kotoba日記                     小久保圭介

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南高梅

2020年01月04日 | 生活
   


すっかり
湯屋が気に入ってしまった
武者小路君
今日行く約束をしてたので
待ち合わせ
バスに乗る

小久保さんこれ
と言って
もらったのが
熊野南高梅
「ありがとう!」
熊野という文字があるだけで
気分が良くなる
「小久保さんが熊野好きなこと思い出して」
「高いでしょ!?」
「いや俺、ホームセンターで歯間ブラシ買いにいったんすけど
そんとき、安く売ってたんで。280円で。だから俺、小久保さんに買っていこうと」
「あ。ありがとうね」

そんな武者小路君と強炭酸風呂に入り
体を洗い
露天風呂に行き
弱酸性と天然温泉のかけ流しで
何事かを清め
座り湯で
座っていると
「ああ、お日様があったかい」
と言う
確かに今日は
晴天で太陽がまぶしい
温かいというか
熱いほど

かえり
また餃子を食べ
武者小路君は
バリそばを食べる
垂「っぱいかける
「こうするとうまいんです」
「あそう」
とおいしそうに食べる武者小路君のうしろの席で
正月に集うのだろう
夫婦と子供
奥さんの両親らしき人たちが座っている
ご両親のお母さんが
座敷に座りたかった婿さんに
「足が悪いんでごめんなさいね」
と言うけれど
婿さんは不機嫌な顔で答えもしない
隣に座る奥さんの内心
いかがなものか
と案じていると
奥さんの背中に値札タグがついたままで
ああご苦労されているのだな
それにしても大人になっても
大人げない人を見てしまった

ところが注文した食べものを
食べ終わるころには
婿さんの表情が和らいでいた
人間は腹が減ると
信じらぬほど不機嫌になる人がいる
その典型だろう

武者小路君の背後で
何事があったかは
一切言わず
武者小路君は
またもや
美味しそうに
バリそばと餃子を食べていた
温和な表情で

そんなこんなで
帰路
湯冷めしないように
帰宅してすぐに
蒲団に入る

夕方
今度は金子光晴さんと今池で待ち合わせ
焼き肉を食し
昼は武者小路君と湯屋にいたんだ
と話す
金子光晴さんの家に
以前
武者小路君と行ったことがあり
「ああ武者小路君ね」
と言った
武者小路君に
今夜は金子さんと焼肉だよ
というと
「ああ金子さんの家でオムレツをいただきました」
と武者小路君は
わたしがすっかり忘れていたことを
発した



濡れた道路と
西に月


武者小路君と金子光晴さんのことを思い
天上を見ると
常にわたしたの上には
空があるのだ


夜遅くになって
野に立ち
野を奥へ歩いてゆくと
小倉パンが落ちていた
それを犬がよってきて
食いおった
尾っぽを振っていたから
きっと美味かったに違いない
犬は言った
「為せば成る」
「あそう」
と答えておいた

ああ
美しき月夜だ



コメント
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