千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

「のだめカンタービレ」♯15

2006-06-28 00:00:26 | Classic
やっぱり千秋さまとのだめは、ラブラブだったって~~?!!
どうラブラブだったかは、ルール違反の暴露になってしまうのでここで明文化できないのが残念。でも千秋さまがのだめを

「いつも一緒にいるようで、そうでもない。ひとりで旅していつのまにか帰ってきてる。それでいい。オレが見失わなければ-」

と心の中でつぶやいて、そっと彼女を引き寄せる場面は夏の夜の風が涼やかに渡るようなロマンチックな名場面だった。お城の室内の煌々とした灯りが届かない庭は、恋人たちが天使の距離まで接近する格好の場でもある。

ところで、少女漫画の多くは、男性が自分への関心と恋愛感情を抱くのを期待する”受身”のカタチに、女の子としての可愛らしさへの表現がある。自分への視線、関心、ちょっと乱暴だけど思いがけない(あくまでも自分への)優しさの発見、告白、そのひとつひとつに「きゅん」と乙女心が発動するシーンをつなげるところに特徴がある。そのいじらしさが、読者の好感と共感を呼ぶ。白馬の王子さまを待つシンデレラや白雪姫というのが、少女漫画の王道である。(最近の少女漫画は、多様性に富んでいるので一概に言えないかもしれないが)
ところが、のだめは千秋さまに惚れているが、決して受身ではない。ラブラブを公言しているほど、実際の行動は恋に積極的というのでもない。彼女には、とってもとっても大好きな千秋さまと同じくらい、本人はあまり意識していないがのめりこんでいる音楽というもうひとつの世界があるからだ。どんなに男性に夢中になっても、彼は彼女にとって人生のほんの一部。決して、彼こそすべてにはならない。この点が、天才ピアニストを主人公としたこの漫画の、大人の男性も評価する漫画というポイントではないだろうか。「のだめカンタビーレ」は、実は恋バナという測面は主軸ではない。あくまでも物語の中心は、ひとりの人間の成長物語である。天才医師、天才シェフという設定でもよかった。発表の場が、「Kiss」という乙女を読者層にもつ雑誌だから、女の子を主人公として、まだ鮮度の高いピニストの卵になったのである。(そういう意味では、『ガラスの仮面』に近い。ただ、あのようなスポ根風の根性ものは今時ハヤラナイ。)

千秋が、のだめの初リサイタルをモーツァルト、リスト、ラベル、シューベルトと聴きながら「オレはいろいろなことを覚悟しておいたほうがいい」と胸に刻むのは、この漫画の要になると思われる。
音楽家どうしの恋愛、結婚はなかなか難しい。お互いの才能への嫉妬、コンプレックス、音楽観の違いによる衝突、そもそも常識の欠落している部分が表現上の武器になるという職業のふたりがうまくやっていけるのかっ。
確かに、のだめの自由奔放さはromaniさまのご指摘どおりマルタ・アルゲリッチに似ている。こんな怪物のような女性と恋をするには、男も器が大きくなければとても勤まるものではない。はたまた完璧に主夫として裏方の人生を生きるか。また千秋は、シャルル・デュトワほど浮気症ではないが、指揮者らしく気難しいところもある。千秋のこの”覚悟”を考えると、このクラシック音楽漫画としての最大の魅力にふれたような気がする。

モーツァルトを弾く時に、千秋がオレもこどもの頃言われた、
「簡潔に、有限の美に 無限の美を刻むように 美しく」
と。小林秀雄のようなこの言葉には、モーツァルトが凝縮されている。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
全然関係ないが (ペトロニウス)
2006-06-29 01:45:20
小林秀雄!!!懐かしい。。。。凄く読んだなー。別に、中身が好きだったわけではない気がするが(今でも思い出せないので)、凄くカッコイイ文章を書くんでしびれたのを覚えている。中学生の時だ。
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私も読みました・・・ (romani)
2006-06-29 12:21:28
こんにちは。

私も発売日にしっかりゲットして読みました。(笑)

通勤時間の1時間くらいで読めちゃったので、なにかもったいないような・・・。

でも、のだめはいよいよ真価を発揮してきたようで、これからも楽しみですねぇ。

アルゲリッチには感じられない天然ボケが、これまたなんとも微笑ましくって大好きです。

千秋とは、キャラクターとしてもベストマッチのような気がします。

早く次号がでないかなあ。
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ご無沙汰しております (林象)
2006-06-29 20:54:10
のだめ新刊お読みになったんですね♪

「千秋が大好きなのと同じくらい音楽が大好きである」「この作品は恋愛話が主軸でない」というご指摘に頷いてしまいました。仰るとおりだと思います。



千秋とのだめは、思い切りぶつかりつつもその衝突を経て、二人ともまた一段上に上っていっている気がします。私から見ればなんとも羨ましい関係(笑)今後もドタバタはあるでしょうが、でもできればこの関係のままでいて欲しいですね(^^)
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ペトロニウスさまへ (樹衣子)
2006-06-30 00:15:49
我家にも小林秀雄の本があるのです。学生時代、小林秀雄を信奉している先輩がおりまして、読んでいないとばかにされました。(←この先輩は、今は高校の国語教師。)

・・・が、、、全く読めないのです。読んでもちーーっとも、頭の中に入らないのです。1ページを5回読みました。ちっともすすみません。。



「デカルトは、先ず、常識という人間だけに属する基本的な精神の能力をいったん信じた以上、私たちに与えられる諸事実に対して、この能力を、生活の為にどう働かせるのが正しいかだけがただ一つの重要な問題であると、はっきり考えた」考えられないヒント。



これって、どうよ、ですね。凄くカッコイイけど、私の異見としては悪文です。

文章よりも、中原中也と恋人を共有していたエピソードの方が、カッコイイです。^^



>中学生の時だ。



ませてますね。可愛くない・・・・。(笑)
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romaniさまへ (樹衣子)
2006-06-30 00:38:05
こんばんは。



>私も発売日にしっかりゲットして読みました



もしかして、あのぎゃぼっと叫ぶ着ぐるみグッズつきの2000円の方でしょうか。(笑)

私は職場の方に借りたのですが、他にグッズをもっている方がいたので尋ねたら、妹さんが購入されたそうです。本屋には、グッズつきの本しか在庫がなかったそうです。やっぱり売れているのですね。



>のだめはいよいよ真価を発揮してきたようで



以前は、天才少女らしいエピソードが多かったですが、今後内面が磨かれてそれが音楽に反映するのが楽しみです。



>千秋とは、キャラクターとしてもベストマッチ



映画化されてもおもしろいかもです。。。性格が正反対のカップルだけれど、見ているところは同じですからね。



>早く次号がでないかなあ



思わず、「Kiss」を立ち読みするromaniさまを想像してしまいました。
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林象くんへ (樹衣子)
2006-06-30 00:51:30
私も、実はターニャが弾く「ねっとり情熱的」モーツァルトを聴いてみたいのです。

多分、そういう弾き方はコンクールでは不利かもしれませんが、音に色気があると感じるのです。端整な黒木君のオーボエとは違うのでしょう。だから、互いに自分に欠けている部分を求めるのです。この対称的なふたりの恋の行方も楽しみです。



>でもできればこの関係のままでいて欲しいですね(^^)



ふたりの関係は、一歩進みました。これはのだめにとって、かなり大きな前進でっす。林象君の”この関係のまま”という発言に近い話題が、職場でものぼりました。恋人未満、友人以上、恋の渦中にいる状態でしょうか。少女漫画の醍醐味は、恋に恋するときめきを主人公の感情に重ねる部分ですね。
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