kotoba日記                     小久保圭介

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根本昌幸さんという詩人

2017年04月30日 | 文学
以下は4月27日付けの
中日新聞の記事です。

根本さんという詩人の
詩が素敵だったので、
記事を合わせて
全文を転載します。


---


中日春秋



 <捨てる。/捨てない。/忘れる。/忘れない。/戻る。/戻れない。/帰りたい。/帰れない。/遠い。/近い。/どうする。/どうしようもない。/陽炎の/向こうに。/ゆれて見える。/わが故郷。>

▼これは、福島県相馬市に住む根本昌幸さん(70)の詩集『荒野に立ちて』に収められた詩「わが故郷」だ。その故郷・浪江町は原発事故で全町避難を強いられた

▼今春、避難指示は解除されたが、家は荒れ、先祖代々耕してきた田に汚染土を詰めた袋が積み上げられている。捨てる。捨てない。戻る。戻れない。この一つ一つの句点に、区切ることができない心の揺れが凝縮しているのだ

▼だが、句点一つの重みも分からぬ人が復興相を務めると、こんな言葉が飛び出す。「古里を捨てるというのは簡単」「(震災が起きたのが)まだ東北で、あっちの方だったからよかった」

▼ついに辞任に追い込まれたが、自民党の幹事長が「人の頭をたたいて血を出したっていう話じゃない」と擁護するような発言をしたという。時に刃物より危険な言葉の力が分からぬのなら、言論の府にいる資格が問われよう

▼根本さんは、こういう詩も書いている。<人が人を/虫けらや獣のような/扱いをしたとき。/言葉はすくっと/立ち上がるだろう。/そして人に向かって行くだろう…>。政治に求められるのは、そんな言葉ではないのか。


---

一番最後の根本さんの詩は素敵。

人が人を
虫けらや獣のような
扱いをしたとき。
言葉はすくっと
立ち上がるだろう。
そして人に向かって行くだろう…


そしてアレンジしてみた


人が虫けらや獣を
虫けらや獣のような
扱いをしたとき。
言葉はすくっと
立ち上がるだろう。
そして人に向かって行くだろう…


それにしても

「言葉はすくっと立ち上がるだろう。そして人に向かって行くだろう…」


「人に向かって行くだろう」
は凄い。
この根本昌幸さんのファンになった。
必ず近日に
全詩集を読みたい。


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『荒野』加筆

2017年04月30日 | 生活
4月28日から
詩神としか思えない
言葉の降り注ぎに
メモを取るが必死

初稿は3月30日

加筆
『荒野まで来てしまったよ』





荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
彼は黒いフェルト帽を被って
小さな女の子の手を引いて
ビルの中に消えていった

もう彼はバス停に戻ってこない
あの家に帰ってしまった
ケンタッキーも
もうない
あんなふうに
笑うことはない


荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
僕ら
歩いているうちに


荒野はずっと続き
どれだけこの先
歩いても
荒野は終わらない


彼の苗字が変わってから
僕は十年
時をやり過ごすだけだったよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
あとは干からびて
枯れるだけ

彼は若作りするけど
本当はしわだらけなのさ
僕は禿げあがって
眉毛は白髪なのさ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
白い服の女の子
彼は子供を持って
荒野へ来てしまったんだよ



荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
宮澤賢治の作った家に
みんな集まってきたよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
小柄な男がリュックを背負って
南へ向かったよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
白い壁は唐ウれて
がれきになって草が生えていたよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
黄色い砂埃が舞って
君の皮膚をざらざらにしたよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
赤い車は燃やされた後
真っ黒になったままさ
ロバが唐
馬が唐
花が吹き飛ばされたよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
鳥は幻を見ようとして
空高く飛んでいったよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
転がる石のように歩いたら
崖の下に沈んだよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
太陽の光の中を
砂塵が舞い
君の目をつぶすよ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
生まれた時から全盲だった人が
カッと目を見開いたよ
その目に映る
この世のすべて
この世のすべて


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
呪文もマントラも通じない
言葉はもうどこにもないんだ


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
雲が地面まで降りてきて
僕らをうるおしたよ

このコップに蜜をいっぱいくれ
一生分の蜜を


荒野へ来てしまったよ
荒野へ来てしまったよ
もうどこにも国旗はない
ギラつく目が通り過ぎるだけ
カラスがシルクトゥリーの看板にとまって
馬鹿にする相手を探していたよ

君はもう声に出さない
目でものを言わない


荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
太陽まで手を伸ばして
君の願いを全部ここで叶えてあげたい

この世のすべて
海より青く
青く青く塗りつぶせ


荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
手を合わせても祈りは通じない
だってここは荒野なんだから

君の時計はいつまでたっても
3時5分を指したままさ


荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
滝を流れ落ちてくる
ヒットラーたち
次々と滝壺に沈み
獰猛な雷魚たちに
内臓を食い破られたのさ



荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
ここは「タラ」だってビビアンリーが言って
ミレーが種を蒔きはじめたよ


荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
暗証番号を首からかけた
しあわせな鳩たちは
クック、クックと鳴くだけさ



