大谷・語
~「素直」の意味すること~
☆初めに☆
衝撃でしたね。晴れの開幕戦に、こんな事件が闖入(ちんにゅう)していようとは思いませんでした。水を差されるとは、このことです。水原通訳の口から、自身のギャンブル依存が公開されたのは20日の試合終了直後といいます。試合後のセレモニーが無かったのは、このことが理由だったのでしょうか。大谷選手が知らされたのは、もちろんそれ以前でしょう。でも、試合には集中していた。これはかすかであっても希望です。水原一平は通訳ばかりでなく、データ管理や運転手など、様々なマネージメントをこなしてきたわけです。あらゆる雑音を排するため大谷本人はもちろん、周囲も頑張って来たというのに、こんな特大な騒音が割り込んで来た。これからは公的で必要な機関が聴取に入るし、要らぬお世話も押し寄せることでしょう。静かに見守り声援を送るしかありません。
今回は大谷選手の結婚を巡って、改めて思ったこと・感心したことを書きます。大谷選手の積極的な言葉を巡る記事となりますが、本当は言葉の問題ではない。自分や相手との向き合い方が「今風」ではない、ということです。私たちが実は自然に使っていた言葉を、大谷選手は思い出させている。大谷選手の話に違和感がないのは、そのせいです。
1 「自分のこと」
「皆さまに結婚いたしました事をご報告させていただきます」
大谷選手が結婚を報告したのは、2月29日だ。いつも「〇〇させていただきます」にアンテナが立つ私は、この日も反応した。この時は逆に、大谷選手の思いを感じた。私の知る大谷選手、つまりハム退団(大リーグ入団)以降に聞く、初めての言い回しだったからだ。この「させていただく」、本当はこれくらい特別な時に使うものだ。またこれは、「結婚させていただく」でなく、「結婚の報告をさせていただく」だったことに気付かないといけない。結婚は自分たちの問題であって、ひと様に「させていただく」と伝えるようなものではない。3年ほど前、嵐の二人が同時に結婚発表した時、あまりに見事な対照だったもので記事にしたことがあった。この機会に、再度取り上げます。
[櫻井翔は結婚したことをご報告申し上げます]
[相葉雅紀は結婚させて頂くことになりました](ともに自身の発言)
死語と化したかと思った「申し上げます」が、ここにはあった。本心を言えば、大谷選手もこう言って欲しかった。相葉クンの「なりました」には、ダメだしの下線が必要。さて、結婚報告を大谷選手は必要があると思っているのか。本人には「ない」。報告する理由は「周りがうるさいので」と、記者会見できっぱり言っている。
2 「言葉」ではない
このところ、何人か中国の人と縁がある。ひとりは台湾出身の方で、手紙をいただいた。中に「自分は小六で日本に来た者で……初めて日本語には敬語というものがあることを知りました!……敬語を使うと、相手との距離を感じて……」とあった。この方の言う通り、敬語とは相手との「距離」を教える。でも、敬語に「他人行儀」を感じている。恐らく、いま日本で使われている「敬語」とやらが、相手を上っ面に「尊敬し」ているからだ。テレビはどのチャンネルを回しても「〇〇させていただきます」と頭を下げている。「いただく」「いらっしゃる」等の多用は、日本が今まで自由に選んできた相手との距離の遠近を、のっぺらぼうにした。英語では相手が大統領だろうが、隣のおじさんだろうが、みんな「you」だ。ところが、日本語は違ってる。
あなた/あんた/オマエ/きみ/貴様/オメエ/テメエ/おぬし/貴殿 等々
もう使われてないとか、あくまで関西圏で主流とかはあるが、日本語で「you」に該当する言葉はたくさんある。これらはそれぞれ、場所や相手を選んで登場する。言葉が豊富なのではない。相手や場所はたくさんある、ということだ。かつて日本は、その場その人に向き合っていた。いまの日本は、ひとつの言葉、少ない言葉ですませる。これを「同調圧力」などと、問題視したりもする。でも、ドラマ『不適切にもほどがある』は、そうやって人のせいばかりにするなよと、言ってるかのようだ。読者は見てますか。クドカンと知ってたら、こんなに見落とさず最初から見てたのに。
今回の賭博容疑を、水原通訳は「違法とは知らなかった」と言う。「それだけは信じて欲しい」と言うが、目の前で借金が膨れ上がっていくのを見ていた人間が言ってる。違法か合法かなど、二の次三の次だ。「知っていた」ことも関与に入るとするなら、大谷選手の関与はゼロではないのだろう。使っているのは自分の金だと考えれば、誰かが迷惑するわけではない。でも、私たちの誰も「大谷選手の勝手にしたらいい」とは思えないはずだ。お金をバカにするものは、人をもバカにしている。大谷選手はそんな民族ではないと、私たちが思っているからだ。NISAにうつつを抜かす者どもは、この事件を教訓にするといい。ダルビッシュとの初対決を迎え、大谷選手は全く敬語を使わず対戦の気持ちを語った。だが、その内容はダルビッシュへのリスペクトに満ちている。かつて私たちが相手への思いを伝える時は、こんな風ではなかっただろうか。私たちのかつての「普通」が、ここにはある。
お母さんが岩手の地元で、未だにパート勤務を続けているのは「翔平が頑張って欲しい」からだという。今まで通りの翔平でいて欲しい、という意味なのだろう。大谷本人も周辺も、素敵でスキがない。「声援がもっと欲しい」という大谷選手を私たちは支えたいし、私たちはそんな大谷選手から支えられたいのである。
☆後記☆
もうひと方の中国の人ですが、私たち「うさぎとカメ」の利用者なんです。先日、私に「あの通信を書いているのはアナタですか」と尋ねるのです。「うさぎとカメ」に顔を出し始めた頃よりこなれたものの、まだまだ慣れない日本語です。でも、かな交じりの日本文を読めるわけです。そのシングルマザーさんに「きれいな文章ですね」と、言われました。恥ずかしさより、嬉しさが打ちあがった瞬間でした。張り合いがあるとは、こういうことですね。
近くの施設のおばあちゃんたちが、今年も丹精込めて作ってくれた給食袋や上履き入れ。今年も子どもたちにプレゼントです。ピンクが人気でした ありがとうございます❤ 私たちはお祝いのお赤飯とから揚げ
今日は修了式。みんなお疲れ様でした。明日から春休みだよ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます