11-16点  60
6 (   〃   )17-22点  70
7 (   〃   )23-27点  80
8 (   〃   )28-33点  67

------------------------------------------------------------------
15:09 2009/06/26(総数897 /R459:L438)

1 (右利きの投票者)11-16点 119
2 (   〃   )17-22点 106
3 (   〃   )23-27点 115
4 (   〃   )28-33点 119
5 (左利きの投票者)11-16点 104
6 (   〃   )17-22点 100
7 (   〃   )23-27点 129
8 (   〃   )28-33点 105

------------------------------------------------------------------
15:40 2011/12/01(総数1388 /R707:L681)

1 (右利きの投票者)11-16点 185
2 (   〃   )17-22点 173
3 (   〃   )23-27点 172
4 (   〃   )28-33点 177
5 (左利きの投票者)11-16点 167
6 (   〃   )17-22点 161
7 (   〃   )23-27点 177
8 (   〃   )28-33点 176

------------------------------------------------------------------
2016.9.19(総数1936 /R1022:L914)

1 (右利きの投票者)11-16点 249
2 (   〃   )17-22点 251
3 (   〃   )23-27点 258
4 (   〃   )28-33点 264
5 (左利きの投票者)11-16点 207
6 (   〃   )17-22点 211
7 (   〃   )23-27点 255
8 (   〃   )28-33点 241

------------------------------------------------------------------
【最終結果】
<左利きプチ・アンケート>
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト
http://personal-dictionary.com/enq/view/enq.asp?EID=55327

(総数2378 /R1251:L1127)
------------------------------------------------------------------

1 (右利きの投票者)11-16点 290
2 (   〃   )17-22点 318
3 (   〃   )23-27点 332
4 (   〃   )28-33点 311
5 (左利きの投票者)11-16点 264
6 (   〃   )17-22点 253
7 (   〃   )23-27点 300
8 (   〃   )28-33点 310


------------------------------------------------------------------

↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 

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2023.2.16(追記)

このアンケートでは、

全部右足を使う場合――11点(最強の右足利き)
全部左足を使う場合――33点(最強の左足利き) ですので、

11-16点(強い右足利き)
17-22点(弱い右足利き)
23-27点(弱い左足利き)
28-33点(強い左足利き) という設定になります。


最終結果を見ますと、

「右利きの投票者」では、「23-27点(弱い左足利き)332」が最多
「11-16点(強い右足利き)290」が最少

1と2を足した数と3と4を足した数は、差はありますが、
「左利きの投票者」と比べますと、それほど大きな差はありません。

「左利きの投票者」では、「28-33点(強い左足利き)310」が最多
「17-22点(弱い右足利き)253」が最少

5と6を足した「右足利き」より
7と8を足した「左足利き」の方が断然多くなっています。


「左利きの投票者」は、納得できる結果のように思います。
一方「右利きの投票者」は、ちょっと考えてしまう結果です。


これはやはり、

 このアンケートをやってみようと思う人のなかに
 自分の利き手や利き足に
 確とした答えを持っていない人がいるのではないか

という気がするのです。

ご自身の利き足に確固たる自信といいますか、確信を持っていれば、
あえてこういうアンケートを試してみよう、
という気持ちにはならないのではないか、と思うからです。

そういう人が結果的に、このアンケートで
少し「あれっ」と思わせる結果を現出させているのではないでしょうか。

まあ、そんなふうに感じました。

 ・・・

――次回は、
 「第14回 貴方の利き目は右左どちらですか」
 を紹介する予定です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「★600号までの道のり」は、お休みです。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [20] <左利きプチ・アンケート> 全公開(20)「利き手調査」番外 第51回 新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト」と題して、今回も全紹介です。

前回の「第28回 利き足を調べてみよう・チャップマン利き足テスト」との違いは、
(自己申告による利き手別の投票による利き足テスト)
である点です。

左右の利き手別に投票していただくというもので、左右どの程度の人が投票しているのかがわかるという点と、それぞれの利き手別にどのような利き足傾向があるのかがわかる、という狙いがありました。

今までの利き手調査アンケートの時と同じで、本当のところ、その狙いが実現しているかどうかわかりません。
まあ、自己満足の地点からどこまでいけてるのか、というところでしょうか。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』〈左利きメルマガ〉カテゴリ

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
『左組通信』復活計画<左利きプチ・アンケート>(20)第51回新版・利き足は右左どちらですか―チャップマン利き足テスト-週刊ヒッキイ第636号
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私の読書論167-愉快で…な老人探偵小説『木曜殺人クラブ~』他-楽しい読書336号

2023-02-16 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2023(令和5)年2月28日号(No.336)「私の読書論167-
愉快で…な老人探偵小説『木曜殺人クラブ~』他」


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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2023(令和5)年2月28日号(No.336)「私の読書論167-
愉快で…な老人探偵小説『木曜殺人クラブ~』他」
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 前号の「私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)」で
 紹介しました<初読ベスト3>の(1)位の
 『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン
 および、選外のマイクル・Z・リューインの『祖父の祈り』は、
 ともに、老人が主人公の小説でした。

 今回、
 『木曜殺人クラブ』のシリーズ第二作
 『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』を読みました。
 これも当然ですが、老人たちを主人公とする物語でした。

 私自身老人となり、これらの登場人物たちのことが
 非常に心に響くことに気付きました。

 今回はこれらについて書いてみようと思います。

【前号】――

古典から始める レフティやすおの楽しい読書
2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」

2023.1.31
私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編
-楽しい読書335号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-059ad0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3d8f4210a27677ac55d433cea1778596

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 身近に感じるようになった老人小説 -

  ~ 愉快で…な老人探偵小説『木曜殺人クラブ~』他 ~

  古い「男」像を守る男と昔を忘れず今風に馴染もうとする老人たち

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●『木曜殺人クラブ』と『祖父の祈り』

まずは、前号の文章を再録しておきます。

--
『木曜殺人クラブ』『祖父の祈り』のふたつは、
老人が主人公となるお話で、今や老人の一人となった私にとっても、
興味深い内容でした。

前者は、高級老人ホームで起きた殺人事件をミステリ好きのメンバーが
探偵に乗り出すというストーリー。過去の事件の影が長い尾を引く物語。
各人の過去の人生の秘密が暴かれて行き、それぞれに興味深い内容で、
人生の重さといったものを改めて実感させられます。

後者は、コロナ禍を思わせるパンデミック下の近未来のアメリカを
思わせる町が舞台とする作品。
感染して亡くなった妻との約束を守るため、
同じく亡くなった娘の夫に代わり、
祖父が娘とその息子(孫の少年)を守り抜くという決意を貫く物語。
男の役割といったものを全うしようとする老人の戦い。
--

以上が簡単な概説で、のちに個々の作品について、
引用文を含めて紹介しました。

昨年読んだ老人の小説としましては、再読編の方でも、
『老人と海』ヘミングウェイ を読んでいます。
文字通り老人が主人公のお話で、
老漁師と大きなカジキとの一騎打ちの物語。

