「プチリセット法」より

　三笠書房知的生き方文庫）１９８４年１０月
　　☆ 眉間にしわを寄せるほど、心も体も空回りします。
「努力逆転」と言う言葉があります。それは一所懸命やればやるほど
物事がうまくいかない、と言う意味ですが、実は活力や気力は「ガンバリ」より
むしろ「リラックス」から生じることを、あなたは実感されていることとでしょう　
　だから「肩に力が入り過ぎているな」「眉間にしわがよっているな」と思った
時こそ、プチリセットが必要なのです。これが「自分に絶対の自信がつくセルフ
コントロール法」（三笠書房刊）の中でも紹介した、わたし自身の経験です。
　それは２８歳のときでしたが、運転免許を取るために教習所へ通っていました。
仮免まではスムーズにいきましたが、もともと運動神経が鈍いわたしは、バックや
車庫入れなどがなかなかうまくいかず、卒業検定で三度も失敗したのです。
　緊張症のわたしは、何しろバックする時には胸がどきどきして、心拍数が上がり
教官から「大丈夫ですか？」と心配されるほどでした。
　
　一所懸命やればやるほど、肩に力が入り、背中も両手も冷や汗がイッパイ
でした。三回目に落ちた時には、さすがにガッカリして「もう止めたい」と、夫にもらしたのです。
すると我が夫は「そこまでがんばったのだから、あの教習所の落第記録を
作るつもりで、もう一度やってみたら」と励ましてくれたのです。
　そこまで言ってくれるならと、開き直りが早く、お調子者のわたしは「だめで
もともと、失敗しても殺される訳ではないし、よし！もう一度やってみよう」と
リラックスして再び卒業検定を受けたのです。
　すると、あんなに緊張してカチカチだった体も柔らかくなり、苦手なバックも
車庫入れも、縦列駐車も何とスムーズにいくではありませんか！
　今度は一発で合格でした。わたしはそのときに「努力逆転」と言う言葉を知り
「ガンバッテ一所懸命やるより、リラックスした方がうまくいくこともあるのだ」
と実感したのです。もしも緊張したら、深呼吸をしましょう。
　深呼吸はプチリセットですので、肩の力が抜けて、気持ちがとてもほぐれます
ので、ぜひ行ってください。