kotoba日記                     小久保圭介

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痛みの力動

2020年01月27日 | 生活詩
  




痛いのだ
そこが
痛いのだ
今でも

痛みはこの先
消えることなく
その人は
昨日の痛みを
抱えて生きる

時は過ぎ
その人は思う
忘れることのできぬ
その痛み
客観視できぬ
痛みの色

他のことは
明晰に見通すことができるというのに
痛みは
苦しめ続けるけれど
その人は
強い痛みから燃えあがる焔を
力動にして
人生を
作ってきたのだ

パイオニア
フロンティア

その人は夢を実現するために
必死で生きている
その姿は地味であるけれど
努力はその人を支え続ける
誰のどんな言葉より
誰の素敵な笑顔より
その人が前に進むことができるのは
痛みを燃やし
力動にして回る
努力の車輪だ

その人は
自身の弱さを知り尽くし
それだからこそ
弱みを見せず
生き続ける
走り
止まり
考え
思い
祈り
また歩き出す
誰も知らぬところで
自身と戦い
必ず勝つと誓ってみせる

その人は挫折する
時を経て
また立ち上がる




その人は
負けてなるか
ここで唐黷トなるものかと
必死で動き
考え
勉強する

「唐キものは強い
けれど
立ち上がったものは
もっと強い」
と言ったのは
誰であったか

その人は思う

その人は区切りがつくと
お酒を飲んで
静かにする

裏切られたことや
失敗したこと
一生消えぬ痛みは
いつの日か色が薄まり
消えてゆくのを
その人は
薄々
感じてはいるものの
まだその途上にいる自身を
見ている

誰の助言も聞かぬ性分
うるさい
我が道の行き道に
立ちふさがるものは
誰であろうと許さない


その人は
棟方志功の版画に刷られた言葉を思う
「先を行く人、邪魔です」

生きる
生きる

その人は
生きてゆく
朝から晩まで
必死に生きる
手を抜かず
生きる
くたびれたら
お酒を飲む
そして
夜の中に沈んで眠る

パイオニア
フロンティア

その人は泣く
その人はいい気になる
その人は残酷になり
その人は誰にも頼らず
孤独とともに
生きてゆく

パイオニア
フロンティア
パイオニア
フロンティア

寂しさは
あの痛みから
ずっと続き
さらに自身が弱くなる前に
手で押し返す
力の限り

その人に宿ろうとする
寂しさと弱さを
押し返す
負けてたまるか

その人は
夢見る
いつかきっと
いつかきっと
叶えるために
自身が足りないものを
必死で補い
繕う
繕ったところは
まだその人に馴染まないけれど
自然
その繕いは
見えなくなる
どこを繕ったのかもわからなくなるほど
自身を作り
動かしてゆく

誰かのために

言葉が彼を追いかけ
言葉が彼の前にある

誰かのためになることを

フロンティア
パイオニア

その人は思う
自身の本当の幸福とは何かを

その人は思う
傷の痛みは
誰かのためになると信じて
今日も生きてゆく
批判され
中傷され
あきらめられても
自身があきらめるまで
その人は
行く


夢よ
わたしの声が聞こえるか
わたしの静かの叫びが聞こえるか
夢よ
答えろ
わたしを呼べ
わたしをいざなえ

理と情を両手に握り
その人はゆく
誰かのためにと
わたしのためにと
背に残した言葉の数々


転んだ


理と情が道に転がり
壊れて
消えた

そうか
これがわたしだ

フロンティア
パイオニア
フロンティア
パイオニア

その人は
また立ち上がる
その人は手ぶらで
進んでゆく

痛みが消えていることさえ
わからぬほど
笑顔で


コメント
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