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千の天使がバスケットボールする

クラシック音楽、映画、本、たわいないこと、そしてGackt・・・日々感じることの事件?と記録  TB&コメントにも☆

結婚したいのに… ~止まらない未婚化~ 「クローズアップ現代」より

2011-02-21 23:41:53 | Nonsense
昨年、俳優の織田裕二さんが結婚して年貢をおさめ、最後の大物独身貴族となった福山雅治さんは、いつ結婚するのか。。。
中年になっても独身を維持するのは、福山さんだけではない。*1)日本人の生涯未婚率は、現在は男16%、女8%と意外と低い感じもしたのだが、いやいや2030年には男29%、女22%と一気に上昇基調。結婚しようが独身でいようがそれは個人の問題とばかり言えないのは、独身者が増えれば社会的に無縁社会や少子化につながっていくからだ。今も独身、ずっと独身が増えたのは、いくつかの理由がある。

①職場の変容
職場結婚がなんと半減しているそうだ。昔は、職場で働く男性も女性も全員、正社員。家族よりも長い時間を過ごす職場の同僚や先輩・後輩と恋を育んだり、サークル活動を通じて、年頃の男女が出会う場まで用意されていた。また、職場の花の新陳代謝を促するためにも、女性社員が何年か勤めて寿退社して職場結婚をするのを上司も歓迎していた時代だったのではないだろうか。それが、今や、バイト、派遣社員がやってきて、人間関係を築く前に人が入れ替わる。さよなら・・・。積極的に仲人を務めためんどうみのよい上司も減ってきているのだろう。

②非正規雇用の増加
1995年では8.9%だった男性の非正規率が、2010年には18.9%、これを未婚者に限ると3割近くになっている。福山さんも非正規雇用で働いているが、未婚者の10人に3人は非正規雇用という事情には、同じく非正規雇用の女性が、結婚相手に安定と経済力(年収400万円以上)を求めているからだ。結婚したい「男性の年収」と「女性が求める年収」の乖離が、結婚したいのに未婚という現象に拍車をかけている。

③米国や西ヨーロッパと違って、日本の独身者はいくつになっても親と同居
成人して一人暮らしをしていると、二人暮らしの方が経済的にメリットがあることに気がつくが、結婚するまでの待機期間を実家で過ごせることも未婚率を高めている。

番組では、実際に婚カツをしているが、年収がネックでなかなかご縁まで至らない男性が登場する。あかるく朗らかな男性が、夜アパートでひとりでコンビニ弁当を食べている姿は、さすがにわびしいものがある。しかし、不図、思ったのだが、何故この男性は自炊をしないのか。お米は炊飯器が上手に炊いてくれる。冬は簡単にできる湯豆腐や、食事のバランスのよい鍋物料理でも作ればいいじゃん。最近の鍋は、キムチ味やカレー、トマト味などそれなりにバラエティに富んでいる。簡単な料理ぐらい自分でできる家事能力を身につけることも、婚カツには必要ではないだろうか。妻に家事を期待するのであれば、それなりの年収をえること、それが無理ならば家事をしっかり身につけて、家事が得意というのをアピールした方がよいのでは。

事実、番組の後半には、新婚夫婦が登場したのだが、男性は婚カツの時に「結婚したら全力で家事をやります!」と宣言してゴールインをした。彼は、それまで実家住まいで家事などはしたことなかったそうだが、せっせと風呂荒いや洗濯に精をだすその表情は、実に楽しそうだった。ふたりの年収をあわせても380万円という厳しい生活も、家計簿をつけてお互いに節約と協力しあい、よい夫婦になりそうなふたりの笑顔が微笑ましく応援したくなる。

その一方、大学卒業時に就職氷河期でずっと派遣社員として働いてきた女性は、派遣契約がきれる前に何とか結婚したいとセツジツ。相手の希望職種は”官公庁”。ちょっと前までは、毎年就職ランキングで上位にあった鶴のマークのカイシャも、賞与はでていないと聞いている。もし彼女が、福利厚生の整った一流企業の正社員で、出産後も働けるような環境だったら、ここまで相手に経済的にも生活まるごと依存するような結婚を希望していなかったのではないかと思われ、これもせつなくなった。そして、大手企業の正社員でそれなりに年収のある女性たちは、都内に快適なマンションを購入して誰にも邪魔されず、こどもにもわずらわされることのない独身生活を謳歌している。昔のように、結婚を親身になって心配してくれる上司もいなくなり、うっかり結婚はいつ、なんていったらセクハラ親父と呼ばれるから禁句、女性も安心して定年まで勤められるので、結婚なんかしなくても経済的にはなんら不自由がない。いくつになっても一緒に遊ぶ同じく独身の女ともだちもいるようだし。

愛媛県では、自治体が積極的に男女の出会いの場を設け、ボランティアの方たち(結婚生活の長いベテラン)が若い人たちの相談にのったりお見合いをセッティングして成功している。これは、なかなかよいアイデアだと思う。身近に聞いた話だが、高校時代は野球に打ち込んだスポーツ青年で容姿も整っている、出身大学は女子に人気のJARと聞けば、さぞかしもてるだろうにと思うのだが、”出会いがなくて”彼女がいなく、近頃少々焦り気味だとか、そんなこともあるのだ。自然な流れで結婚に至るのは望ましいが、待っているだけでは運命の人に出会えないのも昨今の事情か。
番組にゲスト出演していた山田昌弘さんは、親も含めて男性だけが働いて妻子を養うという意識改革が必要であると訴える。また、そうは言っても、派遣社員が増えれば正社員の負担が増え、子育てと仕事の両立も厳しくなる現状では、ワークライフバランスやワークシェアリング、非正規雇用の実情を変えるなど社会として取り組む課題もあると言っていたが、全くである。

福山さんやGacktのようにいい男がず~^っと独身というのも、それはそれでよいとも思うのだが(#^.^#)、本当は結婚したいのに未婚というのは、なんとかしなくちゃっ。

