チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

ご時勢

2010年08月24日 13時49分48秒 | 日記
その喫茶店は
十二社通りにあり
総ガラス張りで外には店主お手植えの草花が華やぎ
更に街路樹の緑を眺めながら
お茶をのんびりいただける

店内は明るくいつもクラシック音楽が
丁度いい音量で流れている
チョット残念だけど
その店は喫煙を許しているーー

しかし
其処のマダムとの会話も楽しく
ときどきカフエオレを飲みに訪れる

「今日は静かね」
「最近はこうですよ」
「此処のあたりのサラリーマンの方たちは」
「もうね自動販売機が増えたから」
それにスターバックスやドトールなど
安くてまあまあの味の店も近くにある

カフエオレ500円
あまたの店は250円
更に自動販売機は120円

500円でこの空間を自分のものにするのがすばらしい

「このご時勢意味のない500円は節約の的になるんですよ」
「そうなのワンコインでこの美しい空間に身を置ける幸せ」
「チョット前は皆さんそうおっしゃってね」

500円出せばあの店ではコーヒーが2杯、3杯
と計算する人が増えたのだという

冬から春
春から夏
日を追って人が入ってこなくなった

「始めはふさぎこんでいたんですけどね」
今はこのステキな空間を独り占めできるんだからなんと幸せ
本を読んだり
好きなクラッシクをのんびり聞いたり
気の合うお客さまと時事放談にふけったり

今までと違う人生を生きているようですよ

近くのビルのサラリーマン達が
せわしく訪れタバコをプカプカふかしていたけど
いまはゆっくり
コーヒーの味を楽しむ人が
一人静かに入ってくるという

人は肉体を持っているので
衣食住を確保しなければならないが
心を休める場所も絶対に必要

これからは
この店はそのような人が集まるのだろう
マダムの顔をみると
笑みがいままでよりおっとりとしていた

カフエオレを飲み終わって
何かわけもなくじわーと幸せ感にあふれた

「またね」
コメント
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