実戦教師塾・琴寄政人の〈場所〉

震災と原発で大揺れの日本、私たちにとって不動の場所とは何か

優勝/楽天(上)  実戦教師塾通信三百三十五号

2013-11-20 10:08:33 | エンターテインメント
 優勝/楽天(上)

      ~信じられないことが起こった~


 1 「宿敵(ライバル)巨人」ではなく


 未(いま)だポストシーズンにあらず、私はそんな気持ちでいる。マー君のメジャーへの移籍(いせき)も、ましてはアジアリーグなんてなんの興味もわかない。
        
            週刊『フライデー』より
このシーンである。ここから一歩も出ないでいる。スポーツ紙を4つ買ったのだが、まだひとつしか読んでない。もったいない気がしているのだ。
 おそらくはとんでもないことが起こったのだ。二度とこの感動はない。このことはちゃんと書いておいたほうがいい。でないときっと後悔(こうかい)する、と私は相変わらず、勝手に思い込んでいる。こうしていても、次々と様々な出来事が泉のようにわき出て来る。
 印象に残ったインタビューがあった。楽天優勝翌日(よくじつ)の朝、NHKのニュースだったと思う。冷たい小雨が降る中、高齢(こうれい)の方にマイクが向けられていた。その方は、
「良かった。いいことなんか少しもないのに……感動した…」
最後の方は言葉を詰(つ)まらせながらマイクから顔を背け(そむけ)、仮設住宅に続く道に後ろ姿を見せて消えていった。興奮(こうふん)と感動をぶちまけた前夜の録画(ろくが)インタビューに混(ま)じって、次の朝の静かな被災地でのインタビューだった。
 「宿敵巨人」を相手にガブリ四つで戦った「闘将(とうしょう)星野」と、ずいぶん言われた。そのことを否定はしまい。本人だってそう言ってたし。でもやっぱり違う。少し考えれば分かることだ。楽天の目標は、なにを置いても「リーグ優勝」だったのだ。それなしに、打倒(だとう)巨人だと?なにを片腹(かたはら)痛いと言われかねない。星野監督が楽天に就任(しゅうにん)した最初の年が5位、次の年が4位である。巨人の後ろ姿が見えだしたのは、リーグ優勝が決まった9月26日だ。それまではそんな余裕(よゆう)などあるはずがない。
 そして、そんな楽天の優勝が、星野監督には思い入れの強いリーグ優勝なのだ。もちろん私たちも忘れていない。星野楽天とは、震災とともに生まれ、そして、進んできた球団だったのだ。


 2 「結果がすべて」ではなかった

 覚えているだろうか。9月26日(木)、楽天がリーグ優勝を決めた球場は西武ドームだった。この日、二位ロッテが破れ楽天が勝てば、楽天の優勝が決まることになっていた。日本ハムと札幌で対戦したロッテは、もつれにもつれ、土壇場(どたんば)の9回で日本ハムを猛追(もうつい)していた。この時楽天は、同じく7回で西武を逆転したあとの9回だった。つまり、田中マー君が登場した時、ロッテはまだ勝つ土俵の上にいた。この時点で楽天の優勝は未知の場所にいたのだ。そして一点差のマウンドで、マー君はワンアウトながら二塁と三塁にランナーを抱えて、サヨナラ負けのピンチだった。これを思い出せば、私たちは日本シリーズ最後の最後の、あの9回を重ねるはずだ。ここでサヨナラ負けを喫(きっ)したとしたら、一体どうなっていたのだろう。
       
            サンケイスポーツより
 星野監督の態度は一貫(いっかん)していたように思う。
「あいつ(田中)しかいないやろ」
「田中に感謝する気持ちで投げさしてる」
というものだったと思う。「信じてる」と言っていたのは、周辺だった気がする。結果がどうあれ、この態度は変わらなかったのではないか。日本シリーズ最後の7戦目で、好投した美馬から則本は7回8回とランナーを出した。でも、それは各回わずかひとりだった。前日、高校野球の「延長(えんちょう)再試合」並みの160球を投げたマー君を「胴上げ投手」にしようとしたら、
「9回のツーアウトからでいいと思った」(『フライデー』元阪神・金本のコメント)
のが普通である。または則本がランナーを出したあとでもいい。と、誰でも思う。しかし、違っていた。並々(なみなみ)ならぬ決意である。例のごとく、と言っては失礼だが、マー君はランナーを背負い、ホームランが出れば試合は振り出しに戻る、というシーンを迎(むか)えた。マー君が死んだら監督も死んでいた。土壇場で巨人が逆転したその時、待ってました、という連中はごまんといた。何せ星野采配(さいはい)はメチャクチャなのだ。そのことは誰も知っている。今だって北京五輪の時の悪夢(あくむ)をあげつらっては、どうしようもない、と星野監督のダメ出しをばらまいてるやつもいる通り、星野監督へのバッシングはどうにも止まらなかったに違いない。
「セオリーなしの采配」
「『情(じょう)』に流されて勝利はない」
「策に溺(おぼ)れた闘将」
「負けたら終わりでしょ」
等々。紙上やテレビはうなりをあげていたに違いない。しかし、これが勝ちとなった。星野采配は、
「マジック」となり、
「派手な演出」
となったのだ。
 この星野采配が、仮に裏目に出た時、野次馬の目線でなく、東北の目線だったらどうだっただろう。優勝を逃した瞬間は、評価がふたつに分かれたように思う。しかし、それは間もなくひとつの「感動/感謝」に収まりをつけたような気がする。それは結果がどうあれ、星野楽天が、東北の人たちが恋い焦(こ)がれ、そして待ち望んだ場所に導(みちび)いたからだ。


 ☆☆
「学校/子ども」のことを書くつもりでいたのですが、この楽天が頭を離れず、予定変更(へんこう)です。次の「下」は、お察しの通り、「震災」の頃の楽天・星野に戻ります。何度考えても、どう考えてもすごい。マー君が楽天球場に姿を現した時、大歓声(かんせい)で球場は揺れたといいます。病院の隣接(りんせつ)するこの球場では、鳴り物が禁止だったといいます。球団は病院や患者さんにどんな気遣い(きづかい)をしたのでしょうか。そして、患者さんたちの反応はどんなだったのでしょうか。ホントに知りたい。

 ☆☆
17日、福島市長選挙終わりましたね。またしても現職敗退(はいたい)。投票率が前回より10%アップしたのは、やはり双相地区でないという理由でしょう。それにしても現職を支持したのは自民・公明・社民です。まあどうせ、自民党は福島県では二分(にぶん)している状態ですから、票も割れたのでしょうが。いずれにせよ、これら三つの党の議員で、市議会の過半数を占(し)めるといいます。福島(市)、やっぱり大変です。

 ☆☆
新調したストーブの上でさつま芋を焼いてます。おいしいですね。こうすると美味しい焼き芋が簡単に出来るんだよと教えたら、やみつきになったよ、と喜んでくれた母をまた思い出します。しんしんと冬が近づいて来ますね。
前回、師走(しわす)ですね、とうっかり調子付いて書いてしまいましたが、まだですよ、と指摘(してき)されました。
もうすぐ師走ですね。

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