「結婚、いかなる羅針盤もかつて航路を発見したことのない荒海。」byハイネ
しかし、、、「結婚とは誰もが犯さなければならない過ちである。」byジョージ・ジュセル

*1)生涯未婚率というのは、「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出した数字。

帰ってきたアパレル生産

2011-02-19 23:38:38 | Nonsense
別に不都合な事情があるわけでも不適切な情事があるわけでもないのだが、私はブログ内で日記に近い個人的な内容はあまり書かない(ふれない)ようにしている。しかし、今回は解禁して一部日常を暴露?、、、というのは、毎日着るファッションに関わる内容だからだ。

ここではっきりブランド名を言ってしまうが、最近の私の服装のお気に入りはフランスの「オールド・イングランドOLD ENGLAND」。
名前では、「えっ、イングランドなのにフランスなの?」と疑われるが、れっきとした1867年創立のフランスの老舗ブランドで本店は創立以来「12 Boulevard des Capucines 75009 Paris」にある。あの”のだめ”がブルーのダッフルコートを着ていたことでご記憶にある方もいるかもしれないが(私は気がつかなかった・・)、お店につけた名前から想像されるとおり雰囲気はトラディッショナルな英国風なのだが、伝統の重さというよりも昔のフランス映画のような礼儀正しい美しさを感じさせてくれるフレンチ・トラッド。

先日、有楽町西武デパートの閉店セールで買ったYシャツにはじめて手を通してみたところ、ボタンをはめて、そのあまりのはめやすさに感動したのだった。あらためてよくよく眺めてみると、乳白色の小さなボタンの周囲には”OLD ENGLAND PARIS”とほられていることから、ボタンそのものが自社で製造されていること、またはめやすい秘密はボタンの上の部分の角に丸みがあること、ということが判明した。そしてイタリア製。この澄んだクリアーな発色の水色は日本にはなかなかない色だ。他の衣類も調べてみると、コートなどはフランス直輸入品も扱っているようだが、私がもっているPコートも含めて殆ど日本製となっている。丁寧でしっかりした縫製、秋から初冬にかけて着られる薄手のコートにもなる丈の長いジャケットの裏地はすべりがよくて着心地が抜群なキュプラ製で、濃紺のしっとりとつややかな生地にはブランド名の織柄が入っている。

ちなみに価格も再点検したら、半袖の薄手のポロシャツ仕様は定価だったら4万円程度だった。そう、”だった”という表現でばれてしまうが、だいたいセールで買っているのも、ここのブランドの最大のネックが、オーソドックスなデザインでぱっとひかれるおしゃれ感がないけれども、価格帯は庶民の私には少々お高めというところだ。ところが、昨年の晩夏、このポロシャツよりも安いダンガリー素材の半袖ワンピースが登場した。春からの出番を待っているこのワンピースの値段の理由は、それもそのはず、これだけは中国製だったのだ。真剣にあらためてワンピースを見たら、なんとなく意識下で気になっていたとおり、ここのブランドの品物のわりには、縫い目があまり整っていないじゃんっ!カジュアルなものほど素材はよい物をと考えたい私には、不景気対策の企業努力がこんなところにあるのか、とちょっと複雑な思いもした。

女子的には、毎日着る服は、毎日の戦闘服。女子力アップには、予算内でおさまるデザイン的にもお洒落なものを身につけたい欲望があるのだが、どんなに人気ブランドや有名ブランドでデザインが優れていても、裏のタグで「MADE IN CHINA」やチュニジア製という表示を見つけたりすると正直がっかりする。しかもお値段もブランド名にふさわしいりっぱな価格である。いつもこの価格の構成を知りたいと思ったりもする。それから「オールド・イングランド」だけでなく、行き過ぎない旬な流行路線をとりいれている「ADORE」というブランドの服もやはり日本製が中心だ。ブラウスの裏生地にシルクを使ったりとよい意味での洗濯泣かせの品物もあるのだが、どの商品も手に取ると仕立てがよいのがわかる。中国製のすべてが悪いとは言わないが、昔々、森英恵さんが日本製のブラウスが米国のデパートの地下の売り場においてあることにショックを受けた頃からの、日本企業のまじめな技術力向上によって、現在は”日本製” は信頼にブランドにかわっている。シャープの亀岡工場などもそのよい例だろう。
だったら多少高くても、長い目でみて中国製よりも日本製へ回帰したらどうだろうか、とタイムリーにも「WBS」の知られざる日本の実力で「帰ってきたアパレル生産」を放送していた。

この20年間で、国内の衣料生産は人件費の安い中国に流れて9割も減っていた。この事実にも驚いたが、残念なことに技術という財産をもった企業の廃業も続いていた。ところが、国内の衣料生産が前年比1.6%と14年ぶりに上向きになっている。ある工場では、厳しく苦しい時代もあったが、今は前年比4割も受注が上昇し、16人の従業員が10万円程度の高級なジャケットを月500枚生産している。好調な理由として、欧米の受注が上向きな中国で、細かい注文の多いわりには多品種で小口の注文数の日本からの発注が嫌われ、はじき出された商品が国内にかえってきていることにある。

中国では人材不足の一方で賃金も上昇、単純労働を嫌う労働者で経営者も人材確保に苦戦している。ある染色加工工場では、織られた布にガスバーナーで不要な毛羽を焼きとり、その後、50度のお湯に通して機械で念入りに洗浄という加工をしている。客の要望で樹脂加工などで、通常の黒とは異なる深みのある黒をだしている。作業着を着た工場長が、普通の黒と深みのある黒をそれぞれの布で比較説明しているのだが、その差は歴然としている。黒という色は素材の良し悪しがはっきりわかるので、安物を買ってはだめという母の教えを思い出した。
また、大手アパレルメーカーの三陽商会では、国内の6つの直営工場で4割生産しているところを、数年で5割まで高める予定である。マザー工場では、年間、10数万円もの高級スーツを5万着製造しているが、前に向いている人間の肩にあわせて波をうっている”いせ”をつくったり、胸ポケットのコーナーを厚みをへらすために角でなく丸くしたりと、その工程作業はお値段を納得する細かい技術力に支えられている。切迫する食料危機に日本国債の格下げが続けばラーメン1杯が2000円時代がやってくるかもというなかで、この流れが本当に続くのか、またいつまで続くのか不安もあるのだが、やっぱり中国製よりもMADE IN JAPANだよ。。。

