レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

『左組通信』復活計画(30)『LL』復刻(3)LL4 1995年春号-週刊ヒッキイ第664号

2024-05-19 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第664号(Vol.20 no.9/No.664) 2024/5/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [30]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(3)LL4 1995(平成7)年 春号」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第664号(Vol.20 no.9/No.664) 2024/5/18
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [30]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(3)LL4 1995(平成7)年 春号」
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 今回も、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻ということで、
 ホームページに公開していたページのコピーです。


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ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [30]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (3)
 
   (内容紹介)LL4 1995(平成7)年 春号
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第650号(No.649) 2023/10/7
「創刊19年に向けて―650号記念号―
 <左利きの人の自覚――意識の覚醒>が最も重要」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.7
<左利きの人の覚醒>左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
創刊19年記念号-第650号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-158a3d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8396e0fae38c6eeab56013360f58d18e
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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL4

LL4 1995(平成7)年 春号
・前説 The Compliments of the Spring Issue 発信し続けること
・From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
  レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より
・From LHC (Left-handers Club/U.K.)
  レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
 (1)私のいちばん嫌(いや)~なことば――
  「○○君は、ぎっちょか。器用やなぁ。」
 (2)「転びキリシタン」あるいは「隠れキリシタン」のように

≪スタート! 新学期≫子供用品特集
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その4〔子供用左利き用品の紹介〕―
  文具(はさみ・鉛筆・鉛筆削り・定規・缶ペンケース入り文具セット)、
  野球/ソフトボール用グラブ・ヘルメット・手袋
〔手を使い分けよう〕
 久保田競著『手と脳―脳の働きを高める手』紀伊国屋書店より
〔左利きの子供に対する接し方〕
 箱崎総一著『左利きの秘密』立風書房より



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LL4 1995(平成7)年 春号
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前説 The Compliments of the Spring Issue
発信し続けること
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 さてわが“LEFTIES’ LIFE”もこの春号をもって、
季節を一巡したことになります。何とか一年続けることができました。
これもひとえに読者の皆様のご声援のたまものと感謝しております。
 ありがとうございました。

「継続は力なり」ということばがあります。
とにかく、出し続けることが認知される早道だ、と考えています。
 借金も請求しなければ、パーになるそうです。
 自分が痛いときや苦しいときは、
そういわなければ人にはわかりません。
自分ひとりがガマンすることですむ問題ならば、それでいいでしょう。
しかし、そうでないときにはいわなければ、人には伝わりません。
伝わらなければ、助けてもらえません。
SOSを発信しなければ、救助隊も出動しません。
一度のSOSでダメでも、
発信し続ければいつか誰かが気づいてくれる。
ひとりではできないことでも、人が集まればできるようになる。
――そう信じて、続けていきます。
これからもよろしくおつきあいのほどお願い申し上げます。
では、≪スタート! 新学期≫増大号をお楽しみください。


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From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より
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いつも手紙を下さるマーケッティング・ディレクターの
キャロル・リドルさんから、
≪左利きの人を欲求不満におちいらせるもの」
”Things that are frustrating for lefties!”
と題する報告を送っていただきました。

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From LHC (Left-handers Club/U.K.)
レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
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最新の会報とともに、昨年行われたメンバー向けの
左利きに関するアンケート調査の結果が送られてきました。

――このふたつの詳細は、また機会をみて紹介します。


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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
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私のいちばん嫌(いや)~なことば――
「○○君は、ぎっちょか。器用やなぁ。」
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春は新しい出会いの季節です。
期待と不安を胸に新たな世界へ飛び出してゆくとき――
楽しみな反面、こわい所もあります。特に新しい人との出会いには。

「○○君は、ぎっちょか!? 器用やなぁ。」

 初めて会う人から言われるいちばん嫌なことばです。
「ぎっちょ」の部分は、
最近は「左利き/サウスポー」と表現されます。
ここまでは事実を指摘している内容ですので仕方ありません。
が、このあとの「器用やなぁ」という発言には大いに問題があります。
 このことばだけを取るとほめことばのようですが、
何を指すかによって変わってくるのです。
 右手であれ左手であれ、利き手を起用に動かせるのは、
当たり前のことですから――
〔ぎっちょ/左利きの人〕=〔器用な人〕 という発想ならば、
それは文字通りほめことばです。
 でも、〔ぎっちょ/左手を使うこと〕=〔器用〕 
すなわち〔器用〕だから → 〔ぎっちょ/左手を使う〕
 という発想ならば、それは明らかにまちがいです。
 
 左利きの人は、自分は器用だから「右手でもできるのに、
わざと左手を使っている」というわけではなく、
右利きの人が無意識に右手をつかうのと同じように、
「自分の意志にかかわらず、ごく自然に」左手が動いてしまうのです。
 ただ単に、左手が利き手だから、器用に動くだけです。

 もちろん、
発言者はそんな厳密な意味を考えて話しているわけではなく、
何も考えずに、ちょっとした話のきっかけといった程度に、
単純に軽い気持ちで自分の驚きをあらわしているにすぎません。

 しかし、私にはうわべだけのことばと聞き流すことができません。
このような発言に接するたびに、何かバカにされている、
茶化されているように思えてならないのです。
 これは単に、私の思いすごしにすぎないのでしょうか?


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「転びキリシタン」あるいは「隠れキリシタン」のように
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 最近、手のない子について書いた文章を読みました。
 彼は生まれつき「棒のような手」しか持っていません。
しかし、それを当たり前のことだと思っているため、
手のないことの不自由さを感じていないというのです。
「手がないので不自由でしょう?」というのは、
ふつうの人の勝手な想像にすぎないというのです。
 
私たち左利きの人も、自分が左利きであることを、
当然のことと受け止めています。
決して自分のことを変だとか奇異だとか考えたことはありません。
 左利きであること自体に、不自由さを感じたことはありません。
 左手も右手も対称形を成しています。
鏡に映してみればどちらがどちらか区別の付かない人もいるでしょう。

 生れたときから、右利きの社会で暮らしてきた左利きの人々は、
なんの疑いもなく、ありのままにこの世の中を受け入れてきました。

 しかし残念ながら今現在この社会は、
右利きの人達が生活するのに便利なように作り上げてきた、
右利きの世界だったのです。
 人類が始めて道具を手にしたとき――このときから利き手が始まった、
といわれている――から、右利きの人たちにとってはごくごく自然な
発想である、右手右足といったからだの右側にある感覚器官を優先する
思想に基づいた、文明や文化を堂々と築き上げてきたのです。
 
 そんな世界で、少数の存在である左利きの人たちは、
あるときは、右手を使うように「矯正」という名の強制を受け、
大部分の人は「転びキリシタン」のように、
訓練を受けた特定の作業のみ右手で行うことのできる
「右利きもどき」のような、「隠れキリシタン」ならぬ
「隠れ左利き」としての生活を強要されてきました。
 一方「転ばなかった」左利きの人は、強情で我の強い、わがままな、
協調性にかける性格の「アウトロー」という烙印を押されることも
間々ありました。
 さらに、「転んだ」人も「転ばなかった」人も
社会のさまざまな場面で右利き用の道具や機械、
それらの配置など右利き社会への適応を余儀なくされている、
のが現状です。


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≪スタート! 新学期≫子供用品特集
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左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その4
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今回は、子供用の左利き用品を紹介します。
 わが子が左利きとわかったとき、
世の親御さんはどのような反応を示すのでしょうか?

 昔のように、なにがなんでも右利きに、という圧力は
弱くなっているようですが、基本的には、
できうる限り右手を使わせるように、
できるものなら右利きにさせよう、と努めるのではないでしょうか?

 ではなぜ、そのような指導をさせる気持ちになるのでしょうか?

 今の社会では、右利きに比べて、左利きは何かにつけて不利である、
と考えられるからでしょうか?
 あるいは、左利きでは行儀が悪い、からでしょか?
 左利きは他人に迷惑をかける、とでもいうのでしょうか?

 もしある社会が、
特定の人々にとって不利な状況をもたらすものであるとすれば、
そのような社会の構造そのものが問題であり、
改善されるべきでしょう。
 個人個人がそれぞれに工夫するのは、あくまで私的な便法にすぎず、
根本治療とはいえない、と私は考えます。

 CDとアナログ・レコードのシェアが逆転したとき、あっという間に、
プレーヤーやレコード針が姿を消してしまったことがありました。
 あのような劇的な変革は望むべくもないでしょうが、
しかし、改善に向けて、まず一歩、踏み出す努力が必要です。
 あなたの子供は待ってくれません。

 待ってくれない子供たちにとって大切なのは、最初に出会う道具です。
小さい頃から、その子にあった道具を与えてやることが肝心です。
自分に合った道具で正しい使い方をマスターしたとき初めて、
自分に自信が持てるのです。
 使いにくい道具で悪戦苦闘する、けがをする、
自分はダメだと思い込む…。
からだの傷は一時でも、心の傷は一生ついてまわります。
子供が引け目を感じないで、胸を張って生きていけるように、
その子に合った道具をそろえてあげたいものです。


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≪スタート! 新学期≫子供用品特集
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左利きは少数派ではあるが、その存在を認め、生活方法、
手を使う道具など左利きの人に都合のよいものが開発されねばならない。

 久保田競著『手と脳―脳の働きを高める手』より
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(グッズ紹介)
① RAYMAY 左手用こどもはさみ KHH350
 児童用 135ミリ ¥350 株式会社レイメイ藤井
・発売以来二十数年のロングセラー定番商品。
・先が丸くて安全、価格も安価で「右利き用」と同一価格がうれしい。
・刃先が二段刃なので耐久性バツグンです。
・名前のネームタグ付き。
・中心の「かしめ」部分はゆるみ防止のリングバネ付きです。
 ――商品企画室 F・Sさん

② アレックス 学童用鋏 S21-145 ¥600 株式会社木屋 
・刃物用ステンレス鋼。
・全長145mm
・小型で軽く、小さな子供の手にフィットするサイズ、サビにくく、
気楽に使えます。
・木屋、または各地のデパート内木屋は物売り場にて。
  ――企画課 Iさん

③ ステンレスハサミ 学童用 左用 No.145 ¥600
 プラス株式会社
・長さ145mm。
・学校で便利な名札付き。
「他社に左利き用のハサミが無い事もあり、お蔭様でご好評頂いてます。
同じ形の右用に比較しても出荷率がかなり高いです。
大人も使えるNo.165(¥1300)も宜しくお願い致します。」
――製品事業部 S・Sさん

④ ミズノ野球・ソフトボール用品――ミズノ株式会社
〔グラブ〕
少年硬式用〈ワールドウィン〉パラショックμハニカム
 オールラウンド用 一塁手用
少年硬式用〈ワールドウィン〉シーラス
 オールラウンド用 size L, M, S, SS 一塁手用
〔ヘルメット〕
硬式用 (左打者用) 軟式用 (左打者用) ソフトボール用 (左打者用)
 他にそれぞれ「両耳付打者用」がある。
少年硬式用 (両耳付打者用) 少年軟式用 (両耳付打者用)
〔バッティング手袋〕
左打者用 19~27cm(少年用対応) 
「スポーツにおいて左利きを意識して企画している商品でジュニア用は、
現在のところ野球用品しかございません。
商品としては、グラブ、バッティング手袋、ヘルメットです。」  
――お客様商品相談センター A・Mさん

今回は、品番の紹介だけに終わりました。くわしくは上記の相談センター、
またはミズノ製品取扱店でおたずねください。 

⑤ 4インチ先丸形 クラスルーム・シザーズ アメリカ製 /輸入品
・長さ約10センチ。先が丸くて安全な、幼児から小学校低学年向けの
ハサミ。

⑥ 5インチ スタンダード・スクール・シザーズ アメリカ製/輸入品
・長さ約12.5センチ。学童用ハサミ。

(*2024.5.15――個人名をイニシャルに変更、
「ミズノ野球・ソフトボール用品」の商品番号と価格を省略しました。)


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〔手を使い分けよう〕

(略)左右の運動機能の分化の芽生えは、生れたときすでにあるので、
左手と右手の機能の差を考えた育児が肝要である。
 
 利き手は言語を媒介する機能、ことばで考えたことを実現する機能、
単純につかむ、にぎることから書くことまでの機能に使われるべきで、
非「利き手」は、手探り、空間認知、さらにそれを手がかりとして
実現する機能に使われるべきである。
われわれの脳は左右に特殊化がおこなわれているので、
それに都合のよいように手を使わなければならない。
(略)左利きの幼児が生まれたら、利き手の矯正をすることなく、
そのまま左右それぞれの手の機能発達をはかるべきである。

  久保田競著『手と脳―脳の働きを高める手』紀伊国屋書店
 1982年刊より


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


⑦ 消しゴム付鉛筆 アメリカ製/輸入品
・こすれても手が汚れない鉛筆。
・左手に持ってもプリントされた文字が逆立ちしていない。
・レフトハンダーズ・インターナショナルのロゴ入り。

⑧ 鉛筆削り ドイツ製/輸入品
・手持ち式。
・左手に鉛筆を持ち、反時計方向に回して削る。

⑨ 15センチ定規・30センチ定規 イギリス製/輸入品
・左手で線を引くときに便利なように、右から目盛りがついている。

⑩ 缶ペンケース入り文具セット イギリス製/輸入品
・ 子供用ハサミ、15センチ定規、万年筆、シャープペンシル、鉛筆、
鉛筆削り、消しゴム、スペアインク、レフトハンダーズ・クラブのバッジ、
がセットされている。

⑤⑥⑦は、LEFTHANDERS INTERNATIONAL(USA)より。
⑧⑨⑩は、 ANYTHING LEFT-HANDED(UK)より。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〔左利きの子供に対する接し方〕

たしかに、この右利き偏重社会で左利きの子どもたちが
立ち向かっていかなくてはいけない試練は多いだろう。
だが、子どもたちが左利きであることの誇りと、
そして勇気を持って進んでいくならば、
この社会はかならず変革できるはずである。
そうした誇りと勇気を子どもたちに与えるのが、
左利きの子どもを持った親のつとめではないだろうか。
もしあなたが愛情という言葉を口にするならば、
愛情とは子どもの手から武器を奪い、
犬のように尻尾を巻いて退散させることではない、と私はいいたい。
愛情とは、むしろ敵に立ち向かう力と知恵とを
子どもに授けることだと思う。
そんな愛情を持って、子どもと接していただきたい。
そうすれば、子どもはきっと力強く生きていくにちがいない。

親としては単に愛情だけで子どもに接するにとどまらず、
社会における左利きの立場に対する客観的な認識を
子どもに与えるように心がけるべきである。
 
たしかに、親としては子どもの左利きをなんとか直したい
と考えるだろう。
なぜなら、親が何十年か生きてきたこの日本の社会は
完全な右利き偏重の社会であったし、
それはまだまだ続くだろうからだ。
左利きの子どもが立ち向かわなくてはいけない社会の壁、
あるいはさまざまな差別と迫害…、そうしたものを考えたとき
「右利きに直るものなら、なんとか直したい…」と思うのは
当然の“親ごころ”であろう。
だが、そんな“親ごころ”を認めたとしても、
なお私は「左利きを矯正してはいけない」と叫びたい。
「こどものため…」と思う“親ごころ”が
客観的な認識力を欠落したとき、
子どもに対していかに大きなストレスとなるか。
これは“教育ママ”の例をあげるまでもない。

「教育」という言葉を英語ではEDUCATIONという。
これは“EDUCE=引き出す”という動詞からきた言葉なのだ。
つまり、教育というのは無限にある子どもの能力や個性を
無理にねじ曲げることではけっしてないのだ。
私が、左利きはひとつの“個性”であって
“異常”なのではないと強調してきたのも、
そういったことをじゅうぶんに考えて、
子どもに対応していただきたい。

  箱崎総一著『左利きの秘密』立風書房 1979年刊より


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [30]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(3)LL4 1995(平成7)年 春号」と題して、今回も全紹介です。

今回も、思い出話です。
グッズ紹介のコーナーがありましたが、それぞれのメーカーさんに「LL」のBNを同封したお便りを出し、その返答をいただいた方と連絡を取り、お言葉をいただいたりしました。
こういうことを毎回くり返し、色々と情報をご提供していただいたものでした。

ちょっと記憶が曖昧で、調べる手間をとる余裕もないのですけれど、子供用の左手用ハサミの開発に関する情報をお寄せいただいたメーカーさんもありました。
また、左手用子供ハサミの老舗、レイメイ藤井さんからは、左手用こどもハサミの前年比売り上げ(?)の増加の数値なども教えてもらったことがありました。
林刃物さんからは、左用ハサミに関して、当初はもっと多種類(大・中・小・長など)を用意していたけれど、種類を絞ることになったなどの報告もいただいたものでした。

今は、直接他者に働きかけるという行動を取っていないので、そういう意味では啓蒙活動としては消化不良なのかな、と反省しています。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

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私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん-楽しい読書366号