ここでも、老人の人生をプレイバックしながら、
今の老人の姿を克明に綴っています。
そのあたりもグッとくるものがありました。

先にも書きましたが、私自身、一昨年春にぎっくり腰から無理をして、
腰の痛みと左足の痛みが出、一ヶ月杖をついて歩くようになり、
また秋には、高齢男性特有の病気、前立腺肥大症により、
頻尿等の症状が出、生活上、やっかいなことになりました。

自分でもはっきりと「遂に老人になったな」と実感したものでした。

それ以来、読む小説にしても、老人ものに気が向くようになりました。


 ●『祖父の祈り』マイクル・Z・リューイン

前号の文章――

--
『祖父の祈り』は、上にも書きましたように、老人が家族を守るお話。
まだまだ俺にもやれる、といった独白もあり、
年老いた男の生き方の一つの在り方を描きます。
今や老人となってしまった私の心に響くものがありました。

p.70(田口俊樹訳)
《生きていくことこそなにより重要なことだ。それが妻との約束だった。
 息を引き取る直前に(略)「あの子たちをお願いね」/
 「任せておけ」老人はそう約束したのだった。》

p.66(同)
《あの男はおれを欲しがってたんだ。このおれを! 
 まだまだおれは現役だということだ。》

p.76(同)
《自分の仕事をきちんとやってのけたのだ。おれは役に立った。》

p.151(同)
《老人の望みはここから出ることだった。
 家族みんなでここを逃れることだ。それができないなら、
 せめて今いる場所でより安全に暮らせるよう努力するしかない。
 壁を強化して、ドアも補強して……
 そういうことこそおれの“役割”だ。》

p.198(同)
《任務はまだ完了していない。今はまだ。
 それでも老人には証明できた
 ――家族のために脱出のチャンスをつくるだけの力は
 おれにはまだ残されている。》
--


「まだまだおれは現役だ」「おれは役に立った」
「おれにはまだ残されている」

こういう思いは、今の私にひしひしと伝わってきます。

「衰えゆく自分の力、でもまだやれることがある!」という実感。
それは老人自身にとって、とても貴重な経験であり、
残された人生を生きる活力となるものでしょう。


『祖父の祈り』マイクル・Z・リューイン 田口俊樹/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2022



 ●『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

次に紹介しますのは、謎解きミステリです。

上にも書きましたが、
本編の主人公たちは、70代の高級老人ホームに住む人々で、
<木曜探偵クラブ>という「老人探偵団」「老年探偵団」
「高齢者探偵団」といいますか、
まあ「年寄探偵団」と呼ぶのが一番ふさわしいでしょうか――
に所属する探偵趣味のある人たちです。
ふだんは、クラブの創始者の元刑事が引退時に持ち出した
未解決事件のファイルを推理するのでしたが、
この施設で実際の殺人事件が発生し、探偵ごっこを始めるという物語。

前号の文章から――

--
『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

(略)
それはさておき、上にも書きましたように、この長編は、
老人の探偵クラブの謎解きゴッコなのですが、
それぞれの登場人物の過去が暴かれるなかで、人生の重さといいますか、
人の世の浮き沈みと生き方、その心情の動きなど、
なかなか読ませるものがありました。

p.29(羽田詩津子訳)
《人はある年齢を超えたら、やりたいことはほとんどできる。
 医者や子どもたちを除けば、やめろと言う人もいない。》

p.59(羽田詩津子訳)
《トニーは運を信じていない。彼が信じているのは努力だ。
 準備がおろそかになれば、失敗は目に見えている。
 トニーが教わった年老いた英語教師はかつてそう言った。
 それを忘れたことは一度もない。》

p.118(羽田詩津子訳)
《人生では、よい日を数えるようにしなくてはならない。
 そういう日をポケットにしまって、
 いつも持ち歩かなくてはいけない。》


p.200(羽田詩津子訳)
《おれたち全員が弱ってきている、(略)ちょろいもんだ。
 ひとひねりだ。そうだろ? 造作もないにちがいない。
 だが、いいか、ここには人生で何事かを成し遂げた人もいるんだ。
 ちがうか?》


p.283 (羽田詩津子訳)
《よく時が傷を癒やすと言うが、人生にはいったん壊れたら、
 決して治せないものがある。》

p.436(羽田詩津子訳)
《自分は一人でやりたいことをして、満足している人間なのか? 
 それとも、手に入れたものだけでどうにか納得しようとしている、
 孤独な人間なのか? 一人なのか孤独なのか?》

等々、気になる文章が出てきます。

次の作品も出版され好評のようです。また読んでみたいものです。
--


以下、上の引用文に今の私のコメントを付していきましょう。

《人はある年齢を超えたら、やりたいことはほとんどできる。》

――でも、その勇気があるかどうか、です。

《人生では、よい日を数えるようにしなくてはならない。
 そういう日をポケットにしまって、
 いつも持ち歩かなくてはいけない。》

――そう、そのとおり。
こういう自分に力を与えてくれるような瞬間をいつも持っていないと、
自分が潰れてしまうような時があります。

《おれたち全員が弱ってきている、(略)
 だが、いいか、ここには人生で何事かを成し遂げた人もいるんだ。
 ちがうか?》

――確かに、私たちは、大なり小なり何事かを為してきたのです。
それを自信に残りの人生を生きてゆくべきなのです。

《よく時が傷を癒やすと言うが、人生にはいったん壊れたら、
 決して治せないものがある。》

――耐えるしかない、忘れるしかない事柄があります。
でも、耐えることが、忘れることができない、
そういうこともあるのです。
そういう事柄も抱えながら生きてゆくのが、老人の人生なのです。

《自分は一人でやりたいことをして、満足している人間なのか? 
 それとも、手に入れたものだけでどうにか納得しようとしている、
 孤独な人間なのか? 一人なのか孤独なのか?》

――これは、まだ50歳の独身中年男性の独白です。
まだ、老境に入る前の、まだやり直しのきく年齢。
そこで「孤立」に落ち込むか、「独立」した人格を維持できるか、
その瀬戸際の立ち位置です。

ここでなんとか踏み留まれれば、
悲しい老後にならずにすむのでしょう。

『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン 羽田詩津子/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2021


 ●第二作『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』リチャード・オスマン

好評だった前作に続き、第二作が翻訳刊行されましたので、
読んでみました。

『木曜殺人クラブ 二度死んだ男』リチャード・オスマン
 羽田詩津子/訳 ハヤカワ・ミステリ 2022/11/2


第二作では、年寄探偵団四人のメンバーの一人、
元精神科医のイブラヒムが一人で町に出て、スマホを使ったり、
セルフ・レジにチャレンジしたり、新しい生活に馴染んでいこう、
としますが、なんと自転車で通りかかった若者たちにスマホを取られ、
袋だたきに遭い、あわや命も……というピンチに。