もともとオールド・イングランドを気に入るきっかけになったのは、妹が学校行事やコンサートへのおでかけ用にシンプルなワンピースを着ているのを見てからだ。一見、平凡なデザインだが着るとその人をひきたてるあたたかいフォーマル感がある。ところで、くだんのオールド・イングランドのHPの検索で見つけたのが、「関心空間」のこんな記事だった。
「数年前までは北九州市にも路面店が存在し、店内の居心地の良さに惹かれて、何かと理由をこじつけては足繁く通ったものだ。
しかし、オーセンティックゆえに表面上の新味に乏しいコレクションは、斜陽射す錆び付いた地方都市には深く根付く事はなく、消え入るような静かさで撤退。礼儀正しく気さくなスタッフたちの思い出が、手元の20数点のアイテムと共に残るばかりである。」
この店舗ではどうもアパレルよりも家具を扱っていたのではないかと思われるのだが、「“ノーブル”という表現こそ相応しい 」という記事に思わずうなづいてしまった。ファスト・ファッション店で大量の商品を見ても購買意欲はわかない。これは選択が広すぎるという心理的な理由ばかりでもないだろう。我家の爺さんが現役サラリーマンの昭和の時代は、仕立て屋さんが家にわざわざ来て採寸してスーツを作ってもらっていたことも思い出した。私は、ものを消費することではなく、大切に使用することも思い出したいのかもしれない。

■ファッション通信
映画『プラダを着た悪魔』
映画『ファッションが教えてくれること』
映画『お買もの中毒な私!』
「着倒れ方丈記」
「着るものがない!」中野香織著
「神は細部に宿る」その1
新潮流「COACH」
ルイ・ヴィトン物語

ラン・ランがホワイトハウスの晩餐会で演奏した曲が波紋に

2011-01-31 22:49:32 | Nonsense
日本列島各地で猛寒波。室内の温度計が5度、、、本当に寒い・・・。
ところで、ちょっと気になる話題がひとつ。↓

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【ホワイトハウスで反米ソング 米政権が大恥】
2011.1.25
中国の胡錦濤国家主席を招いて19日夜、ホワイトハウスで行われた公式晩餐会で、国際的な中国人男性ピアニスト、ラン・ラン(郎朗)氏(28)が演奏した曲が、反米宣伝映画の主題曲だったと分かり、米国内で波紋を広げている。

ラン・ラン氏は、中国生まれでニューヨーク在住。演奏したのは、朝鮮戦争(1950~53年)を舞台にした中国共産党の反米映画「上甘嶺(じょうかんれい)」(56年)の主題曲「わが祖国」だ。

「わが祖国」は中国人に広く知られており、共産党が数十年の間、反米宣伝曲として利用してきた。映画は、中国人民解放軍「義勇軍」と米軍の激戦の様子を残虐に描いている。
米CBSニュースによると、ラン・ラン氏は、この曲を選んだ理由について、晩餐会の前に収録した香港のフェニックステレビに、「この曲をホワイトハウスの晩餐会で演奏することは、中国人にとって大変な誇りになると思った」と語っていた。
だが、演奏後に波紋が広がると「子供のころから好きな曲の一つだった。メロディーが美しいという以外の選曲理由はない」とのコメントを出した。演目などは通常、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)のスタッフが事前にチェックするはずだが、ギブズ大統領報道官はコメントを避けている。
一方、米メディアによると、中国系ブログには「米国人は曲に酔っていた。本当に間抜けだ」といった書き込みがあふれている


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ラン・ランは中国が世界に誇るピアニスト。数年前、上海へ旅行に行ったときは、雑技団の興行をしている同じ建物にラン・ランの演奏会の巨大なポスターが何枚も張ってあったのを覚えている。

2011年1月19日胡錦濤国家主席を招いて行われた晩餐会で、彼がピアノを弾いたのは最もふさわしい人によるパフォーマンスだと思うのだが、弾いた曲が不適切だったということか。15歳で渡米して世界に飛躍した彼だが、欧米では上質の中国の民族衣装を着て演奏している姿を映像で見かけたり、中国の曲もよく演奏しているところから、彼が中国人であることに誇りを感じているのはわかる。偏見かもしれないが、彼のような自己陶酔型のタイプは、国粋主義者になりがちだとも思っている。ただ、あえてこのような席で反米宣伝曲を演奏するかと言うと、いくらなんでもそこまで非常識で礼を欠けるタイプの青年とも思えないのだが。ホワイトハウスの国家安全保障会議のスタッフのチェックが甘かったか・・・。

■こんなアーカイヴも
・ラン・ランという天才ピアニスト

ETV特集「大阪”非常事態”宣言~生活保護・受給者激増の波紋~」

2010-12-27 22:56:18 | Nonsense
今年の9月1日、うだるような猛暑の一日がはじまろとうしている早朝、始業前の浪速区役所前に長蛇の列ができている。ドアが開くと我先にと殺到していく先に、職員が用意しているのは現金が入った茶封筒でぎっしりと箱に入って並んでいる。私は知らなかったのだが、毎月、1日は生活保護受給日だそうだ。40代の単身者は、12万円程度の保護費が支給される。

最後のセーフティネットと言われる「生活保護」に、ここ数年、異変が起こっている。昨日のETV特集は、知られざる大阪市の生活保護の実態を報道していた。不景気もあいまって、最近、生活保護受給世帯が激増していて、1990年代半ばのバブル時代の倍を超えて、今や受給者数は全国135万世帯187万人にも膨れ上がっている。増える一方の、生活保護費は国や地方自治体の財政を逼迫もしている。特に深刻なのが大阪市で、受給者人口13万6600人で、この数字は市民の20人に1人が生活保護を受けている計算になる。平成22年度に計上した生活保護費は2863億円!なんと市税収入の半分になるという。大阪市はどうなっているのかと驚いたのだが、もっと驚かされあきれたのは、受給者を利用して市民の血税を搾取する貧困ビジネスの実態である。

生活保護受給者へのインタビューで浮かんだのは、”悪徳”と言ってもよいような不動産会社とその会社に密着した医療機関の手口である。ある男性Aさんが紹介されて住んでいるアパートは、築数10年もたつ相当古いアパートで、トイレは一応水洗だが、今時見かける事がなくなったタンクが上にあり、チェーンをひっぱって水を流す方式のトイレ。勿論、とても狭い。家賃は42000円。この家賃は、生活保護費が申請できる上限だそうだ。
別のBさんは、千葉県船橋駅前でホームレスをしていたのだが、不動産業者に声をかけられてワゴン車に乗せられ、他の人たちと一緒に大阪に連れてこられた。不動産業者が全国の路上生活者を集めて、大阪の狭いアパートの入居させ、生活保護を受給させて家賃を取り立てる。4畳半程度の質素な部屋で、ここでも家賃は42000円。敷金、礼金、最低限の生活用品も市から支給されている。

それだけでなく、Cさんは不動産業者と提携している病院に糖尿病で1年以上も入院し、退院したらこれをすべて服用したら逆に副作用で病気を併発するのではないかと思うくらいの薬の山を病院から支給されている。診断書には便秘症などと病名?も書かれているのだが、勿論、医療費の請求先は大阪市の税金を直撃。このように生活保護受給者専門のような病院が、大阪市には34ヶ所あるという。確かにセイフティーネットの機能として「生活保護」は必要だが、一見、健康そうな受給者を利用する不動産業者、医療機関の実態を知ったら、大阪市民でなくても怒りを覚える。

このような非常事態に危機感を募らせる平松邦夫市長は、昨年、市役所に「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を起ち上げ、激増の実態の背景を調べ、解決策を模索している。民間企業のノウハウを導入して、受給者に履歴書の書き方や面接試験の受け方などを指導して就労支援もしているのだが、不景気もあいまって再就職は困難を極める。大阪市が税金を投入して支援して就職できた人が1193人、ようやく自立できた人(保護廃止)はわずか28人。その一方で、派遣きりなのであらたに生活保護に落ちて申請した人は1万人を超えた。本当に大変なことになっている!

さえない中国の茶番劇

2010-12-09 23:01:06 | Nonsense
【北京時事】中国の民主活動家、劉暁波氏に授与されるノーベル平和賞に対抗して、中国の大学教授らが「孔子平和賞」を創設し、北京で9日、第1回受賞者に台湾の元副総統、連戦氏が選ばれたと発表した。
 中台間の平和の懸け橋になったというのが授賞理由だが、台湾メディアによると、連氏は授与の連絡を受けていないとされる。また、トロフィーと賞金10万元(約126万円)は連氏とゆかりのない北京市内の小学生の女児が代理人として受領。ノーベル賞に先んじるため、急ごしらえの授賞式となった。
 同賞選考委員会主席を務める譚長流氏は「平和を愛する人たちが、恒久平和に貢献した人に贈る賞」と意義を説明。主催は民間団体で、政府とは関係ないことを強調した。


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中国語で”茶番劇”のことをなんと言うのだろうか。
今朝の日経新聞で「孔子平和賞」なる創設記事を読んで、失笑してしまった。当該賞は、政府とは関係のない民間団体主催ということだが、それにしてはメディアの数も多いし、10万元もの賞金の出資者もあきらかにされていない。選考委員の大学教授は「10億を超える人口を持つ中国は、世界平和についても語る権利を持っている。ノーベル平和賞の選考にあたっては世界の人々の声を聞くべきだ」として、ノーベル平和賞に劉暁波氏が選ばれたことを批判しているそうだ。
しかし、自由な弁論の機会のないところに、平和があるわけがないと世界の人々は考えるだろう。但し、中国以外の世界の人々とすべきか。

今年の5月のGoogleの中国撤退報道に関するブログを再掲載↓

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2009年12月25日、北京市第一中級人民法院(地裁)は、反体制作家・劉 暁波氏に国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を言い渡した。
その主な罪状は、08年12月9日にインターネット上に発表された「08憲章」を中心になって起草したことによる。この08憲章とは、共産党の独裁体制を批判して、民主主義への移行、言論の自由や人権擁護などを訴える内容で、知識人や作家、大学教授ら303人が署名して、発表後の4日間で約7000人もの人々が署名していたにも関わらず、その後、あらゆる削除から徹底的に削除された。

08憲章は、本来、世界人権デーの12月10日に発表する予定だったのが、一日繰り上がったのも劉 暁波氏の公安局による身柄逮捕にある。劉氏は発表後に身柄を拘束されるのは覚悟していたそうだが、細心の注意をはらい極秘にすすめていたXデーの前日に連行されたことには、別の衝撃がある。今回署名した多くの人々が利用していたのが、ユーザーの秘密保護で評価の高いGメールだった。Gメールから08憲章計画がもれたという証拠はないが、Gメールを利用する知識人や民主活動家へのハッカー攻撃が頻発していたこと、そして劉 暁波氏への重すぎる判決にGoogleが中国から撤退した理由がありそうだ。