2024-05-15 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年5月15日号(vol.17 no.9/No.366)
「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年5月15日号(vol.17 no.9/No.366)
「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」
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 昨年9月から10月、11月、12月と、
 読書習慣を持つ人の減少、および町の本屋さんの減少に関しての文章を
 書いてきました。

 今回また、私の“町の本屋”論を書いてみたいと思います。

 私は、今からおよそ40年ぐらい前になりますが、
 20代後半から30代の初めまで6年近く“町の本屋”さんで、
 「本屋の兄(にい)ちゃん」(近所の小学生からそう呼ばれていました!)
 として働いていました。

 そういう書店員経験と小学生時代からの書店客としての経験を基に
 語ってみたいと思います。


【過去の本屋論】

2023(令和5)年9月15日号(No.350)
「私の読書論174-消えゆく書店と紙の本」
2023.9.15
私の読書論174-消えゆく書店と紙の本-楽しい読書350号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-f7ab5e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a65f07da56cc868147fbd49d01c3c4bf

 ●朝日新聞の記事「本屋ない市町村、全国で26%~」
 ●再販制度――定価販売による価格保証
 ●書店経営が厳しい背景の要因―雑誌の売り上げの急減
 ●ネット書店で本を買う人の増加
 ●リアル書店での「偶然の出会い」
 ●リアル書店の生き残りについて――「コンビニ+本屋」
 ●ベストセラーではなく、ロングセラーを!
 ●本屋はそのまちの文化のバロメーター

一番大事なことは、本屋さんというのは、
その町の文化を代表する存在の一つだ、ということです。

もちろん文化施設としては、
公立や私立の図書館とか美術館とか博物館などもあります。
あるいは学校――小・中・高校、大学、専門学校などの教育施設などが
あります。

しかし、最も身近な文化施設として、私が思うところは、
やはり町の本屋さんなのです。
これは私の経験からの意見です。

本屋さんに出入りするようになり、私の世界が広がったのです。
今の私につながるような変化を生みました。

それが文化というものでしょう。

本の世界には、文字通り世界のすべてが包含されています。
未知なる世界への入口になるのです。

日常的な生活だけでは、絶対ふれ得ないような世界の広さです。

それが本屋さんというものだと私は思っています。

もちろん、昔でいえば映画やラジオやテレビもそういうものでした。
しかし、それらは自分の手元に置いておくことができにくいものでした。

紙の本なら、それが可能でした。

広い世界へつながる入口――それが本屋さんであり、
文化へ続く道だったのです。
--


2023(令和5)年10月15日号(No.352)
「私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと」
2023.10.15
私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと-楽しい読書352号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-d8d8ec.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b9a38985fcfd574650e4c54eba355c1

 前回に引き続き、本と本屋の世界といいますか、業界について、
 「元本屋の兄ちゃん」として、本好き・読書好きの人間として、
 私なりに考えていることを書いてみようと思います。

 前回は、朝日新聞の記事「本屋ない市町村、全国で26%~」を基に、
 書店が生き残る方法など、私なりの考えを書きました。
 再販制度をやめよとか、雑誌販売についてとか、
 書店の選書について等々。

 今回はその続きで、出版業界における改革について、
 私なりの案を書いてみましょう。

 ●日本の本は安い!?
 ●本の値段を上げてみれば?
 ●本の価格を1.5倍に
 ●より良い本作りが可能に
 ●「軽い」本は電子版で
 ●「良い本」を作れる環境を!

まとめ的にいいますと、
現状ではまず本の値段を上げてそれぞれの取り分を増やす。

そうして、著者・出版社の「良い本」を作れる環境を整え、
書店がそれらの「良い本」をじっくり時間をかけて売れる状況にする。

――というところでしょうか。
--


2023(令和5)年11月15日号(No.354)
「私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと」
2023.11.15
私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと-楽しい読書354号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-7462e0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d498bde194e54d8e97a5d018d683f607
 ●月0冊が半数
 ●系統だった情報を入手する方法としては本が上では?
 ●「読書週間」と読書習慣
 ●「本を読むから偉い」のでなく「本を読んだから偉くなれた」
 ●「読む時間が確保できない」
 ●「読みたい本がない」について
 ●書店の新形態――無人の店舗、コンビニ併設
 ●本屋さんの生き残りに期待

とにかく、本屋さんがなくなるというのが一番の悲劇だと思っています。
何らかの形で残って欲しい、という強い願望があります。

ふらりと入った本屋さんであれこれ見ることで、
「あっ、こんな本が出てる!」という偶然の出会いがあります。

それが本好きにとっての一番の至福の時間かもしれません。

私は、本屋さんにいるときが一番楽しい時です。
図書館も楽しみですが、本屋さんの方が、より新しい顔を見られる、
という点で楽しみが大です。

今の私があるのは、ひとえに本屋さんあればこそ、と思っています。
私の人生の一番の友、それが本で、その友との出会いの場が本屋さん、
なんです。

(略)

私は、書店・本屋さんは、地域の文化の担い手だと考えています。
がんばれ本屋さん!
--


2023(令和5)年12月15日号(No.356)
「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ
―『美しい本屋さんの間取り』から」
2023.12.15
私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―『美しい本屋さんの間取り』-楽しい読書356号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/12/post-bf19e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/79bec3e02805048065d5ea41387e2c55

 (今回の参考書)
『美しい本屋さんの間取り』エクスナレッジ X-Knowledge 2022/12/29
http://www.amazon.co.jp/dp/4767830958/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
 ●現物の魅力

本屋さんの魅力といいますと、なによりも、
<思いがけない本との出会いがある>という点でしょう。

欲しい本を買うだけなら、ネットで十分です。
在庫があれば、Amazonなどではホントにすぐに送ってきてくれます。

でも、自分が欲しい本が必ずしも、選んだ本だった、とは限りません。
色々な情報を手にしたうえで吟味して選んだつもりでも、
ホントに自分に合ったものかどうかは、
実際に手に取って読んでみなければ分からないものです。

その点、本屋さんではある程度立ち読みで現物を確認する事もできます。
内容だけではなく、実際の“もの”としての魅力という側面もあり、
自分で納得のいくものに出会えるという点では、
リアルの世界の持つ力は、捨てがたいものがあります。

本屋さんで本を探していると、予定していた本以外にも、
もっと適切な本が見つかることがあります。

さらに、考えてもいなかった本と出会うこともあります。
自分の中にそんな欲望があったのか、と思うような、
異なるジャンルの本との出会いも。

 ●本屋さん開業の夢
 ●『美しい本屋さんの間取り』主な目次
 ●間取りの図版が楽しい
 ●1章 設え方 来店者を増やす
 ●2章 見せ方 美しく本を見せる
 ●3章 基本 知っておきたい基礎知識
 ●本書が見せてくれる自分の本屋さんの夢
--

 以上、過去4回の概要とまとめというところです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 - 私の読書論184 -
  ~ がんばれ!町の本屋さん ~

  産経新聞の記事「一筆多論/多様な本屋があればこそ
          書店減少と読書文化を考える」より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●「多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」

産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの
「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」
https://www.sankei.com/article/20240430-3WZGEHWNPVPEHJSDN4I2J4ITXU/


(画像:産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」全文)

(画像:産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」のネット・ニュース版冒頭)

を紹介しましょう。

私も書いていますが、
本屋さんをのぞく楽しみは、他の商品と同じかも知れません。

「出会い」です。

 《思わぬ本に出会って人生が変わることもある。
  これまで、その舞台となってきたのが「街の本屋さん」だった。》

今その書店が次々と消えつつある。
この20年で半減し、

 《全国の市区町村のうち、4分の1以上で書店が一つもない
  という調査もある。》

そんななかで頑張っている地方の本屋さんを描いた本を紹介しています。

『本屋で待つ』(佐藤友則・島田潤一郎著、夏葉社 2022/12/25)

 《広島県庄原市の山間部の書店「ウィー東城店」を経営する佐藤さんの
  物語だ。試行錯誤するうちに本屋が印刷代行を手掛けるようになり、
  美容院や化粧品販売、コインランドリーにベーカリーまで…。》

 《いわゆる〝多角化〟で、
  街の「よろずや」となっていく過程がおもしろい。》

低い利益率による収益の少なさをカバーするためだけでなく、

 《各サービスが地域の人に必要とされていたからだ。》

といいます。

そして、ここが肝心の部分ですが、

 《書店を主軸にした多角化が地域の人たちに受け入れられたのは、
  「本という商品が社会から信頼されているから」というのである。》

 《本が信頼されているから本屋も信頼され、そこでパンを売ろうが
  化粧品を売ろうが、客は信頼してくれるのだと。》

人口減少と過疎化が進んでいる状況下で、
このような「よろず屋」が求められているわけです。

私も以前から書いていますように、

 《ただ、出版業界の構造が今のままでは、つまり、
  新刊や雑誌を売るだけではこの先、本屋を維持するのは難しいと、
  佐藤さんは同書で指摘している。》

利益率を上げる、顧客を確保する等の理由から、複合店が増えています。
それができないお店では、2割の粗利しかない現状で、
上質な文化の担い手を人材として確保するのは難しく、
それどころか学生アルバイトすら雇えず、
志を持つ店主たち(あるいはパパママ)で対応しているのが現状です。


書店を文化創造基盤として、その振興策を検討するための
「書店振興プロジェクトチーム」が経済産業省に発足した、といいます。

 《近年、個性的な書店が増えている。
  規模も取り組みもさまざまだが、従来の経営モデルでは
  もう通用しないという裏返しでもあるだろう。》

と、記事にあります。
一つは専門店化であり、他方は副業を合わせた多角化です。
その辺のところは、以前の記事でも紹介しました。

 《本や書店への信頼は読書文化の一端だ。
  大規模書店も街の本屋さんも、
  地域のニーズに根差した多様な書店が
  生き残る術(すべ)を考えてもらいたい。
  時間的な猶予はあまりない。(論説委員)》

と締めくくっています。


 ●私の“町の本屋さん”の生き残り法

私の考えた“町の本屋さん”の生き残り法の一つは、
現状の出版販売制度を維持したままでならば、本の価格を引き上げ、
その値上げ分を著者を含めた出版社、取次、書店で分配する方法。
これにより利益率を改善する。

もう一つは、根本的に販売制度を変え、再版制度をやめて、
書店の自由販売に変える。
他の商品などと同じように、自主的に仕入れて、自由に価格を設定、
販売する。

――という二つの方法を書いてみました。

私は、最終的には、後の根本的に販売法を変える方を取ります。
それぞれの経営者が努力する方向が一番だ、と思うからです。

再販制度はかつては、全国一律に価格競争を避けて、
経営規模の大小にかかわらず、全国の読者に本を提供するという役割を、
無事にこなしてきたと思います。

しかし、現状のような変化が生まれてきますと、
十分に対応できない面が出てきました。
Amazonのようにポイント制で、
実質的に再販価格制度を破っているところもあります。

電子本のように三次元空間でものを動かさない流通制度も、
現物主義の書店に不利になっています。

電子本によって、印刷・製本会社も儲けが減り、リアル書店も減益。

そういう現実の中で、生き残るためには、
書店や出版流通の構造を根本的に変える必要がある、
と私は考えています。


 ●文化の発信地としての書店の役割

書店の役割として、地域の文化の創造基盤としての存在、
というものがあると思います。

読書系の文化基地としては、書店だけでなく、図書館があります。
図書館の役割は大きいものがありますが、
図書館だけではカバーしきれない部分もあります。

公共の施設としての限界もあります。

図書館では扱いにくい本もあります。
図書館で借りて帰るのは、ちょっと……と思う本もあります。

また、図書館で借りて読むだけでは満足できず、ぜひ、自分の本として、
手元に置いておきたい本というものもあります。

そういった本はやはり本屋さんで買うのが一番です。

かつての私のように、引きこもりで外に出られなかった少年でも、
本の力によって、本の世界で社会とのつながりを得て、
現実に本屋さんに出かけることで、外の世界とつながっていた、
という現実がありました。

本屋さんは、外の世界への扉を開いてくれる場所でもあったのです。

そして、私が左利きの活動を始めるとき、
役に立つ情報を与えてくれたのも、本屋さんと図書館の本でした。


 ●がんばれ! 町の本屋さん

どんなに電子本が普及しようと、
それでもなお、紙の本を欲しいという人もいます。

紙の本による、
三次元で肉体と精神の両方を駆使して行う知的活動こそが読書だ、
と考える人もいます。

特に子供さんなどは、手に取って触って見て、五感で理解するのです。
ものとしての本の役割は、非常に大きなものがあります。

これからも、このメルマガでは、
本と本屋さんについてあれやこれやと書いてゆく予定です。
お楽しみに!

 ・・・

実は、後半の部分、当初の書いたものと異なる内容になりました。
パソコンのエラー?で、書いた部分百行分ぐらい消えてしまったのです。

要点の記憶はあるのですが、いざ書き直そうとすると、
まったく異なるものになりました。
あ~あ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」と題して、今回も全文転載紹介です。

かつて「町の本屋」さんで「本屋の兄ちゃん」をやっていた私にとって、こんなに早く本屋さんという業種が「絶滅危惧種」になるとは思ってもいませんでした。

少なくとも私の生きているあいだは大丈夫と、勝手に決め込んでいました。
まあ、それほど、この文化に大きな変化があるとは思っていなかった、ということですね。

ネットを含めた電子化、デジタル化の変化が大きかったということでしょう。

「紙の本から電子本」だけでなく、ネット書店の存在がここまでウエートを高めるとは思いませんでした。

Amazonで当初言われていたのが、ロングテールの本が売れるということでした。
これはネット書店の利点だと思いました。
店舗の立地に左右されず、店舗の賃貸料などを考慮しますと、本屋さんのような利益率の低い商品を扱う時、非常に有利になります。

私自身、後年、本屋時代の上司と話をしたときに、本屋さんは売れる本だけなどという在庫の置き方をするとダメになる、もっと売れない本も置いておかなければ、と。
滅多に売れないけれど、その本を置いておくことで、本屋さんとしての格といいますか、存在価値といいますか、お客さんに選択肢を与えるといいますか、そういう本屋としての価値があるかどうか、ですね。

さて、雑談はそれぐらいにして、これらのお話はまた来月にでもしたいものです。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん-楽しい読書366号
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楽器における左利きの世界(20)YouTubeヴァイオリン動画から(1)-週刊ヒッキイ第663号

2024-05-05 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第663号(Vol.20 no.8/No.663) 2024/5/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(20)YouTubeヴァイオリン動画から(1)」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第663号(Vol.20 no.8/No.663) 2024/5/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(20)YouTubeヴァイオリン動画から(1)」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前回は、

 梶野絵奈『日本のヴァイオリン史――楽器の誕生から明治維新まで』
 (青弓社 2022/9/26)

 より、ヴァイオリンの歴史を少し学びました。

 ヴァイオリンは、16世紀北イタリアでその原型となる楽器が生まれ、
 のちに、西洋の芸術音楽で中心的な役割を果たしました。
 
 大きくて重いピアノと違い、軽便で広く一般に親しまれてきた、
 といいます。 

 そして、昔のヴァイオリンには、顎当てに見られるような、
 明らかな左右差は見られず、ほぼ左右対称の形状であったのでは、
 と思われました。

 さて、今回は、左利きとヴァイオリンについて、
 YouTubeの動画を紹介しながら考えていこう、と思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆
 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}
- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

 YouTubeヴァイオリン動画から 左利きとヴァイオリンについて考える

 (その1)「左利き用バイオリン?!
        なぜみんな左手でバイオリンを持つのか。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●ヴァイオリンYouTube動画

ヴァイオリンは「擦弦楽器」と呼ばれ、
弓や棒などで文字通り「弦を擦って鳴らす」楽器ということで、

 《ヴァイオリンはそもそも弾くのが難しい。》
  (梶野絵奈『日本のヴァイオリン史』p.160)

といいます。
そういう楽器ではありますが、YouTubeを見ますと、
いくつものヴァイオリン演奏に関する動画が見られます。

その中から左利きとヴァイオリンについての動画を紹介しましょう。
今回は、長島達也さんの「達ちゃんねる」動画を。


 ●「左利き用バイオリン?!~」から

まずはズバリなタイトルが付いていたこの動画から――

(その1)
左利き用バイオリン?! なぜみんな左手でバイオリンを持つのか。
https://youtu.be/1AmkzYXwHuY?si=0GR1mBoVlDkQkwbN



