千の天使がバスケットボールする

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二回目の「オーケストラ・ミューズ」演奏会

2006-07-01 23:41:13 | Classic
最近、私も忙しいのだ。だったら「いつまでもあると思うな、美貌と若さ」?と自分に言い聞かせ、とっとと枕に頭をうずめればよいのに、忙しいからこそ自分と向き合うことが必要不可欠と、ブログの更新やら読書諸々で睡眠時間を削っている。
この忙しさの元凶は、仕事にある。職場でも次々とダウンする者が後を絶たない。ここ1ヶ月のめまぐるしさと変質的な笑いは、ベートーヴェンの交響曲第7番の後半がかけめぐるかのようだ。そう言えば、音楽好きの方には雰囲気が伝わるだろうか。この第7番の、あと一歩間違えば喧騒になりそうなにぎやかさは、ある時は「運命」のように重厚で、はたまた弦楽四重奏のように哲学すら提示されるベートーヴェン像と笑えるくらいにちょっと違う・・・。いったいこの時、ベートーヴェンになにがあったのだろうか、と疑ってしまう。

さて、梅雨の晴れ間に世間のいかめしいイメージとは少し違う、ベートーヴェンのたくらみを聴きに文京シビックホールにまで、いざ。

先日亡くなられた岩城宏之氏のエピソードを、私もブログに書いたのだが、最も印象に残る話に実はふれていない。というのは、間接的に人から聞いた話だからだ。
ある時、やはり音楽の好きなその方から聞いた、岩城氏が出演されていたラジオでの話。
「指揮者になりたい。どうしたら指揮者になれるのですか。」
そう尋ねる少年に、岩城氏はラジオできっぱり応えた。
「僕が指揮者になれたのは、才能があったからだ。」

6月に来日したヒラリー・ハーンのヴァイオリン・リサイタルを聴いた方の多くは、「天才」という言葉を具現化した”ミューズ”を実感しただろう。天才というのは、なんなのか。彼女の演奏を聴けばわかる。
そして「オーケストラ・ミューズ」第2回演奏会の前半の曲は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。ソリストは、三浦章広さん。
この充実した音型の連なりのようなベートーヴェンを聴いて、音大ではなく一般の大学からヴァイオリニストになったソリストに、天才とは異なる意味合いの「才能」をつくづく感じる。もしかしたら三浦さんの音楽性が、自分の好みにあまりにもマッチングしているのかもしれない。三浦さんの演奏は、音の美しさもさることながら、思わずうなりたくなるようなチャーミングな魅力をたたえている。生真面目に練習だけをつんだ人とは違うテイストの、音楽の核心をついているといってもよいかもしれない。堂々たる第一楽章のカデンツァ、難技の和音を軽々と謡う第三楽章のカデンツァも素晴らしい。。。が、私は随所に光る”名人芸”の妙味に、音楽の才能にふれた気がする。ため息のでるような才能に。
新星日本交響楽団で首席コンサートマスターに就任した当時の「生命力のある、いい音楽を目指したい」という抱負を思い出すようなヴェートーベンVn協奏曲だった。

このベートーヴェンの協奏曲を独奏するということは、宝石のようなメンデルスゾーンの協奏曲とは異なり体力を消耗する、はずだ?。(弾いたことがないから断定できないが、音楽性を考えたらそうであろう。)にも関わらず、後半の交響曲弟7番が始まると、コンサート・マスターの席に三浦氏が。思わず、微笑んでしまった。お仕事で、いつも勤めているコン・マスなのに、小さなアマオケの牽引役も引き受ける姿に好感をもつ。
閑話休題。
今回はviolaで参加された東京フィル首席第二ヴァイオリン奏者の藤村政芳 氏にもふれたい。日本人ビジネスマンの黒髪に囲まれて、中央でちょっと茶髪のめだつ方、それが藤村さんだ。黒いフォーマル集団の中で、渋めのチャコールグレーのスーツというのもなかなかおしゃれだが、もっとおしゃれなのが、そのボーイングと弾き方だ。「のだめカンタビーレ」の峰くんを更にパワーアップさせたようだ。上品なクラシックというよりも、殆ど過激なロックである。その迫力はおよそ権威ある東京藝術大学ご出身とは思えないではないか。オーチャードホールという会場を嫌って、また合併して大所帯なのでホームベースでの東フィルでの勇姿を惜しいことに拝見したことがないのだが、本業でもこのような熱い演奏なのだろうか。お隣に可愛い女の子が座っているからではない。いつも藤村さんの演奏は激しい。・・・やはり東フィルでのお姿も一度、チェックしなければ。

たちあがったばかりの二回目の演奏会。今後、どう成長していくのか、楽しみである。

----------2006/7/1 文京シビックホール----------------------------------------

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61(ヴァイオリン : 三浦章広)
ベートーヴェン 交響曲第七番 イ長調 作品92

指揮:大河内雅彦


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2 コメント

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ご来場ありがとうございました (Ouboefuki)
2006-07-06 23:39:41
コンチェルトでオーボエ1stを吹いていた者です。昨年に引き続いてのご来場、本当にありがとうございます。



自分にとっては協奏曲の1stオーボエを吹くのは初めての経験でしたが、本番では三浦先生のVnに圧倒されておりました、特にカデンツは・・・・実は先生は合奏中には全くといっていいほどカデンツの手の内を明かしてくださらなかったので、本当に本番まで秘密のカデンツでした(^^)



また今後ともよろしくお願いいたします。
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こんばんは (樹衣子)
2006-07-08 01:23:57
ご丁寧に再訪ありがとうございます。



>コンチェルトでオーボエ1stを吹いていた



この曲は、オーボエの音色が重要だと感じています。存分に音楽を楽しめることができました。

こちらこそ、良い音楽と素適なオケにありがとう、とお礼を申し上げたいくらいです。



>本当に本番まで秘密のカデンツ



三浦先生のカデンツは、素晴らしかったですね。特に3楽章のカデンツは難技の連続で、にも関わらず音がよく鳴っていたと思います。

文京シビックは、音の残響が長いようで疲れるし、響き過ぎて音が濁ち、あまり好きなホールではありません。それでも、あっというまの2時間でした。

三回目も楽しみにしています。そして来年も?、多分宜しくお願いします。



追伸:私も映画は絶対字幕派です。
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