中国政府は、ネットの普及を奨励しながら、監視システムの整備も怠らなかった。”有害情報”を阻止する金盾プロジェクトには、ハード・ソフトの両面からチェックを行い、その運用人数も5~10万人にも及ぶというからそら恐ろしい。その成果は、天安門事件、民主化、人権運動の単語や人名が検閲で網羅され、体制や指導者への批判は禁句。ユーチューブもアクセス不能というありさまだ。その一方で、ネット世論のプロバガンダも推進している。ネット情報員とネット評論員を全国に設置して、党の指導のもと、党の意向をくんだ書き込みをする報酬が、1本あたり5角(7円)。そのおかげで言論の自由を推進していたはずのGoogleが、いつのまにか「米国の価値観の宣伝道具」になってしまった。

ことは、一外国企業の問題なのか、米中のサイバー覇権にまで及ぶのか。中国側はGoogleに中国でやりたいのは、ビジネスか政治かと問いただし、ビジネスだと答えるとそれなら他の外国企業と同じように中国の国内法に従うよう交渉したそうだ。その結果の中国市場からの撤退とあいなった。そこには、「核のない世界をめざす」オバマ政権の中国との協調路線の思惑から米政府のバックボーンがえられないとの観測もある。ネットを制するものは、世界を制するのか。
ただ私は、イーユン・リー著の「さすらう者たち」で娘が処刑される朝、「何かを書いたからって、あの子が死ななきゃならないなんて」と声を押し殺しながら泣く母の心情を思う。

共和党顧問、カール・ローブという男

2010-11-24 22:13:14 | Nonsense
米共和党上院トップのマコネル院内総務は15日、「イヤマーク予算」と呼ばれる利益誘導型のひも付き予算の慣行の禁止を目指す意向を表明した。中間選挙前には、この慣行を擁護していたが、連邦政府予算の削減を求める保守系の草の根運動「ティーパーティー(茶会運動)」の選挙中の要求を受け入れた。茶会運動の影響力の大きさを印象付けるものとして、注目を集めている。
イヤマーク予算は、議員らが雇用確保などのため地元選挙区の特定の事業に連邦政府予算を配分するもの。「小さな政府」を支持する茶会運動は、米議会による典型的な税金の無駄遣いだとして批判してきた。
マコネル氏は同日の議会で「私自身が地元州(ケンタッキー)にもたらした(イヤマーク予算による)事業はよい結果を生んだと考える」と弁明したうえで、「この慣行が乱用され、米国民が無駄遣いの象徴と見るようになったのは疑いようがない」と述べ、禁止方針を表明した。
マコネル氏はこれまで、茶会運動と連携するデミント上院議員(共和)らによるイヤマーク予算禁止の活動を封じ込めてきた経緯があるだけに、方針転換は衝撃的に報じられた。
中間選挙で共和党指導部の推す候補者を落選させてきた茶会運動は、選挙後も共和党指導部とは一定の距離を置いている。マコネル氏の姿勢転換の背景には、今後の議会運営をにらみ、茶会運動に歩み寄る必要があるとの判断があったものとみられる。
11/17毎日新聞より

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今年、米国の中間選挙戦で話題をさらったのは、「ティーパーティー(茶会)」だったが、全米の共和党候補者に軍資金を提供して、オバマ大統領と民主党を追い詰めた「影の共和党」の司令塔は、カール・ローブという人物である。情報誌「選択」で、41の選挙戦で34勝、2001年のブッシュ政権誕生から07年8月の辞任まで、大統領の上級顧問、次席補佐官として強大な権力を握っていて「影の大統領」とまでささやかれていた伝説の参謀、カール・ローブについて、その知られざる素顔が掲載されている。

1950年、コロラド州デンバー生まれ。幼い頃に両親が離婚。経済的にも豊かではなかったカール少年が、高校に進学して夢中になったのが、「政治」。奨学金を受けて進学したユタ大学では、共和党学生組織の活動を通じて、当時共和党全国委員長だったパパ・ブッシュとのコネができ、息子とは20代前半からの長いお付き合いになる。ダイレクト・メール会社を設立して、候補者の宣伝、広報を引き受けた。ご承知のように米国には、巨大な選挙産業がある。参謀、世論調査会社、下働きまで様々な職種が確立されているが、おおかたは舞台裏の職人さんでおわるところ、候補者を勝たせることによって、米社会の階段を登りつめた選挙屋がカール・ローブである。

そんな彼の戦略は、攻撃的で手段を選ばずに相手を貶めるところに特徴があるが、政権中枢では官僚や議員の経験不足で、行政・立法のプロセズは苦手とされ、内政課題では失敗続きで出番がなくなったという選挙屋の悲しい過去がある。しかし、ここにきて見事に本来の家業で復活して返り咲き。オバマ政権の終焉を願うビジネス界から数十億円規模のお金を引き出し、それを配分する組織を作り、中枢にはブッシュ政権時代のベテランや選挙プロを集めて戦略をねった。「アメリカン・クロスローズ」は連邦選挙委員会の規制を受けないことから、大量のテレビ広告、メール、電話攻撃で民主党を圧倒させた。巧みだと感心したのは、「茶会」が推薦する候補者を質が低いだの、勝ち目がないとまで攻撃しておき、後から、彼らを”草の根”や”普通の人”という形象で金権選挙の隠れ蓑に利用したところだ。共和党の常勝時代を築くことが夢である彼が、2年後の次期大統領選挙では、共和党の凄腕のキングメーカーとして活躍するとのもっぱらの噂である。
写真を見たところ、太ってめがねをかけたブルース・ウィルスという感じのおっさんなのだが。