2022/03/26「達ちゃんねる」13分27秒

《欧米を拠点に活躍するピアニスト・指揮者》という、
長島達也さんのYouTube動画です。

略歴を見ますと、演奏者としてだけでなく大学でも教えている他、
海外国内でのコンクールで審査員も務めているという方です。

実演だけでなく理論的にも、左利き用楽器とその演奏に関して、
様々な助言を“期待できる”人材といえそうです。

「なぜみんな左手でバイオリンを持つのか?」
という視聴者からの質問に答える動画です。


結論は――大きな理由が二つある、と言います。

以下、正確な文字おこしではなく、私の要約で紹介します。


◆一番大きな理由――両手の役割の問題

  たとえば、ピアノではほとんどの人が右利きになります。
  なぜなら、それだけ右手がたくさん使われるから。

  大人になると話が別だと思うのですが、
  子供の頃からやっていれば、左利きであろうが右利きであろうが
  全然違和感なく、それができます。

例として、ナダルというテニスプレーヤーの話をします。

本来右利きのナダルに、コーチが左利きの方が得だと、
小さいときから左利きのプレーを教えた。
その結果、今までも左利きのプレーヤーとして活躍している、と。


  ピアノであれヴァイオリンであれ、
  小さい時からやっていれば関係ないと思うんですね。

それを言いますと、「右へ倣え」でなくても、
「左へ倣え」でもいいはずですが……。


  それだけじゃなくて、
  (弦を弾くのと、弦を押さえるのと)それぞれに
  ヴァイオリンの難しさがあるので、
  自分の利き手がどっちをやればいいのか、ということは、
  (左手で弓を持たないことと)関係があると思う。
  難しさはそれぞれあるので。
  
  わざわざ左利きだからといって(左構えにして)
  右手でヴァイオリンを持つ人が少ない、という一つの理由。 


◆二番目の理由――右用と左用の楽器の構造の違いの問題

  一見こっちに持ち持ち替えるだけと思われるかも知れませんが、
  (ヴァイオリンを持ち替えるには)もっと色々な問題が出てきます。
  弦の並びを換えなければいけない、
  ペグという弦を調律をするところも真逆にしなければならない、
  またブリッジという部分も左右で高さが違うので、
  これも逆さにすれば、まったく違った音になってしまう。
  顎にフィットさせないといけない。
  ヴァイオリンのなかみにも違いがある。
  
内部の構造的にも、「バスバー」「サウンドポスト」等位置が異なる、
といいます。

  すべて特注で作ってもらわなければならないということが
  すごく大きな問題となってきます。

特注となりますと価格も高くなり、不利であるといいます。

この価格の問題も、昔から左利き用品についていわれ続けてきたこと、
もしくは、現在も言われていることです。


◆その他の理由――クラシックで言う「正しい持ち方」の問題

  右手で弓を持って左手でヴァイオリンをもつ、というのが、
  一般的なヴァイオリンのやりかたなんだけれど、
  逆にヴァイオリンをもってはいけない、ということはない。

  子供の頃からやるのなら、左手で弓を扱おうと右手で扱おうと、
  左手でヴァイオリンを持って弦のピッチをやろうと、
  おのおのの難しさがあるから、
  右でやろうが左でやろうがあまり関係ない、ということになるので、
  みんなここ(左手で持つ構え)になってしまいます。

いってみれば両手を使うから、それぞれの役割の難しさがあるので、
どちらがどちらとは言い切れない、ということなのでしょう。
ただ、この点は後ほど大いに語るつもりですが、
これは、やはりさほど重要なポイントとは言い切れないと思います。


  左でヴァイオリンを持つ人を何回か見たことがありますが、
  クラシックでは生では見たことがない、
  アメリカのカントリー・ミュージックなんかで
  左でやっている人はみるんだけれど、
  その人たちってこんな感じで弾くんで(中央に構えるような仕草)、
  クラシックで言う正しい持ち方とは全然違うので、
  果して右手と左手を換えるのが役立つのかというのも、
  また変わってくるのかな、と思います。


◆クラシックにおける理由――立ち位置の問題

  なぜクラシックの人たちのほとんどが右でやるのかというと、
  オーケストラで演奏するとき困ってしまいます。

  一人だけ左だと弓を持つ手と弓を普通に持っている人と
  肘が当たったり、弓が当たったりする。
  譜めくりの問題も出てくる。ヴァイオリンの場合、
  スタンドパートナーという二人で譜面をシェアするので。
  
  もし左の人がいれば、その左の人は一人だけ後ろに立たされて
  演奏することになるかも知れない。

並ぶ位置の問題ですね。

しかし、これも昔から言われていることですが、
隣の人とひじがあたる、という左手箸の問題と同じですね。

これも間隔の取り方の問題でしょう。


  また、ヴァイオリンはホールに向かって左側に出る。
  なぜかというと、ヴァイオリンは右の方に向いて構えるので、
  音もそちらの方にいく。
  左側に立つことで、客席に向けて音を届けることができる。

  構えが違うと、右と左では音の出る方向も違ってくるのではないか。
  そうすると、室内楽の時、
  演奏時の立ち位置の配置も換えなければけないのかな、と。 

これも、以前書きましたが、
「左右対称に展開する」という配置もあっていいと思います。


 ●右手でヴァイオリンをもって、左手で弓を弾く人

最後に、歴史的に見て、左で弾く人の話が出てきます。

最初に、喜劇王のチャップリンのはなし。


(画像:長島達也さんのYouTube動画「達ちゃんねる」より「左利き用バイオリン?! なぜみんな左手でバイオリンを持つのか。」のチャップリンについてのくだりから)


(画像:ネットから拾った、チャップリンの左利きヴァイオリン演奏)

次に、19世紀のバイオリン・ヴィルトゥオーゾ、ニコロ・パガニーニ。
一時期左で弦を押さえられなくなったので、左手で弾いたとか。

リチャード・バース(1850-1923)パーヴォ・ベルグルンド(1929-2012)
ルドルフ・コーリッシュ(1896-1978)などの名が上げられています。

有名な人が何人かいらっしゃるようです。
それぞれに理由があってのことでしょうけれど、
その辺も調べてみるとおもしろいかも知れません。

私の思うには、一つは本来右利きであったが、
ケガ等で右手もしくは左手が、
それぞれの分担すべき役割を果たせなくなったときに、
両手の役割を入れ替えることで演奏が可能になったケース。

もう一つは、元々左利き、それも強い左利きの傾向を持っていて、
どうしても右手で弾く形が自分に合わなかったケース、です。

どちらにしろ、
「有名な人なら許される」ということではないでしょうか。

大事なことは、まずは有名になること?

――以上、動画の内容紹介でした。


 ●「両手を使うから、利き手は関係ない」の誤り

まずは全体を見ての感想です。

一言でいえば「洗脳されている」といいますか、
「固定観念」に毒されているといいますか、
多数派の「右へ倣え」思想がそのまま生きている、
というところでしょう。

今存在するプロの音楽家のほとんどの人は、
物心つく前、利き手も定かではない頃から楽器に親しんでおり、
おとなの教えるままの演奏法を無事に身につけられた人たちです。

現状の世界観にどっぷりとはまってしまっています。

「利き手が違えば異なった演奏法もあり」
という考えには素直には馴染めないでしょう。


かつて先人が、そして今も私たちが戦ってきた、
左利きへの偏見や誤解をそのまま踏襲している、という感じです。

「利き手/利き側」という物の本質が良くおわかりでない、
という感じがします。

 ・・・

いつも言うことですが、
「両手を使うから、利き手は関係ない」という言葉の無意味さ。

本当に「両手を使うから、利き手は関係ない」というのなら、
どうして右用と左用が「50対50」で存在しないのか?
あるいは、過去においても存在していなかったのか?

高度な分業体制で、楽器の製造が機械化された結果、
現代では「右用一辺倒になった」というのなら、
過去に置いて「50対50」の時代があったとしてもおかしくはないのに、
手作りの時代からすでに右用が多数派であったというのが事実です。

圧倒的に右用ばかりという現実が、
「両手を使うから利き手は関係ない」という考え方が間違っている、
という事実を証明している、と私は考えます。


 ●両手の役割

楽器演奏で「両手を使う」といっても、
それぞれの手の役割の内容が異なります。

通常の右利きヴァイオリンならば、
右手は、弓を持ち、弦をこすって音を鳴らす。
左手は、ヴァイオリンを持ち、弦を押さえて音のピッチを変える。

右手の役割は音を出すこと――楽器の第一義です。
左手は音を変えること――楽器の第二義です。

そもそも音を出さなければ、楽器の存在意義はありません。

大事名のことは、まずは音を出すことです。
その音を出すのが、右手に持つ弓です。

どちらの手が大事かは誰にも分かることでしょう。


 ●両手の使い分け

昔の本(1998年発行、久保田競『脳を探検する』講談社)

の情報なので、現代での考え方がどうなのかはわかりませんが、
こんな情報があります。

第635号(No.635) 2023/2/4
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手の役割について」
2023.2.4
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ(25)
楽器における左利きの世界(9)利き手と非利き手-週刊ヒッキイ第635号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/02/post-c8e73c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/431a52b05a1016b1f10cbf13ce2a994f

↑でも書いていますが、

「両手を使うことで脳を鍛えよう」という提案で、

 「利き手は利き手らしく、
  そうでない手は、そうでない手のように左右どちらも使いなさい」

というものです。

 《脳に左右で分業があるのですから、
  手の使い方も脳の分業と直結した使い方をしなければならない
  ――両手をそのように使い分けねばならないのです。》

 《手には運動器官としての役割と感覚器官としての役割がある》

というのです。


第315号(No.315) 2012/6/2「レフティ・グッズ・プロジェクト
<左手・左利き用品を考える>第5回」

より、その文章をまとめますと――

--
利き手は主役として器用さを、
非利き手は感覚器としての機能を生かせ

【両手を使い分ける】:両手にはそれぞれ役割がある
・利き手 =作用(運動器官)
・非利き手=感覚(感覚器官)

例えば、点字を読むのは、利き手より非利き手
(右利きなら、右手より左手)
を使う方が読むスピードも正確さも優れている、といいます。

また、大工さんは右手でカンナをかけ、
左手でその削った面をさわって確かめる、という動作をします。

紙切りでもそうで、主役の右手でハサミをチョキチョキし、
感覚器である左手で巧みに紙を送ります。

野菜を細かく切るときも、
右手は包丁を持ち、刃を適切な角度で保ち、
切るという動作を担当し、
左手は単に野菜を押さえるのではなく、
切る際の包丁を下ろす間隔を誘導しています。

ハサミで言えば、
利き手では、正しい位置に正確な角度で刃を当てチョキチョキする、
非利き手は、刃の当たる正確な切る位置にしっかりと紙をあてがう、
という役割分担です。
--

ヴァイオリンならば、利き手で弓を持ち、音を出す。
非利き手では楽器を安定させ、正確に弦を押さえ、正確に音を決める。

利き手と非利き手がそれぞれの役割を十全に発揮したとき、
優れたパフォーマンスが完成する、わけです。



 ●右用と左用の楽器の問題――楽器がない

この問題は、昔から左利き用品に関して言われていたこと
そのものです。

左用の楽器がないのは、右利きという多数派による
制度化された歴史的な背景があるからでしょう。

西洋におけるクラシック音楽というものは、
基本的に上流社会の産物だったということでしょう。

そういう社会では、建前という形式主義に陥りがちです。
教育制度なども、そういう考えの基になされます。

西洋の社会でもかつては左利きは否定されていました。
当然、右利きの演奏法が定式化されます。

それができない人は落伍者となるしかありませんでした。

しかし、現代は違います。

現代では人権が認められており、当人が求めるならば、
誰もが公平に自由を満喫することが許されています。

左用の楽器も特注でなくても、一部では存在しています。
その気があれば、可能性は残ります。


(画像:「左利きバイオリン」GCV-800EL 左利き用バイオリン◆ストラディバリ Soil III [GCV-VN-800EL-SOI] ネットより無断借用)


(画像:「左利きバイオリン」Ma工房 左利き用・バイオリン・ファインレベル2ピースバック ネットより無断借用)

 ●人間の作ったものは変えられる

通常、人間の作ったものは、人間が変えることができます。

それに対して、
神様(あるいは「天」でも「創造者」でも「大自然」でも)の
作ったものは、人間が勝手に変えることができません。

楽器は人間が作ったものですから、自由に変えることができます。

一方、その人の利き手/利き側というものは、
神様が作ったものなので、人間が勝手に変えることはできません。

「小さい頃なら、右利きであれ左利きであれ、慣れる」
というのですが、利き手をそのまま活かすのが、
その人の持つ能力を最大に発揮する本来の道であるはずです。


 ●おとなの場合――趣味の楽器演奏のために

百歩、いや一万歩ぐらい譲って、「利き手も定かでない幼児」の場合は、
それでもいいとしましても、
おとなの場合は、また話が違ってきますよね。

上の動画でも長島達也さんが《大人になると話が別だと思うのですが》
と発言されていました。

音楽というのは、「音を楽しむ」と書きます。

職業的な音楽家は、利き手も定かでない時期から訓練するので、
右利き用一本でも、それはそれでいいかもしれません。

しかし、おとなの場合、趣味として音楽を楽しみたい人にとっては、
どうでしょうか。

強度の左利きの私の持論は、
「利き手は心につながっている」というものです。

音楽もまた、心の表現です。
技術さえあればいい、というものではないはず。

豊かな心の表現としての音楽は、
心につながる利き手を主体とした演奏から生まれる
のではないでしょうか。


左利きの人や右利きではない人のために、利き手を活かす演奏法を、
プロの音楽家のみなさまにも真剣に考えていただきたいものです。

それが音楽をさらに広め、プロのご自身の職業的にも
活躍の場を広げることにつながるでしょう。

プロの人たちも左利きの人たちのために、
他人事のように考えるのではなく、多様性の一環として、
左利き用の楽器の普及を手助けしてほしいものです。

 ・・・

次回は、もう一つYouTubeの動画を紹介しようか、と考えています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(20)YouTubeヴァイオリン動画から(1)」と題して、今回も全紹介です。

以前、弊誌で「日本左利き協会」の大路直哉さんの著書『左利きの言い分』の坂本龍一さんの章について書いたことがありました。

『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著 PHP新書 2023/9/16

第654号(No.654) 2023/12/2
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(17)
 大路直哉著『左利きの言い分』の音楽家たちについて」
【別冊 編集後記】2023.12.2
楽器における左利きの世界(17)『左利きの言い分』の音楽家-週刊ヒッキイ第654号
(「新生活」版)

そのときにも書いたことですが、坂本さんも小さい頃からピアノに親しみ、ピアノが右利き用と気付かないまま(?)、不満を持ちつつ、演奏されていたようです。

 《主役は右手ばかり。左手はいつも脇役に追いやられていた。
  僕は左利きだから、これが納得できなかった。
  「差別じゃないか」とか言ってね。かなり生意気な子どもでした》

どうしても小さい頃からその世界にどっぷり使ってしまっていると、(右利き用が当たり前という)その考えからなかなか抜け出せないものです。

私のように、大人になってから楽器に取り組んでみようと思った人には、利き手の違いが大きな問題だということがよく分かります。

長年左利きライフ研究家として活動してきた私から見れば、ごくごく初歩の事案なのですけれど……。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)「居を移す二首」他-楽しい読書365号

2024-05-01 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年4月30日号(vol.17 no.8/No.365)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)
「居を移す二首 其の二」
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年4月30日号(vol.17 no.8/No.365)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)
「居を移す二首 其の二」
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」
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 今月の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」は引き続き、
 陶淵明の詩から「居を移す二首」と
 「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」を。 


(陶淵明 第1回)
2023(令和5)年9月30日号(No.351)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)
「五柳先生伝」-楽しい読書351号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-b68999.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d371c2c2141932565db7fac1a67c1150

(第2回)
2023(令和5)年10月31日号(No.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-7e3a1c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/fb0ed419e609fae5ca4d419eb039fc2a

(第3回)
2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.2.29
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首(其一・二)」-楽しい読書361号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/02/post-40f92c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/554a8f921e059526fa614aeb7885735b

(第4回)
2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.3.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首(其三・四)」-楽しい読書363号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2024/03/post-23dc09.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/983a4bfc7e91c974e60c7924b461f563


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◆ 農事にいそしむ ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)

  ~ 陶淵明(5) ~
 「居を移す二首 其の二」
 「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「九、達観を目指して――陶淵明の世界」より



 ●陶淵明、農事にいそしむ

今回は、隠居後二年で火事にあい、引っ越すこととなり、
その直後に使った詩「居を移す二首」から「其の二」と
「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」を紹介しましょう。

「居を移す二首」は、
 《引っ越し直後に新しい隣近所の人たちと宴会を開き、
  その場で挨拶がわりに“どうぞこれからよろしくお願いします”
  と詠んだもののようです。》p.349


 ●「居を移す二首 其の二」

移居二首   居を移す二首  陶淵明

 其二     其の二

春秋多佳日  春秋(しゆんじゆう) 佳日(かじつ)多(おほ)く
登高賦新詩  高(たか)きに登(のぼ)つて新詩(しんし)賦(ふ)す
過門更相呼  門(もん)を過(よぎ)りて更(こも)ごも相(あい)呼(よ)び
有酒斟酌之  酒(さけ)有(あ)らば之(これ)を斟酌(しんしやく)す