荒野まで来てしまったよ
荒野まで来てしまったよ
どす黒いこと
たくさんしてきたね
どす黒い思い
たくさんしてきたね

荒野の風に吹かれて
僕ら
荒野へ来てしまったんだよ





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彩雲

2017年04月29日 | 生活
亀山行きの
鈍行列車

日当たりのよい
布団の中で

雲がゆっくりと
東へ


午後の驟雨
そして突風
一時間半後
雨は完全にやみ
空に陽光

虹は出るか
西の太陽の180度反対側に
虹は出るので
東を時々
見てみた
出ない虹

頭上に
彩雲
間違いなく
彩雲はぼんやりとなったり
くっきりと
見えた
南北に短く
久しぶりに
虹を見た


雨のあとの


そのきれい





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ひとみを見た

2017年04月28日 | 生活
いつもの大通り
いつもの信号待ち
脇にある大きな木
そして花

と思った
花が花壇になっている
こんなに精緻に
管理されていただろうか
誰がこの大通りの角を
自身の庭にしているのだろうか

しかし
美しき
朝の花
見過ごす
きれい

近くの新芽を指でさわる
それができるのは今だけだ
やわらかさを確かめよう
今だからこその
若葉のやわらか

夢で
彼の瞼が開いて
黒い瞳の人と成る
生まれた時から
全盲である人の
まなこ
夢であっても
見られてよかった
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詩神への短い言葉

2017年04月27日 | 生活
今月に入って
何度
病院へ行ったのだろう

朝から
並び
耳鼻咽喉科
「昨夜は首が絞められるような感じでした」

検査
そして得る
安堵

ぐったり疲れ
喫茶店で
ぼおーっとする

脱力


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自律神経失調症

2017年04月26日 | 生活
曇りのち雨

雨を待つ草、木、虫

ごみだと思って
花びらを拾うところだった

急な気温の低下に

すでに
ついてゆけず
ごはんも無理で
呼吸するのみ

眠る
絞められるような体をまるめ
眠る
ひたすら
眠る


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花粉の馬鹿4

2017年04月24日 | 生活
「アレルギー性鼻炎が原因です」

薬を増やし
あっぱれ
これであと少しの
ヒノキの花粉
ナントカ
なる

きよひら
とうきちろう




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花粉の馬鹿3

2017年04月23日 | 生活
煮物のパック
暗がりで受け取り
話す元気なく
戻って
眠る


竜泉寺の湯にゆき
もやし入りの
焼きそばを
ごちそうになる

そして
牛乳を温めて
飲み
就寝す

ああしんど

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ダッシュ

2017年04月22日 | 生活
緑のカード
ラムネを飲む
水で飲み込む

土曜だけれど
昼休みにダッシュして
駆け抜けて

疲労困憊

ゴーヤ茶のやさしさ

そうか!
ここは
イチョウの
並木道なんだ

気がついた


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花粉の馬鹿2

2017年04月21日 | 生活
喉痛く
くしゃみ
睡眠不足


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きれいな親子

2017年04月20日 | 生活
花粉の馬鹿

ずんだ(大豆)

わたしは架け橋だ

---

しあわせ

石段のところで
座ったり
立ったりして
親子が遊んでいる

足の悪いおとうさんと
まだ幼い女の子が
楽しそうに
お父さんのまわりで
じゃれている

足の悪いお父さんと
暮らすことで
子は学ぶ
わたしたちが思っている以上のことを

イチョウの木
9本

風は北から吹いている
グレイの空を
カラスと
ヘリコプターが
飛んでいる

都会がもっと
緑でいっぱいになったらいいなあ





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親切があった

2017年04月19日 | 生活
スギはまだいい
問題は毎年
ヒノキ花粉

今年はキツイ
本当にキツイ

強風
風を受けている
コーヒー屋の前で

昼寝の公園

心の寡黙さ

バス停で
バスを待つ
青いチェック柄のシャツを着た
盲いた女性
親切な若者に連れられて
過ぎたバス停まで
戻ってきた
若者は時刻表を見て
おそらく
「あと何分で来ますよ」
と告げ
去っていった
この世に
親切があって
良かった

風の中
彼女は
バスを待っていた

バスが来て
乗れるだろうかと
わたしの足が歩きだしたけれど
心配無用
きれいな所作で
彼女はバスに乗って
北へ向かった


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猫とカラスと人

2017年04月18日 | 生活
猫は出るし
カラスも出るし
彼らと同じアスファルトの上にいる
言語さえ違えども
同じ本能で生きている


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メンタム

2017年04月17日 | 生活
午前10時半
凄い雨と風

イチョウの葉
その旺盛

アレルギー性鼻炎で
目が痛く
何度も水道で洗う

花粉と黄砂とPM2.5

花粉だけなら
雨の日は楽
でも黄砂とPM2.5は
雨の日でも
容赦ない

夕方
やっと
目が落ち着いたので
right氏と
ちゃんぽん麺を食べにゆく

鼻炎にはメンタムが良いと
若者が言うので
メンタムを胸と
鼻に少しだけ塗ると
スッとして
鼻通りがよくなりますよ
と言うので
メンタムを買う

夜に塗る
確かに
スッとして気持ちいい


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ブルーム閣下

2017年04月15日 | 生活
ブルーム閣下は
杖をあげ
わたしたちの席に向かって
声をあげた
「やあ久しぶり」
店内に響く大声

ブルーム閣下は
黒い服を着て
二通の手紙を
わたしたちに手渡した
そこには
ブルーム閣下が
今思っていることが
便箋3枚にわたって
綴られていた
二通はコピーの文字であり
原本は家にあるのだという
そしてこの手紙は
ごく一部なのだという

ブルーム閣下は
注文した
ハンバーグランチも
食べずに
しゃべり続けた
夢中になると
食事を忘れる人だった

ブルーム閣下は
あまりにも多くを語ったので
何が言いたかったのかが
まったくわからなかった

驟雨
家へ帰って
しばらく眠り
楽器店にゆき
可児まで
出向いた

川は流れる
いつも

わたしたちが
川を忘れている時も
常に流れている


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