「課長!イキイキ働いていますか?」クローズアップ現代より

2010-11-22 21:23:25 | Nonsense
今夜のクローズアップ現代のテーマーは、「課長!イキイキ働いていますか?」

近頃、気になっているのが所謂「課長本」。昇給も昇格なしの女子だって、マネジメントについて学ばなきゃいけない時もある、そんな女子力の読書傾向の影響もあるのか?(おそらくないだろうが)、この課長本は今年、12万部も売れるヒットになったそうだ。社長に比べて、サラリーマンにとってはより身近な存在で、振り返れば奴(課長)がいるのが職場、頑張れば手に届く範囲にあるかもしれない管理職の課長。「クローズアップ現代」によると昭和の時代の課長は、新入社員の憧れの先輩で上司だったそうだ。そうか?と突っ込みたくもなるのだが、サラリーマン役の西田敏行さんが縄のれんをくぐって、行きつけの焼き鳥やさんに部下の小池栄子さんを連れて行き、お店の人に「この子、今度きたうちの新人!」と紹介するビールのCMは、私のお気に入りなのだが、あの雰囲気は間違いなく昭和の課長だと想像する。(こんな呑み会は私は嫌いではないのだが、部下の女性を個人的に呑みに誘うとセクハラになりそうで、うっかり誘えないという悩みどころもあるらしい)

平成の課長は、長い出口の見えない不景気の中、グローバル化だの成果主義だの厳しさが増し、一時は組織の簡略化が進み、課長不要論までまかりとおっていたのだが、近年、日本企業の組織力が再認識される中で、再び復活してきたのが、組織の要となる課長の力。但し、平成課長は、昔の全員正社員で同じ価値観をもった終身雇用の部下たちに囲まれていたのに比較し、嘱託社員などの年上の先輩が部下になったり、全国型や女性を中心とした地域型の社員のマネージメントと多様な雇用形態の部下を管理、面倒を見なければならない。具体的な成果を求められる中、よく言われる上司と部下の板ばさみとなって孤独を募らせている課長もいる。番組では、ふたりの課長をクローズアップしていた。

最初に登場したのは、生花店に花を包む紙を売る1000人規模の企業の課長。Aさんは、30代後半でお洒落な雰囲気の方でスーツやYシャツの着こなしがスマート。リーマンショック以来の不景気にあえぎ、お花そのものの売上が落ちている中、生花を包む紙も売上が前年度割れが続く。ミーティングでひとりひとりの営業マンから数字の報告を受けるAさんの表情は曇る。毎日6時45分に、上司に成績を報告するのもAさんの役割。そんなAさんは、毎朝、一番早く6時に出社!すぐにみんなが営業に出られるように、資料やサンプルを整理して机の上に配布して回る。本当に、大変だな~~~っ。当然、課長になったら、残業手当もでないでしょ・・・。

次は、損保ジャパンのある支社の課長、Bさん。昨年までは、自分と同じ全国に転勤がある営業のグローバル型社員だけを管理すればよかったのだが、今年から転勤のない女性が多い(と言うよりも、女護島)エリア型社員や嘱託社員も管理することになった。部下が増えた、が、さして嬉しいわけではないだろう。(これに派遣社員も含まれることも珍しくないのが、今の多様な雇用体系だ)。この会社の人事部の規定で、課長は部下からも評価を受ける「多面評価」を実施している。マネジメント能力、コミュニケーション能力など、いくつかの項目で自己評価と部下からの評価が並ぶ。厳しかったのが、地域型からの評価で自己採点と部下の評価に乖離がある。この結果には、Bさんももショックを受ける。地域型社員を集めてミーティングを行い、はっきり自己評価と部下の採点を公表して、これまでの反省と今後の対応と想いを伝える。これを受けて、NHKの取材に応える部下の今度は優しいコメントに、思わず涙ぐむオトコ、42歳の課長。本当に、本当に、大変だな~~~~っ。上司の顔色をうかがい、部下のご機嫌もうかがい、自分自身が多面にならなければやってられないよな・・・。人事部長自身への多面評価、社長に対する社員全員の評価というのはないのだろうか。

ゲスト出演していた東京大学の中原氏によると、このような評価はあくまでもマネジメント能力への評価であり、その人の人格とは全く別であるということを解説していたが、あのように低く評価されたら人格まで否定されたようでショックを受けるのは仕方がないだろう。こうした課長の仕事ぶりに、会社も報酬という形で報うことも考えなければけいないと、最後に結ばれていたのだが。
さて、ニッポンの平成課長は実際、いきいき働いているのか?課長の4割が悩みの相談もできず、「いきいき働いていない」そうだ。やっぱり・・・、課長って大変!
以下は↓、11月9日の朝日新聞より

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課長の4割「いきいき働いてない」 悩み相談もできず

上場企業の課長の約4割が「自分はいきいきと働いていない」と感じていることが、産業能率大の調査でわかった。業務量が増え、成果も求められているが、悩みを相談できる相手がおらず、自分で抱え込んでいる姿が浮かび上がった。
 調査は9月下旬、従業員数100人以上の上場企業で部下がいる課長を対象に、インターネット調査会社を通じて実施。428人が回答した。
「いきいきと働いていない」(「どちらかといえば」を含む)は38.3%だった。回答者の98.6%が職場管理と営業などを兼務する「プレーイングマネジャー」で、このうち54.8%が「プレーヤー活動が職場マネジメントに支障を与えている」と答えた。 仕事の悩みを抱えるのは約9割。「業務量」「部下の評価」「部下の育成」の悩みが多かった。ところが、悩みを相談できる相手が「いない」が50.2%。心の健康に不安を感じた経験が「ある」は43.7%に上り、原因は「上司との人間関係」「成果へのプレッシャー」と続いた。


ETV特集「”小さな金融”が世界を変える ~アメリカ発 元銀行マンの挑戦~」

2010-10-11 22:46:39 | Nonsense
銀行はなぜ貧しい者を救えないのか。

銀行はそもそも弱者ではなく強いもののためにある。そう思っていたのだが、本気で弱者のための銀行を設立し、その斬新な発想で米ビジネスウィーク誌が「アメリカで最も有望な社会起業家の一人」と評価し、世界でも注目されつつあるのが、2003年6月にマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)を設立した、枋迫篤昌(とちさこあつまさ)氏である。MFICの主な顧客は年収2万円程度のラテンアメリカ系の貧しい移民たち。出稼ぎ労働者の彼らは、銀行口座、クレジット・カードをもてない”unbanked”と呼ばれているのだが、その人口は米国内で約5000万人もいる。