 春と秋には天気のよい日が多く
 小高い所に登って新しい詩を作りたくなる
 近所の人々の戸口を訪ねてお互いを呼び合い
 そこに酒があれば酌み交わす

《コミュニケーションを円滑にする、
“これからそういうおつき合いをしましょう”と呼びかけている雰囲気》
p.349 だといいます。


農務各自帰  農務(のうむ)には各自(かくじ)帰(かへ)り
閒暇輒相思  閒暇(かんか)には輒(すなは)ち相(あひ)思(おも)ふ
相思則披衣  相(あひ)思(おも)へば
        則(すなは)ち衣(ころも)を披(ひら)き
言笑無厭時  言笑(げんしよう) 厭(あ)く時(とき)無(な)し

 とはいえ、畑のおつとめがあればそれぞれ自分の畑に戻り
 手が空けばその都度、お互いのことを思い出す
 思い出せば、着物をはおって出かけ
 近所の人同士で談笑し、飽きることがない


此理将不勝  此(こ)の理(り) 将(は)た勝(まさ)らざらんや
無為忽去茲  忽(たちま)ち茲(ここ)を去(さ)るを為(な)す無(なか)らん
衣食当須紀  衣食(いしょく)
        当(まさ)に須(すべから)く紀(をさ)むべし
力耕不吾欺  力耕(りよくこう) 吾(われ)を欺(あざむ)かず

 こういう生き方の道筋は、さて優れていないか、どうでしょうか
 ふいに深い考えもなしに、この村を立ち去るようなことはしません
 自分が着るものや食べるものは当然、自分で調えるもの
 一心に骨折って農作業する生活は、私たちを欺いたりしませんよね

農作業にいそしみ、《この村でみなさんとずっと一緒に暮らしますよ》
ですから《どうぞよろしく、仲間に入れてください》と、
《彼の社交的な面、公の面》が見られる詩だ、といいます。


 ●「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」

次は、陶淵明46歳の秋頃の作品。
火事で焼け出され、貧窮し、
いよいよ農作業に力を入れなければならない状況。

儒教は世直しの思想で、この孔子の教えに従い、官吏となりながらも、
乱れた世に志も遂げられず、職をなげうった陶淵明。

この決断も孔子の教え、『論語』に依拠したもので、そこを押さえれば、
この詩はわかりやすい、と宇野さんは言います。

『論語』「泰伯第八」に「天下道有れば則(すなわ)ち見(あらわ)れ、
道無ければ則ち隠る」とあり、

 《世の中が治まっている時はどんどん出て行って世直しをすべきだが、
  凡人は隠居して農耕生活でもするがよい――
  陶淵明はどうやらこの説に従って隠居したのではないか。
  ところが実際にそうしてみるとうまくゆかない、
  “これはどういうことだ”
  と孔子さまに食って掛かっている感じです》p.350


庚戌歳九月中於西田穫早稲  庚戌(こうじゆつ)の年(とし)
              九月中(くがつちゆう)
              西田(せいでん)に於(お)いて
              早稲(そうとう)を穫(か)る  陶淵明

人生帰有道  人生(じんせい) 有道(ゆうどう)に帰(き)す
衣食固其端  衣食(いしょく) 固(もと)より其(そ)の端(たん)なり
孰是都不営  孰(たれ)か是(こ)れ都(すべ)て営(いとな)まずして
而以求自安  而(しか)も以(もつ)て
        自(みづか)ら安(やす)んずるを求(もと)めんや

 “人は道徳を修めることが肝心だ”と孔子さまは言われた
 それはもっともだが、衣食が安定していることがその前提になる筈だ
 衣食のことにまったく関わらず、
 しかも自分を安心させようとするのは誰か、いやそんな人は誰もいない


冒頭、『論語』への疑問から始まる。
「人生 有道に帰す」は引用。
『論語』「学而第一」で、
 《学ぼうとする者は、飽食や美食を求めず、安楽な住まいをも求めず、
  やるべき物事はてきぱきと迅速に行い、言葉遣いに気をつけ、
  お手本となる立派な人について正す。そうであればこそ、
  学ぶのが好きな人と言える》p.352
と、
 《学ぶ者は、衣食住にこだわるな、
  物質的満足より精神的充実を目指しなさい》p.352
という。

陶淵明はそれに共感していたけれど、実際に暮らしてみると、
どうもそれだけではすまないぞ、と考えるようになった……。


開春理常業  開春(かいしゆん) 常業(じようぎよう)を理(をさ)め
歳功聊可観  歳功(さいこう) 聊(いささ)か観(み)る可(べ)し
晨出肆微勤  晨(あした)に出(い)でて微勤(びきん)を肆(つく)し
日入負耒還  日(ひ)入(い)りて耒(すき)を負(お)うて還(かへ)る

 春のはじめから普段の農作業をきちんとすれば、
 その年の収穫はまずまず見るべきものになる筈だ
 だから私は朝早くから畑に出てささやかな努力を傾け、
 日没とともに農具を背負って帰って来る


山中饒霜露  山中(さんちゆう) 霜露(そうろ)饒(おほ)く
風気亦先寒  風気(ふうき)も亦(また) 先(ま)づ寒(さむ)し
田家豈不苦  田家(でんか) 豈(あに) 苦(くる)しからざらんや
弗獲辞此難  此(こ)の難(なん)を辞(じ)するを獲(え)ず

 私の家があるのは山の中で、霜や露がことのほか多い
 風も空気も平地に先立ってどんどん冷えてしまう
 そういう農耕生活がどうして苦しくない筈があろうか、たいへん苦しい
 しかしこの難儀を避けることはできない


日々の農作業のつらさを告白します。


四体誠乃疲  四体(したい) 誠(まこと)に乃(すなは)ち疲(つか)る
庶無異患干  庶(こひねが)はくは
        異患(いかん)の干(をか)す無(なか)らんことを
盥濯息簷下  盥濯(かんたく)して簷下(えんか)に息(いこ)ひ
斗酒散襟顏  斗酒(としゆ)もて襟顏(きんがん)を散(さん)ず

 両手両足がまったくもうくたくたである
 どうかこの上は、よきせぬ災いが襲うことのないよう願いたい
 一日の終わりに手や足を洗いすすぎ、家の軒下で休み、
 お酒を飲んで心と表情をくつろがせる


「斗酒」=少量の酒、これが唯一の楽しみだ、と。


遥遥沮溺心  遥遥(ようよう)たる沮溺(そでき)の心(こころ)
千載乃相関  千載(せんざい) 乃(すなは)ち相関(あひかか)はる
但願常如此  但だ願ふ 常に此の如きを
躬耕非所歎  躬耕は歎ずる所に非ず

 こういう生活を続ける中で、遙か昔、孔子に批判的であった隠者、
 長沮(ちょうそ)・桀溺(けつでき)の気持ちが
 千年の隔たりを超えてなんとまあ、今ごろ私と通い合った
 いつまでもこういう生活が続くことをひとえに願う
 私は農作業については、歎くべきこととは思っていない


孔子に批判的であった隠者、長沮と桀溺とは、『論語』「微子第十八」に
道に迷った孔子一行が、農作業中の二人に道を尋ねると、
 《「孔子なら中国全体をわたり歩いているから、
  道は知っている筈だろう」と道を教えてくれませんでした。》p.354
という二人で、彼らは孔子の生き方に賛成せず、
 《「世の中は悪い方に流れていて、もう正すことはできない。
  無理して世直しするのではなく、わしらのように宮仕えせず、
  農作業をして生きる方がいい」》p.354
それに対して孔子は、
 《「われわれは人である限り、完全に世の中を避けることはできない。
  鳥や獣と一緒に暮らすのは無理だ。私はあくまで人間たちとともに
  いきてゆきたい。だから世直しを志しているんだ」》p.354

で、陶淵明は千年を隔てて、この長沮と桀溺の気持ちが分かった、
というのです。

とはいえ陶淵明は、元は孔子の教えに従い隠居生活に入った身、
隠者にはなりきれず、新しい村の人たちとやって行こう、
という気持ちでいます。
新しい生活に馴染んでいこうという思いでいます。


前回紹介しました「園田の居に帰る五首」では、

 《観念的な理想や、隠居後の折々の感慨を述べた》p.355


陶淵明でしたが、

 《方向性が出ていない印象がありました。
  それがこの辺から農作業の実体験を通じて、
  本当の生き方を探る方向性がとりあえず見えて来たのか。
  なんとなく生き方の糸口がつかめましたよ、
  と孔子さまに報告しているのかな。それを借り物でなく、
  自分の言葉で述懐しはじめたのかもしれません。》pp.355-356


というのが、解説の宇野さんの言葉です。

 ・・・

生きるというのは、志を貫くにこしたことはないのでしょうけれど、
いざ、実際に生活を続けていくことは大変で、様々な問題もあり、
初志貫徹がなるものでもない、志は大切ですが、
一方で現実の中で生きていくためには、お金も必要ですし、
志だけでは生きていけません。
ある程度あきらめながら、どこかで現実とのあいだで、
折り合いを付けていかなければならない。

その辺の迷いなども徐々にその詩の中に出て来るようです。

次回は、その辺の心境を歌っているような作品を見て行ければ、
と思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(28)陶淵明(5)「居を移す二首 其の二」「庚戌の年 九月中 西田に於いて早稲を穫る」 」と題して、今回も全文転載紹介です。

今回も田舎に帰った陶淵明さんの詩です。

田舎で農作業に日々を過ごす隠居さん、といえば今もあこがれる人が結構いそうな気がします。
しかし、これも作物が順調に育ってのことで、ひとたび天候不順や病虫害に見舞われれば、一年の苦労があっという間に水の泡ともなりかねず、なかなか大変な毎日が続きます。

孔子の教えに従いながらの日々の中で、そんな苦労も垣間見れる状況を描いています。

スローライフとか、田舎暮らしについて、色々と言われる時代ではありますが、いつの時代であっても、どこに行っても、人生とは苦労の種が尽きないもの。
強いて言えば、健康でさえあればなんとか我慢できるのかなあ、という感じですね。

 ・・・

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『左組通信』復活計画(29)『LL』復刻(2)LL3-週刊ヒッキイ第662号

2024-04-22 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第662号(Vol.20 no.7/No.662) 2024/4/20
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [29]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(2)LL3」



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【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第662号(Vol.20 no.7/No.662) 2024/4/20
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [29]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(2)LL3」
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 今回も、季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の復刻ということで、
 ホームページに公開していたページのコピーです。
 (原文の明らかな誤りは修正しています。)

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [29]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻 (2)
 
   (内容紹介)LL3
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 


・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第650号(No.649) 2023/10/7
「創刊19年に向けて―650号記念号―
 <左利きの人の自覚――意識の覚醒>が最も重要」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.7
<左利きの人の覚醒>左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
創刊19年記念号-第650号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-158a3d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8396e0fae38c6eeab56013360f58d18e
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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』LL3(概要)

LL3 1994-95(平成6-7)年 冬号 A5版4ページ

・前説 The Compliments of the New Year
新年明けましておめでとうございます。
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―鍋を囲む
・知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その1
 Words & Phrases―小学館『国語大辞典』より
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その3―はさみ(つづき)
・よい品がいつでも 手軽に 購入できるようにしよう!
―いろんな用途のはさみ
・左利きの本だなぁ その1 お勉強編
 The Books on the Left-handedness―
 スタンレー・コレン著『左利きは危険がいっぱい』



 ●LL3 1994-95(平成6-7)年 冬号

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
LL3 1994-95(平成6-7)年 冬号
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

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前説 The Compliments of the New Year
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新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

昨年は、左利きの人にとって記念すべき年でありました。

新年早々、女子プロテニスの伊達公子選手(ラケットを持つ手は右だが、
 ファンにサインするときは左手にペンを持つ左利きのプレーヤー)が
 四大トーナメントのひとつ、全豪オープンで大活躍!
一月末には、左利き研究の世界的権威スタンレー・コレン博士の
『左利きは危険がいっぱい』の翻訳版が刊行されました。
三月に入ると、新製品情報誌『モノマガジン』に
「左利き生活向上委員会」なる連載コラムが誕生!
 コラム執筆者AK氏自らの発明になる左利き用品に始まり、
様々な情報が紹介されました。
夏には、この「レフティーズ・ライフ」が始まりました。
長島監督率いる巨人軍が熱戦のすえ日本一に輝く一方、
かつて長島と人気を二分した王貞治氏
(米大リーグのハンク・アーロンを上回る八百六十八本のホームランを
うった左の強打者)は、パ・リーグのダイエー監督に就任し、
長島巨人と覇を競うことに!
年末近く、女子バレーボールの大林素子選手(世界のベストテンに
 数えられる左利きのオールラウンド・プレイヤー)が突然の解雇。
 しかし、イタリアのプロリーグ入りが決定し、新しいスタートに!
アメリカでは、クリントン政権に対する批判票を受けて、中間選挙で
 民主党は大敗、上下両院で共和党に過半数を奪われる結果に。
今後のクリントン大統領(第42代。第38代フォード、一代おいて
 第40代レーガン、第41代ブッシュに続いて、近年5人中4人目の
 左利きの大統領*)の政局運営が注目されています。

さて、1995(平成七)年はどういう年になるでしょうか?
 皆様にとって、私にとって、良き年となりますように!


悲しいことが起こりました。大地震です!

幸い私のところは、不安定なものが幾つか落ちてきた程度で
無事でしたが…。
阪神淡路大震災の被災者の皆様には心からお見舞い申し上げます。


*参照:
『神々の左手―世界を変えた左利きたちの歴史』エド・ライト/著
ricorico/訳 スタジオタッククリエイティブ 2009/6/1
――「左利きの著名人/偉人」本。左利きの特徴(性格的・器質的な)を
挙げて、それが成功の一因であるとして、ラムセス大王から
ホワイトハウスの4人(原書発刊当時直近の米歴代大統領)まで、
世界を動かしてきた左利きの偉人たちの歴史を描く。




・第44代大統領バラク・オバマ(2009-2017年)さんも左利き。


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左利きの生活 To Live In The Right-Handed World
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木枯らしの季節と言えば、やっぱり鍋がいいですねェ。
気の合った者同士がひとつの鍋をつつく、
楽しそうな雰囲気が漂ってきます。
まるで、つみきみほさんのカネテツのCMみたいな。

でもたったひとり左利きの人が混じるだけで、
なんとなくぎこちなく窮屈な思いをする人が出てきませんか?
 隣の人と手がかち合って、
どちらかが譲りあわなければならないような事が。
もしこんなときに、
「お前ひとりのためにせっかくの輪が乱れるやないか、
みんなで仲良う丸うなって一つの鍋つついてんのに、邪魔しやがって」
なんて言いだす人が出てくると、
それこそ和やかな雰囲気が吹っ飛んでしまう事になりかねません。
もちろん現在では、左利きだから左手にお箸を持つのは当たり前だ、
と考える人が増えてきてはいるのですが…。

小さい頃からずっと私は、
自由に席がとれるときは左端に座るようにしています。
そうすることで少しでも人様の邪魔にならないようにしているのです。
これはほとんどの左利きの人たちに言えることで、
たいていの人はそういう事に気を配っているようです。
右利きの人でそんなことを考えて座る人はいないのでは…?

先程の例で言えば、
私などはなるたけそういう場には出ないようにしています。
どうも人前でご飯を食べるのが苦手です。
ひとりで食べる方が気楽でいられるようです。
特定の人だけが犠牲になるのでなく、
みんなが少しずつ気を配ればいいのに、と思います。

ホラ、湯気の向こうに、≪希望≫という名の笑顔が見える――


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左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか? その3
Left-handed tools & goods
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前回につづいてハサミのことをもうしばらく―

ハサミの思い出といえば、こんな事がありました。
学校の工作の時間でしょうか。
級友たちは線に沿ってきれいに紙を切っていく――
試し切りもしないで。
しかし、自分はなかなか一回ではきれいに切れない。
試し切りをして初めて、線と刃の距離の勘が身について、
線に沿って切ることができるようになる。
どうしても人より遅くなるし、勘に頼っている分正確さに欠ける。
線をはみ出したり、切りすぎたりして曲がってしまう。
私は自分が不器用だと思っていました。

ところが、生れて初めて左利き用のハサミを使った時、
この秘密が明らかになったのです。
なんと、自分が特別不器用なのではなく、
自分にあった道具を使っていなかっただけだったのです! 

三十年の歳月が流れた今、
私は自分のことを決して器用だとは思いませんが、
かといって特別不器用だとも思っていません。
こんなささいなことの積み重ねが
大きな問題に発展していくのではないでしょうか。
「もしあの時、左利き用の道具を持っていたら?」
「もしあの時、学校の先生が左利きの子供に対して適切な指導を
していたら?」
自分のなかの何かが変わっていたかもしれない、……。

よい品がいつでも 手軽に 購入できるようにしよう!

