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尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

インド映画「魔法使いのおじいさん」

2012年07月15日 00時02分12秒 |  〃  (旧作外国映画)

 川崎市民ミュージアムで、インドのアラヴィンダン監督(1935~1991)の特集上映を今日から行っている。ここにフィルムが収録されているから、時々やってくれる。しかし、なかなか行くことができない。遠いんだよね。12時半から「サーカス」、15時から「魔法使いのおじいさん」。両方見たいと思ったんだけど、一本目は間に合わず。結局「魔法使いのおじいさん」だけ見た。

 この映画は、30年ぶりくらい。国際交流基金の世界映画紹介の最初だったのではないかと思う。佐藤忠男さんが見つけて来て、大変な傑作だと紹介した。その時は実はよく判らなかった。まあ、不思議な魅力のある映画だなと思ったけど。インド映画といったら、その頃は「大地のうた」がベストワンになったサタジット・レイしか知らなかった。(主にベンガル語の監督。)インド映画の主流は、ムンバイ(ボンベイ)で作るヒンディー語映画で、ラジニカーントの映画はチェンナイ(マドラス)のタミル語。

 それに対し、アラヴィンダンはインド南部のケララ州のマラヤラム語だけど、まあ聞いてても違いは判らない。ケララは、1957年に世界で初めて選挙で共産党州政府が成立したことで知られていて、堀田善衛の紀行が岩波新書にあった。カタカリという民族舞踊が有名で、日本公演も行われた。僕も昔見たけど寝たような…。

 今回見直すと、映像の美しさと不思議な魔法の世界に改めて魅せられた。おじいさんの不思議な歌が耳について離れない。この映画に限らず、アラヴィンダン監督映画では、アニミズムというか、自然が神のような世界が描かれている。タイのアピチャッポン・ウィーラセータクンに似ていると思う。この映画でも、子どもが動物に変えられてしまう。村に来た魔法使いのおじいさんにくっついていた少年は、犬になってしまった。この白犬がなかなかよくて、落語で白犬が人間になる噺があるけど、インドでも人間が変えられた犬は白い。「アーティスト」「人生はビギナーズ」などと同様に、「助演犬映画」というジャンルにも入れておきたい。

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