たとえ貧しくとも、出稼ぎであるからには、彼らは労働で得たわずかな賃金から、本国で待っている家族のためにたとえ小額でも金を送金する必要がある。典型的なプアーな労働者の身なりの彼らが、ポケットからとりだしたほんの100ドル程度の金額を送金しても、正規のサービスを受けられないために支払う手数料は15%にもなる。先日、citiBank経由でドイツのハイデルベルク貯蓄銀行に5000ユーロを送金した私が支払った手数料は2000円。これを考えると、15%の手数料がとても高いのがわかる。しかし、一回の送金額が小さいからと侮れないのが、米国からラテンアメリカ諸国向けの送金は530億ドル(約6兆3600億円)に達し、これはラテンアメリカ各国のGDP(国内総生産)の10%を占めるまでになった。こんな誰も見向きもしない貧しい小口に注目したのが、枋迫氏である。IT技術と金融の専門知識をそそいで格安の手数料の送金システムを構築する。この送金システムは、いわば米国と海外の銀行口座を結ぶ重要なインフラとなっていく。そして、今では米連邦準備銀行もその革新的なビジネスモデルを認め、4月正式に提携するに至る。

次に枋迫氏が考えたのが、送金する間の滞留資金を使って、貧困層の人々や移民たち向けへの小口のローンだった。顧客のこれまでの送金履歴を調査して、定期的に送金している実績があったら、安定収入があり真面目に勤務していると判断し、無担保融資という私には大胆に?思えるビジネスをはじめたんだった。実際に、番組ではMFICで融資を受けて車を購入することによって、いち労働者から現場監督に昇進し、家も購入することができた男性も紹介された。マイホームで寛ぐ幼い娘たちの姿が、印象に残る。ここで思い出したのが、ノーベル平和賞を受賞したバングラデッシュのグラミン銀行とその創設者、ムハマド・ユヌス氏がはじめた少額の金融サービス(マイクロファイナンス)である。枋迫氏の思いも「金融は金持ちのためではなく、貧困ゆえに助けを必要としている人のためにあらねばならない。」という強い信念かたはじまった。終始温厚で穏やかな笑顔のたえない枋迫氏だが、奥様によると「芯は言い出したら後にはひかない情熱の人」らしい。

退職金やこれまでの貯えをつぎこんで、あらたに挑戦をしたきっかけは、26歳の時の体験にはじまる。枋迫篤昌氏は、大学を卒業後、旧東京銀行に入行。入社して3年目にいきなりメキシコに飛ばされた。必死で現地で働く彼は、ある露天商と親しくなり、”ディナー”に招かれることになった。楽しく食事を終えて帰る頃になると、その家の3歳のホセ君から「お兄ちゃん、今度はいつ来るの」と尋ねられた。お兄ちゃんが来てくれたから、半年ぶりにお肉が食べられたそうだ。確かに、スープに薄い肉がほんの少しばかり浮いていたことを思い出した彼は、あまりの貧困ぶりに愕然とした。毎日一生懸命働いているのに、貧困から抜けられないのは間違っている。彼らにとって必要なのは、経済的なチャンスだと考え、いつか金融のプロとなって貧しい人たちに役に立つサービスをはじめようと決意をした。

やがて歳月が過ぎ、グリーンカードを取得し、勤務先にもその考えを伝えていた頃、かってのメキシコの露天商から届いたのは、ホセ君の訃報だった。貧しくて、病院にも行くことができなかったと書いてあるのを読み、再び情熱を取り戻して設立したのがMFIC。実は、このMFICを取り扱った番組を観るのは二度目だが、今回は、時間も長く充実していろいろなことがわかった。ビジネスモデルの革新性と貧困者への福音と、目が覚めるようなビジネスに久しぶりに興奮した。

ハーバード白熱教室@東京大学 日本で正義の話をしよう

2010-09-27 22:17:21 | Nonsense
あの門外不出のハーバード白熱教室がやってきた!
8月25日に東大生(300名程度)と抽選で当たった一般の番組視聴者あわせて1000名程度の受講者らの白熱した議論がかわされた。その模様が「ハーバード白熱教室@東京大学 日本で正義の話をしよう」というタイトルで、ETV特集で放映された。

「イチローの年俸は日本の教師の平均所得の400倍、オバマ大統領の42倍。これは公正か?」
「東大入試の合格点のギリギリで達しない生徒の両親が、大学の5000万ドルの寄附を申し出た。このお金があれば大学は新しい図書館も建てられる。入学させるべきか?」
「殺人容疑をかけられている兄弟をかくまうことは兄弟として正しい行いか?」
「オバマ大統領は広島・長崎への原爆投下に責任があるか?」

開始を待っている満員の受講生の前に颯爽と登場したサンデル教授。日本の友人から、日本人は積極的に議論をしないのでこれまでのハーバード流の講義は難しいかも、と事前に忠告されていたせいであろうか、その表情にはちょっと緊張気味の様子が伺われた。また安田講堂内部が、実際にハーバード白熱教室が行われている教室によく似ていることから、まるでハーバードのような錯覚すら覚える。
次々とマイケル・サンデル教授から難問がふりかかる。ある学生がサンデル教授から究極の選択問題を問い詰められて、「それは難しい」と思わず本音をもらしてしまったら、すかさず「だから聞いているんだよ」と苦笑いをされてしまった。確かにどの問題もそんなに即答できないくらい難しいのだが、教授の質問に大多数の人が果敢に挙手をしている姿には、実に驚いた。ちょっとまずいこと言っちゃったり、幼いことを言っちゃったりしても顔つきでテレビで放映される可能性があるんだよ、いいのか、大胆にもはりきって手を挙げちゃったりして、そんなテレビを観ている側のはらはらどきどきは、むしろ失礼なくらい、彼らは真剣に堂々と議論をしていた。やるじゃん!!日本人はシャイなんていう言い訳は、この場では通用しない勢いだった。