さて、前回紹介したハサミは、ごく日常に用いる一般的なものでした。
他にも用途別にいろんな製品が作られています。
例えば、今私の手元にある、イギリスの通信販売会社
ANYTHING LEFT-HANDEDのカタログには、
家庭用・一般事務用・子供用などのふつうのハサミから、
洋裁用の裁ち鋏、ピンキング鋏、レースを切るものなど、料理用、
ヘア・カット用、爪切り用、園芸用、などなど各種掲載されています。

これら外国産のみならず国産でも各社から様々なものが
発売されているのですが、
実際に手に入れるとなると以外に大変なのです。
ごくふつうの事務用ハサミですら、
通りがかりのコンビニでさっと買えるわけではありません。
ましてや他の商品となると…。
また、価格も全体に二、三割高で、
これも普及への大きな壁になっています。

*参照:
イギリスの左利き用品専門通販「Anything Left-Handed」の1990年代の
カタログ表紙


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左利きの本だなぁ その1 お勉強編
The Books on the Left-handedness
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 スタンレー・コレン著『左利きは危険がいっぱい』

新登場のこのコーナーでは、左利きに関する本を紹介します。

先ず第一回目は、お勉強編です。

今回は、今までに私が手にした左利きに関する本の中で
もっとも新しく、かつもっとも詳しく論じられている、
スタンレー・コレン著『左利きは危険がいっぱい』石山鈴子訳
 “THE LEFT-HANDER SYNDROME” (文藝春秋 ¥2000
 1994年1月発行)を紹介します。

著者は、カナダのブリティシュ・コロンビア大学の心理学教授で、
からだの利き側に関する世界的権威。

本書は、長年の研究の成果に基づく、
左利きの謎に迫った決定的な書物である。
学術的な側面の記述もあるが、
長年の研究の日々のなかでの体験も合わせてつづられており、
読み物として充分に楽しめる。

左利きに対する無理解や認識不足の結果から起こる、
さまざまね不便さ、不平等さ、理不尽さなど左利きであることの
ハンディキャップのいろいろな実例や、
社会のなかに潜んでいる差別的な事例の紹介に始まり、
利き手に関する調査の難しさ、利き手研究の歴史の紹介へと進み、
さまざまな研究の成果が紹介される――
高齢出産などの出産時の障害が左利きを生む可能性があること等々。

そして、最大の謎――なぜ高齢者に左利きが少ないのか――に迫る。
 左利きは九年早死にするという、衝撃的な研究結果が示され、
それに対処する社会への提言で結ばれている。

左利きの人はもちろん、
右利きの人々にも広く読んでいただきたい本である。

たとえば、左利きに対して無意識のうちに抱いている
マイナス・イメージの実態を浮かび上がらせる質問がある。

 次の○○○に「左利き」という言葉を当てはめたとき、
二番目の話し手の言わんとする意味をどう解釈するか、というもの。

A 「どんな具合でした?」
B 「彼の振るまいは、まるで○○○のようでしたよ」

 例えば、「天才」とか「英雄」という言葉をあてはめると、
万事うまく行ったことになる。
逆に、「大バカ者」とか「まぬけ」といった言葉を入れると、
ことがはかばかしくなかったことになる。さて、あなたの場合は?

英語で言う”food of thought” 思考の糧、
考えるきっかけを与えてくれる本である。


*スタンレー・コレン著『左利きは危険がいっぱい』石山鈴子訳
 文藝春秋 1994/1/1


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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [29]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(2)LL3」と題して、今回も全紹介です。

昔のことを思い出します。
少しでも左利きの仲間のためになるようなものを、という気持ちではじめたのですが、徐々に情報を得て、より読み応えのあるものに変えて行けた、という印象があります。
偶然、いろんな本と出会うことができ、それらを紹介するだけで内容を充実させることができました。
今のようにネットもなく(アメリカ辺りではすでに始まっていたようですけれど)、情報源としては本や雑誌といったものだけ。
あとは自分の手(問い合わせの手紙等)と足(お店巡り)で見つけていくしかない状況のなかでは、よくやっていたと思います。

それを思いますと、今はちょっとダメだなあ、というところでしょうか。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載

" target="_blank">『左組通信』復活計画(29)『LL』復刻(2)LL3-週刊ヒッキイ第662号

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私の読書論183-トールキン『指輪物語』70周年-楽しい読書364号

2024-04-19 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年4月15日号(vol.17 no.7/No.364)
「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」
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 今年1954年から70年となります。
 この年には、偉大なる人々や偉大なる創作物が生まれています。

 最初に、1月生まれの
 “ユーミン”の愛称で知られる荒井由実、現・松任谷由実さん。

 かつてオリンピックの野球の「長嶋ジャパン」で、
 長嶋さんが倒れて代役の監督を務めた、
 現役時代は「絶好調男」と呼ばれた、元プロ野球巨人軍の中畑清さん。

 歴代最長の任期を記録した元首相、故・安倍晋三さん。

 (もう一人、一部の人々――主に左利きの、
  そのまた一部の人たちの間では、
  左利き界の“第一人者”とか“大師匠”とか呼ばれる、
  「レフティやすお」さんも1月生まれです)

 創作物でいいますと、最新作がアカデミー賞を受賞したことで
 改めて話題となっている<ゴジラ>シリーズの第一作「ゴジラ」。

 海外では、そう、今回取り上げます『指輪物語』です。

 『指輪物語』は全三巻(普及している邦訳版では全六巻)ですが、
 その第一巻(邦訳版「旅の仲間」上下)、
 第二巻(同「二つの塔」上下)が、本国イギリスで出版されたのが、
 この年でした。ちなみに、第三巻(同「王の帰還」上下)は翌1955年。

 ということで今回は、
 J・R・R・トールキンの『指輪物語』について――。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◆ 1954年の奇跡!? ◆

  ~ 『指輪物語』『ホビットの冒険』の作家トールキン ~

 『指輪物語』第一巻・第二巻出版(1954年)から70周年
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●『最新版 指輪物語』文庫版・全六巻(評論社)



2022年に、『指輪物語』の邦訳版の出版元・評論社から、
『最新版 指輪物語』の文庫版・全六巻が出ました。

2022年9月、AmazonのPrime Videoプライム・ビデオ
『ロード・オブ・ザ・リング――力の指輪 第1シーズン』
の配信に合わせたもののようで、その広告の帯が付いています。

出版社の紹介文にも、

《ファンタジー文学の最高峰『指輪物語』が
 日本で初刊行された1972年から奇しくも50年目の2022年、
 訳文と固有名詞を全面的に見直した日本語訳の完成形として、
 本最新版をお届けします。》


この文庫のことは知らなかったのですが、
これという気になる本がないなあ、と近所の本屋さんをのぞいていて、
見つけました。

従来あった文庫版は、活字が小さくて、文庫派の私でしたが、
買う気になれずにいたものでした。

本屋さんにあったのは、この全六巻だけでしたが、
第七巻「資料編」も2023年に出ています。


『最新版 指輪物語1 旅の仲間 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19

《遠い昔、魔王サウロンが、悪しき力の限りを注ぎ込んで作った、
 指輪をめぐる物語。全世界に、一億人を超えるファンを持つ
 不滅のファンタジーが、ここに幕を開ける。》
631ページ

『最新版 指輪物語2 旅の仲間 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19

《瀬田・田中訳の集大成
 黒の乗手の追跡から、辛くも逃れたフロドが目を覚ましたところは、
 「裂け谷」のエルロンドの館。翌朝、モルドールに抵抗する種族――
 魔法使い、エルフ、人間、ドワーフ、ホビット――の代表が参加する
 会議がエルロンドの主催で開かれ、指輪をどのように扱うかについて
 話し合われた。さて、その決定は……》
547ページ

『最新版 指輪物語3 二つの塔 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19

《瀬田・田中訳の集大成
 ガンダルフを失った悲しみを、ロスローリエンで癒した一行は、
 大河アンドゥインを漕ぎ下り、とうとう別れ道へ差し掛かる。
 フロドの指輪棄却の決意を知ったボロミルは、それを奪おうとする。
 逃げ出すフロド。悔悟したボロミルは、オークとの戦いに倒れ、
 メリーとピピンはさらわれる。ここに旅の仲間は離散した……》
545ページ

『最新版 指輪物語4 二つの塔 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19

《瀬田・田中訳の集大成
 ボロミルから逃れて一人モルドールに向かおうとするフロド。
 しかし、忠実なサムは、出し抜かれずに後を追う。
 大河アンドゥインの東側に連なる急峻エミュン・ムイルの荒涼たる
 山中を、やっとのことで抜け出した二人だったが、
 その後ろに忍び寄る一つの影が……》
418ページ

『最新版 指輪物語5 王の帰還 上』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19

《瀬田・田中訳の集大成
 堕落した魔法使いサルマンが所持していたパランティールを、
 好奇心に勝てずに覗き込んだピピンは、魔王サウロンの見出すところ
 となる。ガンダルフは、パランティールをアラゴルンに預け、
 ピピンを連れてミナス・ティリスへ。
 一方ローハン軍召集のためにエドラスに向かう騎士たち。
 空にはナズグールが飛び交い、風雲急を告げる中、
 物語は佳境へと近づく。》
436ページ

『最新版 指輪物語6 王の帰還 下』J・R・R・トールキン/著
瀬田貞二, 田中明子/訳 評論社文庫 2022/10/19

《瀬田・田中訳の集大成
 フロドをオークの手から奪い返した忠実なサム。
 二人は、助け合いながら最後の使命を果たすべく滅びの罅裂を目指す。
 一方、冥王の目をフロドたちから逸らすべく、黒門前に兵を進めた
 ガンダルフやアラゴルンをはじめとする西国の勇士たちは、
 圧倒的な兵力の差のため暗黒の渦に吞み込まれようとしていた……
 ここに「一つの指輪」をめぐる物語の大団円を迎える。》
403ページ

『最新版 指輪物語7 追補編』J・R・R・トールキン/著 瀬田貞二,
田中明子/訳 評論社文庫 2023/5/30

《瀬田、田中訳の完成形として、日本初刊行以来50年の
 2022年に刊行を始めた『最新版指輪物語』の最終巻。
 固有名詞と訳文の見直しを行った。本編では語られていない
 歴史の記述、固有名詞便覧など、『指輪物語』世界の案内書。》


 ●著者J・R・R・トールキンについて

――出版社より(著者について)
1892~1973年。南アフリカのブルームフォンテンに生まれ、3歳のとき、
イギリスに移住。オックスフォード大学卒業。第一次世界大戦に従軍後、
1925年からオックスフォード大学教授。中世の英語学と文学を中心に
講じた。『指輪物語』は、20世紀最高のファンタジーとされる。
これに先立つ物語として『ホビットの冒険』『シルマリルの物語』
『ベレンとルーシエン』があるほか、児童向けの作品に
『トールキン小品集』『サンタ・クロースからの手紙』などがある。

というわけで、2023年に没後50年として出版されたのが、

『ユリイカ 2023年11月臨時増刊号』総特集◎J・R・R・トールキン
 ―没後50年――異世界ファンタジーの帰還― 青土社 2023/10/5
(Eureka 2023 no.811 vol.55-14)



《『指輪物語』や『ホビットの冒険』といった作品において壮大かつ
 緻密な世界を構築し、様々な”読み直し”の旋風を巻き起こしてきた
 J・R・R・トールキン。後続世代による模倣と継承から、映像や
 ゲームがもたらしたビジュアライズの時代を経て、没後から半世紀が
 経つ本年、終わらざりしトールキン論に臨みたい。》

目次
❖異世界は何度でも /上橋菜穂子 /小谷真理 /井辻朱美
 /パトリック・カリー(訳=鏡リュウジ)
❖汲み尽くしがたい源流 /鶴岡真弓 /一條麻美子 /石野裕子
❖座談会 /大久保ゆう+川野芽生+逆卷しとね
❖遠く聞ゆるは懐かしき調べ /伊藤尽 /清水知子 /宮本裕子
 /木澤佐登志 /森瀬繚
❖テーブルを囲んで /上田明
❖創造のカレイドスコープ /辺見葉子 /髙橋勇
 /アラリック・ホール(訳=岡本広毅)
❖エルフ語入門 /伊藤尽
❖言葉は輪廻する /山本史郎 /小野文 /小澤実
❖叙述から始めよ /桑木野幸司 /勝田悠紀 /岡田進之介
 /石倉敏明 /渡邉裕子
❖資料 /髙橋勇 編



 ●『指輪物語』の思い出

私がこの作品を読んでのは、1979年6月から7月の初めについて。
この作品を読もうと思ったのは、山口の女子大生からお便りをもらい、
その中にオススメ本としてこの本のことが書かれていたからでした。

これではよく事情がおわかりにならないでしょうから、
もう少し説明します。

当時の私の愛読雑誌のひとつだった、
故やなせたかしさん編集の『詩とメルヘン』の読者投書欄に、
私の投書が掲載され、それを読んだ人が手紙をくれたわけです。

以前このメルマガでも紹介しました、ハヤカワSF文庫から出た、
ゼナ・ヘンダースン『果てしなき旅路』のような作品を書いてみたい、
というのが私の投書でした。

疎外された立場の人たちが仲間を得て、彼らの手助けもあり、
自分を肯定できるようになり自立して行く、といった内容の作品で、
私のお気に入りの作品でした。


*参照:
【ゼナ・ヘンダースン <ピープル>シリーズ
  『果てしなき旅路』『血は異ならず』ハヤカワ文庫SF】



『果てしなき旅路』ゼナ・ヘンダースン/著 深町眞理子/訳
ハヤカワ文庫 SF ピープル・シリーズ 1978/7/1(1959)

・2023(令和5)年1月15日号(No.334)「私の読書論165-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(前編)総リスト&再読編」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.1.15
私の読書論165-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(前)総リスト&再読編
-楽しい読書334号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-ce3d4b.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/963db458297d62363a53bf4aaefe9930

・2023(令和5)年1月31日号(No.335)「私の読書論166-
私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後編)再読編&初読編」
・『レフティやすおのお茶でっせ』2023.1.31
私の読書論166-私の年間ベスト3・2022年フィクション系(後)初読編
-楽しい読書335号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/01/post-059ad0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/3d8f4210a27677ac55d433cea1778596


それに対して、お返しにご自分のお気に入りの作品として、
この『指輪物語』が紹介されていました。

さっそく図書館で借りて読み始めました。
長い作品でしたが、面白く読んだ記憶があります。

その後、この作品の前作というべき児童向けの『ホビットの冒険』も
楽しみました。

45年前の思い出話です。


『ホビットの冒険 上』J・R・R・トールキン/著 瀬田 貞二/訳
岩波少年文庫58 2000/8/18
《ひっこみじあんで、気のいいホビット小人のビルボ・バギンズは、
 ある日、魔法使いガンダルフと13人のドワーフ小人に誘いだされて、
 竜に奪われた宝をとり返しに旅立つ。79年刊の新版。》
336ページ

『ホビットの冒険 下』J・R・R・トールキン/著 瀬田 貞二/訳
岩波少年文庫59 2000/8/18
《魔法の指輪を手に入れたビルボとその一行は、やみの森をぬけ、
 囚われた岩屋からもなんとか脱出に成功。ビルボたちは、
 いよいよ恐ろしい竜スマウグに命がけの戦いを挑む。79年刊の新版。》
282ページ

『新版 ホビット――ゆきてかえりし物語 <第四版・注釈版>』
J・R・R・トールキン/著 山本史郎/訳 原書房 2012/11/12
《映画「ロード・オブ・ザ・リング」で世界中にブームをまきおこした
 J.R.R.トールキンの『指輪物語』。 その前章の物語『ホビット』の
 定本(第四版)の新訳決定版! 著者自筆の挿絵および各国語版の挿絵を
 収録。 時代を越えて読み継がれる“名作"の理解を助ける詳細な
 注釈付の愛蔵保存版。 2012年12月、3部作の第1弾
 「ホビット 思いがけない冒険」がついにロードショー!》
470ページ

(文庫)
『ホビット〈上〉―ゆきてかえりし物語』J・R・R・トールキン/著
山本史郎/訳 原書房 2012/11/1
《時代を越えて読み継がれる不朽の名作『ホビット』を、
 さまざまな角度から詳細な注釈をつけた新訳決定版。
 トールキン自筆の挿絵つき。持ち歩きしやすい文庫判。》
362ページ

『ホビット〈下〉―ゆきてかえりし物語』J・R・R・トールキン/著
山本史郎/訳 原書房 2012/11/1
422ページ


 ●『指輪物語』の内容について

『指輪物語』は1960年代に欧米の若者たちのあいだで大いに読まれた、
といわれています。
1960年台後半、ベトナム戦争に嫌気したアメリカの若者たちのあいだで、
カンターカルチャーとしてファンタジーが流行し、
『指輪物語』のペーパーバックが300万部も売れたといわれています。

日本では、1972年に翻訳刊行されました。

『ゴジラ』が水爆実験の影響で出現した、とされているのに対して、
この作品は「指輪」が核兵器を表している、という読み方もあります。

実際には、戦時中から書かれた物語ということなので、
その時代背景が著者に影響している、
というのが本当のところではないか、といわれています。


さて、なにしろ45年ほど前に読んだっきりですので、
詳しいストーリーも今は忘れてしまい、
あらためて『ホビット』から読み直している状況で、
まだ第一巻「旅の仲間」(上)巻を読んでいるところですので、
具体的な感想などはまだ書けません。