犯人の一人の名を覚えていたので逮捕はされるが、証拠不十分で……。
しかもどこかへ逃走され、行方不明に。

しかし探偵団は、前回の事件で知り合った地元警察から情報を集め、
娘からスマホのSNSの使い方を教えてもらった、元看護師のジョイスは、
SNSを使って班員の青年を見つけ出す。

一方、リーダー格のエリザベスは元情報員で、
元夫のMI5の諜報員ダグラスから、
仕事中にギャングの家で偶然見つけたダイヤを盗み、
ギャングとMI5の両方から追われる身になり助けてくれ、
という手紙をもらう。
しかし、ダイヤを盗んだダグラスと
MI5から送り込まれた見張り役の新米女性ポピーは、
何者かに頭を打ち抜かれ殺される。
彼らの隠れ家を知っているのは、MI5の上司の女とダイヤ事件の際の同僚。

地元の警察は、麻薬のディーラーを逮捕するべく網を張るが、
尻尾をつかめない。

で、エリザベス、ジョイス、イブラヒム、
元労働組合の幹部ロン(ロンの孫も手柄を立てます)ら探偵団は、
イブラヒムの復讐と、ダグラスとポピー殺しの犯人逮捕、
ダグラスの隠したダイヤ探しのため、警察とMI5を利用し、
ギャングと足を出さない麻薬ディーラー、イブラヒムの襲撃犯、
ダイヤの持ち主であるニューヨークから来るマフィアらを一堂に集め、 
噛ましあいをさせて事件を解決し、隠されたダイヤも発見する。

それぞれの人物の描写もしっかりしていて、
三人称の章とジョイス一人称の章が織り込まれて進むのですが、
ジョイスの章がなかなかおもしろいのです。
饒舌といいますか、話があちこちするなかで、
真実を見いだすところなど。

ストーリーや謎解きはもちろんですが、
ユーモアとペーソスといいますか、
人生の重さといったなんやかんやについてのお年寄りたちの語り。
500ページも全く長く感じない小説です。


 ●イブラヒムにまつわる人生談義

イブラヒムを中心に登場人物の老人たちの人生模様からの引用文――

《「利用しよう、さもないと失ってしまう」たしかにそのとおり。
 だからこそ、イブラヒムはここにいるのだ。騒音のまっただ中に。
 車が横を走り過ぎ、ティーンエイジャーたちが叫び、
 建築業者たちがわめいている。イブラヒムは気分がいい。
 恐怖も薄れている。脳が活性化している。
 利用しよう、さもないと失ってしまう。》p.40(羽田詩津子訳)


――元精神科医のイブラヒムは、お気に入りの独立系の本屋さんの
レジの壁に掲げてあった看板の標語「地元の書店を利用しよう、
さもないと失ってしまう」をみてそう思うのです。

余談ですが、私も元町の本屋の店員として、
地元の本屋さんをできるだけ利用しています。
まあ、どうしてもAmazonに頼ってしまうケースもあるのですけれど、ね。
左利き関係の本など、一般の町の本屋では入手困難な本が欲しいとき。

年齢に負けず、新規な取り組みに挑むべく街に出てきたイブラヒム。
ところが、非力なお年寄りとして若者に襲われてしまうのです。
そして、外傷後なんとやらに取り憑かれ、萎縮してしまうのですね。


《復讐は直線ではなく、円だ。
 復讐は自分がまだ部屋にいるあいだに爆発する手榴弾で、
 自分自身も爆風を受けずにはいられない。》p.105(同)

《復讐するときは慎重にならなければならないが、
 イブラヒムは人生の大半を慎重のうえにも慎重に過ごしてきた。
 ただし、人間として成長したければ、
 ときにはちがう行動をとる必要がある。》p.107(同)

――一方で、復讐を考えもするのです。
仲間たちはもちろん、ですが。


《ここの人たちは来ては去り、また来ては去っていく。
 ここは人生の最期を過ごす場所だとわかっているので、
 みんな生き生きしているのだ。彼らの足どりはのろのろしているが、
 その時間は急ぎ足で過ぎていく。(略)彼らはいずれ死ぬだろうが、
 誰でもいつか死ぬ。死ぬときは一瞬だから、
 人は最期のときを待ちながら生きるしかない。騒ぎを起こすもよし、
 チェスをするもよし、何でも好きにやればいい。》p.131(同)

――これは探偵クラブの面々の協力者で、
彼らのためならなんでもしようというボグダンの独白。
彼らの日常を観察しての、人生に対する考えです。


《「『困難は人を強くする』と言うのはけっこうだ。賞賛に値する。
 しかし、八十歳になると、もうそれは当てにはまらない。
 八十歳だと、どんな困難であれ、それは人を次のドアへ連れていく。
 それから次のドア、さらに次のドアへ。
 そして、そうしたドアはすべて背後でしまってしまう。
 もはや回復はありえない。
 若さの引力は消え、ただ上へ上へと漂っていくだけなんだ」》p.165(同)


――イブラヒムの自嘲的な言葉。


《「時間は戻ってこないことは知っているね? 
 友人、自由、可能性も?」
 (略)
 時間を取り戻すことはあきらめよう。
 過去は幸せだった時間として記憶するんだ。きみは山の頂上にいた。
 今は谷間にいる。今後も数えきれないほど、
 そういうことは起きるだろう」/
 「じゃあ、今は何をすればいいんですか?」/
 「もちろん、次の山を登るんだ」》pp.358-359(同)


――元精神科医のイブラヒムに相談する地元警察の女性警官ドナ。
元精神科医らしい彼女に対する助言ですけれど、それはそのまま、
事件後のイブラヒムへの助言ともなります。
「次の山を登れ」と。「前を見て、後ろを振り返るな」という。


《人はずっと夢を見ていなくてはならない。
 エリザベスはそのことを知っている。ダグラスもそれを知っていた。
 イブラヒムは忘れてしまったけど、わたしがいるのだから、
 時機をみはからって、いずれ思い出させてあげよう。》p.386(同)

――誰もが仲間のためを思い、勇気づけようとします。
「人はずっと夢を見ていなくてはならない」というのは、
私も自分に言い聞かせている言葉です。


《「野原にいる馬をみるのが大好きなの」ジョイスは言う。
 「馬たちが幸せだってわかるから。
 幸福は人生のすべてでしょ、そう思わない」/
 イブラヒムは首を振る。「賛成できない。人生の秘密は死だ。
 何もかも死に関係している、わかるだろ」
 (略)
 「本質的には、われわれの存在は死のためだけに意味を持つ。
 死はわれわれの物語に意味を与えてくれる。
 われわれの旅が行き着く先は常に死だ。行動の理由は、死を恐れるか、
 死を否定しようとするか、どちらかだ。一年に一度は、
 この場所を通り過ぎているが、馬もわれわれも若返ることは
 決してない。すべては死なんだ」/
 「それって、一方的なものの見方だと思うわ」
 (略)
 「当然、すべてが死に関係しているなら、
 何ひとつ死に関係していないってことよね?」
 (略)
 「すべてが青いなら、『青い』って言葉は必要ないでしょ?」
 「そのとおりだ」イブラヒムは認める。/
 「そして、青いという言葉がないなら、
 何ひとつ青にはならないんじゃない、どう?」
 (略)
 それで救われた、というのも
 ジョイスはいわば確信を突いていたからだ。》pp.479-480(同)

