蛭田牧場なう
~牛も子どもを産んで乳が出る~
☆初めに☆
この写真覚えてますか。2年前4月のニュース、楢葉でのスナップです。みんな蛭田牧場のヨーグルトを食べてる。
左から蛭田さんと渡部さん、安倍首相が真ん中で、右端にいるのが今は懐(なつ)かし今村復興相。笑顔がひきつっております。
「自主避難者は自己責任、国が責任を負うものではない」という大胆な発言をした今村先生は、首相と共に「お詫び行脚(あんぎゃ)」のため福島へ来たのです。ついでながら、この二週間ほどあと、「震災が福島で良かった」発言で、今度こそ辞任とあいなりました。
☆☆
蛭田牧場のその後をお知らせします。子牛も入れれば100頭に達しようという蛭田牧場は元気です。「まだ胸を張れる状態ではない」という蛭田さんですが、明確な「明日」を雄弁に語ってくれました。
1 オートマ牧場
体育館のような威容を誇る「たい肥」工場。
居並ぶ牛たち。藁(わら)の底に隠れている「木の実」を探ってます。
そのかたわらで、大型のルンバのごとく動いているのは、拡がってしまったエサを履(は)き集めるロボットです。
オートマの最たるものが「乳しぼりロボット」。
ロボットが乳を搾(しぼ)っているところです。分かりづらくて申し訳ない。扉の向こうでは、ロボットの「指」が牛の乳首を探っている。探り当てたあとは吸いついて搾るという段取りを、ロボットが自動的にやってる。それよりも感心したのは、このロボットに通じる道を牛が自分から入っていくこと。「乳が張ったらここに来れば楽になる」ことを牛が知ってるのですね。休みなくこの通路に、牛が入って来ます。
乳が楽になったあと、やれやれという感じで通路にしゃがんでしまう牛もいるのです。しかし、蛭田さんはそんな牛を甘やかしません。コノヤロウと角材で威嚇(いかく)します。
「いつも同じ牛でね」
ちょうどいいスペースだと思うのかなと、笑います。
この日は「つめ切り」の日でした。職人さんが三人がかりで牛のつめを切って行きます。油断するとすさまじい蹴りが飛んでくる。命がけの作業です。大きさは半径10㎝ほどの半月状で半透明のつめが、足元にたくさん落ちています。
2 牛も子どもを産んで乳が出る
事務所の入口に、仲村トオルとのスナップと色紙が、変わらず鎮座(ちんざ)してました。大切そうな写真のふもとに、閣僚たちとの写真も見えます。
「牛は子どもを産んで乳が出るんでね」
蛭田さんが話します。子どもが大きくなれば、やがて乳は出なくなる。つまり当たり前のことだが、母牛ばかりだと牛乳が一度に生産されて、そのあとはまったく出来ない。
子牛たちは、下で放牧されています。
そのシステムは震災前までは先祖によって守られていた、それが震災ですべてなくなった、と。そして、大人の牛ばかりを購入して牧場は始まった。牛は夏場にたくさん水を飲むため、乳は薄くなって単価が下がる苦労もあるという。
北海道から、
「こっちでやったらどうだ」
という声もかかったという話。これは渡部さんも言ってましたが、
「慣れ親しんだ土地は置いてけない」「向こうは寒いんだ」
と言います。
「いいよな、渡部さんは」
話は続きます。渡部さんの息子が、専門の学校に進学して跡を継ぐ気持ちを固めていることをうらやみ、
「うちの娘は『(蛭田牧場の)社長になるんだ』て言うんですよ」
だから、その時は(お父さんを)使ってねって言ってるんです、とまた笑う。
楢葉ではこうしてホッとして、くつろいでしまう私です。
☆後記☆
いわき市内で500世帯を擁していた高久地区の仮設住宅も、つい先日撤去作業が終えて、工事用フェンスが取り外されました。広大な地面に、住宅を結んだ狭い路地のなごりと枯れ草だけが姿をみせました。おばちゃんたちの笑顔の行き交いは、どこかで続いているのでしょうか。
☆☆
地元の住民が、巨大噴火に対する安全性をめぐって起こした川内(せんだい)原発訴訟(そしょう)の判決が出ました。今週の月曜日です。
☆☆
先日お知らせした「取手いじめ事件」の動画がアップされました。一時間を切る感じです。良かったら見てください。
https://freejournal1.wixsite.com/kotoyorimasato/blank
~牛も子どもを産んで乳が出る~
☆初めに☆
この写真覚えてますか。2年前4月のニュース、楢葉でのスナップです。みんな蛭田牧場のヨーグルトを食べてる。
左から蛭田さんと渡部さん、安倍首相が真ん中で、右端にいるのが今は懐(なつ)かし今村復興相。笑顔がひきつっております。