『ホビット』も昔読んだ、岩波少年文庫版『ホビットの冒険』ではなく、
20年ほど前に手に入れたまま放置してあった旧版、
『ホビット―ゆきて帰りし物語― 第四版注釈版』のほうです。



図書館で岩波少年文庫版の方ものぞいてみましたが、
Amazonのレヴューにもあるように、
ひらがなが多くおとなにはちょっと読みづらく感じました。
おとなが読むなら、
原書房版のおとな向けの翻訳の方が適しているかもしれません。


 ●おとな向けファンタジー『指輪物語』

『ホビット』と『指輪物語』の違いについて書いておきましょう。

一言でいえば、「子供向け」と「おとな向け」ということになります。
その分、ストーリーがより複雑になり、
背景となるムードもより深刻になっています。

『ホビット』は、ホビット族のビルボ・バギンズが主人公で、
ドワーフの王様とその一行がドラゴンに奪われたお宝を奪回にゆく旅に、
魔法使いガンダルフの推薦を受けて「忍び」役として同行し、
お宝を奪い返したご褒美と、偶然手に入れた指にはめると姿を消せる、
魔法の「指輪」を持って帰って来るという、副題にあるように、
文字通り<ゆきてかえりし物語>で、
その途中で出会う冒険の数々を語るものです。

『指輪物語』は、このときの「指輪」が実は、
魔王サウロンが探している魔法の指輪で、
この世界を統べることができるというしろもので、
これを奪われないようにどうにかしよう、とビルボから指輪を預かった
養子のフロド・バギンズが仲間たちと旅に出る、というものです。

「黒の乗手」という悪の一味たちから追われる旅です。

――私は、今はまだその辺までですね。

今どきの小説と違って、会話の応酬で進め、
ジョットコースターのようなストーリー展開で読者を離さない、
といったものとは異なり、
詩というか歌も交えて、ゆったりとした地の文で読ませるお話、
というイメージです。

『ホビット』も子供向けにしては長いお話でしたが、
『指輪物語』もまた長大な作品です。

残り5巻とちょっと。
何ヶ月後になるかわかりませんが、読み終えたら
具体的なストーリーの紹介や感想など書いてみたい、と思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論183-トールキン『指輪物語』(第一巻・第二巻)70周年」と題して、今回も全文転載紹介です。

『指輪物語』の映画化作品三部作もありました。
そちらで知っているよ、という人も多いかと思います。
あるいはゲームも出ているそうで、そちらで知ってるという人もいるのかもしれません。

映画にしろゲームにしろどちらにしろ、それはそれでいいのですけれど、やはり本の方を読んでいただきたいと思っています。
それがそもそもの始まりだから。
小説というのは、言葉の芸術なのです。
歌なども言葉の芸術の一つですけれど、これには音、あるいは声が伴います。
しかし、小説のほうは、言葉のみ、それも文字のみの世界です。

それは、人間だけが楽しめる世界といっても過言ではありません。

そういう頭の中だけの空想の世界で遊ぶのも楽しいものなんですよ。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

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楽器における左利きの世界(19)梶野絵奈『日本のヴァイオリン史』から-週刊ヒッキイ第661号

2024-04-09 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第661号(Vol.20 no.6/No.661) 2024/4/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(19)
 梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史』からヴァイオリンの歴史」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第661号(Vol.20 no.6/No.661) 2024/4/6
「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25―
 楽器における左利きの世界(19)
 梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史』からヴァイオリンの歴史」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 前号では、<左利き用楽器>製作プロジェクトの一環として、
 イギリスの利き手・左利き研究の権威、マクマナスさんの著書の邦訳
 クリス・マクマナス『非対称の起源』 (講談社ブルーバックス)
 から、左利きと音楽家についての文章を紹介しました。

 今回は、引き続き、同様の趣旨で、図書館で見つけた本――

 梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史――楽器の誕生から明治維新まで』
 (青弓社 2022/9/26)
 から、ヴァイオリンの歴史を少し勉強してみます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 ◆ <めざせ!実現!!左用ピアノ!!!>プロジェクト ◆

 {左利きの人は左利き用の楽器で演奏しよう!}

- 「左利きに優しい社会」づくりは左用楽器の普及から! -

  梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史』から ヴァイオリンの歴史
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

*参照:

梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史――楽器の誕生から明治維新まで』
(青弓社 2022/9/26)



 ●初期のヴァイオリンには左右差がない?

まず最初に感じたことは、この点でした。

現代のヴァイオリンには、
正面から見て向かって左の下部に「顎当て」があり、
左右性が見て取れます。

ところが、この本の写真を見ていますと、初期のヴァイオリンには、
これがなく明らかな左右差が見られませんでした。

弦を張り替えれば、どちらで弾くこともできるように思えます。

前回のマクマナスさんの本『非対称の起源』のなかでも、
「両手利き」の楽器も少なくないとして、

 《ギターの弦の順序を逆に張りかえれば、
  左利きの奏者も弾くことができるのは、ポール・マッカートニーや
  ジミー・ヘンドリックスなどのミュージシャンを見れば明らかだ。
  ヴァイオリンやチェロ、コントラバスも、映画『ライムライト』の
  チャップリンが弾いたヴァイオリンのように、
  左利き用に弦を張り替えることはできる。》p.391

クリス・マクマナス『非対称の起源―偶然か、必然か』
大貫 昌子/訳 講談社ブルーバックス 2006/10/21


と記述されていました。
(実際には内部の構造に差があるのかも知れませんけれど。)

この本の中にはいくつかのヴァイオリンを手にした画像があります。
しかし、みな右弾きスタイルでした。

ヴァイオリンという楽器は、演奏がむずかしいといいます。
この本の著者も、「あとがき」のなかで、

 《ヴァイオリンはそもそも弾くのが難しい。
  三十代くらいまでは、このようなむずかしい楽器を
  どうしてこんな一生懸命に弾いているのだろうかという
  疑問が脳裏をよぎることもしばしばだった。》p.160

というほど。
確かに初めてヴァイオリンを弾く人の演奏は、
「キーコキーコ」という擬音で表現されますからね。

そういう楽器ですから、この楽器を弾く人はそれなりにエリートで、
「選ばれた人」だったのでしょう。
「右使いができる人」で、左手も器用な人というところでしょうか。


ちなみに、
ヴァイオリンは「擦弦楽器」と呼ぶようで、
弓や棒などで文字通り「弦を擦って鳴らす」楽器ということのようです。

こすって弾くというのは、いかにもむずかしそうですよね。

ほかの弦楽器には、下の二種類があるようです。

「撥弦(はつげん)楽器」――何らかの方法で弦を弾いて音をだす楽器で、
  抱えて演奏するギターなど、置いて演奏する琴など
「打弦楽器」――弦をたたくことで音を出す楽器で、ピアノなど


●ヴァイオリンとはどういう楽器?

本書の概要を伝える「はじめに」の冒頭に、
「ヴァイオリン」の紹介があります。

 《ヴァイオリンは、十六世紀に北イタリアでその原型となる楽器が
  生み出されて以来、西洋の芸術音楽で中心的な役割を果たした...》

また、フィドル(英語―「ヴァイオリン」はイタリア語から派生した言葉)
と呼ばれて、アイリッシュ音楽やアメリカのカントリー音楽等、

 《多くの民族の人々に好まれて演奏され続けている。》

そして、

 《クラシック音楽に用いられるほかの弦楽器や管楽器と比べて
  守備範囲が広く...「楽器の女王」の異名を取る...》

さらに、

 《大きくて重いピアノとは違い、軽便で、低価格の楽器もあるため、
  ...場所をかまわず演奏されてきた歴史もある...》

といい、

 《人々の社会的ヒエラルキーをも超えた多様な文化と社会のなかに
  過去にも現在にも存在している。》

とあります。


日本でヴァイオリンが本格的に普及しはじめたのは、明治維新後で、
明治期のヴァイオリン演奏の担い手は、上は西洋音楽の学び手から、
ヴァイオリン演歌師、女学生や若き日本男児まで、

 《...ジェンダーもジェネレーションも超えて、
  時間の経過とともに人々の生活に取り込まれていった。》

と。

 《...今日の日本で、ヴァイオリンはクラシック音楽を演奏するための
  「楽器」という印象が強く、それ以外は邪道という感覚は広く
  共有されているだろう。...》

といいます。

こういう感覚が強くあれば、どうしても
「ヴァイオリンを左手で弾こう」という試みは、
あまり歓迎されえないのでは、という気がします。

しかし、

 《ヴァイオリンは演奏技術の習得が最も難しい
  といわれているにもかかわらず...》

高度経済成長期頃から、世界的な舞台で活躍するヴァイオリニストや、
名器ストラディヴァリウスを所有する個人や団体も増え、
アマチュア演奏家の人口も多く、趣味として楽しむ人もいる、といい、

 《ヴァイオリンを愛する人々の層の厚さに思いを馳せると、この楽器が
  いかに深く日本に根ざしているかを改めて認識させられる。》


このように日本でも、世界中でもヴァイオリンが、
民衆の音楽を担う軽便な楽器として存在してきた、
という事実を知りますと、
もっと自由に演奏者の「利き手に合わせた楽器」としての
「左用ヴァイオリン」も登場して良いのでは、という気持ちになります。


●ヴァイオリンの歴史――起源

ちょっと結論を先走ってしまいましたが、
本書からヴァイオリンという楽器の歴史についてみておきましょう。

 《ヴァイオリンの起源については諸説あるが、
  イタリアでヴァイオリンの原形が十六世紀に生み出されたというのが
  定説になっている。》「はじめに」p.21

これは不思議なことに、
日本に残っているヴァイオリン関連資料の最古のものと、
ほぼ同時期だといいます。

さて、ヴァイオリンの起源ですが、未だに解明されていないことが多く、
学者も決定的な言及を避けているそうです。

ただ、「原型」があって「完成」された、と説明されるといいます。

弓を用いる楽器は900年頃から彫刻や絵画に現れるが、
文字資料に残された名称に一貫性がなく、
異なる楽器に同じ名称が用いられている場合もあり、混乱しやすい。

 《明らかにされているのは、ヴァイオリン(その原型も含めて)が
  誕生したのは十六世紀前半で、
  北イタリアで進化したということである。》p.24

指揮者が原型と読んでいるものの例として、
1535年、ガウデンツィオ・フェッラーラ(Gaudenzio Ferrari)が
描いたサロンノ大聖堂(Saronno Cathedral)の天井のフレスコ画に
ある楽器、がそれだといいます(カラー口絵の図1)。
ただ、背面しか見えず、三弦で胴体にくびれがあることが確認できる。

 《ヴァイオリン属の楽器はすべて二五年から五〇年にかけて
  生み出された。ヴァイオリンはそのなかの一つである。
  ヴァイオリンを創案した人物は不明で、
  『ニューグローヴ世界音楽事典』で示された
  「一人の人物が成し遂げたことではないだろう」という見解に
  異論は唱えない。》p.25

とし、

 《...ヴァイオリンは、いうならばヨーロッパの擦弦楽器の
  長い歴史の末に生み出された、擦弦楽器の集大成なのである。》p.25

そのように作成された楽器はほかにもあったはずだが、

 《ヴァイオリンが最も成功した例だったのは歴史が証明している。》p.26

と。

 《...一五〇〇年頃前後にはヴァイオリンの原型[傍点]が世に現れ、
  現在の形のヴァイオリンが誕生したのは十六世紀中頃と考えていい。》
   p.26

現存する最古のヴァイオリンは、メトロポリタン美術館所蔵の
イタリアの製作家アンドレア・アマティ(Andrea Amati)の
1560年頃の作とされている。


(p.27に写真が掲載されている)

A・アマテイの孫ニコロ・アマティ、
その弟子のアントニオ・ストラディバリ、
A・アマテイの弟子のアンドレア・グァルネリを祖父に持つ
バルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリ、
通称グァルネリ・デル・ジェスといった名匠たちが次々と現れ、
彼らの製作した楽器が今日も頂点とされている、といいます。


以下色々と、他の古い楽器のことなどが語られています。
私にはよくわかりませんので、割愛します。

日本での歴史も語られてゆきますが、それもここではふれません。


 ●左利き用バイオリンについて

とにかく私の結論としましては、先ほども書きましたように、
西洋音楽に置いてポピュラーな楽器だということで、
それならギターのように、もっと使い手の利き手に沿った楽器――
左利き用の「左用ヴァイオリン」が現れてもいいのではないか、
ということです。


「左利き用バイオリン」で検索しますと、ネット上には、
SOLDOUTとなってはいますが、

「ストラディバリモデル」という
「GCV-800EL 左利き用バイオリン◆ストラディバリ [GCV-VN-800EL]」
https://kreislermusic.ocnk.net/product/1334







(画像:「左利きバイオリン」GCV-800EL 左利き用バイオリン◆ストラディバリ Soil III [GCV-VN-800EL-SOI] ネットより無断借用)

「Ma工房 左利き用・バイオリン・ファインレベル2ピースバック」
https://www.autumnvalley.net/product/1708


(画像:「左利きバイオリン」Ma工房 左利き用・バイオリン・ファインレベル2ピースバック ネットより無断借用)

といったものがでています。
必ずしも「存在しない」わけではありません。


次回、また取り上げますが、
ネットでは「左利き用バイオリン」に関するYouTubeの動画も
いくつかあるようです。

で、それらの発言を聞いていますと、
「なぜ左手でヴァイオリンを持ち、右手で弓を弾くのか」について、
「なぜ右手で箸を持つのか」「なぜ右手で字を書くのか」
といった疑問への、
昔よく聞かれた回答と同様の“あやまった見解”が認められます。

これらについては、次回改めて……。


 ●木琴を反対側から弾くと「左用」?

本書に「木琴」が登場しています。
北斎の絵も掲載されています。



思えば「木琴」も一種の鍵盤楽器といえそうですし、
この楽器は、逆方向、向こう側から弾けば、
左側が高音部で右側が低音部となり、「左用」になりそうな気がします。


[通常(右用)]
左側(低音部) → (高音部)右側
--------------------------------
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド
--------------------------------
(右腕の自然な動き)→(右へ引いていく)


[逆から(左用?)]
左側(高音部) ← (低音部)右側
--------------------------------
ド・シ・ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ド
--------------------------------
(左腕の自然な動き)←(左へ引いていく)


実際にはどうなのでしょうか。
また、もしそうだとして、そういう演奏の仕方はあるのでしょうか。

両手で弾く(叩く)ので、利き手の違いは関係ない、といわれそうです。

でも、本当にそうでしょうか。
逆弾きもあり、な気がしますが。

演奏法がよくわからないので、これ以上語ることはできません。

今思いついたのですが、私が持っているようなミニ電子キーボードなら、
反対側からキーを押すぐらいならできるので、
逆弾きもできそうな気もします。
試してみようかと思います。

 ・・・

今回はこの辺で。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ ―その25― 楽器における左利きの世界(19)梶野絵奈著『日本のヴァイオリン史』からヴァイオリンの歴史」と題して、今回も全紹介です。

今回は改めてヴァイオリンについてのお勉強です。
実際に3歳の頃からヴァイオリンを演奏されている方のお言葉なので、これは間違いないでしょう。

演奏が難しいとされる楽器だというのことが改めて分かりました。
それゆえに、やはり演奏者の「利き手に応じた演奏ができる楽器」が必要なのではないでしょうか。


また、木琴についても少し書いています。
こういう楽器もあるのですよね。

『ウィキペディア(Wikipedia)』によりますと、「鍵盤打楽器」といった呼び名もあるようです。
文字通りという感じです。
これを逆方向から弾く(叩く)ことで、「左用」になるのかどうか、くわしいかたにお聞きしたいものです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
楽器における左利きの世界(19)梶野絵奈『日本のヴァイオリン史』から-週刊ヒッキイ第661号
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元卓球女子五輪メダリスト石川佳純さんがサウスポー始球式

2024-04-08 | 左利き
久しぶりの「サウスポー始球式」の紹介です。

最近は、「左利き」検索もほとんどしていないので、情報不足でこの手の記事は書いていませんでした。
プロ野球も新しいシーズンイン入り、今回は偶然見つけたので、書いておくことにしました。

昨年(森七菜さん、吉高由里子さん他)一昨年(福原遥さん)の偶然知った「サウスポー始球式」は書いていないので、いつか発表できればと思っています。

 ・・・

4月6日、東京・神宮球場でのプロ野球ヤクルト―阪神戦で、昨年引退した元卓球選手、2021年東京五輪の銀など卓球女子団体でオリンピック3大会連続メダリストの石川佳純さんが人生初の始球式に登場。

胸にスワローズのロゴなし、背には「KASUMI 2024」のユニホームを着用――今年パリで開催されるオリンピックのフジテレビ系スペシャルキャスターに就任するのにちなんで。

始球式前には、同じサウスポーの現役最年長のヤクルト・石川雅規投手(44)からボールの握り方などアドバイスも。

残念ながら、本番の始球式では大きく左に外れたワンバウンドでした。


*画像:産経新聞ニュースより――始球式で投球する石川佳純さん=神宮球場(撮影・長尾みなみ、松永渉平)