――「幸福は人生のすべてでしょ」と、人生を肯定的に捉えるジョイス。
私も案外そちら派かもしれません。
結構言われます、楽天的と。

「幸福は人生のすべて」「人はずっと夢を見ていなくてはならない」
「利用しよう、さもないと失ってしまう」――
みんなひとつの方向を示しているように思います。


「老いたればこそわかる人生の真実」
のようなものがあるのではないでしょうか。

案外ありきたりな結論になるかもしれませんけれど。

これら、老人小説を読んでみて、
とにかく「生きている限りジタバタしてみる」のがよいのでないか、
とそう思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ★創刊300号への道のり はお休みです
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論167-愉快で…な老人探偵小説『木曜殺人クラブ~』他」と題して、今回も全文転載紹介です。

ズバリ読んでもらったそのまんまです。
他にこれといってお話することはありません。

とにかく『木曜殺人クラブ』二作はどちらも500ページ弱ですが、おもしろいので苦にならないと思います。
持って読むには手が疲れるかもしれませんけれど。

謎解きミステリ好きも楽しめますし、人生に一言いいたくなる一言居士も納得の小説ではないかという気がします。

『祖父の祈り』は、前号の後記でも書いています。
コロナ禍の今読む本といった趣もありますが、昔の「男」像の延長なので、その点を不満に思う人がいるかもしれません。
でも、われわれ老人男性には、これが標準だったという意味で、受け止めていただければ、と思います。

これらは、作品のストーリー的にも、人間物語的味付けも優れたものでした。
機会があれば、ぜひお読みください。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

" target="_blank">私の読書論167-愉快で…な老人探偵小説『木曜殺人クラブ~』他-楽しい読書336号

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2月10日は左利きグッズの日―私のファースト左手・左利き用品ことなど

2023-02-10 | 左利き
2月10日は左利きグッズの日です。

今でも「日本版〈左利きの日〉レ(0)フ(2)ト(10)の日」という人もいますが、2009年から「左利きグッズの日」と認定されています。

--
左利き(の不便さ、左利きの“差別”待遇の不合理さ)について知ってもらい、左利きの人の生活環境向上のため、左利きグッズ、左手・左利き用品の普及を目指す日です。
... 2009年、左利き用グッズコーナーを始めてから10周年を迎えるという、神奈川県相模原市の「菊屋浦上商事株式会社」が、 『左利きグッズを通じて、使いやすさの喜びと楽しさを多くの人に知って頂く記念日』になれば、との考えで「日本記念日協会」に2月10日を左利きグッズの日として申請し、... 認定されたものです。


●記念日の由来●
社会生活で左利きの人が感じているさまざまな道具の使いづらさ。それを解消するための左利き用グッズの普及を目指し、左利きグッズを扱う神奈川県相模原市の菊屋浦上商事株式会社が制定。日付は2月10日を0210として「0(レ)2(フ)10(ト)」と読み、レフト=左の発想から。

2008.12.28
2月10日は左利きグッズの日、日本記念日協会で認定されるより
--

2015.2.10
2月10日は改称7年目の〈左利きグッズの日〉より

 ・・・

今年の記念日は、私の持っている左利きグッズ、愛用していたファースト左手・左利き用品、今も愛用の左手・左利き用品のことを話しましょう。

まずは画像をご覧ください。


①は、1990年の年末のボーナスで購入したカメラで、私の生まれて初めてのファースト左利きグッズ――左手・左利き用品でした。

(画像:私が描いた愛機「京セラSAMURAI Z2-L」)

(画像:愛機「京セラSAMURAI Z2-L」)

(画像:前後左右から映した愛機「京セラSAMURAI Z2-L」)

(画像:愛機「京セラSAMURAI Z2-L」を左手で持っているところ)

<世界初! 左手用カメラ>として発売された、<京セラ サムライSAMURAI Z-L>の廉価版<Z2-L>。

初めてカメラ屋さんで手にしたとき、その瞬間から身体にジャスト・フィット!
こんなに心地よい快感は生まれて初めの経験でした。

それまでは父親のカメラを借りて使ったり「写ルンです」を使ったりしていたときは、どうしても隔靴掻痒――靴を隔てて痒いところをかく、という感じの、何かしらしっくりこないもどかしさを感じていたものでした。

ところがこれは、まさに自分の感覚でシャッターが切れる――写真が撮れる、という感じでした。


今思いますと、左の利き手でカメラを持ち、肘を曲げ、左の利き目でファインダーをのぞくと、左腕の脇もしまり、カメラも安定します。
右手を添えてシャッター・ボタンを押せば、このポジションはバッチリ自分の姿勢にフィットした感じになるのですね。

従来の右手用のカメラですと、右手で持ち、左目にファインダーを合わせますと、当然カメラの位置が身体の中心よりも左に寄ります。
(中には、右目利きに合わせたのか、カメラの向かって右寄りにファインダーがあるものもありました。)
この状態であまり得意でない右手の人差し指でシャッター・ボタンを押すと、持っている右手の脇がどうしても開くようになり、不安定になります。

どうしても、自分の狙った「これ!」という瞬間にシャッターが切れずに、思うような写真が撮れない、という気がするのでした。


まさにこれが、自分の身体に合った道具を使った時の素晴らしさを実感した瞬間、といえるでしょう。

生まれて初めて「右利きの人が右利き用品を使う時の感覚」を知ることができた、というところでしょうか。


それ以来、この快感を、当時友人知人にいた何人かの左利きの人に知ってもらいたく思い、「左利き通信」を出すことにしました。

そして、ほかの左利きグッズを探すようになりました。

こうして、1991年に見つけたのが、②③のハサミです。

②は、レイメイ藤井の左手用こどもはさみ――たしか、近くの西友の文具売り場を覗いたら、ありました。
(右手用と同一価格――当時は350円ぐらいでしたか――というのが、嬉しい配慮。)
こんな身近にあったんだ、という驚き。

③は、これも近くのホームセンターで見つけた、林刃物株式会社の「ALLEX 事務用はさみ 左手用 S-165 L」。
これには、一つエピソードがあるのですけれど、今回は割愛。
(以前、2020年3月17日にツイッターで書いたことがあります。)

