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第468回定期演奏会「恍惚のベートーヴェン・ナイト」

2010-10-22 22:51:17 | Classic
コンサートに行くと、特に秋のコンサートシーズンに向かう時など、どっさりと大量にコンサートの案内のチラシをいただく。私は、けっこうこのチラシを楽しみにしていて、コンサートの予定の参考にしたりして、毎回、ありがたくいただいている。座席表やスケジュール・カレンダーなどもあって便利でもある。ところで、その大量のチラシの中でも、その眉目秀麗なルックスで、けっして埋もれず人目をひくのがこの方、ウィーン生まれのすらりとした長身の指揮者、クリスティアン・アルミンク氏である。(この方の燕尾服姿と広上淳一氏のそれとは決して比較してはならない・・・)東京の下町と金髪のアルミンク氏 の組み合わせが、いまひとつ不思議な感じもしなくもないが、新日本フィルもなかなかがんばっている。演奏前に、アルミンク氏のレクチャーもあり、チケット・マイプランなどの特典あり、サポーターズ・パーティなども主催して寄付金を募る。以前、チケットを申し込んだら休日の昼間の時間帯だったせいか、完売だった。・・・ところが、今日は7割程度の入りで、ちょっと空席が気になる。

最初の曲は、ドイツの作曲家ヴルフガング・リーム(1952年~)による日本初演の「変化2」。「変化」はオーケストラのための連作で、「2」は05年に作曲、現在まで「4」までが発表されている。曲は単一楽章からなり、20分程度と最初に演奏されるのにちょうどよい現代曲である。私にはブラームスを彷彿させるような音ではじまるのだが、”変化”というタイトルが示すように、次から次へとダイナミックにしかも緻密に変容していく。ほっと気持ちがやすまるまもなく、リズミカルに音楽が疾走するような印象である。最近思うのだが、やはり現代曲も積極的にとりいれていかないと、音楽も活性化しないだろう。この点でも、新日本フィルは地道にがんばっていると思う。

次のピアノ協奏曲は、独奏者として予定していたラドゥ・ルプー氏の急病により、旧東ドイツのドレスデン出身、ペーター・レーゼル氏が代役を務める。幸運にもベートヴェン弾きとしても評価の高いピアニストである。今夜も、格別な新鮮味はないが、上品で晴朗でいてドイツ音楽の奥の深さが感じられる。アンコールにこたえての”スケルツォ”は、一転チャーミングな弾きぶりで、それもまたベートーヴェンの本質である。

交響曲第8番は、「のだめカンタービレ」効果ですっかり有名になってしまった第7番と「第九」にはさまり、近頃はすっかり地味目。ベートーベン自身も「小さな交響曲」と呼んではいたが、古典的な雰囲気がありながら、小粋な曲想が踊っている楽しい曲でもある。「恍惚のベートーヴェン・ナイト」という大上段のタイトルにしては不完全燃焼だが、ソリストのペーター・レーゼルの演奏も含めて、ベートーヴェンの美しさを理解できる演奏だったことが何よりだった。そして、下町の灯りに、ベートーヴェンがよく似合うことを大発見した!

-------------------------------------10月22日 すみだトリフォニーホール -----------------------------

指揮:クリスティアン・アルミンク
ピアノ:ペーター・レーゼル
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団

リーム作曲:変化 2 (2005) *日本初演
ベートーヴェン作曲:ピアノ協奏曲第4番ト長調 op.58
ベートーヴェン作曲:交響曲第8番ヘ長調 op.93

*アンコール
ベートーヴェンの「ソナタ第18番」から”スケルツォ”



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