始球式で投球する石川佳純さん=神宮球場(撮影・長尾みなみ)

始球式で投球する石川佳純さん=神宮球場(撮影・松永渉平)

始球式で投球する石川佳純さん=神宮球場(撮影・長尾みなみ)

始球式で投球する石川佳純さん=神宮球場(撮影・長尾みなみ)

始球式を終え、笑顔を見せる石川佳純さん=神宮球場(撮影・長尾みなみ)

笑顔でグラウンドを後にする石川佳純さん=神宮球場(撮影・長尾みなみ)


同じ左腕の石川雅規投手から指導を受けている画像


*【過去の<サウスポー始球式>】:

・2023.9.3西武ライオンズファンの乃木坂46向井葉月さんが左腕で初始球式
「新生活」版
・2022.5.18サウスポー始球式二連発(1)5月14日玉木宏(2)5月15日新川優愛、プロ野球西武-楽天戦で始球式
「新生活」版
・2022.3.21サウスポー“スーパーガール”桃月なしこが始球式で左腕から大暴投
「新生活」版
・2021.11.22左利きの女優・吉高由里子さんが4年ぶりプロ野球日本シリーズ第2戦でサウスポー始球式
「新生活」版
・2021.4.2
左利きの女優・森七菜さんのサウスポー始球式
「新生活」版
・2018.4.19
地元アイドルNegiccoのKaedeさんが左投げで新潟知事の代役始球式
「新生活」版
・2017.10.30
吉高由里子がサウスポーで伸びやか始球式 日本シリーズ第2戦
・2017.6.15
左利きの女優・剛力彩芽さん、四度目の始球式登板も…
・2017.5.26
サッポロビールイメージガール川辺優紀子さんの左利き始球式
・2017.5.7
女優の松井愛莉さんがサウスポー始球式
・2017.5.2
ピンクラインのサウスポー、女優でモデルの新川優愛さんが始球式
・2016.8.17
左利きのSKE48日高優月(ひだかゆづき)が始球式
・2016.7.23
左利きの女優すみれさん左腕で始球式
・2016.6.29
左利きの剛力彩芽さんの3度目の始球式は大暴投: レフティやすおのお茶でっせ
・2016.6.5 AKB48Team8/AKB48TeamB兼任の坂口渚沙さん (画像のみ)
AKB48選抜総選挙、暫定21位倉野尾成美・同53位坂口渚沙はTeam8の左利き
・2016.3.7
左利きのあっちゃん前田敦子の始球式

・2014.8.6 右利きの石原さとみさんの左投げ(撮影で右腕を痛めたということで「サウスポーでやります」と宣言。)
終わったはずのクチコミ「右利き? 左利き?」がまた

・2013.12.4 体操新技「シライ」の白井健三選手
体操新技「シライ」の白井健三選手は左利き
・2011.5.12 『五体不満足』の著者の乙武洋匡さん
乙武洋匡さんのサウスポー始球式
・2004.11.11 アテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずき選手
素敵な光景:野口選手の左利きの始球式

*【カテゴリ:<サウスポー始球式>


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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
元卓球女子五輪メダリスト石川佳純さんがサウスポー始球式
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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)「園田の居に帰る五首(其三・四)」-楽しい読書363号

2024-04-02 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年3月31日号(vol.17 no.6/No.363)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)
「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」」
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月末発行の「楽しい読書」は、古典作品の紹介です。
 現在は、中国の古典から漢詩の名作を読んでいます。

 今月の「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」は、前回に引き続き、
 六朝時代(東晋末~南朝宋初)の詩人・陶淵明(とう えんめい)の
 「園田の居に帰る五首」の後半部分から「其の三・其の四」です。

(陶淵明 第1回)
2023(令和5)年9月30日号(No.351)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)「五柳先生伝」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(24)陶淵明(1)
「五柳先生伝」-楽しい読書351号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-b68999.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d371c2c2141932565db7fac1a67c1150

(第2回)
2023(令和5)年10月31日号(No.352)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首」から「序」と代表作「其の五」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(25)陶淵明(2)
「飲酒二十首 其の五」-楽しい読書353号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-7e3a1c.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/fb0ed419e609fae5ca4d419eb039fc2a

(第3回)
2024(令和6)年2月29日号(No.361)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首 其の一・其の二」」
【別冊 編集後記】『レフティやすおのお茶でっせ』2024.2.29
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(26)陶淵明(3)
「園田の居に帰る五首(其一・二)」-楽しい読書361号


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

◆ 隠居生活の思い ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)

  ~ 陶淵明(4) ~

 「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
「九、達観を目指して――陶淵明の世界」より



 ●陶淵明「園田の居に帰る五首」

40歳過ぎで官職をなげうって、故郷に帰った陶淵明。
その隠居後の生活をうたった42歳頃の連作「園田の居に帰る五首」。

今回は、窮屈な生活から解放された開放感にあふれた第一首とは違い、
農業生活の悩みを実感するようになった思いがあらわれ始めたころの、
後半の三首から、第三首、第四首を紹介しましょう。


 ●「園田の居に帰る五首 其の三」陶淵明

・第三首目は、第一首と並んで有名になった歌だそうです。
そこでは、《「其の二」より少し深刻で、自分の経験不足で農作業が
 うまくゆかない悩みを告白しています。》p.344


帰田園居五首(其三)
           園田(えんでん)の居(きよ)に帰(かへ)る
            五首(ごしゆ) 其(そ)の三(さん)

・前半四句は、《農作業の大変さを述べる。》p.344

種豆南山下  豆(まめ)を種(う)う 南山(なんざん)の下(もと)
草盛豆苗稀  草(くさ)盛(さか)んにして
        豆苗(とうびよう)稀(まれ)なり
晨興理荒穢  晨(あした)に興(お)きて荒穢(こうわい)を理(おさ)め
帯月荷鋤帰  月(つき)を帯(お)び 鋤(すき)を荷(にな)うて帰(かへ)る

 山のふもとに豆を植えたが
 その畑には雑草ばかりはびこって、かんじんの豆が育たない
 それで私は毎日、夜明けから畑に出て、
 夜になるまで畑の手入れをしている


・後半四句は、《“農作業は大変だが、どうかうまくいきますように”と、
 祈るような気持ちを述べます。五・六句めはたとえを使って、
 計画通りにゆかないむずかしさを述べたもの》p.344
 
道狹草木長  道(みち)狹(せま)くして草木(そうもく)長(ちよう)じ
夕露沾我衣  夕露(ゆうろ) 我(わ)が衣(ころも)を沾(うるほ)す
衣沾不足惜  衣(ころも)の沾(うるほ)ふは惜(をし)むに足(た)らず
但使願無違  但(ただ) 願(ねが)ひをして
        違(たが)ふこと無(なか)ら使(し)めよ

 帰り道は狭く、余計な草や木ばかりが茂って邪魔をする
 その上、夜露が私の服をぬらす
 着物がぬれるのは、いやがるほどのことではない
 ただひとえに、私の願いが背かれることのないようにさせてほしい 

《夜の帰り道の描写であるとともに、農耕に生きる道の大変さのたとえ》
で、
《自分で選んだ農耕生活が今後もうまくゆくよう、それだけが願い》だ、
ということだろうといいます。


 ●「園田の居に帰る五首 其の四」陶淵明

帰田園居五首(其四)
           園田(えんでん)の居(きよ)に帰(かへ)る
            五首(ごしゆ) 其(そ)の四(し)

・《最後の二句に重みがあります。或る日、
 子どもたちや甥を連れてピクニックに行った時に廃屋に出くわし、
 そこから人生の無常に思いを巡らす――ちょっと深刻な展開です。》
pp.345-346

・第一段は、《隠居直後の正直な感慨か》。p.346

久去山沢游  久(ひさ)しくる山沢(さんたく)の游(あそ)びを去(さ)り
浪莽林野娯  浪莽(ろうもう)たり 林野(りんや)の娯(たのし)み
試携子姪輩  試(こころ)みに子姪(してつ)の輩(はい)を携(たづさ)へ
披榛歩荒墟  榛(しん)を披(ひら)いて荒墟(こうきよ)を歩(ほ)す

 私はもう、長いこと山水を楽しむ遊覧から遠ざかっていて
 森や野原を歩く楽しみなど、ぼんやりとしか考えていなかった
 今日試みに、子どもや甥たちを連れて
 雑木を掻き分け押し分けて、荒れた村里を歩いてみた


・第二段の「丘隴(きゅうろう)」を「墓場」ととる説もあるそうですが、
特別な行事の場合は別として、
《墓場にピクニックに行く、というのはどうかなあ。》p.346

徘徊丘隴間  徘徊(はいかい)す 丘隴(きゆうろう)の間(かん)
依依昔人居  依依(いい)たり 昔人(せきじん)の居(きよ)
井竈有遺処  井竈(せいそう) 遺処(いしよ)有(あ)り
桑竹残朽株  桑竹(そうちく) 朽株(きゆうしゆ)残(ざん)す

 ぶらぶら歩き回る、小高い丘の辺り
 どうやらここらには、昔の人の家があったようだ
 井戸やかまどがその名残りをわずかにとどめている
 農家につきものの桑や竹は、枯れ朽ちた株が崩れてしまっている


・第三段は、廃屋について、
《ちょうど通りかかった木こりにようすを尋ねます。》
その答えを聞いて、《一挙に無常観に突き落とされます。》p.346

借問採薪者  借問(しやくもん)す 薪(たきぎ)を採(と)るの者(もの)
此人皆焉如  此(こ)の人(ひと) 皆(みな) 焉(いづ)くにか如(ゆ)くと
薪者向我言  薪者(しんじや) 我(われ)に向(むか)つて言(い)ふ
死没無復余  死没(しぼつ)して復(ま)た余(あま)す無(な)しと

 ちょっと尋ねてみた、通りすがりの薪を取る人に
 ここにいた人たちはみんな、いったいどこに行ってしまったのですか
 すると木こりは答えた
 いや、みんな亡くなって、跡を継ぐ人もいないんですよ


・第四段、「一世」は三十年の意味。「当(まさ)に~べし」は、
「必ずや~なるであろう」と、《確実性の強い推量です。》

一世異朝市  一世(いつせい) 朝市(ちようし)を異(こと)にす
此語真不虚  此(こ)の語(ご) 真(まこと)に虚(きよ)ならず
人生似幻化  人生(じんせい)幻化(げんか)に似(に)たり
終当帰空無  終(つひ)に当(まさ)に空無(くうむ)に帰(き)すべし

 三十年のうちに、朝廷も市場も、がらっと様変わりするという
 その言葉はまったく正しい
 人が生きるというのはまぼろしであり、
 実態がないもののように思う、結局は無に帰するのであろう


「一世異朝市」という慣用句があったようで、「一世代三十年のうちに、
 宮廷や市場が入れ替わるほどの変化がよくある」と、
世の中の移り変わりやすさと取る説もあるといいます。

 《隠居後一年、“こういう人生を選択したけれどいいのかなあ”と
  壁にぶつかった時にたまたま見た廃屋、
  それが自分のこれからの人生に重なって、
  あまり深い思想からではなしに、
  ついこういうことを書き付けてしまったのか……。》p.347

時の流れというものは、無常なもので、
鴨長明『方丈記』の冒頭にもありますように、
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」と。

仏教の無常観というものの表れですが、
陶淵明の時代には、そこまでのものがあったかどうか、
宇野さんの解説では、
後漢の「古詩十九首」あたりから出ているといいます。

 《“人生は朝露のようにはかないものだから、
  夜じゅうろうそくを灯して遊ぼう、酒を飲もう”という考え方が
  見られ、実はそこにも仏教思想が影を落としている
  と言われています。》p.347

ただ、
 《来世に望みを託するということはなく、
  その当時の中国に人々の仏教の受け止め方なんでしょうか――
  もしかしたら来世を考えない儒教の影響が
  大きいかも知れませんね。》p.347
と。


 ●田舎生活の陰影

ここでは紹介しませんが、
「其の五」では、
悲しみを抱えたまま険しい道をたどり、山の水で足を洗い流す。
新たな酒と鶏を潰して近隣の人を呼び、酒宴を開き、朝を迎える。

というふうに、隠居し移住した地で新たな生活を送る、
その生活の起伏を描いています。

政治の世界を離れた寂しさも感じさせる反面、
世相の荒波を超えた日常的な田舎の生活――
新たな農家の生活に、日々の収穫の多寡に一喜一憂するような、
そういう生活の陰影も感じさせる詩編です。

 ・・・

次回は、隠居後二年で火事にあい、引っ越すこととなり、
その直後に使った詩「居を移す二首」を。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)「園田の居に帰る五首 其の三・其の四」 」と題して、今回も全文転載紹介です。

近年、UターンとかJターンとか、あるいは故郷とは別個に地方への移住をする人も増えていると聞きます。
田舎暮らしのスローライフというのでしょうか。

この陶淵明さんもそういう一人だったようで、都での役人の世界を捨てて故郷に帰って農業に励むという暮らし。
政治や役人の世界も大変でしょうが、農業は農業でそれはそれで楽しみもある反面、自然が相手では思うにならぬむずかしい面もあり、ある種の無常観にとらわれることもあったのでしょう。
酒でも飲まないといられない、ということも……。

まあ、どこで、どのような世界で暮らすにしても仲間がいれば、それで解消される部分もあるでしょうから。

 ・・・

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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(27)陶淵明(4)「園田の居に帰る五首(其三・四)」-楽しい読書363号
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『左組通信』復活計画(28)『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(1)全号目次-週刊ヒッキイ第660号

2024-03-19 | 左利き
『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】

第660号(Vol.20 no.5/No.660) 2024/3/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [28]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(1)全号目次/LL1・LL2」



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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン

  右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
  左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第660号(Vol.20 no.5/No.660) 2024/3/16
「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [28]
『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(1)全号目次/LL1・LL2」
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 前回は、「左利き自分史年表」1991(平成3)-1994(平成6)春まで、
 「紙の時代」第一期として『ひだりぐみ通信』の時代を紹介しました。

 今回は、1994(平成6)春以後、夏以降の「紙の時代」の第二期として、
 いよいよ季刊誌『LL(レフティーズ・ライフ)』の時代に突入です。

 ところが、一月下旬からパソコンの状態が悪くなり、
 とにかくネットもエクスプローラーのファイルもなかなか思うように
 開いてくれず、チェックが進みませんでした。

 二月はなんとか貯金と合併号でのりきりましたが、
 いよいよ時間的余裕がありません。

 申し訳ありませんが、今回・次回辺りは、
 季刊誌『LL(Lefties' life)』の復刻ということで、
 ホームページに公開していたページのコピーで、ご勘弁を!

┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [28]

  『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(1)
 
   全号目次/(内容紹介)LL1・LL2
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛      

*(参照)――

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第43号(No.43) 2006/8/12
<「国際左利きの日」記念号>「私にとっての左利き活動(3)」
 ■レフティやすおの左利き活動万歳■ ―隔号掲載―
私にとっての左利き活動(3)『LL』の時代
 *** 商品情報から利き手教育へ(承前) ***
 *** 天命 ***
 *** 海外との連携をめざす ***
 *** 『LL』の反応 ***
 *** 『LL』の挫折 ***
 *** 女性問題に取り組む人たち ***
(参照)※『レフティやすおの左組通信』のページ
○レフティやすおの左利き自分史年表
○レフティーズ・ライフ(LL)再録(1)全号目次 

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第602号(No.602) 2021/9/4
「創刊600号突破記念―
 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代―その1」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2021.9.4
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(2)第二期・紙の時代1
(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第602号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2021/09/post-57d0e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/e2aaaa56a6400bcc04d24d46a47d1d03
(2)第二期・紙の時代から―その1―
 ◆ 左利き用品の総カタログ的『モノ・マガジン』左利き特集号 ◆
  『モノ・マガジン』「左利き生活向上委員会」編集部A・K氏
 ●第二期・紙の時代―左手用カメラとの出会いに始まる
 ●『モノ・マガジン』左利き特集号がスゴかった!
 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』創刊
 ●左利き関連本あれこれ
 ●「左利き生活向上委員会」のA・K氏

・メルマガ『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
第650号(No.649) 2023/10/7
「創刊19年に向けて―650号記念号―
 <左利きの人の自覚――意識の覚醒>が最も重要」
・ブログ『レフティやすおのお茶でっせ』2023.10.7
<左利きの人の覚醒>左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
創刊19年記念号-第650号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-158a3d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/8396e0fae38c6eeab56013360f58d18e
 ●左利き活動の「初心」は?
 ●「来た、見た、買(こ)うた」
 ●左利き活動の始まりは、1990年末「世界初左手用カメラ」購入
 ●右手用のハンディカムの違和感
 ●『モノ・マガジン』左利き特集号との出会い
 ●存在を知らなければ、「存在しない」のと同じ
 ●最初はハガキサイズの「左組通信」という紙媒体
 ●左利き活動の「初心」について――もう一度
 ●始まりは左利きの人の覚醒にある
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 ●『Lefties' Lifeレフティーズ・ライフ』全号目次


(画像:今はなきホームページ『レフティやすおの左組通信』の「レフティーズ・ライフ(LL)再録1・全号目次」のページ冒頭)

LL1 1994(平成6)年 夏号 A4版1ページ
・前説―To Live In The Right-Handed World―右利き社会を是正する
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その1 Left-handed tools & goods―筆記具・定規・はさみ
・私のお気に入り左利き用品 ベストテン

LL2 1994(平成6)年 秋号 A4版1ページ
・前説―To Live In The Right-Handed World―左右共用の製品を
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その2―はさみ

LL3 1994-95(平成6-7)年 冬号 A5版4ページ
・前説 The Compliments of the New Year
新年明けましておめでとうございます。
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―鍋を囲む
・知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その1
 Words & Phrases―小学館『国語大辞典』より
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その3―はさみ(つづき)
・よい品がいつでも 手軽に 購入できるようにしよう!
―いろんな用途のはさみ
・左利きの本だなぁ その1 お勉強編
 The Books on the Left-handedness―
 スタンレー・コレン著『左利きは危険がいっぱい』

LL4 1995(平成7)年 春号
・前説 The Compliments of the Spring Issue 発信し続けること
・From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
  レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より
・From LHC (Left-handers Club/U.K.)
  レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
 ①私のいちばん嫌(いや)~なことば――
  「○○君は、ぎっちょか。器用やなぁ。」
 ②「転びキリシタン」あるいは「隠れキリシタン」のように

≪スタート! 新学期≫子供用品特集
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その4〔子供用左利き用品の紹介〕―
  文具(はさみ・鉛筆・鉛筆削り・定規・缶ペンケース入り文具セット)、
  野球/ソフトボール用グラブ・ヘルメット・手袋
〔手を使い分けよう〕
 久保田競著『手と脳―脳の働きを高める手』紀伊国屋書店より
〔左利きの子供に対する接し方〕
 箱崎総一著『左利きの秘密』立風書房より

LL5 1995(平成7)年 夏号
・前説The Compliments of the Summer Issue二年目に向けて
  Toward the second year
・From LHC (Left-handers Club/U.K.)
  レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―
  新たなる希望!THE NEW HOPE!
・From LHI (Lefthanders International/U.S.A)
 レフトハンダーズ・インターナショナル(アメリカ)より―
  左利きの人をガッカリさせるもの
  THINGS THAT ARE FRUSTRATING FOR LEFTIES!
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  こんな道具が不満です!
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その5―あなたは靴派? スリッパ派?―爪切りはさみセット
・知恵小僧の左熟語の基礎知識 なんの意味ダス!? その2
  Words & Phrase小学館『国語大辞典』より
・左利きの本だなぁ その2 激励編
  The Books on the Left-handedness―斎藤茂太著
  『左ききの人はなぜ才能があるのか―左ききの性格分析』
   KKベストセラーズ/ワニ文庫刊


(画像:LL第5号より「From LHC (Left-handers Club/U.K.)レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―新たなる希望!THE NEW HOPE! 」の冒頭――“The Left-hader”に紹介された「LL」と左組についての記事と『LL』第5号の部分)

LL6 1995(平成7)年 秋号
・前説 The Compliments of the Fall Issue道を切り開こう!
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  私の簡単“左利き判別法”
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その6Left-handed tools & goods―左利き用万年筆の使い心地良さ!
・左利きの本だなぁ その3 お楽しみ編―
  『左利きの名画』ロジャー・オームロッド著 野中千恵子訳
    社会思想社 現代教養文庫〈ミステリ・ボックス〉
・<特集:左利きアンケート>From LHC (Left-handers Club/U.K.)
  レフトハンダーズ・クラブ(イギリス)より―
   ザ・レフトハンダーズ・クラブ1994年アンケート調査結果

LL7 1995-96(平成7-8)年 冬号
・前説 The Compliments of the Winter Issue―出発点にもどって
  Get back to the starting point
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その7Left-handed tools & goods―世界初の左手用カメラ
  〈京セラSAMURAI Z2-L〉
・左利きの本だなぁ その4 雑誌/カタログ編―『モノ・マガジン』
  1991年4月2日号 No.188 ワールド・フォトプレス発行―
  特集/左を制するものは時代を制す/左利きの商品学
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  怒りをことばに―「このはさみは欠陥です!」
・左利きの本だなぁ その5 雑誌/コラム編―『モノ・マガジン』
  1994年11月2日号 モノ・インタレスティング「左利き生活向上委員会」
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats

LL8 1996(平成8)年 春号
・前説 The Compliments of the Spring Issue―
  見果てぬ夢を追い求めて “To dream the impossible dream,….
   This is my quest.”
・利き手差別をなくせ! Down with handism!
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その8 Left-handed tools & goods―てのひら≪掌中≫電卓/
  左利き用 ZELCO DOUBLE PLUS calculator No.10731
・左利きの本だなぁ その6 お楽しみ編―梅田香子『勝利投手』
  河出文庫/河出書房新社―≪日米プロ野球女性サウスポー対決その一≫
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats―
  右側の席から/左側の席から/左利き用品メーカーより

LL91996(平成8)年 夏号
・前説 The Compliments of the Summer Issue―
  工作から始めよう、豊かな体験! ≪ありがとう、手≫
夏休み<アイデア>紙工作特集―
その①ゴム動力紙パック外輪船/その②風力帆掛け段ボール・カー
・左利きの生活 To Live In The Right-Handed World―
  あなたの刃はどっち向き? 左利き用ハサミ紹介
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その9 Left-handed tools & goods―サウスポー・カッターナイフ/
  田島製作所 LC504
・左利きの本だなぁ その7 お楽しみ編―ロスワイラー
  『赤毛のサウスポー』集英社文庫/集英社―
  ≪日米プロ野球女性サウスポー対決その二≫
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats―左利き用品メーカーより

LL10 1996(平成8)年 秋号
・前説 The Compliments of the Fall Issue―
  特集“左利きを科学する”① 
特集“左利きを科学する”①―あなたの<左利き度>をしらべてみよう
・左利きの本だなぁ その8 お勉強編―前原勝也
 『右利き・左利きの科学 利き手・利き足・利き目・利き耳…』
  講談社ブルーバックス
・左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
  その10 いつもポケットにウェンガー―WENGERスイス・アーミー・
  ナイフ/レフトハンダー・シリーズ
・右側の席から/左側の席から (読者のお便りコーナー)
  Letters from the right/left side seats―
  左利き用品メーカーより/右側の席から
・左利きについて知るための本

LL11 1997(平成9)年 夏号終刊号


 ●LL1 1994(平成6)年 夏号

I’m a lefty. /Me, too. /We are lefties.
I’m a righty. /But we are human being.
Lefties and righties are friends.

前説―To Live In The Right-Handed World
 左利きで生きていく、といっても最近ではあまり問題にならないようだ
 ――右利きの人のあいだでは。
 少なくとも昔のようにはうるさく言われなくなった。
 以前は、右利きの大人たちがいろいろな事を言ったものだ。
 ――いや、左利きは頭がおかしいのだとか、
 左手に箸を持つのは行儀が悪いとか、
 字は右手で書くようにできているものだとか、言いたい放題。
 もちろん今でもそういうことを言う人がいないわけではないが、
 めっきりと少なくなったようだ。喜ばしいことである。
 とはいえ、つまらぬことを言う人が減ったというだけでは
 世の中が良くなったとはいえない。
 「右利きの人達」が単に干渉しなくなったというだけでいけない。
 彼らが積極的に「この世のなかには左利きの人もいる」ということを
 認め、「右利きの人達」だけでなく、「左利きの人」にとっても
 住みよい社会にしなければ。
 「右利き社会」を是正しなければ、と真剣に考え始めない限り、
 「左利きの人」にとってより良き社会にはならないのだ!
 一人の人間として「左利きで生きていく」ことが
 精神的にも肉体的にも
 苦痛とならない社会を作っていかなければならないのだ。
 「右利きの人達」とともに。
 『Lefties’ Life』即ち、この新聞が対象とする読者の中心は、
 実は人口のおよそ10%を占めるといわれる「左利きの人」ではなく、
 残る90%の「右利きの人達」なのです。
 まず「左利き」とは何か、「左利き」として生きてゆくとは
 どういうことか、ということから始めて、
 「右利き社会」で「左利き」として生きてゆく場合
 どのような問題があるのかを知ってもらい、
 「左利きの人」にとって不利な「右利き社会」を是正し、
 誰もが生活しやすい社会をつくる、のがねらいです。

左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その1
Left-handed tools & goods
 一枚の紙を用意してください。
 定規を使って、適当なところに線を引いてみましょう。
 ところで、今あなたの手にある筆記具は何ですか。
 鉛筆ですか、ボールペンですか?
 まあどちらでもいいのですが、それはどちらのメーカーでしょうか。
 そこになんて書いてありますか?
 右手に持っている方はすぐに読み取れるでしょう。
 では、それを左手に持ち替えてみてください。
 今読んだ文字が逆立ちしていませんか?
 そうなんです。私たち左手に筆記具を持つものは皆、
 こういう文字を目にしているのです。
 実用には問題はないのですが、
 しょっちゅうこういうものを目にしていてはいい気持ちはしません、
 よね。
 さあさあ、線を引きましょう。定規を置いて左から右へ――
 紙の端から仮に五センチメートルにしましょうか。
 あなたの定規に㌢cmの目盛りがあれば簡単ですね。
 でも、左手に鉛筆を持って線を引こうとすると、
 右から左へ引くことになります。目盛りは? 一二の三…、と。
 十五引く十は五と。ウーン――ちょっと抵抗があるなあ。
 さて、線も引いたし、切りましょう。
 ハサミを持って、刃に線をあてがって、と。
 おっと、何度もすいません。
 そのハサミを左手に持ってみてください。
 そして同じように線に刃をあてがってみると…。
 ねえ? 線が見えないのです。
 何とかしようとすると、手をからだの反対側に持っていくか、
 ハサミを傾けるかしなければなりません。アーしんど! 
 そこで、私たち左利きの人は左利き用のものを用意します。
 筆記具、定規、ハサミ、というように。
 でも、どこで手に入れればいいのでしょうか?
 あなたは知っていますか?

私のお気に入り左利き用品 ベストテン
 My favorite left-handed items: BEST 10
Count dawn start!
10 “HAZEL”ビジネス・フォルダー
 メモ・パッドが左側についたA4サイズのフォルダー
9 “OSMIROID”マスター・カリグラフィー・セット
 欧文ペン習字用ペン先セット
8 鉛筆削り(ドイツ製)手持ち式 反時計回りで削る
7 “ALLEX”家庭用・事務用ハサミ 165mm 一般用ハサミ
6 “ZELCO”ダブル・プラス・カリキュレーター
 右掌にすっぽり収まる左手入力電卓
5 15cm定規 30cm定規(イギリス製)
 目盛りが右から左についている定規
4 田島サウスポー・カッター・ナイフ
 握りも刃も左手用 オートロック式 左用替刃別売り
3 “RAYMAY”こどもはさみ 先が丸く安全
 135mm 国産品ではもっとも安価
2 スイス・アーミー・ナイフ
 “WENGER” キャンパー・レフト(スイス製)
 すべて左手用のポケット・ナイフ
1 京セラ “SAMURAI Z2-L” 世界初左手用カメラ
 オートフォーカス 3倍ズーム


 ●LL2―1994(平成6)年 秋号

前説―To Live In The Right-Handed World
 秋も深まり、落ち葉の季節。
 掃いても掃いても舞い落ちてくる落ち葉たち…。
 というわけで今回は、『ちりとり』のお話から―― 
 わが家には『変わったちりとり』があるのです。
 どこが変わっているかというと、左利きの私から見ると、
 これは完璧に『右利き用ちりとり』なのです。
 「エエーッ、ちりとりにも右用とか左用とかあるの!?」
 「おまんねんやわぁ。」
 ほうきでお掃除するときの事を考えてみましょう。
 人はだれも無意識のうちに利き手にほうき、
 逆の手にちりとりを持つようです。
 大部分の人達は右利きなので、
 右手にほうき左手にちりとりとなるわけです。
 普通のちりとりは、
 特別に利き手を意識した作りにはなっていないものです
 (単純に左右対称形になっている)が、
 わが家のこの『ちりとり』は、
 左手に持ちやすいように把手の部分が左側に付いており、
 全体の形は包丁のぶっといの、といったところ。
 右利きの人にとってはごく普通に使える代物でしょう。
 しかし「喉から手が出るほど欲しい」という品物ではないはず。
 「多少は便利かなぁ」という程度ではないでしょうか。
 ところが、左利きの私にとっては非常に使いづらいものなのです。
 なぜなら右手でゴミを受けようとすると把手が向こうになり、
 手を伸ばして逆手に持たないと使えないのです。
 「なんでこんなモン作んねん!」と不思議でしかたがないのです。
 この『ちりとり』のように
 「ほんのちょっと便利かな」といった程度の利便性の為に、
 本来阻害されるはずのない人々が
 そういう悲惨な体験を余儀なくされる結果を招くということは、
 理不尽としか言えないのではないでしょうか。
 プンプン!(と怒っている)
 みんなで使うような道具は、左右共用できる製品を作ってほしい。
 単純に左右対称形にさえしておけば、
 それだけで左右共用できる品物が、
 この世の中にはたくさんあると思いませんか?
 にもかかわらず、わが家のちりとりのような
 デザインになっているものが多く見られるのです。
 ウーン、残念!
 結局、右利き社会なのです。
 積極的に左利きを差別、あるいは疎外しようという意志はなくとも、
 社会の底流に「右利きがアタリマエー」の考えが
 浸透しているのでしょう。
 Lefties’ life is tough. 「左利きはつらいよ!」

左利き用の道具を知っていますか? 使ったことがありますか?
 その2
Left-handed tools & goods
 前回は、一枚の紙に定規で線を引き、ハサミで切ることに
 チャレンジしました。
 予想どおり、ハサミが一番の問題だ、というのが大方の意見でした。
 左利きの人が右用のハサミを使う場合の問題点は、
 正確には切れない(「勘で切るんや!」)、
 大きなハサミで厚紙などを切るときに、
 握りの部分が指に食い込んで痛い、の二つ。
 しかし、左利き用のハサミなんて見たこともない、という人が大半。
 これは本当に残念なことです。
 実は日本にも左利き用のハサミを作っているメーカーは
 何社もあるのです。ところが、一般には知られていない。
 近所の小売店、スーパーにも売っていない。
 これはいったいどこに問題があるのでしょうか? 
 宣伝しないメーカーが悪いのか、置かない店が悪いのか、
 「こういう品物がほしい」と要求しない消費者が悪いのか。
 それぞれが少しずつ悪い、というのが本当のところかもしれません。

我がLefties Club『左組』では、次の商品をお勧めしています。
1 子供用―RAYMAY藤井/こどもはさみ左手用 KHH350 ¥350
 近鉄・西武百貨店など ◎指の細い人なら大人でも充分使える
2 一般用―ALLEX林刃物/アレックス事務用はさみ(中)左手用
 S-165(L) ¥1200 DIYの店
 (ホームセンター・コーナン、東急ハンズ、西武ロフトなど)
3 厚紙用―PLUSプラス/ステンレスはさみ左手用
 布地・厚紙用 No.210L ¥2800
 近鉄百貨店、東急ハンズ、西武ロフトなど
 
 さあ、すぐ買いに行きましょう!
 とにかく、左利きの人も右利きの人も、それぞれ使ってみてください。
 そして、右(左)利きの人が今までどんなふうに使っていたか、
 実感してみてください。
 長年右用しか使ってこなかった左利きの人は、
 最初はとまどうかもしれませんが、
 そのうち良さがわかってくると思います。
 「なんや、右利きのやつらはこんなに楽してたんか!」
 と思われるかも…。
 逆に、右利きの人は「左利きの者は、
 ようこんなん使う(ツコォ)てたなあ」とあきれるかも…。

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本誌では、「ホームページ『レフティやすおの左組通信』復活計画 [28]『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(1)全号目次/LL1・LL2」と題して、今回も全紹介です。

本文中にも書いていますように、1月下旬からパソコンの状態が今ひとつで、昔のデータを調べたり、ネットで調べたりがむずかしくなっています。
一時回復したかと思ったのですが、またときどきサボタージュを起こすようで、この文も書くのは二度目です(なぜか保存されず消えていました)。

というわけで今回は、「LL」の再録です。

調べれば以前にも書いているかも知れません。
今は、メルマガのバックナンバーがネット上にはありませんので、個人的に保存されているもので確認するしか方法はありません。
たぶん初出かなあ、と思います。

 ・・・

「左鍵ハモ計画」の方も、上のような状況で今は動きなしです。
そのうちなんとかしたいものです。

 ・・・

弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』


『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
『左組通信』復活計画(28)『LL(レフティーズ・ライフ)』復刻(1)全号目次-週刊ヒッキイ第660号
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