その後タイミング良く、三ヶ月後ぐらいに、『モノマガジン』という雑誌で<左利き特集号>が発売されました。

*『モノマガジン』1991年4月2日号 No.188(ワールドフォトプレス)
「特集/左を制するモノは時代を制す 左利きの商品学」

(画像:『モノマガジン』1991年4月2日号 No.188の表紙)

(画像:『モノマガジン』1991年4月2日号 No.188の目次から「特集/左を制するモノは時代を制す 左利きの商品学」)


そこには多くの左手・左利き用品が写真入りで紹介されていました。
もちろん、あの「SAMURAI」も。

さらに、イギリスの左利き用品専門店“Anything Left-Handed”
のことを知り、そこの通販で購入したのが、④と⑤。
④は、この店のオリジナル左利き用定規。
(こちらは、その後日本のメーカーからも色々発売されたので、現在お蔵入り中。)
⑤は、「パーカーPARKER」の左手書き用にペン先がカットされた左利き用の万年筆<PARKER45>。
(これは今も愛用しています。壊れたときのために二本目も用意しています。)
⑥は、東急ハンズで手に入れたスイス・アーミーナイフの(今は亡き)<ウェンガー>のレフトハンデッド・タイプ。
(これは、今も外出時は常時携帯しています。左用の大刃(5.5cm)以下、左用のコーク・スクリューも付いています。)

その後、様々な左手・左利き用品を探しては購入しました。
とはいえ、まあ一般的な文房具類が大半で、調理用品(包丁、缶切り程度)が少しある程度ですね。

残念なことですが、今のところ文具以外の自慢できるようなめずらしい種類の道具は、特にありませんね。


今、一番気になるのは、メルマガでも問題にしている「楽器」ですね。

ギターの左用は比較的出回っていますが、それ以外の楽器の左用もぜひ一度は手にしてみたいですね。

今目指しているのは、子供たちが最初の本格的な楽器として接するであろう「鍵盤キーボードの左用」がまず一番の目標でしょうか。

ここをなんとかできれば、その発展系で、「ピアノ」を攻略できそうに思います。
「ピアノ」を落とせれば、あとは一気にあれやこれやの楽器群へと進めていけそうに思います。


(画像:左利きピアニストで、自分で左利き用ピアノを作り演奏している
クリストファー・シード(Christopher Seed)さん
Left-Handed Piano)


*『レフティやすおのお茶でっせ』過去の2月10日「左利きグッズの日」の記事:
・2008.12.28
2月10日は左利きグッズの日、日本記念日協会で認定される
・2009.2.10
今日2月10日は“左利きグッズの日”
・2011.2.8
左手書字考(1)左手で字を書くこと―再考:週刊ヒッキイhikkii249
・2011.2.9
「左利きグッズの日」記念「第5回<LYグランプリ>2011」読者大賞アンケート
・2012.2.9
2月10日は「左利きグッズの日」ですが…メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」298号告知
・2012.2.10
2月10日「左利きグッズの日」記念<LYGP>第6回2012:メルマガ「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」299号予告
・2013.2.10
今年もまた<左利きグッズの日>でした
・2015.2.10
2月10日は改称7年目の〈左利きグッズの日〉
・2016.2.9
2月10日は左利きグッズの日
・2016.2.10
2月10日は左利きグッズの日―普及の前提
・2017.2.9
2月10日〈左利きグッズの日〉をまえに左来人(Right Hidari)『左利きあるある 右利きないない』を買う読む
・2017.2.10
左手左利き専用グッズ開発「レフティー21プロジェクト」菊屋浦上商事呼びかけ
・2018.2.10
2月10日は「左利きグッズの日」―どこまで進む「左利き」容認―産経新聞投書から
・2019.2.10
2月10日は「左利きグッズの日」―に思うこと
(新生活版)2月10日は「左利きグッズの日」―に思うこと
・2020.2.8
2020年2月10日は令和初の〈左利きグッズの日〉-文末に嬉しい情報あり
(新生活版)2020年2月10日は令和初の〈左利きグッズの日〉-文末に嬉しい情報あり
・2021.2.8
〈日本版左利きの日〉から20年、2月10日は〈左利きグッズの日〉
(新生活版)〈日本版左利きの日〉から20年、2月10日は〈左利きグッズの日〉
・2022.2.9
2月10日〈左利きグッズの日〉を前にTBSテレビ【新・情報7daysニュースキャスター】で左利き情報
(新生活版)2月10日〈左利きグッズの日〉を前にTBSテレビ【新・情報7daysニュースキャスター】で左利き情報

『レフティやすおのお茶でっせ』カテゴリ――
2月10日左利きグッズの日

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
2月10日は左利きグッズの日―私のファースト左手・左利き用品ことなど
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左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手-週刊ヒッキイ第635号

2023-02-05 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第634号 【別冊 編集後記】

第635号(No.635) 2023/2/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手の役割について」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第635号(No.635) 2023/2/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手の役割について」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前回も、ネットの「知恵袋」の中のギター演奏に関するご意見を
 紹介しました。

 今回は、以前から説明しようと考えながらそのままになっていました
 利き手と非利き手の役割について改めて考えて見ましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―

 楽器における左利きの世界 (9)

  ◆ 利き手と非利き手の役割について ◆

   ~ 両手にはそれぞれの役割がある ~  

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●前回までのおさらい

前回私は「利き手と非利き手の役割」について、

 演奏するにあたって、演奏する手/腕にも主役と脇役があり、
 そこに利き手と非利き手の役割がある

と書きました。

また、私の持論として「利き手は心につながっている」と
いい続けてきました。

そして、今年の最初の号の新春放談では、
音楽は心が心に訴えるものであるという意味の言葉を紹介しました。、

 《音楽は心で生まれ、心に届かなければ意味がない。
   セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)》
    『教養としての世界の名言 365』p.386

*参考:
『教養としての世界の名言 365』佐藤 優/監修 宝島SUGOI文庫
2021/11/5

それ故に、心の表現者として利き手を主役に演奏するべきだ、と。


第629号(No.629) 2022/11/5
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(7)ギター講師の意見 」
2022.11.5
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(7)ギター講師の意見-週刊ヒッキイ第629号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/11/post-044348.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/801461827eaef5ba210c119da48fd743

では、「左利きの生徒さんには左用のギターを勧めます」という
右利きのギター講師さんの意見を紹介しました。

弦をハジき、強弱、タイミング、音色を操作する
「コレはぜーったい利き手でなければなりません」と。

 ・・・

で、戻って前号では、今までは左利き用の楽器がなかったので、
仕方なしに右利き用の楽器を使ってきたけれど、
これからは、正しく利き手にあった楽器を使って演奏するべきだ、
と書きました。

ないのなら作ってしまおう、もしくは作ってもらおう、と。

不都合があるならば、まず当事者が声を上げる。

物事をはじめから知っている人もいれば、
教えてもらって気付く人もいるのだから。

知らない人には教えてあげましょう。
みんなが暮らしやすい世の中に変えてゆくために。

――と、訴えてきました。


 ●2月10日は「左利きグッズの日」――楽器も左用を!