番組のはじめにある青年が、僕たちは新しい日本人だと流暢に英語で語っていたが、確かに横並びの旧世代とはあきらかに違う。相手が難関の東京大学の学生ということで、理論的に思考する訓練に慣れているという事情もあるかもしれない。しかし、回答に迷っている様子はあったが、周囲の様子を伺ってから自分の立場を決めようなんて人はひとりもいなかったようだ。私の勤務先でも番組を視聴して講義の評価は上々、刺激に満ちていておもしろかったとのこと。(アロハ・シャツを着たアキラさんは、ママたちの間ではなかなか好かれていたようだ。)ところで、みんなが一様に関心をもったのが、彼らの英語力。東大の入試を突破できる能力があるのだから、英語で文章を書くことには苦はないだろうが、発音が流暢で英会話に慣れていると思われる方がけっこういたということだ。彼らは帰国子女か。今の時代、帰国子女は全く珍しくないのだが、なかでも東大は帰国子女率が高いのかもしれない。

最後の教授の若い人へのメッセージを聞いて、大事なことは教育、人を育てる講義だということも感じた。講義に参加した青年が、教授をオーケストラの指揮者のようだと感想を述べていたが、全体を統率してリーダーシップを発揮、確かに素晴らしい講義であることを実感した。ダークスーツにきれいなブルーのシャツのダンディさも、好感度大。

■アーカイブ
・著書「これからの「正義」の話をしよう」
「白熱教室」課外授業

年収650万円が一番ハッピーか?

2010-09-25 19:19:38 | Nonsense
先日、ヒルトンホテル創業者一族のご令嬢、パリス・ヒルトンさんが日本にやってきた、、、と思ったら、米国でコカイン所持により禁固1年、執行猶予1年の判決を受けたことために、出入国管理及び難民認定法の触れることから、早々に入国希望をとりさげてにこやかにチャーター機で去っていった。お騒がせセレブの面目躍如のご活躍ぶりだが、彼女を見ていると若くして有名であることの不幸と、とてつもないお金持ちの不運を感じる。かわいそうな人、それがこの女性を見るといつも感じる私の感想。

閑話休題。
先ごろ、02年ノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のダニエル・カールマンによる年収と幸福感の調査結果が発表された。カールマン教授は、経済や市場は人の感情で動くというプロスペクト理論で評価された。(この理論については、友野典男氏の「行動経済学」がわかりやすくおもしろい。)以前から、ある一定の所得水準を超えると、人はお金よりも健康、人間関係や仕事へのおもしろさの方が大切になるという説があったが、今般の調査によって、人の満足感は世帯年収に比例して高まるが、その「幸福感」も年収75000ドル(約650万円)で頭打ちになるという。このラインってアメリカではどの程度かというと、世帯平均年収が約610万円なので、まさにほどほどの中流。高収入の人はそれなりに仕事へのストレスを抱え、長時間の拘束と仕事に捧げた人生と引き換えにお金をえているのだから、割りに合わないかもというのが理由。日本では、仕事に時間をとられ、ハードワークだけれどワーキングプアーって労働者も多いのだけれど。。。

某日刊誌によると、同じような調査を阪大の筒井義郎教授らがすでに6年前に行っており、年収1500万円までは幸福感が比例するが、1700万円では逆に低下するという結果がでたそうだ。この日刊誌では、カールマン教授の調査結果から、大多数の読者層向けに年収650万円だったら、何とかなると励ましている。08年、総務省家計調査の標準世帯(妻専業主婦、こどもふたり)の年収平均が638万円。だから、何とかなるさ、、、?で、幸福か?

この調査で判明したのが、収入が増えても満足感は頭打ちになる。戦争もない、飢えもないと思えるこの時代に、年収のラインに幸福感と満足感がず~~~っと比例するとは誰も考えてはいないだろう。「幸せはお金では買えない」のは当たり前だ。中堅サラリーマンは自信をもとうと励ますのはよいが、「年収650万円が一番幸せ」と決め付けていいのかっ、というのが私の素朴な疑問。先日、二度目のドイツに駆け足旅行をして、ドイツ関連の本を読み、しみじみ考えたのは、この国での幸福感と日本の満足感では微妙に色合いが違う。静かで落ち着いて文化や暮らしに充実を求める国と、デパートのトイレに入るとロックの音楽が鳴り、テレビをつけると見たことのない醜い人がタレントとして跋扈している消費社会の日本。どちらの国がよいという比較ではなく、年収300~500万円で精神的に豊かな生活を送れるのは、やはりドイツであろう。300万円で自分の心はリッチだという反論もあるだろうが、私にとってはちょっと難しいと思える。ドイツでは、そんなに高収入ではなくても、家族で長期間の旅行を楽しめ、良質な音楽を聴き、文化に接して、ハイキングやスポーツに興じることもできる。かかる学費が日本とは違うというのが大きいが。

それでは、年収1500万円だったら?それだけ年収があったら、もしかしたら日本の方が暮らしやすいかもしれない。日本は世界に冠たる美食の国。フレンチ、イタリアン、チャイナ、インド、韓国と世界各国の美味しい食事を高額と言っても常識の範囲内で味わうことができる。軽井沢に別荘は無理でも、たとえ7日間程度だって、日本を脱出して毎年家族で外国旅行に行くのも決して珍しくない。サービスは一流。医学も進歩しているし、最近のマンション生活は実に便利で快適らしい。ウィーンフィルだって、毎回聴きに行けちゃう。ここまでの年収があったら、日本の方がよい。逆に考えれば、米国では年収650万円がラインだが、やはり日本では別の意味での国としての貧困さと相殺して筒井教授が提示したもっと高額の1500万円程度が満足感のピークにくるのではないだろうか。
つらつらだらだら、初秋の昼下がりにこんなくだらないことを考えたのだが、同じ年収だっら有閑マダムさまが住んでらっしゃるカルフォルニアの方がもっとよいかもーーーっ。