「自主避難者は自己責任、国が責任を負うものではない」という大胆な発言をした今村先生は、首相と共に「お詫び行脚(あんぎゃ)」のため福島へ来たのです。ついでながら、この二週間ほどあと、「震災が福島で良かった」発言で、今度こそ辞任とあいなりました。
☆☆
蛭田牧場のその後をお知らせします。子牛も入れれば100頭に達しようという蛭田牧場は元気です。「まだ胸を張れる状態ではない」という蛭田さんですが、明確な「明日」を雄弁に語ってくれました。
1 オートマ牧場
体育館のような威容を誇る「たい肥」工場。
居並ぶ牛たち。藁(わら)の底に隠れている「木の実」を探ってます。
そのかたわらで、大型のルンバのごとく動いているのは、拡がってしまったエサを履(は)き集めるロボットです。
オートマの最たるものが「乳しぼりロボット」。
ロボットが乳を搾(しぼ)っているところです。分かりづらくて申し訳ない。扉の向こうでは、ロボットの「指」が牛の乳首を探っている。探り当てたあとは吸いついて搾るという段取りを、ロボットが自動的にやってる。それよりも感心したのは、このロボットに通じる道を牛が自分から入っていくこと。「乳が張ったらここに来れば楽になる」ことを牛が知ってるのですね。休みなくこの通路に、牛が入って来ます。
乳が楽になったあと、やれやれという感じで通路にしゃがんでしまう牛もいるのです。しかし、蛭田さんはそんな牛を甘やかしません。コノヤロウと角材で威嚇(いかく)します。
「いつも同じ牛でね」
ちょうどいいスペースだと思うのかなと、笑います。
この日は「つめ切り」の日でした。職人さんが三人がかりで牛のつめを切って行きます。油断するとすさまじい蹴りが飛んでくる。命がけの作業です。大きさは半径10㎝ほどの半月状で半透明のつめが、足元にたくさん落ちています。
2 牛も子どもを産んで乳が出る
事務所の入口に、仲村トオルとのスナップと色紙が、変わらず鎮座(ちんざ)してました。大切そうな写真のふもとに、閣僚たちとの写真も見えます。
「牛は子どもを産んで乳が出るんでね」
蛭田さんが話します。子どもが大きくなれば、やがて乳は出なくなる。つまり当たり前のことだが、母牛ばかりだと牛乳が一度に生産されて、そのあとはまったく出来ない。
「赤ちゃんがいて、幼稚園生がいる。そのあとに小中学生が続いてという順にならないと、生産システムとしては不完全なんです」
以前聞いて、おそらくここにも書いたような気もするが、新鮮です。子牛たちは、下で放牧されています。
そのシステムは震災前までは先祖によって守られていた、それが震災ですべてなくなった、と。そして、大人の牛ばかりを購入して牧場は始まった。牛は夏場にたくさん水を飲むため、乳は薄くなって単価が下がる苦労もあるという。
北海道から、
「こっちでやったらどうだ」
という声もかかったという話。これは渡部さんも言ってましたが、
「慣れ親しんだ土地は置いてけない」「向こうは寒いんだ」
と言います。
「いいよな、渡部さんは」
話は続きます。渡部さんの息子が、専門の学校に進学して跡を継ぐ気持ちを固めていることをうらやみ、
「うちの娘は『(蛭田牧場の)社長になるんだ』て言うんですよ」
だから、その時は(お父さんを)使ってねって言ってるんです、とまた笑う。
楢葉ではこうしてホッとして、くつろいでしまう私です。
☆後記☆
いわき市内で500世帯を擁していた高久地区の仮設住宅も、つい先日撤去作業が終えて、工事用フェンスが取り外されました。広大な地面に、住宅を結んだ狭い路地のなごりと枯れ草だけが姿をみせました。おばちゃんたちの笑顔の行き交いは、どこかで続いているのでしょうか。
☆☆
地元の住民が、巨大噴火に対する安全性をめぐって起こした川内(せんだい)原発訴訟(そしょう)の判決が出ました。今週の月曜日です。
「合理的に予測される範囲を超える危険性については、発生の可能性が相応の根拠で示されない限り、対策を講じなくても社会的に容認されている」
これって「想定外」のことがあれば福島原発のような事故はまた起きますよ、だって「想定外」なんだからって言ってるようなもんです。腹が立ちます。☆☆
先日お知らせした「取手いじめ事件」の動画がアップされました。一時間を切る感じです。良かったら見てください。
https://freejournal1.wixsite.com/kotoyorimasato/blank
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