来週の2月10日は、「左利きグッズの日」です。

左利き生活を向上させるための道具や機械や何やかや、
左利きの生活環境を改善してゆこうという日であります。

昨今ではかなりの種類の左手・左利きグッズが開発され、
一般にも広く販売されるようになってきました。
嬉しい傾向です。

とはいえ、左利きのための楽器という面では、まだまだ遅れています。

前の段落でも言いましたように、
ないのなら作ればいい、のです。

そして困っている当事者が強く発言していくべきなのです。

左用の楽器を作ってください! と。

みなさん、実際に楽器演奏している人もいない人も、
単なる音楽好きの人もそうでない人も、
ぜひ、ご協力をいただきたいものです。


 ●なぜ左用楽器がないのか?

左用の楽器がないのがどうしてなのかを考えてみました。

するとその原因の一つは、
やはり「楽器というものが両手で扱うものだ」
という点にあると思われます。

昔から「両手で使うから利き手は関係ない」という人が多くいます。
楽器のみならず、カメラでも、パソコンでもそうですね。
クルマの運転でもいわれます。

実際は両手を使うといっても、
先のギターの例を見てもわかりますように、
弦を弾く手と弦を押さえる手の違いがあります。

フルートでもどちら向きに構えるかの違いだけ(たぶん)ですが、
そもそもこの身体の構えというものが、
やはり左右差が出る事柄だろうと思えます。

野球の投打でもそうですし、
単に構えが逆になるだけといえば簡単なことのようですが、
実はそれだけで全く異なったものになってしまうのです。

前号で「<左利きプチ・アンケート>第28回 利き足を調べてみよう・
チャップマン利き足テスト」を紹介したときに、

 利き足 =動作をする「作用足」
 非利き足=体重を支える「軸足」

という違いがあると説明しました。

構えには、手だけでなくこの足の違いが出てきます。

そして、利き手と利き足は相関関係があるそうで、
ここに左右差が生まれてきます。


そういう左右差の違いがわかる人が
まだまだ少ないのではないでしょうか。

結局、利き手・利き側の違いというものが、
本当のところまだ一般の人には十分理解されていない、
ということなのでしょう。

私たちの努力が足りない、ということです。


 ●両手にはそれぞれの役割がある

さて、「両手で使うから利き手は関係ない」
という意見に対する反論を考えてみましょう。

「利き手・利き側」というものがあるという点については、
否定する人は少ないでしょう。

では、それぞれの利き手/腕と
利き手でない方の手/腕の役割の違いについてみておきましょう。

1998年発行という古い本になりますが、
脳科学者で京大霊長類研究所の所長でもあった久保田競さんの著書、
『脳を探検する』(講談社)にこうあります。



両手を使うことで脳を鍛えよう、という提案のなかで、
この場合の<両手を使う>とは、

 《右も左も同じように使えるようにという意味ではありません。
  食事のときに左右どちらの手でもお箸が使えるとか、
  どちらの手でも字が書けるということではありません。
  つまり「利き手は利き手らしく、そうでない手は、
  そうでない手のように左右どちらも使いなさい」ということです。
  脳に左右で分業があるのですから、
  手の使い方も脳の分業と直結した使い方をしなければならない
  ――両手をそのように使い分けねばならないのです。
  (略)
  だから、左右どちらの手も同じような動きをする
  という意味での両手使いではなく、右手は右手としての器用さを、
  左手は左手としてのそれを発揮できるような、
  そういう両手使いをすすめます。》pp.216-217

と。

「利き手は利き手らしく、そうでない手は、そうでない手のように」
というのです。

そして、手には運動器官としての役割と感覚器官としての役割がある、
といいます。(pp.194-195)

以下、

左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
第315号(No.315) 2012/6/2「レフティ・グッズ・プロジェクト
<左手・左利き用品を考える>第5回」

より、一部を加筆修正。

--
利き手は主役として器用さを、
非利き手は感覚器としての機能を生かせ、といわれます。

【両手を使い分ける】:両手にはそれぞれ役割がある。
・利き手 =作用(運動器官)
・非利き手=感覚(感覚器官)

例えば、点字を読むのは、利き手より非利き手
(右利きなら、右手より左手)
を使う方が読むスピードも正確さも優れている、といいます。

また、大工さんは右手でカンナをかけ、
左手でその削った面をさわって確かめる、という動作をします。

紙切りでもそうで、主役の右手でハサミをチョキチョキし、
感覚器である左手で巧みに紙を送ります。

野菜を細かく切るときも、
右手は包丁を持ち、刃を適切な角度で保ち、
切るという動作を担当し、
左手は単に野菜を押さえるのではなく、
切る際の包丁を下ろす間隔を誘導しています。

ハサミで言えば、
利き手では、正しい位置に正確な角度で刃を当てチョキチョキする、
非利き手は、刃の当たる正確な切る位置にしっかりと紙をあてがう、
という役割分担です。
--

*参照:
久保田競『脳を探検する』(講談社 1998)


 ・・・

紙切り芸というのがあります。

*参照:
紙切り(寄席) - YouTube
https://youtu.be/0rBztNaRbe8

鋏と紙が作り出す即興の芸
https://www.gov-online.go.jp/eng/publicity/book/hlj/html/202003/202003_06_jp.html


これもハサミを持つ利き手よりも紙を動かす左手の役割が、
重要なのです。
ハサミを持っている方の手はほとんど動かしません。
紙の方をグルグルと動かすのです。

これも感覚器官としての非利き手の役割を活かしているのですね。

ギターだって、いい演奏をしようと思えば、
弦を押さえる非利き手の動きが大事です。

さてさて、そうはいっても、
肝心なのはハサミを持つ、あるいは弦を弾く、
器用な運動器官としての利き手なのは変わりません。

それを補完するのが、感覚器官としての非利き手です。

そして、利き手と非利き手がそれぞれの役割を十全に発揮したとき、
優れたパフォーマンスが完成するのです。


 ●演奏は利き手と非利き手の相互作用によって成り立つ

「なぜ左用楽器がないのか?」というと、
それは
「両手で使うから利き手は関係ない」と誤解されているから、
です。

でも本当は両手にはそれぞれの役割があるのだ、ということです。

そして、今現実にある、一般の楽器が両手を使うといいながら、
実は右手を利き手として主体的に演奏するように作られている、
という事実がよく知られていない、ということでしょうか。

知られていないというよりも、理解されていない、
と言い換えるべきでしょう。

楽器を演奏するという行為の実際は、
単に両手、二つの手を使うというのではなく、
利き手と非利き手の相互作用によって成り立っている、ということです。

そして、現在の楽器の多くは、
右手を利き手として使用する人たち向けのものになっているのです。

これらのことを正しく理解してもらえれば、
私の願い――左利き用の楽器の普及も夢ではない、といえるでしょう。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 「★600号までの道のり」は、お休みです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手の役割について」と題して、今回も全紹介です。



 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』〈左利きメルマガ〉カテゴリ

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手-週刊ヒッキイ第635号
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私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編-楽しい読書335号

2023-02-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」



------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

 今年も「私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)」です。

 <フィクション系>は、文字通りフィクション、
 小説等の創作物を指します。

 まずは、<再読編ベスト3>、次に<初読編ベスト3>を。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 - 懐かしの冒険サスペンスと懐かしの人生?ミステリ -

  ~ 私の年間ベスト3・2022フィクション系(後編) ~

  <再読編ベスト3>&<初読編ベスト3>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ●<再読ベスト3>

再読24冊から、前号で<再読ベスト3>の候補をあげています。

『果てしなき旅路』『血は異ならず』ゼナ・ヘンダースン
『マンハンター』ジョー・ゴアズ
『縮みゆく人間』『地獄の家』リチャード・マシスン
『きみの血を』シオドア・スタージョン
『鳥』ダフネ・デュ・モーリア
『怪奇幻想の文学 I 深紅の法悦』紀田順一郎、荒俣宏/編
『ドラキュラのライヴァルたち』マイケル・パリー編
『闇の展覧会1・2』カービー・マッコーリー/編


ここから<再読ベスト3>を発表します。

(3)『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン

前号でも紹介しましたように、左利きの問題との関連で、
私にとって忘れられない作品です。
地球に不時着した異星人が、地球人のなかでの生活になじむべく、
超能力を封じて暮らす、というお話。
詳しくは、↓

第625号(No.625) 2022/9/3
「2022年8月13日国際左利きの日合併号(続)
左利きとアイデンティティ ~《ピープル》シリーズから考える」
2022.9.3
2022年8月13日国際左利きの日合併号(続)左利きとアイデンティティ
-週刊ヒッキイ第625号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2022/09/post-bbbde2.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4db1239925b49f49fc58073cbe1d5f73


(2)『縮みゆく人間』リチャード・マシスン

ある事情で身体が縮んでしまうようになった男性の物語。
冒険サスペンスものでありながら、人間とは何か、夫婦とか家族とか、
人間関係とは? といった問題を考えさせる。
ラスト、いよいよ命の終わりかと思うと、実は……、という傑作。
生きるってことは大変なことなのです。

(1)『マンハンター』ジョー・ゴアズ

アクションたっぷりのハードボイルド・ミステリながら、
いや、それだからか、学生時代の女の子との思いを胸に、
汚れた世界で一人奮闘し、悪と戦う男の姿が、美しい物語です。


★☆★☆ <再読ベスト3> ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

・『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1(1959)



・『縮みゆく人間』リチャード・マシスン 吉田誠一/訳
 ハヤカワ文庫NV 1977

・『マンハンター』ジョー・ゴアズ 山中誠人/訳 角川文庫 1978



☆★☆★☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆★☆★ ☆★☆★☆★☆★☆★


 ●<初読ベスト3>候補

次に初読21冊から<初読ベスト3>候補を挙げてみましょう。

『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック
『ハメット』ジョー・ゴアズ
『探偵コナン・ドイル』ブラッドリー・ハーパー
『オクトーバー・リスト』ジェフリー・ディーヴァー
『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン
『祖父の祈り』『父親たちにまつわる疑問』マイクル・Z・リューイン
『硝子のハンマー』貴志祐介
『下町ロケット ガウディ計画』池井戸潤
『ある日どこかで』リチャード・マシスン

まあ、こんなところでしょうか。

『バーニーよ銃を取れ』は、
ひょんことからギャングの親分を敵に回すことになった
一般人の男三人の戦い。
プロの軍人を教官に訓練に励み、決戦を迎えるが……。

次の二つは、作家ハメットとコナン・ドイルが探偵役となるミステリ。
それぞれ事実と虚構が相まっておもしろいものになっていました。

ラストのどんでん返しが魅力のディーヴァーの意欲作、
『オクトーバー・リスト』は、逆進行のミステリ、スゴイの一語。

『硝子のハンマー』は、テレビ・ドラマで見た作品の原作。
密室殺人の謎解きと、犯人側のドラマと二倍楽しめ、かつ意外なラスト。

『下町ロケット ガウディ計画』は、『下町ロケット』の続編で、
私は、工業高校の機械科卒で、級友にも町工場の社長の息子などいて、
そういう部分での興味もあり、物作りにかける思いといった内容も、
楽しめるものでした。
(そういう意味では、朝ドラの『舞いあがれ』も、
 わが故郷、中小企業の町、東大阪が舞台の一つであり、
 町工場を継いだ父親の夢を実現しようと奮闘する主人公、
 という面も含めて、興味深く毎朝視聴しています。)

『ある日どこかで』は、時間の壁を超えて出会う男女の恋物語。
映画化もされ、宝塚歌劇でも上演されたという作品の原作です。
しかし、これは死を宣告された青年の狂喜が生み出した妄想なのか、
実際に起きた奇跡なのか、どちらにも解釈される仕掛けが、
この作家らしいといいますか……。

『木曜殺人クラブ』『祖父の祈り』のふたつは、
老人が主人公となるお話で、今や老人の一人となった私にとっても、
興味深い内容でした。

前者は、高級老人ホームで起きた殺人事件をミステリ好きのメンバーが
探偵に乗り出すというストーリー。過去の事件の影が長い尾を引く物語。
各人の過去の人生の秘密が暴かれて行き、それぞれに興味深い内容で、
人生の重さといったものを改めて実感させられます。

後者は、コロナ禍を思わせるパンデミック下の近未来のアメリカを
思わせる町が舞台とする作品。
感染して亡くなった妻との約束を守るため、
同じく亡くなった娘の夫に代わり、
祖父が娘とその息子(孫の少年)を守り抜くという決意を貫く物語。
男の役割といったものを全うしようとする老人の戦い。

再読したダフネ・デュ・モーリア『鳥』中の表題作「鳥」も、
妻と子供たちを守る夫のお話で、
カービー・マッコーリー/編のホラー・アンソロジー『闇の展覧会1』
巻末の短い長編ともいうべきキングの「霧」も、
息子を守る父親の戦う姿が描かれている作品でした。
こういう物語には、グッとくるものがあります。

『父親たちにまつわる疑問』は、
異星人を名乗る心優しい青年にまつわる事件を、“心優しき私立探偵”
アルバート・サムスンが解決する、心優しいお話。


 ●<初読ベスト3>

では、<初読ベスト3>の発表。

(3)『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック
他人の講座から預金を盗み取ったものの、相手はギャングの親分。
追い込まれたバーニーたちは銃を取るが……。
鬼軍曹を教官に特訓を受け、作戦を練り、対決する!
この過程と実際の決戦がおもしろい冒険サスペンス。


(2)『ある日どこかで』リチャード・マシスン

私は、ジャック・フィニイのノルタルジック・ファンタジーとでも
呼ぶのでしょうか、一連の短編が好きで、大切にしています。
彼には時間を超えるファンタジーの長編もあります。
この『ある日どこかで』も
そういうフィニイの長編をリスペクトした作品になっています。
実はフィニイの作品も未読で、ずっと将来の楽しみに取ってあるのです。
この長編も実は、そういう一冊だったのですが、
このたび、他のマシスンの本を整理するので、これも読んでみました。

ラストの仕掛けをどう評価するのか、というところが分かれ目か?


