茨木のり子の本を三冊
『りゅうりぇんれんの物語』
を何度目かの再読
長編叙事詩
これは偶然
わたしがうまれた昭和36年に
初版とある
当時
14年間
穴の中で暮らした中国人という話題は
かなりの話題性があったという
それでも
それを長編叙事詩にしたのは
今それを読むことで
そんな歴史があったことを
少なくともわたしには
伝えることができている
そういう意図で
詩人は書いたのだった
意義がある
そして
『みずうみ』なんていう
本当に素晴らしい作品
万葉集からの引用らしい
『このゆうべふりくる雨は彦星の早漕ぐ舟の櫂の散りかも』
という
なんとも素晴らしい言葉を
茨木は詩の中に織り込む
そこに出会う
美しい言葉のリズムに
本一冊の中で
この一行だけで
十分に
本を手にとって
ページをめくり
1時間を過ごすだけの
価値がある
読書は
一行か二行に出会えるだけで
それだけで
十分
そして
『りゅうりぇんれんの物語』
を再読する機会にまた巡り合い
これはネットでも読むことができるのだけれど
活字で
本でできれば読んでほしいと切実に思う
何故かというと
これは
本当に精度の高い
言葉の件pであって
コピー写真のそれで見てはいけない
本物の
縦書きの
文字で読んでほしいと
思っても
そうはいかないのだろうね
いまどきは。
茨木のり子著『鎮魂歌』に載っています