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ウソつき 実戦教師塾通信七百九号

2020-06-19 11:25:01 | 子ども/学校

 ウソつき

 ~子どもたちの道標として~

 

 ☆初めに☆

前々号で書きましたが、政治家を見ていても分かる通り、ウソは重ねることでしか通すことは出来ません。でも、ウソを突き通したものは後味の悪さが残っても、罪悪感よりなぜか安堵感を抱いてしまう。子どもたちを見ていてもそう思います。東野圭吾の『新参者』を思い出します。

「人は嘘をつく。自分を守るため、他人を欺(あざむ)くため、そして愛する人を守るために」

政治家どものウソは、大体がひとつ目とふたつ目がセットになっていると考えていい。一方、かつて子どもたちにとって一番大切な「ウソ」は、「他愛ない」ものでした。それが変わりました。大きな荷物を背負いこんだ子どもたちの現状を、ウソを通して考えてみます。

 

 1 犬から学ぶ

 手賀沼でロードワークをしている折り、

「この子ったら、自分が大きいって分かってないのよ」

という声を小耳にはさむ。ちらと見れば、見かけは大きい犬がしっぽを振ってそばの犬に近づこうとするのだが、小さな相手はしり込みしてうなっている。私は「子どもの原点」を見たような気がした。威嚇(いかく)など本人には思いもよらないが、相手は自分の大振りな姿を恐れている。また、初めての出会いだっただろうに、犬どうし互いに飛び掛かっては噛み合っているのも目にする。しかし、相手が傷つくような「本物の戦い」にはならない。犬の大きさからして、これが将来の戦闘の訓練とは思えない。おそらく、これらは遊びであり、相手への愛情や存在を確かめる表現-ウソなのだ。

 

 2 ウソでも本当でも

 一体いつ頃から始まった言葉だろう、「ウソは泥棒の始まり」という言葉は、相手への憐憫(れんびん)や牽制(けんせい)のおもむきを、いま失っているように思う。学級目標に掲げられ、それが「約束」とされたりもしている。しかし、ウソにはみんなが聞きたがり面白がるものもあった。そして本当のこととそうでないことの識別、という技術を獲得する上で、ウソは欠かせないものだった。この点では犬も、じゃれ合いという修行の場を持っているのである。じゃれ合いは時折、本当の傷を相手に負わせることもあるのだが、そこからは子どもたちのみならず、私たち大人の、じゃれ合い=ウソのあり方に対する学習が始まるのである。それを一律に「いけないこと」としかねない現状は、子どもたちから、「日々の楽しみ」「他人を知る機会」、そして「自衛の技術」を奪っていることに、私たち大人は自覚しないといけない。「人は嘘をつく。自分を守るため」(前出)なのだ。だから私たちがウソをつく子を前にした時、この子は一体何から自分を守ろうとしているのだろう、という視点を忘れてはならない。「ウソをつくな!」では、相手には立つ瀬がないのである。

 それでも子どもの現場はまだまだ豊かで、ぺろりと舌を出して笑っているものが人気者だったりする。他愛ない冗談を真に受けて不安そうな顔をする子もいないわけではない。でも、見える場所でそれが起こっているなら、そこには修正する力があるのである。

 着飾った母親が学校で、この子はどうしようもないウソつきでと罵(ののし)る。しかし、話の中味はこの際必要ない。当の子どもの衣服は粗末で汚れたものだったからだ。母親が帰ったあと、そこに居合わせた3人ほどの教員は、オマエの(いつも)言っていることは本当なのかと言うのだ。何を言ってるんだ、本当かどうか、そんなことはどうでもいい。この子は自分を守るために必死に生きている。いや、死ぬか生きるかの瀬戸際にいる。ついこの間の本当の話だ。必要なのは、

「ウソでも本当でも、オマエは自分を守らないといけない」

という大人の言葉だ。そして、関係機関への通告である。

 

 ☆後記☆

柏市の行政が動いたことを、すでにお知らせしましたが、先日、議員さんたちからレポートを受けました。「議案提示と話し合いをしていては遅すぎた」「全会派の議員さんたちの協働で、柏市独自の動きを促すことが出来た」という報告です。力をもらいました。

 ☆☆

やっと子ども食堂再開します。調理室は使用できないし、密で食べることも出来ない。当面、パンや弁当の配布を行います。今回は市販のパンを配ります。地元の工場さんが協力してくれました。すぐ来週末です。お近くの方、良かったらいらしてください。

 ☆☆

イージスアショアですが、2月には撤回の議論が出ていたという一方で、寝耳に水という怒りを旧閣僚までが出しています。この撤回が、朝鮮半島の風雲急を告げる直前だった不可思議を、どうしてどこも報道しないのでしょうね。


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