(1)『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

偶然ですが、こちらもリチャードさんですね。
それはさておき、上にも書きましたように、この長編は、
老人の探偵クラブの謎解きゴッコなのですが、
それぞれの登場人物の過去が暴かれるなかで、人生の重さといいますか、
人の世の浮き沈みと生き方、その心情の動きなど、
なかなか読ませるものがありました。

p.29(羽田詩津子訳)
《人はある年齢を超えたら、やりたいことはほとんどできる。
 医者や子どもたちを除けば、やめろと言う人もいない。》

p.59(羽田詩津子訳)
《トニーは運を信じていない。彼が信じているのは努力だ。
 準備がおろそかになれば、失敗は目に見えている。
 トニーが教わった年老いた英語教師はかつてそう言った。
 それを忘れたことは一度もない。》

p.118(羽田詩津子訳)
《人生では、よい日を数えるようにしなくてはならない。
 そういう日をポケットにしまって、
 いつも持ち歩かなくてはいけない。》

p.200(羽田詩津子訳)
《おれたち全員が弱ってきている、(略)ちょろいもんだ。
 ひとひねりだ。そうだろ? 造作もないにちがいない。
 だが、いいか、ここには人生で何事かを成し遂げた人もいるんだ。
 ちがうか?》

p.283 (羽田詩津子訳)
《よく時が傷を癒やすと言うが、人生にはいったん壊れたら、
 決して治せないものがある。》

p.436(羽田詩津子訳)
《自分は一人でやりたいことをして、満足している人間なのか? 
 それとも、手に入れたものだけでどうにか納得しようとしている、
 孤独な人間なのか? 一人なのか孤独なのか?》

等々、気になる文章が出てきます。

次の作品も出版され好評のようです。また読んでみたいものです。


☆★☆★ <初読ベスト3> ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

・『バーニーよ銃を取れ』トニー・ケンリック 上田公子/訳 角川文庫 1982

・『ある日どこかで』リチャード・マシスン 尾之上浩司/訳
 創元推理文庫 2002



・『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン 羽田詩津子/訳
 ハヤカワ・ミステリ 2021



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 ●選外――マイクル・Z・リューイン

選外として、やはり特筆したいのが、マイクル・Z・リューインの作品
『祖父の祈り』と『父親たちにまつわる疑問』です。

・『祖父の祈り』マイクル・Z・リューイン 田口俊樹/訳 ハヤカワ・ミステリ 2022

・『父親たちにまつわる疑問』マイクル・Z・リューイン 武藤陽生/訳
 ハヤカワ・ミステリ文庫 2022

・『ミステリマガジン』2022年9月号(No.754)
特集:マイケル・Z・リューイン生誕80周年(早川書房 2022.7.25)



《リーロイ・パウダー警部補ものの本邦初訳の短篇と
 私立探偵アルバート・サムスンものの書籍未収録短篇の再録、
 リューインからの特別メッセージと近況、
 リューイン・ファンの作家たちによるエッセイなどで、
 巨匠の魅力を再確認していく》――という特集号も。


『祖父の祈り』は、上にも書きましたように、老人が家族を守るお話。
まだまだ俺にもやれる、といった独白もあり、
年老いた男の生き方の一つの在り方を描きます。
今や老人となってしまった私の心に響くものがありました。

p.70(田口俊樹訳)
《生きていくことこそなにより重要なことだ。それが妻との約束だった。
 息を引き取る直前に(略)「あの子たちをお願いね」/
 「任せておけ」老人はそう約束したのだった。》

p.66(同)
《あの男はおれを欲しがってたんだ。このおれを! 
 まだまだおれは現役だということだ。》

p.76(同)
《自分の仕事をきちんとやってのけたのだ。おれは役に立った。》

p.151(同)
《老人の望みはここから出ることだった。
 家族みんなでここを逃れることだ。それができないなら、
 せめて今いる場所でより安全に暮らせるよう努力するしかない。
 壁を強化して、ドアも補強して……
 そういうことこそおれの“役割”だ。》

p.198(同)
《任務はまだ完了していない。今はまだ。
 それでも老人には証明できた
 ――家族のために脱出のチャンスをつくるだけの力は
 おれにはまだ残されている。》


『父親たちにまつわる疑問』は、かつて私が大好きだった
“心優しき私立探偵”アルバート・サムスンの最新作。
久しぶりの新作の翻訳の登場で、おおいに期待しました。
短編集なので、そういう意味ではちょっと物足りないともいえますが、
事件の依頼者の性格といいますか、人間性がまたサムスンと合っていて、
この二人の絡みがおもしろいものでした。

初めての人もぜひ読んでいただきたい、
心優しい気持ちになることでしょう。


【追記】――<左利きミステリ>

前回、「●(3)小説や左利き本等著作のための勉強本」
の段で、<左利きミステリ>を二点紹介しました。

もう一つ忘れていたものがあるので、追加しておきます。
<初読ベスト3>にも選んだ

『木曜殺人クラブ』リチャード・オスマン

です。

事件の捜査に当たる地方警察の女性警官ドナーの妄想として、
<左利きネタ>が登場します。
手柄をたてて刑事になりたい彼女は、
実は、老人探偵クラブの警察側の情報源として、
クラブの面々の企みによって捜査にくわえてもらえたのでした。

p.125(羽田詩津子訳)
《「鑑識に筆跡を調べてもらったら、何がわかったと思いますか?」
 クリスは興味がなさそうなふりをするだろうが、
 実はそうではないことはわかっている。
 「トニー・カランは実は左利きだったんです」》

よくある<左利きネタ>です。

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 ★創刊300号への道のり はお休みです
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本誌では、「「私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」」と題して、今回も全文転載紹介です。

再読編と初読編のベスト3の紹介でした。
初読編は選外として、マイクル・Z・リューインの新作を紹介しました。
これもオススメです。
『祖父の祈り』は、コロナ禍に関する本は読んでこなかったので、初めての作品でした。
そういう意味でも家族を守る男/老人(祖父)の本としても、心に残る作品でした。

家族を守る男(父親)の物語としましては、再読本の中に、キングの「壁」や、デュ・モーリアの「鳥」などがありました。
これらは、作品のストーリー的にも優れたものでした。
機会があれば、ぜひお読みください。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編-楽しい読書335号
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