ビビッド能里子トーク・サロン

心身両面の指導者として感じたこと

カウンセラーからのアドバイス 56回

2007年03月19日 | アドバイス
  ☆ カウンセリングケースから
 昨日のカウンセリングケースは、34歳の男性の最終回だった。
彼は一流企業の営業マンだが、能力もあるが競争心が強くそのため業績が
ダントツになり、心ならずも地方から転勤し、もっとも激戦区の東京で重要
な地位につかされ、その過酷な仕事のためうつ状態になッた人だ。
 彼自身は出世願望はほとんどなく、ホンネは自分のペースで働きたいの
だがそうはいかない。周りはギンギンのそんなタイプばかりで、そのため
親しい仲間もいないし、愚痴を言う相手もいないのが辛いそうだ。
 上司に期待され毎日ムチ打って働く自分、「でも絶対負けたくない」と
思っている。そのため精神科で治療し薬を飲みながらがんばっているが
無論こんなことは絶対に秘密だ。さんざん悩み相談に来たが、学生時代
からの私の著書の愛読者で、悩んだときにはいつも読んでいたらしい。
原因は明確である。わたしは「会社と命とどちらが大事なの?」と、くり返し
話したが、やはり自分に負けたくないこと、またプライドや競争心で自分を駆り
立てるタイプだった。我が息子とオーバーラップして、わたし自身の経験など
も交えかなり熱を入れたが、わたしにはホンネで話し大変素直だが、実は
かなりかたくなで、最終のテストでは劇的な変化はなかった。
 ときどきわたしが、彼の性格や価値観などあまりにも鋭く指摘するので
「ホントおっしゃるとおりです。確かにそうですね」と、かなり自分自身を
理解はできたようだ。
     ☆ 仕事と命とどちらが大切ですか?
 まだ若いので体力や気力があるけれど、薬を飲みながら命をすり減らして
働く彼のような人が多いことは事実だ。これも企業にはたらくビジネスマン
の運命かも知れない。「自分が良く分かりました。これからもう少しがん
ばってみて、それで駄目ならあきらめます。有難うございました。」と帰って
いったが、彼の神経がどこまで持続だろうかと、わたしは考えてしまった。
 もしもあなたが同じような立場なら、どうしますか?
 自分の気持ちに正直に生きることは、ビジネスマンにとって至難のわざなの
だろうが、でも命をすり減らしても働くのが普遍的なのだろうか?
 でもたとえどんなにがんばっても、大きな機械の一つの歯車でしかないと
理解していても、多分彼は倒れるまで働くのだろう。
 命と仕事と一体どちらが大切なのだろう?そんな意味ではまったく
保障はないが、自営業は精神的には大変楽だが、「寄らば大樹の陰」これが
一般常識の範疇であることに間違いはないが。
 なんだかやりきれない気持ちを、わたしはしばらく持て余した。
                               能里子

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